近界プルルン奮闘記   作:ドドドドド黒龍剣

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第69話

「コラァ、じん!なにをしてるんだ!あんな青い仮面の男なんてケチョンケチョンにしてやれ!」

 

「……この子供は?」

 

「あ〜……ボーダー関係者だ」

 

「重役の子息と考えていればいいのか?」

 

「ま、そんなもんだな」

 

 ジンとジョンの真剣勝負が始まった。

 訓練室を後にした私達は訓練室での出来事がハッキリと見れる様にリビングで戦いを見ている。

 何故かは分からないがよく分からない生き物に乗った5歳児が居たのでリンドウに聞いてみれば重役の子息と判明した。

 

『トリオン供給器官破損、トリオン体活動限界』

 

 ジンとジョンの真剣勝負を見守る。

 ジョンは今からボーダー隊員達に色々と指導しないといけないが、そもそもでジョンを信頼してもいいものなのか?と言う疑問を打ち払うべくボーダー最強の男であるジンに挑み……今のところは2連勝している。

 

 ジョンは青い仮面を付けたまま動いている。

 別に視界が塞がれると言った事は無いが……む……そうだな……。

 

「空閑……ジョンさんは強いのか?」

 

「強いよ……使っているトリガーもボーダーのトリガーに似てるトリガーで、トリガーの性能がいいから勝ってるんじゃない。ただ純粋にジョンさんが強いから勝ってる……っぽいけども……」

 

 ボーダーでは名は知らない程の猛者であるジンを倒しているジョンを見てメガネの男、確かオサムだったな。

 オサムはユーマにジョンの強さに尋ねる。トリガーの性能でジンを上回ってるんじゃない、純粋な実力でジンを上回っている。

 

『これはヤバいな……』

 

『こう言ってはなんだが最初の1本を取られた時点でお前は負けみたいなものだぞ』

 

 訓練室の音声を拾う。

 ジンは表情を変えており余裕というものが感じられない。対するジョンは恐ろしいまでに静かになっている……心を無にする無想と言う技を使っている。よく分からない修行を何度か行っているのを見たことがあるが、コレが一概に静かさを生み出すのならば無駄な修行では無かっただろう。

 

『コレはeスポーツじゃなくて戦争だ……ゲームや部活動の感覚の真剣勝負でやってるんじゃないだろうな?』

 

『マジでやってる…………っちょ』

 

『トリオン体損傷』

 

「なにやってるのよ、迅は!」

 

「……何時もの余裕が無いな」

 

 3本目もジョンの勝利に終わった。

 コレでジョンの勝ち越し、残り2戦負けたとしてもジョンが3勝したので負けることは無い。

 コナミはやられたジンを見て騒ぐのだがレイジがジンの異変に気付いている。

 

「コレがジンのデータで間違いは無いか?」

 

「ああ、迅のデータだ」

 

 ボーダーとイアドリフの間での合同演習を行う。

 ジョンの勝手な行動に近いものの、万が一なども無いわけではない。私もほんの少しばかり力を貸しておいた方がいいと判断したのでジンのデータが書かれた紙をリンドウから受け取る。

 

 ボーダーが定めているパラメータは攻撃、防御・支援、技術、機動力、射程、指揮、特殊戦術、トリオンの合計8つ。

 1から10段階で分けられており、各隊にジンのトリガー構成やジンのパラメータやサイドエフェクト等のボーダー内でも公開しても問題無いデータが記された紙を配る。

 

「お前達はこれから強くなる……ならばどうやってジンを倒す?ジンと言う男はボーダーでも上から数えて直ぐの実力者と聞く……奴を倒すことが出来るようになればある一定の実力者は容易く倒すことが出来るだろう。ある意味、奴は越えなければならない壁の1つだ」

 

 此処に居る面々は上に上がろうとしている面々だ。

 ならば何処かでジンとぶつかる可能性がある。ジンが向こうの世界基準でも超一流の戦士である事は分かる。

 オン・オフのスイッチが無いとは言え強力なサイドエフェクトを有しており、更には本人がそんなものに依存しなくてもある一定のレベルの力量を有している。そんな迅をどうするべきか?

