近界プルルン奮闘記 作:ドドドドド黒龍剣
「(相手のトリガーの確認だ。角付は磁力を宿した黒い欠片を操っている。爺さんの黒トリガーは?)」
『(切れ味抜群で軽くて頑丈な複数の刃を反応しきれない速度で動かすとは聞いている)』
人知れずジョンの作戦が動いている事に迅は気付かずに、一先ずはと意識を戦いに集中する。
おさらいだとレイジが足止めをして得た情報とジョンから得た情報を元にヒュースとヴィザのトリガーをレプリカと共に情報共有をして解析する。
『(一方はシンプルな能力だが使い手が化け物、もう一方は複雑な能力で色々と応用が利き扱いが難しいトリガーだ。組ませるだけでも厄介な相手だ)』
「(じゃあ、ジンさん二手に分けよう。向こうはそれなりの連携は出来る。おれ達もやろうと思えばやることが出来るけど即興の付け焼き刃で倒せるほど簡単な相手じゃない)」
「(了解。オレはあの角付をいく……遊真、時間稼ぎじゃダメだ)」
「(了解)」
「全く、次から次へと邪魔をしてきて……」
「落ち着いてくださいヒュース殿……雛鳥を確保するには彼等を倒さなければなりません」
立ち塞がる迅と遊真に苛立つヒュース。
ヴィザは冷静に物事を見る。敵の基地の入口付近に突如として現れた二人組、自分達を確実に倒すことが出来る算段があるのかないのかは分からないが、たった2人だけで足止めをするという事は相当な猛者であるとヴィザの経験則が物を言う。そしてそれは大体当たっている。
「マーキングは出来ていませんが、
「
まだ話をしている最中だがそんな事は知ったことじゃないと遊真が地面を強く踏むと土砂が巻き起こり視界が遮られる。
突如として視界が遮られたことにより驚くヴィザとヒュース、ヴィザの持っている仕込み杖に向かって鎖が飛んできたかと思えばくっついた。
「せーのっ!!」
「っ、なんともまた力任せですな」
鎖でヴィザごと引っ張り上げた遊真。
力任せな荒業だがヴィザは余裕を崩さない。直ぐに自分とヒュースを分断する事を見抜いた。
「ヴィザ翁!」
「構いません」
ヴィザを追いかけようとするヒュースだがヴィザは必要無いという。
ヴィザが言うならば絶対大丈夫であろうと目の前に居る迅をどうにかして突破しようと黒い欠片を飛ばすのだが迅は軽々と避ける。
「空中であるならばなにも気にしなくて良い……
「成る程、ジョンさんの情報とレイジさんの情報は合ってたか」
空中に浮いたヴィザは星の杖の能力を起動しようとするが直ぐに謎の重さを感じ取った。
何事かと思っていると展開されたサークルの上にある刃の上に六角形の重しが、遊真が三輪隊と交戦した際に会得した
遊真はジョンとレイジからの情報と星の杖の能力を生で見て大体どんなものなのかを察した。
切れ味抜群で軽くて頑丈な刃が反応することが出来ないレベルで高速移動する。100kg以上する鉛弾を撃ち込んでいる筈なのにやっと目で追える素早いなと思える速度で星の杖のブレードが動いている。
「……足止めは禁止だったな」
遊真は直ぐに察する。
物心ついて有吾と一緒に旅をした6年間、有吾が死んで黒トリガー化してからの3年間、ボーダーに入隊するまでの数ヶ月を合わせても目の前に居る老人には敵わない事を。なにせこの業界は肉体の全盛期というのが無いに等しい。若々しい肉体でありながら老練された知恵や感性を持ち合わせていて最前線で戦うジジイは
そして遊真は思い出す。迅に時間稼ぎじゃダメと言われたことを。
迅になにが見えているのかは不明だが、未来が視えている迅はヴィザの足止めはダメだと言った。それだけヴィザが危険だというのもあるのだろうが、まだなにか厄介な未来が待ち構えているのだろう。下手に踏み込まずに足止めをするだけならば今の遊真でも最低でも15分は出来る。
「……おれは黒トリガー使いだよ」
「なんと、黒トリガー使いですか……
故に少しだけ揺さぶりをかけてみる。自分が黒トリガーである事を告げたとしても特に動揺は見られない。
黒トリガーは1個あるだけで組織のパワーバランスを崩壊させる化け物じみたトリガーだがそれでもヴィザは動じない。メンタルも強ければ戦闘も強い。自分よりも確実に上だと断定する事が出来る相手で、時間稼ぎじゃダメと迅から言われており、倒せと言うのはかなりの無茶であり100回やって裏があると思わせて更にその裏をついてやっと1回勝てるレベルだ。
