そのラージャンは如何にして伝説へと至ったか   作:勇(気無い)者

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 過去最高の長さ……後書きと合わせて20,000字超……。


後編

 それは、第一王女が外交を終えて国に戻る道中での事だった。

 聡明な彼女の手腕によって、交渉は万事が上手くいったのだが、何か悩みがあるのだろう。馬車の窓から外の景色を眺めながら、物憂(ものう)げな表情を浮かべていた。

 そんな彼女を見ながら、馬車に一人だけ同席している侍女は「ああ、今日も王女様は国の行く末を(うれ)えておられる」などと思っているが、実は違う。

 出向いた先にて、可愛い妹の気に入りそうな土産が見つからなかったから、王女は少々気落ちしているだけだ。

 無論、普段は父と共に国政について頭を悩ませ、今のように物憂げな表情を浮かべている事もあった。

 ただ、今日はたまたま妹の事を考えていただけである。

 

 そんな空気の中、しばらくすると馬車が急停止した。

 すぐに外の近衛騎士がドアを開き、火急の報告を告げる。

 

 曰く━━━イビルジョーが姿を現し、騎士団が交戦中との事。

 

 ハンターズギルドからイビルジョーの出現警告など受けていないが、そもそも観測隊とて必ずしも全てのモンスターを捕捉出来る訳ではない。

 特に、イビルジョーの様な餌場を求めて各地を徘徊する様な種は、発見が遅れてしまう事もあるのだ。

 

 そのイビルジョーの出現で馬が怯えて使い物にならないので、「王女を連れて急いでこの場から離れてほしい。その間に、我々近衛騎士達が時間を稼ぐ」と侍女に告げ、しかし王女は騎士達の身を案じて残ろうとする。

 元々、妹が勝手に外出してしまったという報告を聞き、心配のあまり貧血で倒れてしまった事がある程に繊細な彼女の事。騎士達が身を(てい)して自分を護る立場にあるのは理解しているが、それでも彼等の身を案じてしまうのは無理からぬ事であった。

 しかし、そのような事を言っている場合ではない。王女を護れぬ近衛騎士など何の価値も無いし、何より彼等は王女を護る為に命を(なげう)つ覚悟の出来ている者ばかりだ。

 ここで問答をしている暇はない事を理解している侍女は、王女を連れて馬車を出た。

 

 その次の瞬間━━━馬車が吹き飛ばされた。

 イビルジョーの仕業だ。騎士達を蹴散らしながら、馬車目掛けて走ってきたらしい。

 何故ならば、このイビルジョーは以前、馬車に乗っていた貴族を襲っている。

 その時にも、規模は違えど護衛の騎士達が居たのだが、イビルジョーはその(ことごと)くを蹴散らし、馬車から出てきた貴族を食い殺した。

 騎士達の様に硬い鎧を纏っておらず、でっぷりと太った貴族の肉は、イビルジョーにとって美味だったらしい。

 そして、イビルジョーの中で「馬車の中の獲物=極上の肉」という図式が成り立ち、特に脅威でもない騎士達を、ただ走るだけで蹴散らしながら馬車目掛けて突っ込んで来たのだ。

 

 王女に指一本たりとて触れさせはしない━━━そう叫びながら隊長と思しき者がイビルジョーに斬りかかる。

 しかし、悲しいかな。所詮はハンターと違って、モンスターを相手にしてきた訳でもない、ただの人間。

 イビルジョーはグルリとその場で回り、尻尾で隊長騎士を薙ぎ払うと、一回転してそのまま王女達に牙を剥いた。

 

 絶体絶命と思われた、その時━━━爆発でも起こったかの様な轟音と共に、眩い光が辺りを包んだ。

 ハンターの使う閃光玉ほどではないが、それでも目を開いていた騎士達は一時的に視界を奪われる。

 唯一、目を瞑って顔を伏せていた王女と侍女が恐る恐る顔を上げて━━━

 

 

 