 

 既にジンは負け越したのでジョンの威厳もコレで保つことは出来ているだろう。ならば課題を与えてみる。

 どうやってあの男から確実な勝利を持ち込むのか。

 

「なんでもいい、浮かんだ案をとにかく出してみろ」

 

 アレはああだからダメだなんだと言う時間ではない、今は発想力を求める時間だ。

 配られたデータと自分のデータを照らし合わせる。ジンと言う1つの壁をどうやって倒すのかを検討してもらう。

 

「迅さんを……流石に迅さん相手に1人で挑んで勝つのは難しいから、奥寺と組んで倒すのを重視にするんじゃなくて最終的に東さんに仕留めてもらう感じで」

 

 コアライは1つの部隊(チーム)でジンを倒すと言う。

 

「なにも今すぐに倒せと言っているわけじゃない。お前達にも将来的にこうなりたいという理想の1つや2つある筈だ……その完成した理想の自分でジンに挑むのも手だ……お前達はまだ未熟なんだ、それを忘れるな」

 

「ん〜……迅を倒すって言ってもな。予知があるわけだし初見殺し系とか何かしらの対策をしないといけない必殺技持ちの奴でも『それは見た』の一言で対処されちまう……」

 

「太刀川さん、迅を倒す時にこうしようとか意識してねえんすか?」

 

「してないな。ここを攻めればいいとか考えるよりも隙間があれば無理矢理抉じ開けるって考えて戦ってる」

 

 ジンの倒し方をこの中で最も知っているらしいタチカワはジンの予知があるからと色々と考えても無駄なのを知っている。

 ユバがタチカワに意識するよりも、考えて動くよりも感じて動いた方が効率が良いことを語るとアズマが口を開く。

 

「そうだな。迅は何をしてくるか分かっている……不意討ちや奇襲は難しい。当てるところまでに、回避も対処も不可能な詰みの一手に持ち込めば狙撃で落とす事は出来るがそこまで持っていく事が出来るかどうかが鬼門になる……自分が撃たれる未来も見えるからな、あいつは」

 

 遠回しにコアライが考えた作戦が難しいとアズマは言う。

 実際のところそうだろう。狙撃が来ると分かっている、狙撃を当てる為の連携を取ってきていると分かりさえすれば対策の1つや2つ容易に浮かぶものだ。

 

柿崎隊(うち)の場合は狙撃手が居ないので……隊の方針通り纏めて動く……いえ、3方向から攻めれば」

 

「いや、それでも対処されちまう。あいつにはエスクードがあるから無理矢理分断されるし射線を封じられる」

 

 テルヤは自分の隊で叩く事を考えるが、カキザキがそれでも迅の方が上手だとする。

 迅には地面から壁を生やすエスクードと言うトリガーを持っている。予知で相手の位置を把握する事が出来れば射線等をエスクードで防いで連携を取らせない様にする事は容易だろう。

 

「じゃあ……どうやって倒せばいいのかしら?」

 

「迅さんは太刀川さんと同じぐらいに強くてボーダーで数少ない1人で1部隊を任せれる隊員…………私がマスタークラスどころか10000越えの攻撃手になっても倒せるイメージが無いわ」

 

 ナスとクマガイもジンをどうやって倒せばいいのか分からないと悩んでいる。

 それだけジンと言う男の実力がボーダー全体で見ても頭が幾つか抜き出ているという証拠か。

 

「ジンを倒すには幾つかの手立てはある……あくまでも個人的な見解だから参考にするまでで答えだと認識するな」

 

 全員がああだこうだと色々と意見を出し合う事に成功したので次の段階に移る。

 この頃にはジョンはジンから4本目を奪うことに成功しており、残すところは1本となった。

 

「先ず純粋にジンの実力を上回る……タチカワやコナミがそれをする事が出来ているだろう。ボーダー随一の防御の名手の防御を撃ち破る技量を持っていればいいが1番難しいだろう」

 

 そもそもでそれが可能ならば、今こうして此処に集まってもらっていない。

 ジンの実力を上回る、それこそ予知を持ってしても倒すことが出来ないであろうレベルにまで強くなる……脳筋に近いやり方だ。

 

「次に連携、数の利で勝負する……不意討ちや奇襲は効きが薄いが決して効かないというわけではない、回避や対処されるの前提の不意討ちをする。数の利を得ることで相手に1度に沢山の事を考えさせないといけない。奴は予知のサイドエフェクトを持っているが頭で全て並行処理する事が出来るサイドエフェクトは持っていない。2,3人どころか10人ぐらいで即席じゃない熟練の連携でそこに誰かが倒される前提の自爆特攻で挑めばチャンスはある」

 

「10人って……そんなに必要なのか?」

 

「あくまでも個人的な意見、確実に潰す為の場合だ」

 

 圧倒的な数の利で挑むことに対して色々と思うことがあるのかフジマルが呟く。

 ジンの予知がどうなっているかは知らないが、確実に倒すならば熟練の連携が出来る10名ぐらいの部隊をぶつけるのが手っ取り早い。

 