時間稼ぎが限界だが遊真は弱音を吐かない。
何故ならば知っているから。こっちの世界で最初に出来た友達が勝ち目が少ないからと言って逃げるという一手を1度も選ばなかったことを。死ぬ可能性なんて全く考慮せずに戦いに行った姿を目に焼き付けていた……まぁ最もその友達はトリオン兵にボコられて終わってしまったのだが。
「っく……」
完全にヴィザとヒュースは分断された。
ヒュースは当然、その事が分かっておりヴィザならば負けることは無いので先ずは目の前に居る迅を倒そうとする。
黒い欠片を集めてハンドスピナーの様な見た目にして飛ばしたりするが迅は軽々と避ける。
「思ったよりも早くに分断する事が出来たな……」
迅は完全に分断する事に成功したという。
それを聞いてヒュースは怒涛の攻めをみせるのだが迅がスコーピオンで捌き、回避し……地面に穴が空いて地下道に潜り込んでしまう。急にバトルフィールドが変われば動揺の1つでもするのだろうが迅はそういった素振りを一切見せない。ヒュースは迅はあの手この手を仕掛けてくるタイプだと見抜き、早急に倒して雛鳥の回収に向かおうと黒い欠片を見えなくして飛ばすのだが迅はスコーピオンで捌ききる。
「良い腕だ……オレや太刀川さんクラスじゃないと既に10回は死んでる。相性的にも弓場ちゃんに任せなくて正解だった」
間合いを詰めることが難しい相手で、色々な事が出来るトリガーだ。
使い手の腕もいい、使っているトリガーもいい……だからこそ迅には分からなかった。
「お前、なんで見捨てられるんだ?」
「なにを…………貴様、なにを知っている!!」
迅には見えていた。ヒュースが見捨てられる未来が。ヒュースは精神を揺さぶりに来たのかと考えるが1つだけ心当たりがあった。
故に冷静さを欠いてしまいトリガーの機能を使わずに迅に向かって突撃すると迅は目を細めた。
「はい、予測確定」
ヒュースの両サイドから壁が、エスクードが出現してヒュースを挟み込んだ。
迅vsヒュースはヒュースよりも予知を持っている迅の方が心理戦や持久戦がやや上な方だ
「……メガネ君と千佳ちゃんは危ないけど、危ないだけか」
ついさっき顔を合わせていた修達の未来が視えている迅。
とある人物が助っ人に来てくれて修達の危機を救ってくれるという未来が待ち構えていた。そのとある人物は何故かキン肉マンのケビンマスクの仮面を被っていた。ホントにどうしてなのかは分からないが何処かの誰かが修達が危険な目に遭うものの最後まで生き残る、ジョンが守り抜く未来が視えている。修に見えた死ぬ可能性が限りなく0に近付いていっている。
いい傾向だ。
あのジョンが何者なのかは分からないが自分達にとって友好的な
『大変だよ!本部に近界民が襲来してるんだって!!』
一方その頃の修達はルートを変えて直接本部に出向こうとしていた。
道中にも本部に続く入口があるのだがうんともすんとも言わない。どうしてだろうと思っていると玉狛支部のオペレーターこと宇佐美が本部に近界民が襲来してきている事を修達に教える。
「おい、のの大丈夫か!?」
『あたしの事は気にすんじゃねえ!覚悟は出来てんだよ!』
報告を受けた弓場はオペレーターである藤丸ののに通信を取る。
藤丸ののは宇佐美と違って本部のオペレーター、玉狛ではないので本部で後方支援をしている。既に一部の管制室が破壊された等の訃報も伝わっているので心配するが、ののは問題が無いと、本部が襲われたりもする危険な道を歩むのは覚悟の上だと語る。
「大丈夫なんですか!?本部に向かって」
「……迅さんが向かうなとは言っていないから大丈夫だ」
本部に襲撃があったのならば本部に足を踏み入れるのは危険ではないのかと修は考えるが烏丸は迅を信じる。
どの道、本部に避難する事が出来なければ何処にも行くことが出来ない詰みに近い状況である事には変わりはない。
「…………千佳」
「は、はい」
「俺は雨取麟児からお前と修を一回だけでいいから守ってやってくれと頼まれた。だがお前は自らの意思で戦線に立とうとしている……危険は承知か?」
「……危険だって分かってます。ボーダーに入隊する時もお父さんとお母さんに危険だって言われました。でも…………何もしないのは逃げるだけなのはもう嫌なんです!」