 ━━━二人が目撃したのは、見た事もないほど巨大で、炎のように揺らめく黄金のオーラを纏った隻角の金獅子(ラージャン)が、今まさにイビルジョーの首を両手で捻じ切っている光景だった。

 ブチブチと嫌な音を立てながらイビルジョーの首は引き千切られ、金獅子は手に持った頭を地面に叩き付けて踏み潰す。

 更に、今度は残った胴体を軽々と持ち上げ、こちらも地面に叩き付けた。あまりの膂力に地面が陥没し、近くに居た騎士の体が僅かに浮きあがった程の衝撃が地面を走る。

 そして、その場に居た者全てが竦んだほどの恐ろしい咆哮をあげると、金獅子はイビルジョーの体を握力に物を言わせて、少しずつ削り取るように引き千切ってゆく。

 血飛沫が飛び散り、王女も騎士も近くに居た者は血濡れになってゆくが、誰もが恐怖のあまり、動く事も声を発する事も出来なかった。

 

 それから僅か数分でイビルジョーの体は跡形も無くなり、後に残されたのは血の海の上に立つ金獅子のみ。

 悪魔のように恐ろしかったイビルジョーを一方的に虐殺した、更に恐ろしい金獅子。その姿はまるで「荒ぶる神」の如し。

 イビルジョーの次は、間違いなく自分達が殺されると、その場に居た誰もが思った。

 しかし、金獅子が纏っていた黄金のオーラはみるみる内に消えてゆき、先程までとは打って変わって大人しくなり━━━王女一行には目もくれず、そのまま森の奥へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって、龍歴院の会議場。

 部屋は広く、大学の教室のような内装をしている。百人近くが座れるであろう席が設けられており、その内の九割ほどが埋まっていた。

 集められた面々は、龍歴院所属の御歴々(おれきれき)に、若手の中でもそれなりの地位がある研究員。各ハンターズギルド支部のギルドマスター及びギルドマネージャー。それから古龍観測所の御歴々に、龍識船を預かる若き竜人族の隊長等々。

 流石にかなりの僻地に建てられたギルドの関係者は来ていないが、それらのギルドには()()使()()()()()()()()()()()()

 これらの面々が一堂に会するのは、歴史上でも初めての事ではないだろうか。

 何しろ、各地のハンターズギルドは拠点ごとに根付いたハンター達の為の組合所であり、理念は共通のものを掲げているが、それぞれ個別の組織と言っても過言ではないのだから。

 

「……揃ったようじゃな」

 

 教壇のような場所に一人鎮座していた老人━━━龍歴院を取り仕切る大老が重々しく声をあげた。

 

「では、会議を始める……その前に、この場に呼ばれた者の中には、何故このような会議が催されたのか分からぬ者もおるじゃろう。皆に集まってもらったのは他でもない━━━()()()()()()()()()()()()()()()()の件についてじゃ」

 

 その言葉に対する反応は様々であった。

 龍歴院の御歴々は黙ったまま表情を変えないし、各ギルドマネージャーは大半が何の事か分からずに首を傾げている。逆にギルドマスターの中には「やはりその件か」と納得したような表情を見せる者も居るし、よく分からないがポーカーフェイスを決め込み、あたかも理解しているように頷いている者も居た。

 

「既に知っている者もおるじゃろうが、改めて一から説明しよう」

 

 大老がそう言いながら、最前列の右端に座る若い女性に視線を送った。

 その女性は一つ頷くと席を立ち、大老の横へ移動して一度お辞儀をしてから口を開いた。

 

「それでは、僭越ながら説明させて頂きます。質問等に関しましては、全ての説明を終えた後にお願い致します。まず、金獅子というモンスターについての説明をさせて頂きます」

 

 なぜ金獅子ラージャンについて説明するのかだが、そもそもラージャンについて全てのギルドに所属する者が知っている訳ではないからだ。

 まず、金獅子は牙獣種に分類されるモンスターで、古龍種に匹敵する戦闘力を持っている。

 その上、超攻撃的生物と言われるほど気性が荒く、縄張り意識も非常に強いので、視界に入った生物に対して徹底的に攻撃を仕掛けて、殺害にまで至るケースが非常に多い。余程の実力と運が無ければ、逃げる事すら叶わないのである。