「次にトリガーの性能で上回る……要するに圧倒的なまでの火力で攻める。数の利すらも意味が無い圧倒的、回避不可能防御不可能、そもそもでそれを使わせないが為に行動する様な一撃を用意する。と言ってもボーダーのトリガーは継戦重視で量産もしやすい様に作り上げているから一品物の自分に合ったトリオン効率度外視のトリガーは難しいだろう」

 

「とりまるのガイストとかレイジさんの全武装(フルアームズ)なら……まぁ、いけなくもないわね」

 

「次に単純に相性の良いトリガーでぶつかる……ジンは攻撃手(アタッカー)という近距離戦の名手だが、中距離以上の攻撃を主とし自身よりも機動力に特化した相手ならばおそらく勝てる」

 

 如何に強いグーと言えどもパーには絶対に勝つことは出来ない。

 戦いも純粋な技量等もあるが相性と言うものもある。戦闘向きのサイドエフェクトでグーとは言い難いグーでパーにたまには勝てる可能性を秘めていたりするだろうが、それでも基本的にはパーとの相性は最悪だ。

 

「予知のサイドエフェクトが具体的にはどうなっているかは知らないが対処しきれない手数で攻めるか詰みの一手まで戦局を運ぶかのどちらかで倒すのが1番倒しやすいやり方……と言ってもジン自身が予知を除いても強く賢いので容易ではないだろう」

 

 あれやこれやを考察した後に一同はモニターを見る。

 ジョンとジンの5本勝負、既に勝敗は決まったが最後の1本が残っているので互いに油断はしない。ジンは一矢報いる為に、ジョンは自分の信頼と信用を勝ち取る為に最後まで気が抜けない。

 

【カゲロウ】で切り込むジョンをジンはスコーピオン二刀流で対応する。

 コレはダメだと防御を切り崩すのが難しいと判断したのかジョンは管の付いた槍を取り出しては【カゲロウ】を鞘に納めてジンに向かって煙玉を投げた。煙はジンを中心に包んでいき、ジョンは管の付いた槍を投げると槍はジンに向かって飛んでいく。

 

 煙の中なので上手く見ることは出来ないが、ジョンは突如として消え去る。

 カゲロウを構えることなく一瞬で抜き去ったが……ジンはエスクードで槍を防いで、槍を経由してテレポートしたジョンの【カゲロウ】をスコーピオンで防いだ。

 

「二段構えのあの技を防ぐのか!?」

 

 あの技を初見で防いだ事を姫は驚く

 

「どういう意味ですか?」

 

「あの技は先ずトリオン認識と視界を阻害する煙玉で相手を囲う。オペレーターが煙の中を見える様に支援して、煙の中に居る相手に向かって管槍を投げる。管槍を中心に半径5mまでテレポートする事が可能で、槍が刺さらない当たらなくても避けたり防いだりしても視界不良の中で即座にテレポートして剣で切り込む……防御しても回避しても問題二段構えの技で……多くのトリガー使いを葬ってきた技だ」

 

 オサムの問い掛けに姫は答える。

 ジョンの使っている技の仕組みはシンプルだが防ぐのがあまりにも難しい、初見でもそうでなくても防ぐことが難しい必殺技の領域にまで高められている技で……確か卑劣切りと呼んでいたか。

 

「どうやら鈍っていないようだな」

 

 この玄界(ミデン)、いや、日本と言う国にやってきてからは戦闘はほぼしていない。

 アフトクラトルの侵攻の際に情報提供者と交わした約束を果たす為にジョンは戦ったが、それだけだ。約2ヶ月もの間、戦闘をしていなかった。何処か鈍っているかという心配はあったのだが何処も鈍っていない。何時も通りの戦闘を行う事が……いや、少し違うか。

 

「ジョンがどうしてここまでジンに優勢に立てているか分かるか?」

 

 ジョンの動きが普段よりも違う事に気付いているのでボーダー隊員達に聞いてみる。

 この質問の答え次第でボーダーの強さが分かる。ただ単純にジョンがジンよりも強かったの一言で済ませるのならば、組織の人材の底が見えてしまう。

 

「…………動きに無駄と迷いが無いな」

 

 純粋にジンよりも強いと答えるかと思ったがタチカワがジョンの動きについて気付く。

 今のジョンの動きには無駄や迷いがない。重心のフェイク等を入れてもジンの予知を相手には無駄だと判断しているので余計な小細工を極力使わないようにしている。

 

