近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第57話

 

「オサム、チカ、それにナツメも大丈夫か?」

 

「おチビ先輩!!」

 

 ハイレインが帰還すると決断したその頃だ。

 遊真は全速力で修達の元に向かって走っていった。修達が無事かどうかの確認をすると黒トリガーの遊真を見るのははじめてな夏目は驚いていた。

 

「大丈夫、なのか?」

 

 遊真は如何にも強そうな老人を相手にしていた。

 その老人を無視してここに来ても大丈夫なのかと修は疑問に思うのだが大丈夫だと伝える。

 

『トリオンキューブ化させる黒トリガー使いを撃退、国宝である星の杖(オルガノン)も撃退、門を開く能力を持った黒トリガー使いもあの傷ではもって数分程度だ…………この過剰な戦力からして追撃のトリオン兵は用意されていない。この防衛戦、我々の勝利だ』

 

「勝った……のか?」

 

「ああ、勝ったぞ」

 

 レプリカから勝ちを告げられたがイマイチ実感が湧かない修。

 遊真が勝ったことを伝えると夏目や千佳はホッとする。本当は怖くて怖くて仕方がないのだがなんとか乗り切る事に成功した。

 

『キド司令、敵のトリガー使いを複数撃破してトリオン反応が消失した……我々の勝利だ』

 

「勝利、か……………」

 

 街はボロボロで隊員達も拉致られたりしている。

 状況の確認だと太刀川や東などの実力のある年長者に連絡を取ってみるがC級隊員と現場にいる数が合わないと言っている。C級の拉致を阻止する事に失敗してしまった。果たしてこれを勝利と呼ぶべきものなのかと城戸は考えるが今は先ず、戦いが終わった事を告げろと警報音を街中に響かせる。

 

「お……終わったぁああ!!」

 

「?」

 

「いや〜危なかった。ホントに危なかった」

 

 危うくレプリカが連れ去られる、修が死ぬ、千佳が拉致られる未来が待ち構えていたがその未来を回避する事が出来たのだと迅は大きくガッツポーズを取る。

 

「守りきったぞこの街を……お前の負けだ」

 

「なにを言っている?」

 

「船に通信を取ってみろよ。お前は置いてかれてるぞ」

 

 まだまだ戦うつもりであるヒュースだったが迅に誘導される。

 雛鳥達の確保等はどうなっているかの状況確認の為の通信を取ってみるのだがヒュースは一切連絡がつかなかった。

 

「なんでかは知らないけどお前はこっちに残ってた方がいい……オレのサイドエフェクトがそう言っている」

 

 迅がカッコよくそう言うと1台の車が止まった。

 

「おぅおぅ、また随分と派手に暴れたな」

 

 車の運転手は迅の所属する玉狛支部の支部長である林藤だった。

 林藤はヒュースとの戦いで生まれた瓦礫などの残骸を見て過酷な戦いを切り抜けたんだなと感心する。

 

「まだ終わってないよ」

 

 しかし迅はまだ気は抜けない。

 ハイレイン達アフトクラトル勢を退ける事に成功したのであって謎の男ことジョンについてはなにも分かっていない。

 

『色々と言いたいことがあるからジンを出せと言っている……ジョンの使っているトリガーには緊急脱出(ベイルアウト)機能のようなものが搭載されている。無理に倒そうとすれば逃げられるだけだ』

 

「はいはいっと……支部長(ボス)、ここを頼んでもいい?」

 

「ああ、任せろ」

 

 迅は急いでジョンの元に向かい、ちびレプリカは更にちびレプリカを作り上げる。

 

『リンドウ支部長、色々と聞きたいことがある。早急な案件だ』

 

「答えられるなら答えるけど……ジョンって近界民(ネイバー)の事か?」

 

『ああ……ジョンとの出会いは約9年前に遡る。まだユーゴが生きていた頃の話だ……イアドリフという乱星国家に入った私達でそこでジョン達と出会い……ユーゴが酷く気にかけていた。アリステラ、ディクシア、メソンという国が資源も豊かなとある国に繋がっていると。どうにかして上手く行くことが出来ないかと色々と模索していたが無理だった。イアドリフから離れてからもユーゴは時折ジョン達の事を思い返していた』

 

「……そのジョンって何者なんだ?」

 

『約8年前のアリステラ、新選組というワードがシノダ本部長に引っかかった。なにか心当たりはないだろうか?』

 

「8年前のアリステラ…………まさか、アイツなのか!?」

 

 ジョンについて思い当たる節がある素振りを見せる林藤……既に色々と手遅れである。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