 ラージャンを目撃して生きて帰った者は殆どいない━━━それはつまり、目撃した者は殆ど殺されているからだ。故に目撃情報が少ないのである。

 それに、どこにでも出現するという訳でもない。ココット村やユクモ村など、金獅子が生息していない地方もある。

 ギルドに所属しているとはいえ、そもそも金獅子について知らないという者や、名前は知っているが詳しくは知らないという者も居るのだ。

 金獅子の説明から入ったのは、その為である。

 

 ある程度の説明を終えると、今度は蒼角を下げた隻角の金獅子(以下、隻角の金獅子と呼称)についての説明に入った。

 半年ほど前、胸元にキリンの蒼角を下げた金獅子が現れた事。

 大きさは通常の金獅子より二回り大きく、左の角が折れている事。

 激昂した金獅子の様に、常に体毛は金色であるが、他の金獅子と違ってほぼ全ての体毛が金色である事。

 その金獅子は住処を持たず、各地を放浪するように動き回っている事。

 被害が()()()()()()()事。

 そして━━━各地で()()()()()()()()()()()()()()事などを説明した。

 

 ギルド所属者達が(ざわ)めく。

 金獅子を知らない者は居ても、イビルジョーを知らない者はこの場に居ない。

 何故なら、イビルジョーは生態系の破壊者。大人しい草食竜だろうが、災害に匹敵する力を持つ古龍だろうが、イビルジョーにとっては全ての生物が等しく餌でしかない。

 しかも、古龍すら餌と見做すだけあって、その戦闘力も古龍に匹敵する。

 生態系について書かれた書籍などにも、必ず「※イビルジョーは除く」という一文が記されているほどだ。

 もしもイビルジョーを野放しにしておけば生態系は滅茶苦茶になってしまうし、最悪の場合は人里にまでやって来る危険性もある。

 故に、いつイビルジョーが出現しても対処出来るよう、全てのギルドにはイビルジョーに関する情報が入っているのだ。

 そんなイビルジョーを殺し回っている金獅子ともなれば、ギルド所属者が驚くのも無理はない。通常種のイビルジョーと金獅子は、ほぼ互角の力を持っているのだから。

 

 さて、次は隻角の金獅子による被害報告に話は移る。

 被害自体は()()()()と女性は語ったが、実は明確な被害が二件だけ存在する。

 まず一件目だが、金色の毛並みを持つ金獅子が夜分遅くに人里へと足を踏み入れた、という件。

 またしてもギルド所属者達が騒めく。

 当然だろう、古龍を超える戦闘力を持つと推測される隻角の金獅子(かいぶつ)が、人里にまでやって来たと言うのだ。その里は間違いなく壊滅しただろう。

 ……この場に居る殆どの者がそう思ったのだが、そんな事はない。

 

 当時、たまたま里の見回りを行っていたハンターがおり戦いを挑んだのだが、隻角の金獅子はハンターの()()()()()()()()()悠々と人里を後にしたのだという。ハンターは無傷のまま見逃されたのだ。

 その後、戦いを挑んだハンターが夜分遅くではあるがギルドマネージャーの家を訪ね、里に現れたラージャンについて直接報告。すぐ様ハンターズギルド所属者は叩き起こされ、被害の確認へ移った。

 ……が、被害は一切見当たらなかった。

 行方不明者や負傷者及び死傷者はゼロで、何かが壊されたような痕跡も無し。強いて言えば、ハンターの武器が壊されたくらいか。

 ハンターが寝惚けただけではないのかと疑う者も居たが、詳しく調べてみれば里の中に金獅子の物と思しき足跡が見つかったので、ハンターが狼少年扱いされる様な事は無かったが。

 あまりにも不可解なので、後日調査が行われたが、結局は何も分からなかったという。

 この件は、その里では七不思議の一つになったそうな。

 因みに、ハンターの報告によれば金獅子はキリンの蒼角を胸に下げていなかったが、体毛の特徴から見て龍歴院は間違いなく隻角の金獅子であると断定している。

 