「そうか……だったら俺を信じて危険な道を歩んでくれるか?」
「っ、はい!!」
「おい、お
「修、千佳のトリオンを使ってトリオン兵にぶつけろ」
「千佳のトリオンを?」
ジョンは約束を交わした。雨取千佳と三雲修を1回だけでいいから守ってくれと。
だから本心としては危険な目に合わせるわけにはいかないと思っている。しかし原作知識と現在葵が決行中の作戦を考慮すれば千佳を撒き餌にするしか道は無い。
「使って、私のトリオンを」
『トリガー臨時接続』
「っ……アステロイド!!」
千佳のトリオンを修は使った。
千佳のトリオンの為にトリオンキューブは尋常じゃないデカさで出現しては修が威力を重視したアステロイドをラービットにぶつけてラービットの腕の装甲を崩した。
「馬鹿な、ラービットの腕の装甲を貫いただと!?」
アフトクラトルの遠征艇の会議室っぽいところ。
敵側の大将とも言うべきハイレインは驚いていた。ラービットは頑丈だ、特に腕の部分なんかは普通のブレードで斬ることは無理に等しい。仮に出来たとしても黒トリガーレベルだろう。
「ミラ、どうなっている?」
「測定器がエラー反応を出しています……あまりの質、量です」
「おぉ!まさか金の雛鳥が居たというのか!」
遠征艇のあれこれをしているミラに修の撃ったアステロイドのデータを確認する
トリオンの量と質、共に見たことがないものであり撃ち倒されて帰還していたランバネインが目当ての者が見つかったと笑みを浮かべて少しだけ残念そうにする。
「
「ミラ、残りのラービットは幾つだ?」
「7機です……ですがあの青い仮面の男が」
思いがけもしない金の雛鳥を見つける事に成功したが、拐うのが難しい。
基地付近なので精鋭がそれなりに揃っている。それだけでなく、ラービットを容易く倒すことが出来る兵士が居る。故にラービットを送り込んでも倒されるだけだ。
「…………仕方があるまい。思いがけないところに居た金の雛鳥だ、逃すわけにはいかない」
この遠征にはアフトクラトルの未来が掛かっている。
降りるつもりは無かったハイレインはミラの黒トリガーの能力を用いてボーダー基地付近の住居の屋上に出る。
「っ!」
「どうした千佳!」
「新しいのが、新しいのが来る!」
そんなハイレインを一早く察したのは千佳だった。
それを聞いたジョンは釣り竿に引っかかってくれたかと思っているとA級の三馬鹿である出水、米屋、緑川がやって来た。
「よ〜京介、可愛い後輩の為に先輩が助っ人に来てやったぜ」
「出水先輩、ありがとうございます」
「色付きの新型は大体は俺がぶっ壊すからそれ以外を頼む」
「え、ロビンマスク?」
「色合いをよく見てみろよ。ケビンマスクだぜ」
ジョンから指示があると驚く緑川だが米屋が訂正を入れる。
その辺りについては今はどうでもいいので深く追求する事はせず、ジョンが管槍を取り出しては目にも止まらぬ速さでラービットの装甲の中で最も柔らかい目玉を貫く。
「
「誰が槍バカだ、誰が…………近界民か……まぁ、いい」
「米屋ァ、ボサッとしてんじゃねえ!!さっさとC級本部に連れてくぞ!!」
ジョンがラービットを瞬殺してくれるおかげで米屋達がラービット以外に集中する事が出来ている
コレはチャンスだと弓場が3人にC級を引き連れていく様に言ったその時だった、突如として光る魚が飛んできたと思えばC級隊員にぶつかった。
「あぁ!?」
「おいおい、嘘だろ?」
光る魚にぶつかったC級隊員のトリオン体はウニョウニョとうねる。
敵の攻撃を受けてしまったのだと弓場や出水が判断している中でウニョウニョとトリオン体が変わっていた隊員がトリオンキューブ化する。
「コレって、新型の」
『恐らくだが類似しているものだろう』
まだ直接この目で見ていないがトリオン兵をトリオンキューブに変える技術があるのを修は知っている。レプリカはそれに類似していると判断する。
「お
「厄介な相手だけど、対応する事は出来ない速度じゃないよ!!」
触れればアウトな即死ゲーの魚を回避する様に弓場は指示を出す。
緑川はコレぐらいならばとスコーピオンで捌ききる……のだが、スコーピオンがトリオンキューブ化してしまった。