『繰り返す!青い仮面のトリガー使いには絶対に手をあげるな!!』

 

「手厚い歓迎だな……」

 

「お()ェ、何者なんだ」

 

 ちびレプリカを経由して忍田本部長が俺に手を出す事を禁じた。

 なんともまぁ、手厚い歓迎だと思っていると弓場が現れた。何時でも引き金を引くことが出来る警戒心を剥き出しにしつつも、俺について尋ねてくる。

 

「答え合わせをしたいのならば迅を出せ……」

 

「迅の奴、またなんか裏で暗躍してやがったか……」

 

「いや、コレは無関係だ……ただ俺にも色々と込み入った事情がある……だからまずはすまなかったと謝らせてくれ」

 

「謝る、だと?街をこんな風に滅茶苦茶にしてカタギに手を出しておいて今更どの面下げて謝るってんだ!!」

 

 おい、カタギとか普通は使わない業界用語を使うんじゃねえ。それっぽく見えるだろうが……いや、元からか。

 

「今回襲撃してきた国はアフトクラトルでイアドリフとは無関係、向こうの世界もこちらの世界みたいに色々と国があるんだ……俺が謝ってるのはその一件じゃない。メイルバーに使えそうな駒を探してこいって指示して無理矢理ここに連れて来られた。お前が担当する現場から離した事について謝罪している。無論、担当のオペレーターにもだ」

 

「……どの道、B級は部隊(メンツ)が揃うまで動くなって命令が出ている。お()ェが気にすることじゃねえ」

 

「そうか…………」

 

「っ、近界民!!」

 

「三輪ァ、手を出すんじゃねえ!!上の指示に従え!!」

 

 一先ずはと謝罪を入れる。

 弓場隊が動いている描写は原作には無かったが弓場はかなりの猛者である。闘志がワイルド・ビル・ヒコックだ。伊達にボーダーNo.2銃手(ガンナー)じゃないと思っていると風刃を携えた三輪がやってきては俺を斬り殺そうとするので弓場は止めに入るが間に合わずに俺を切り裂いた。

 

「残りライフ75」

 

「復活しただと!?」

 

「話を聞け、上の指示には従え馬鹿野郎…………俺のトリガーには緊急脱出機能が搭載されている。この場で俺を倒せば俺は日本の何処かに飛ばされる」

 

「っ……」

 

『おそらくは本当だろう。イアドリフでは既に緊急脱出機能が標準装備されている』

 

 嘘であるが遊真が居ない以上は使っておいて損は無い。

 ちびレプリカが補足すれば三輪は鋭い眼光で俺を睨んでくるのだが攻撃してこなくなった。が、余計な素振りを見せたのならば何時でも斬り殺すと鬼の様な視線を向けている。

 

「ただの人型ってわけじゃなさそうだな」

 

「俺は今襲ってきている国とは異なる国からやって来た。まぁ、お前達からすれば近界民(ネイバー)みたいなものだろう」

 

「なにが目的だ?」

 

「いやんごさん、浦賀に来航を再現する」

 

「ふざけるな!!なにが目的だ、正直に言え!!」

 

 嘘は言っていないのに激情に駆られて冷静さを欠いている三輪。そんな三輪を弓場は止める。

 

「やれやれ現役の学生がコレに反応しないとは……まぁいい。迅は後どれくらいで来る?」

 

『少しだけ現場の確認をするから迂回しつつこちらに向かってくる』

 

「そうか……そうだな……」

 

 迅が来るまでには数分が掛かると計算していた方がいいな。

 急に出来た予想外の時間、どうやって切り抜けようかと考える。

 

「弓場、そして弓場をオペするオペレーター。お前達はもう当事者だから最初から無かったって事には出来ない…………迅が来るまで歌っていいか?」

 

「……余計な真似をするんじゃねえぞ」

 

 何時でも脳天をぶち撒ける事は出来ると忠告する弓場。

 そんなつもりは一切無い……歌は、そうだな……

 

「誰も僕のことなんて 理解なんてしてくれないだろう

 

 

 簡単に理解される ほど僕だって浅はかじゃない

 

 敷かれたレールは外れ 邪魔な標的(ターゲット)次々消して

 

 完璧な自由だけを 求めてた

 

 奪うのも 与えるのも 僕が決める。

 

 それこそが権力(つよさ)なんだろう?