 続いて二件目の被害報告に移る。

 こちらは前者に比べると少々馬鹿らしい事なのだが━━━簡潔に纏めれば、功を焦ったハンターが己の力量も(かえり)みず隻角の金獅子に挑んだ、との事だ。

 この報告を聞いて、龍歴院の御歴々の中には手で顔を覆いながら天を振り仰ぐ者や、呆れた様に大きな溜め息を吐く者が出る始末。彼らは既に隻角の金獅子について、ある程度の報告は受けていた。

 だからこそ、そのハンターが如何に余計な事をしてくれたのかが理解出来るのだ。

 因みに、その愚かなハンターが隻角の金獅子に挑んだ際、二回は金獅子が逃走したらしい。が、三度目には返り討ちに遭い、半殺しにされて全治一ヶ月の怪我を負った。

 この件から、隻角の金獅子は人間に対して敵意を持っていない事が分かる。通常種のラージャンであれば、間違いなく殺されていたのだから。

 ある意味、愚かなハンターのお陰で隻角の金獅子の新たな一面が見られたと言えなくも無い。

 余計な事をしてくれたのには違いないので、そのハンターには厳重注意を言い渡したそうだが。

 

 これにて粗方(あらかた)の説明を終えたのだが、司会進行の女性が言うには、とある人物を招いているので話を聞いて欲しいとの事。

 その人物が部屋に入ってきた瞬間、その場の全員が驚いた。

 

 その人物とは━━━第一王女である。

 

 皆が驚くのも無理はない。

 先にも述べた通り、ハンターズギルドはハンターにとっての組合のようなものであり、国が取り仕切る機関ではない。同様に龍歴院も各地に生息するモンスターの生態調査を主としており、こちらも国は関与していない。

 基本的には、国が両組織にクエストを依頼する事はあっても、その政策に関与する事はないのだ。

 

 しかし、例外はある。

 

 それは━━━大規模な被害が予測されるモンスターが出現した時。

 

 具体例を挙げると、ポッケ地方に現れた覇竜アカムトルム。

 全長三十メートル、全高十メートルという巨体を誇る恐ろしいモンスターだ。

 ただ歩みを進めただけで大地を踏み砕き、尻尾を振り抜くだけで大地を抉り取ると言われる。

 更には岩をも容易に噛み砕く強靭な咬合力(こうごうりょく)を誇り、鎧竜グラビモスや岩竜バサルモスを()としているらしい。

 この規格外の怪物を、ポッケ村の特級ハンターが単独で討ち取った、という話はあまりにも有名だろう。

 しかし、その前にハンターズギルドが総力を結集して追い詰めた後、一国の軍隊が死力を尽くして戦っており、その後にハンターズギルドが誰を討伐に向かわせるかの議論をしていた所、ポッケ村のギルドマネージャーがポッケ村の駐在ハンターを推薦。

 それから討伐が行われた、という内幕話(うちまくばなし)があったりするのだが、あまり知られてはいない。

 それがなければ、如何に特級ハンターと言えど、更なる苦戦を強いられていたのではないだろうか。

 因みに、ポッケ村のハンターはアカムトルム討伐の功績で特級ハンターになったので、当時はまだ特級ハンターでは無かった。

 

 話が少し逸れたが、第一王女がこの場に現れたという事態。

 それはつまり、隻角の金獅子は大規模な被害が予測されるモンスターと同等に危険視されているという事━━━少なくともギルドや龍歴院の上層部は、そう判断しているという事になる。

 しかしこの王女、どことなく(やつ)れている様に見えた。何となく顔色も悪いが、化粧で誤魔化しているのだろう。彼女の体調の悪さに気付いた者は、ほんの数名であった。

 

 王女は二人の侍女を引き連れながら教壇前に立ち、皆に向かって一礼。それからゆっくりと頭を上げて、口を開いた。

 

「龍歴院、並びにハンターズギルドの皆様。今日はこの場に同席させて頂きまして、まずは感謝を」

 