「ジンは多分だけど、困惑してるのよ……自分のサイドエフェクトが通じない相手に」

 

 何をしているのか知っているルルベットは口を開いた。

 

「自分のサイドエフェクトが通じないって、サイドエフェクトが効かないサイドエフェクトを持ってるんじゃないんでしょ?」

 

 サイドエフェクトが通じないことにコナミは疑問を持つ。

 

「ジョンのサイドエフェクトは他人の強さや性質が動物なんかに見えるサイドエフェクトだ……サイドエフェクトが効かないサイドエフェクトを持っているのはアオイだ」

 

 そしてアオイはこの場に参戦していない。オペレーターとしてジョンの後方支援をしている。

 アオイのサイドエフェクトが効かないサイドエフェクトがジンに対してどの様な効果を発揮しているかは不明だが、少なくとも今戦っているのは葵ではなくジョンだ。ある程度はサイドエフェクトが発動している。現に二段構えの卑劣切りを初見で完璧に防ぎ切った。

 

「迅のサイドエフェクトを逆手に取る?…………可能なのか?」

 

「私達はジンが未来を視るサイドエフェクトを持っているぐらいしか認識していない……おそらくだが迅には確定した未来とそうでない未来が枝分かれの様に複数見えている筈だ」

 

「その認識で間違いはないですよ」

 

 アズマがジンのサイドエフェクトを逆手に取る事が出来るのか?と疑問を持つ。

 ここからは私達の主観、ジンは未来を視えるが確実に辿り着く未来が視えるのではないと考察するとカラスマはそれで合っているという。

 

「確実に辿り着く未来を見れればあの技は効かないだろうが、幾つも枝分かれしている未来を視てそこから色々と処理しているのならばあの技は通用する筈だ」

 

「あの技?ジンさんになんか仕掛けたの?」

 

「確か……(いん)って名前の技だったわ」

 

 技名をボンヤリとだったがルルベットは覚えていたので呟く

 

「ん〜…………なにか必殺技らしい必殺技っぽいのはしてないみたいだが」

 

 剣を交じ合わせるジョンを見るがジョンが特別になにかしているわけではない。

 重心のフェイク、視線のフェイク、そういったものを使ってもジンに対しては効果は0に等しい。タチカワもその辺りには気付いている。

 

「別に戦況を大きく変えたり相手に大打撃を与えるタイプの、それこそ必殺技って呼ばれる技じゃないのよ……凄く分かりやすく言えば無駄を省いたのよ」

 

「無駄を省いた?……どういう意味だ?」

 

 ルルベットからジョンがやっている事に関して教えてもらえばユバはますます意味が分からないと言った顔をする。

 

「そのままの意味よ……ジョンの動き、無駄が無くて一手一手が綺麗でスムーズに動いてるでしょ?ある程度の力量を持っていたら相手の予備動作とかクセとか重心や視線の動き方から次の一手が予測する事が出来るわ。ジンには確定した未来しか視えないんじゃなくて確定するかもしれないありえる可能性が存在している未来が複数視えてる…………分かるかしら?」

 

「……まさか……」

 

 ルルベットの説明でアズマはなにが言いたいのか気付く。ジョンがやっている事はあまりにもシンプルだ。

 

「一切の無駄や予備動作を無くして、次の動きを予測させない。ジンのサイドエフェクトはオン・オフ効かないものらしいから問答無用で未来が視える。ジンは異なる未来が常に幾つも視えているけれど予知による先読みやどう動けば良いのかのシミュレーションが殆ど出来てない筈よ」

 

「無駄な動きを無くすだけって、そんなシンプルな作戦でイケるんですか!?」

 

 ジョンの(いん)は無駄な動きを全て省いて相手に先読みをさせない事。

 卑劣切りを防ぐことは出来たものの負け越している事からジンはサイドエフェクトの予知を逆手に取る事は成功している。

 

 無駄な動きを無くし、次の一手を複数用意する。

 

 ジョンのやっている事はあまりにもシンプルな事だ。説明すればあまりにもシンプルな事でオクデラも驚いている。

 

「なら、お前は無駄な動きを一切取らずに、それこそ走り方から剣の握り方まで過去に今までフォームの矯正を行ったか?」

 

「それは……してないです」

 

「別に責めているわけじゃない。走り方から剣の握り方まで色々と徹底的に矯正した。相手に複数のパターンを予見させる程に無駄を無くした。口で言うのは簡単だが恐ろしいまでに地道な訓練が必要で…………私達は匙を投げた」

 