 

 ならば 迷わずに突き進むだけ

 

 戻らないPast the Point Of No Return

 

 もう誰も 必要としない世界の真ん中に立つ 力を手に入れるためなら善と悪の境界線 さえも越えて

 

 戻れない Past the Point Of No Return誰にも 赦されなくてもたった1人君がいれば 君が振り向いてくれるんなら生と死との境界線 今すぐ越えてみせる

 

 皆が幸せならば 自分が犠牲になってもいいそんな綺麗事なんて 結局弱者の自己満足

 

 戦って勝てる強さ 権力で制圧する強さ 僕だけが持てるはずの Double Standard

 

 希望とか 脆いものを 信じるとか…愚かだと気付かないから 僕が 別の正義を見せたかった

 

 戻らないPast the Point Of No Return どこにも 帰る場所はない 裏切りはまた裏切り 誘うだけの罠と知った後

 確かさと不確かさが 曖昧になる戻れない Past the Point Of No Return もう後に 引けはしないと

 わかっていたつもりでも 取り戻したいものばっかりで 過去と今の境界線 彷徨い続けている

 

 奪うのも 与えるのも 僕が決める。それこそが権力(つよさ)なんだろう?

 ならば 迷わずに突き進むだけさ I miss You戻らないPast the Point Of No Return

 もう誰も 必要としない 世界の真ん中に立つ 力を手に入れるためなら

 善と悪の境界線 さえも越えて 戻れない Past the Point Of No Return

 もう後に 引けはしないとわかっていたつもりでも 取り戻したいものばっかりで

 過去と今の境界線 彷徨い続けている……独りぼっちで」

 

 今の心情を現すならばこの歌だろうか?

 

「向こうの世界の歌か?」

 

 こっちの世界の歌だが聞いたことが無い歌なので弓場は聞いてくる。

 

「迅が辿り着くまでどれくらいだ?」

 

「はいはい、どうもどうも!迅悠一、参戦です!!」

 

「迅!」

 

 来たか……やっと来たか……さて、問題はここからだ。ここからどれだけ迅を出し抜く事が出来るかが重要だ。

 

「ケビンマスク、じゃなかった。ジョンでいいんだよな?大丈夫、オレは近界民(ネイバー)にもいい奴が居るってのは知ってるし向こうの世界にも何度か遠征した事がある。悪いようにはしない……忍田さんも手を出すなって言ってるし」

 

「…………ここに居る連中と弓場をオペしているオペレーターは当事者だ。……レプリカ、後で修達に説明するのめんどうだから通信を繋げろ。そして一字一句聞き逃すな」

 

「お、なにか教えてくれるのか?」

 

「……きぃ〜みぃ〜がぁ〜よぉ、はぁ。千代にい、やーちよーに、さざれ石の、厳となりで、こーけーの、むすぅう、まあでぇ……」

 

「……なんで君が代?」

 

 俺の口から出たのは向こうの世界に関する情報ではない。

 この国の国歌、君が代を歌った。迅はどうして君が代を歌ったのかどうか疑問を持つのだが、それよりも弓場が反応を示す。

 

「テメエ、なんで君が代を知ってやがる!!」

 

 それは誰もが知っている歌だが俺は本来知っているのはおかしいことだと気付く。

 

「そうだな……俺の口から語るのは簡単だが、先ずはお前の見解を……いや、忍田本部長さんの口から出会いを語ってくれ。今は後処理だけで細かな指示は城戸司令でも出来るはずだ」

 

「忍田さん、忍田さんが指示出さなくても大丈夫っぽい」

 

 迅から問題が無いと太鼓判を押された。

 ここまで来た以上は最初から無かった事には出来ない。オペレーターの藤丸ののを含めて通話が出来るようにしておく。

 

『……今から約8年前、まだボーダーが表に出る前の旧ボーダーとして活動していた頃の話だ。その頃は迅や小南がまだ所属しておらず、私達は向こうの世界のアリステラという国に居た。私はアリステラの防衛戦に立っていて、1人の少年兵に出会った』

 

「それがこいつなのか?」

 

『当時の私は今のボーダーで言うところのマスタークラスの力量を持っていたが私は少年兵に破れた……少年兵は私の命を奪わなかった』

 

「だから俺達に見逃せと言うんですか!!」

 

『違う!!……私はその時、激しく動揺していた。その隙を突かれて破れた…………その少年兵が新選組の格好をしていたんだ』

 

「新選組……新選組って言うとあの新選組ですか?」

 

 京都で活躍したであろう新選組を思い浮かべる迅。

 

「まさか…………」

 

『その少年兵が持っていた剣は刀に酷似していた』

 