 言って、再び一礼。

 その後ろで片方の侍女が「一国の王女たる者が、そう易々と頭を下げてはなりませんと、普段あれだけ申しておりますのに……」と内心で思いながら目を伏せる。

 そんな事など(つゆ)知らず、王女は頭を上げると再び口を開いた。

 

「何故、私がこの場に居るのか疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。それは皆様の警戒されている隻角の金獅子に、私が遭遇したからです」

 

 その言葉に、場が騒然となる。龍歴院の御歴々も同様に驚いていた。流石に王女の件は両組織とも把握していなかった様だ。

 王女が話を続けると、皆は黙って聞き入った。

 所用で国元を離れていた事から始まり、帰りの旅路にてイビルジョーに遭遇した事。

 悪魔の様に恐ろしいイビルジョーの牙が迫り、一巻の終わりと思っていたところで、辺りが閃光に包まれた事。

 恐る恐る目を開いてみれば、黄金のオーラを纏った巨大な金獅子がイビルジョーの首を引きちぎっていた事。

 それだけに留まらず、金獅子はイビルジョーの死骸を跡形も無くなるまで引き千切り、踏み潰して辺りを血の海に染めて━━━そのまま王女一行には目もくれずに森の奥へと姿を消していった事。

 王女は自分が見た一部始終を語り、こう続けた。

 

「私は今日、皆様にお願いを━━━いえ……嘆願しに参りました。どうか……どうか、()()()()()()()()()()()()()()よう、お願い致します!」

 

 彼女の口から飛び出したのは狩猟依頼ではなく、まさかの()()()()()であった。

 彼女は更に言葉を続ける。

 

「あの日、私はイビルジョーという生物を初めて目にしました……。まるで、悪魔の様に恐ろしい生物で……私は、もう助からないと…………」

「姫さま……!」

 

 王女がフラつき、侍女二人が慌てて体を支える。

 それでも王女は懸命に続けた。

 

「その恐ろしい悪魔を……眩い光を纏った金獅子が、一方的に蹂躙したのです……! その光景は、ただただ残虐で……無慈悲で……! その姿は、まるで━━━」

 

 ━━━まるで、荒ぶる神の様でした。

 

 彼女はそう締め括ると、急速に全身の力が抜けてゆくのを感じ、侍女達に体を預けた。

 王女にとって、あの一件はトラウマとなっている。あれほど凄惨な光景を目の当たりにしたのだ、無理もないだろう。

 彼女が少し(やつ)れてしまったのは、まさしくその件が原因であった。

 侍女達は王女を空いている席(司会進行の女性が座っていた席)まで運び、座らせた。

 そして、再び司会進行の女性が前に立つ。

 

「ありがとうございました。それでは続いてハイメル隊長、前へお願いします」

 

 彼女がそう言うと、三列目の端に座っていた竜人族の少年が前に出てきた。

 彼は龍識船を任されている、若き隊長である。司会の女性が言ったように、名前はハイメルという。

 龍歴院の創設以来、竜人族としては最年少で研究員となった若き英俊(えいしゅん)。ベルナ村の特級ハンターと共に、彗星の如く現れた新たな古龍「バルファルク」の生態を暴き、特級ハンターがバルファルクと決戦する為に全力でサポートしていた事などが知られている。

 彼は教壇前に立つと、一礼してから語り始めた━━━彼が目撃した、隻角の金獅子の恐るべき逸話を。

 

 まず、事の始まりはイビルジョーの(つがい)が現れたらしく、その調査に龍識船が出向いた時の事だった。

 知っての通り、イビルジョーは異常なまでの食欲から常に獲物を探して彼方此方(あちこち)を徘徊しており、見つけた生物は大人しい草食竜だろうが恐ろしい力を持つ古龍だろうが、構わず襲い掛かる。

 時には共食いまでするらしく、そのイビルジョーの番ともなれば、そうそう見つかる様なものではない。

 その調査をするべく、調査隊一行は龍識船に乗って()()()()()()()まで出向いた。

 イビルジョーの番は早々に見つかり、調査を開始した翌日━━━隻角の金獅子が現れた。

 