「ありゃりゃ……」
「修、千佳のトリオンを用いてトリオン体を破壊しない威力の低速の弾を撒き散らす事は出来るか?」
「低速の弾を……出来ると思います」
再び修は千佳と手を繋いでトリガーを臨時接続し、千佳のトリオンを使う。
ボーダーの入隊日で風間を倒す為に使った低速で威力の低い弾を撒き散らした経験が今ここで生きるとは思いもしなかった。
「…………烏丸」
「なんすか?」
ハイレインが飛来してくるのが見えた。
上手く千佳を撒き餌に誘いに乗ってくれた。千佳を危険な目に遭わせた罪悪感はあるが、苦しんでいる場合じゃない。
「ラービットの相手は任せていいか?」
ジョンがポンポンとラービットを倒しているので原作よりはラービットの数は少ない方だ。
しかし少ない方なだけあって決して0ではない。ラービットを相手に出来そうな緑川と米屋と出水のA級三馬鹿はハイレインの黒トリガーの能力に苦戦中だ。だからジョンは烏丸に後を任せていいかと尋ねる。
「3分ぐらいなら時間を稼げます」
「そうか…………烏丸」
「なんですか?」
「お前達にとって如何なる事情があろうと俺は
「……?……俺は比較的に近界民に対して友好的ですよ」
「そうか……じゃ、行ってくる」
ジョンがなにを言っているのかは定かではないが自分は近界民に対して友好的な派閥である事は自覚している。
話し合いの通じる近界民も居るのを知っているのでいきなりの発砲はしない。
「
一方の出水はハイレインと対峙していた。
ハイレインがトリオンキューブ化する魚を大量に引き連れているのを見てコイツは危険だと認識し、追尾弾で全ての魚にぶつけようとする。
「良い腕だ、トリオン能力もアフトクラトルで早々に見ないレベル……金の雛鳥が居なければ持ち帰りたいところだ」
「
この出力といい能力と言い黒トリガーは厄介だなと出水は感じる。
今は誘導弾で相殺する事が出来ているが何れは相殺しきれない。手数の方も向こうの方が上手だ
「
だが、策が無いわけでもない。
出水はメテオラを放ち辺り一帯を爆破する。ハイレインは目眩ましかと考えて自身の周りに魚を配備する。
「……どうやらトリオン以外はトリオンキューブ化出来ないらしいな」
生き埋めに出来なかったものの瓦礫の山に沈める事には成功した。
そこでトリオン以外をトリオンキューブ化する事が出来ない事に出水は気付くのだが、蜂型の弾に当たってしまう。
「ああ、その通りだ……中々の戦術眼だがコレで詰みだ」
「クソ……なんちゃって」
出水は緊急脱出をするのだが笑みを浮かびあげていた。
何事かと思っているとボーダーの基地上空から狙撃銃の弾が飛んできた。
「おいおい、アレを当てるとか変態過ぎるだろう、うちの
出水がメテオラを放ったのは時間稼ぎでなく狙撃できる射線を作ることだ。
米屋は大量の魚が居るのにその網を掻い潜って撃ち抜く自身の部隊の狙撃手の奈良坂に驚くがコレならばと思っている。
「射線を通すための爆撃か。狙撃手の位置は?」
「割出しています。ラービットを送り込みます」
ハイレインは焦る事をしない。
ミラに冷静に状況確認をした後に待ち構えている奈良坂達の元にラービットを派遣する。
「ワープ出来るのはお前だけじゃねえんだよ!!」
このままでは倒されるのだが当真達はワープしてラービットから退避する。
空中に浮かんでいるミラに向かって狙撃するのだが撃った弾がそっくりそのまま返ってくる。
「お前等はC級を優先しろ!!既に一発腹にどデカいのを受けている。時間を稼げば」
「トリオン漏れでトリオン体が損傷すると?あまいな」
ハイレインは近くに落ちているトリオンキューブからトリオンを回収してトリオン体を修復する。
ジョンは驚かない。ハイレインの黒トリガーにはその能力が備わっているのを知っているから。コレでいいとジョンは判断する。
「この局面、この盤面、ノーコンテニューでクリアしてみるぜ」
嘘である。
感想お待ちしております
今後の展開
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そろそろ原作にいけ
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もう少しオリジナルをやれ。