 ある事が脳裏に過る弓場、迅は真剣な顔で俺を見ており、三輪は俺の腰に帯刀してある日本刀の見た目に改造してある【カゲロウ】に視線が向いた。

 

『酷く動揺していた私は少年兵に問い掛けたが帰ってきた言葉はアリステラの農地に塩水をバラまいて塩害を起こすという言葉だけだった……君はあの時の少年兵なのか?』

 

「…………レプリカ、お前も色々と調べていたんだろう。情報を開示するタイミングは今しか無いぞ?」

 

『…………彼の名前はジョン・万次郎、偽名だ』

 

「偽名ってホントの名前は知らねえのか?」

 

『ホントの名を知るものはもう居ない……何度かジョンの本名を尋ねたが教えようとはしなかった。そしてジョンはジョン・万次郎を文明の利器を用いて調べてみろと言っていた。私はジョン・万次郎について独自に調べてみた』

 

 こっちの世界に来て直ぐにネットカフェに向かった。

 ネットカフェで色々と情報収集をしている横でレプリカも調べていた。ジョン・万次郎について。

 

『ジョン・万次郎という人間はこちらの世界で過去に実在していた人間の名前だ』

 

「ああ、中浜万次郎の事だ」

 

「中浜万次郎?」

 

 誰だそれと言いたげな顔をしている迅……まぁ、歴史の授業ではそこまで深くは関与してこないから仕方がないか。

 

『中浜万次郎とは1827年、今から凡そ約200年前の人間で翻訳や教育携わる仕事をしておりジョン・万次郎の本名だ…………ジョン・万次郎がどうしてジョン・万次郎と呼ばれる所以は諸説あったがコレだけは確かだ。ジョン・万次郎という人間はこのニホンからアメリカという国に紆余曲折あり漂流した日本人だ』

 

「っ……まさか、まさかお()ェは!!」

 

『ジョンはこの国の文字や文化を不自然な程に知り尽くしていた……本人の口からそうだと聞かない限りは決めつけてはならないと線引をしていたが今こそ問おう。ジョン……君はコチラの世界の、このニホンの人間なのだろう?向こうの世界に漂流した日本人だからジョン・万次郎と名乗っているのだろう?』

 

 空気が一瞬、固まった。凍りついた。

 レプリカの情報や忍田本部長から提示された情報からでは聞き出し辛い難しい情報もあったがレプリカは爆弾をぶち込む。

 

「そんなわけが……そんなわけがあるか!!」

 

『ならば何故さっき君が代という歌を歌うことが出来た?』

 

「それはっ……それはっ……」

 

 三輪は俺の事を近界民(ネイバー)だと認識していた。しかしその事実をたった今、引っくり返されてしまった。

 目の前に居るのは殺したいほど憎い近界民だ。だから自分は使いたくなかった風刃を使って近界民を撃退しようとしている。

 

 

 三輪は姉を第一次の侵攻で亡くしている。姉を近界民に殺されており、近界民に対して激しい憎悪を抱いている。

 

 

 人という資源を求めての侵略行為を受けた結果で姉が死んでおり、戦争だからと割り切る事は出来ないだろう。

 そしてそれに類似した人達の多くがボーダーに所属している。近界民に対する怒りは正当なものだ。八つ当たり気味なのも若干居るが間違っているとは言えない。

 

「…………お前達の見解で合っている。俺はこっちの世界の人間、日本人だ……証拠に47都道府県でも言おうか?北海道地方、北海道。東北地方、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島。関東地方、東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川。中部地方、新潟、富山、石川、福井、山梨長野、岐阜、静岡、愛知。近畿地方、三重、滋賀、京都、大阪、奈良、兵庫、和歌山…………まだ聞きたいか?」

 

「もういい…………お前は本物のっ……」

 

 震える弓場だが俺は気にしない。

 

『本名を教えてくれ。戸籍を確認したい』

 

「悪いがそれは出来ないことだ……10年……ここに来るまで10年も時間が掛かった。こんな人間にあの名前は合わない……それに俺にはやらなきゃいけない事がある」

 

「やらなきゃいけない事……もし力になれるんだったら言ってくれ……いや、素顔を見せてくれないか?」

 

「人殺しの近界民(ネイバー)もどきの顔なんざ見たくないだろ」

 

「っ…………頼む」

 

「………なら幾つか正直に質問に答えろ。そうすれば素顔を見せる……ああ、レプリカ、顔を見れる様に映像を送れるようにしてくれ」

 

『心得た』

 