 怒髪天を衝く様な怒りの咆哮をあげた後、イビルジョーに襲い掛かる。

 二頭同時だろうがお構いなしで、力に物を言わせてどちらも殴り倒すと、片方のイビルジョーに対して執拗に攻撃を加え始めた。

 残ったイビルジョーは倒れただけで昏倒していなかったらしく、その隙を突いて逃げる。

 その恐ろしい光景を望遠鏡で遠くから見ながら、その隣でベルナ村の特級ハンターが「私じゃ無理だな……」と呟いていたのを、ハイメルは印象強く覚えている。

 バルファルクを降し、アカムトルム等と同じく規格外な体躯を持つオストガロアすらも単騎で仕留めた実力を持つ特級ハンターが「無理だ」と言ったのだ。

 その一言だけで、あの隻角の金獅子がどれほど危険な生物であるかが窺い知れる。

 まぁ、イビルジョーを秒殺したというだけで、充分危険生物なのだが。

 

 それから金獅子は数分ほどでイビルジョーを肉片一つ残さず粉々にした後、逃げたイビルジョーの後を追う。

 速度は金獅子の方が圧倒的に上で、数分の時間差があったにも関わらず、その数分と同等の時間でイビルジョーに追い付き、またしても肉片一つ残さず粉々にしていた。

 実に三十分に満たない時間で二頭のイビルジョーは始末されてしまったのである。

 イビルジョーの調査に来た筈だったが、隻角の金獅子の出現で全てが水の泡だ。

 しかも、あの金獅子を追いたい所だが、イビルジョーが逃げ込んだ先はよりにもよって()()()()()()()()()()()の中である。

 その森を更に先へと進めば、いよいよシュレイド城跡地となり、かの()()に遭遇してしまう可能性が高い。

 シュレイド城跡には常に暗雲が立ち込めており、黒龍がどこから現れるか分からないのだ。

 仕方なく撤退の合図を出そうとした、その時だった。

 ハイメルはシュレイド城跡の暗雲が不自然に揺らめいたのを視認し━━━

 

 ━━━暗雲を裂くようにして、一体の()()()が飛び出して来たのを見た。

 まるでデカいトカゲに竜の翼を取り付けたかのようなフォルムをしており、腹側以外は全て黒色。

 かつてハイメルが文献で見たのと全く同じ黒龍の威容を見て、彼は背筋が凍ったのを感じた。

 

 駄目だ。アレは駄目だ。

 ハンターではない、研究員の彼でも感じた。

 アレは人類が立ち向かっていい相手ではない。

 文献や言葉で伝え聞いたのと、実際に見るのではまるで違う。

 一国を滅ぼした怪物が禁忌だと言われる由縁が身に染みて理解出来た。

 目が合った訳でもなく、距離もかなり離れているというのに、それ程の戦慄が身体中を駆け巡ったのである。

 即座に撤退しなければならないのに、体が金縛りに遭ったかのように動かない。

 

 が、急に背中を強く叩かれ、我に返った。

 隣の特級ハンターが背中を叩いてくれたのだ。

 すぐに撤退の合図を出そうとして、再び体が固まった。

 

 何故なら━━━黒龍が隻角の金獅子に襲い掛かる姿が目に留まったからだ。

 

 調査隊などまるで眼中に無い。

 黒龍は隻角の金獅子に対して全力の急降下。金獅子は飛び退いて身を(かわ)し、黒龍は森へと不時着。

 その衝撃で大地が揺れ、特級ハンター以外の全員がすっ転んだ。

 今、龍識船は山の中腹にある広い場所に停泊しており、空を飛んでいないのである。

 しかして、龍識船と黒龍が居る辺りでは、優に数十キロは離れているだろう。

 だというのに、この衝撃である。流石に一国を壊滅に追い込んだ龍の力は伊達では無い。

 