 フォームの矯正を行うのはまだ分かるがジョンの陰はそれの度が越えている。

 無駄を省いてもストレス等で精神が揺らいで無駄が生まれる可能性も多いにありえる事だが……ジョンは無想という心を無にする技術を会得している。

 

「人間というのは器用な生き物だ、正しいフォームや型が存在していても体格や精神的な問題で無意識の内に自分に向いた形を取る……そうだな、車や自転車で例えれば分かるだろう。正しい乗り方を最初に教わるがその内自己流の自分に合った乗り方をする……別にそれが悪いというわけではない、そちらの方が場合によっては効率がいい。ジョンのやっている事は恐ろしく地味で時間も掛かる。無駄な動作を無くすぐらいならばと誰しも代案を考えるだろう」

 

 現に私も姫もルルベットもアオイもリーナもこの技は向いていないとイアドリフの殆どの兵士も無理だと直ぐに判断した。

 例えクセや無駄な動作があったとしても、より多くの経験を積み上げて強くなれば問題は無い筈だ。そもそもで無理にクセなんかを矯正すれば逆に駄目になる可能性もある。

 

「無駄な動きって予備動作とかもか?そんなの出来るのか?」

 

 フジマルはそれこそ眉唾物だと言いたげな顔をする。

 

「……私が独自で調べた結果、この国出身のレスリングと言う格闘技で世界最強の女性選手がタックル等の予備動作が存在しないらしい……理論上は不可能ではない……ただし地味で時間も掛かる。お前達が直ぐに会得する事が出来るかどうか聞かれれば無理な技術だ」

 

「……どんだけ時間がありゃ覚えれるんだ?」

 

「……お前達の大半は学校に通っている。最低でも朝の7時から夕方16時までの9時間は学校に縛られている。だが、ジョンはその9時間を別の時間に使う事が出来た……それら全てを犠牲にしろと酷な事は言わない」

 

「っ……」

 

 ユバという男はジョンがこちらの世界のこの国の人間である事を知っている。

 だからそれを利用させてもらう。ジョンがどれだけの時間を費やして会得した技術かは定かではない。そもそもでまだ未完成なのかもしれない。

 ここにいる面々は学校に通っている。青春というものを謳歌している。長くて1日4,5時間ぐらいだろうか?それぐらいしか戦闘訓練等に時間を使っていない。実戦形式の練習をしているからフォームの矯正なんて考えもしないだろう。

 

『トリオン供給器官破損、5本勝負終了』

 

 5本勝負はジョンが1つも落とすこと無くジンに勝ち越した。

 

「迅さんが完敗した…………」

 

「ジンは弱くはない。むしろ強い方だ……だが、今回ばかりは相性が悪過ぎた。おそらくだが強者相手に予知を用いて戦闘している、依存し過ぎているとは言わないが頼りにしすぎている……サイドエフェクト抜きの純粋な強さならばタチカワの方が上だろう」

 

 ジンのパラメータの防御が異常なまでに高いのはサイドエフェクトの恩恵が大きいからだろう。

 トモエがありえないと言いたげな顔をしているがコレは事実だ。ジョンはジンを完封した。ジョンが覚えた陰という技がジンとの相性が最悪だったんだ。

 

「迅を対策していたのか?」

 

「それは私にも分からない事だ、少なくとも動体視力を強化する類のサイドエフェクトには見切られてしまう」

 

 だからあの特訓が生きるとは思ってもみなかった。

 レイジの質問に答えた後に弱点らしい弱点がある事を語る。

 

「確か……テニスの王子様?だったか?そんなタイトルの本に相手の動きを先読みしてシミュレーションする技に対して無駄を省いて先読みを防ぐ技で封じ込んだ筈だ」

 

 ジョンがなにから発想を得たかどうかは知らないが、少なくとも本に載っている技だ。

 ともあれコレでジョンはボーダー隊員達から一種の信頼と信用を勝ち取ることに成功し……ジョンはジンと言う危険な存在を倒せる存在だという事が証明された。予知という反則じみたサイドエフェクトだが、ジョンならば幻夢で倒すことが出来る。充分すぎるデータが取れた。




迅対策の陰はこんな感じになりました、許してくれ……なんでもはしないけど。
感想お待ちしております。因みにボーダー所属の世界線ではこの(いん)は会得する事が出来ない技術ですので悪しからず。

才気煥発の極みって予知能力に近くね?だったら風林火陰山雷に陰みたいなので防ぐことは出来るんじゃね?とアホな発想に至っただけなんだ。

今後の展開

  • そろそろ原作にいけ
  • もう少しオリジナルをやれ。
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