 俺がケビンマスクの仮面を付けている1番の理由は迅に顔を知られない為だ。

 迅に顔を知られれば詰んでしまう。入念に考えに考えた作戦が失敗に終わってしまう。

 

「……アフトクラトル側からの侵攻は来ないか?」

 

「向こうは完全に撤退した。残っている戦力も時期に片が付く」

 

「この大規模な侵攻は秘匿出来る物じゃない……後は頼れる大人に任せるつもりか?」

 

「ああ、オレの仕事は極力最善の未来に導く事だ。千佳ちゃんが拐われる未来も存在していた。メガネ君が死んでしまう未来も存在していた。木虎達A級や諏訪さん達B級が拐われる未来も存在していた……お前が居てくれたおかげで上から2,3番目ぐらいの未来に辿り着いた。後はコレを根付さん達に託して上手く処理してもらうつもりだよ」

 

「…………俺がこっちの世界に来た目的はいやんごさん浦賀に来航だ」

 

「それどういう意味なんだ?業界用語じゃないっぽいし……」

 

「言い方を変えよう。イヤでござんすペリーさんだ。お前去年まで学生だったんだろ、コレでわかるだろ」

 

「ペリー、来航、浦賀…………黒船に乗って日米和親条約結びに来た1853年の事か!?」

 

 ここで頭のいい弓場は答えに辿り着く。

 俺の目的はペリー来航を再現する事……無論、麟児から千佳や修を守ってくれと頼まれたから手伝いに来たというのもある。

 

 迅には未来視の予知がある。見たことが無い人には見たことがない人と接触する程度の未来しか視えない。

 だから普通にペリー来航を再現すればボーダーの介入は免れない。だが俺は知っている。迅悠一が他や視えない部分を気にしている場合じゃない時間が、ヒュースの足止めをしている間の極僅かな時間は他を気にしている場合じゃない。

 

 迅は常にトロッコ問題に挑んでいる。

 誰を選んで誰を選ばないのか、誰を救って誰を犠牲にするのか一歩間違えれば心が壊れて狂ってしまう問題に常に挑んでいる。そして迅は集中した。雨取千佳や三雲修達を助ける為になんとしてでもヒュースの足止めをしておかないといけない事を。ヒュースの出方や、三雲修達の動きから平穏な未来がやってきているのか必死だった。

 

「さっきまでボーダーは危機的な状況になっていた。1秒でも1手でも間違えれば一般市民にすら被害が及ぶ危険な状況だ。そしてそれを抜け出す為に、あらゆる手を模索したりして今に繋がる……1回だ、1回だけでいい。初見殺しで構わない…………俺はお前を出し抜く事に成功した」

 

「なにを……言ってるんだ……」

 

 迅には視えない。俺を経由した未来が。まだ俺の顔を見る事が出来ていないから。

 

 迅には視えている。この後、根付達が記者会見等を行う未来が薄らぼんやりと見えているのを。

 今回の騒動は最初から無かった事にする事は出来ない件で、記者会見をするのは当然でその辺りの対応は大人に任せると決めていると。

 

 ボーダーは今も必死だ。

 トリオン兵を撃ち倒すのに、一般市民を安全なところに避難させるのに……だからスマホなんかYouTuberをはじめとする動画投稿サイトを見ている場合じゃない。

 

「俺はとある人物に1度だけでいいから雨取千佳と三雲修を助けてくれと頼まれた……だが、俺には真の目的がある」

 

 俺はゆっくりとだが仮面を外した。

 

「……っ!?」

 

「無駄だ!雨取千佳が当真勇並の技量を持ち弾丸1つに全てを注ぎ込んでもここからは攻撃出来ない。黒トリガーの風刃の射程範囲も頑張って数百メートル、大袈裟に見ても1kmが限界だ……………俺の真の目的、それはお前の足止めだ、迅悠一!!未来を予知するお前を足止めする事だ!お前の足止めに成功すれば、15分以上も時間を稼ぐ事に成功している。唯一の懸念である片桐隊と草壁隊もそこには居ない…………詰みの一手(チェックメイト)だ」

 

 俺の素顔を見て迅は未来を視た。

 俺がやってはいけない事を、越えてはならない線を越えようとしている事を、ボーダーが積み上げた物を崩壊させるボーダーにとって不利益になる事をしようとしているのを。

 

「俺の勝ちだ、迅」

 

 俺は迅を出し抜く事に成功した。




迅を出し抜くのが割と冗談抜きで難しかったが、コレで許してちょ。

Q 向こうの世界と和平的なのを結びたいです。どうすればいいですか?

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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