 ハイメルはすぐに起き上がり、即座に出航を指示する。

 あのような衝撃が二度も三度も降り掛かってきたら、いくら頑強に整備された龍識船とて危うい。

 その間にも、黒龍は執拗に隻角の金獅子へと襲い掛かる。が、金獅子には戦闘の意思が無いらしく、攻撃を躱してばかりで反撃する素振りを見せない。

 イビルジョーを秒殺するような金獅子にとっても、流石に黒龍が相手では()が悪いという事か。

 森の更に奥へと疾走する金獅子を、黒龍が空から追い掛ける。

 ……もしかしたら、金獅子はアレで逃げているつもりなのかもしれない。

 だが、金獅子が向かっている先は、()()()()()()()である。あの場所は黒龍の根城と言っても過言ではない。

 そこに突っ込んで行くのは、火に油を注ぐ行為に等しいだろう。

 しかし、そんな事など金獅子が知る(よし)もなく、そのまま二頭はシュレイド城跡へと消えて行った。

 

 その間に龍識船は離陸を開始。

 空へと浮かび上がり、急いでその場を後にしようとした、その時━━━シュレイド城跡の方角から、強烈な眩い光が辺り一面へと広がった。

 甲板に居た殆どの者が、閃光玉によって視界を奪われたかの如く床に転がっている。無事なのは、たまたま物陰にいたハイメルと数人の乗組員、異変を察知して咄嗟に伏せた特級ハンターのみだ。

 そのハイメルとハンターがシュレイド城跡に視線を移すと━━━城を覆っていた禍々しい暗雲が散り、城を一望出来るようになっていた。

 しかして、二人の視線は城の練兵場と思われる場所に釘付けである。

 

 何故なら、その場所で黒龍と金獅子が向かい合っていたからだ。

 

 二頭は、遠く離れた龍識船からでもハッキリと分かる程の咆哮をあげた。

 先手を打ったのは黒龍。口から猛火のブレスを薙ぎ払うように吐き出したが、金獅子は大きく飛び退いて回避。

 更に黒龍は追撃の火炎球を吐き出した。

 大砲の如く発射されたそれを、金獅子は回避が間に合わぬと見て両腕で受ける。すると火炎球は金獅子を埋めつくす程の爆発を起こし、その衝撃で金獅子は壁に叩き付けられた。

 その隙を見逃さず、黒龍は金獅子目掛けて突っ込んだ。が、その直前で金獅子は横に飛び退き、事なきを得る━━━だけでなく、そのまま黒龍へと突っ込んで、横腹を殴り付けた。

 あまりの衝撃に黒龍は吹き飛び、ゴロンと横に一回転。

 更に追撃を入れようとしたが、黒龍が尻尾を振り回して牽制し、金獅子は足を止める。

 再び距離を置く両者。

 しばらく睨み合っていたが、再び黒龍が先手を取って仕掛ける。

 口から業火の火炎球を吐き出した。直撃すれば大爆発を起こし、金獅子の体を再び吹き飛ばすだろう。

 が、それに対抗する様に、金獅子は口から雷光球を吐き出した。大きさ、速度共に火炎球と遜色ない。

 火炎球と雷光球はぶつかり合い、ド派手な大爆発を引き起こす。煙が舞い上がり、互いの姿は見えなくなった。

 しかし、金獅子は何を思ったのか、煙の中へと飛び込んだ。真っ直ぐ突き進み、煙を裂くようにして姿を現す。

 その勢いのまま黒龍へと飛び掛かり━━━

 

 

 

「━━━我々が目撃したのは、そこまでです」

 

 そこでハイメルは報告を終えた。

 何故なら、シュレイド城跡は再び禍々しい暗雲に包まれ、二頭の姿が見えなくなったからだ。

 あまりにも危険故に留まって観測する訳にもいかず、調査隊はやむなくその場を後にしたのである。

 そこまで話すと、ハイメルは「以上で報告を終わります」と締め括り、元の席へと戻っていった。

 場が重々しい沈黙に支配されるが、司会進行の女性が容易く破った。

 

「ありがとうございました。それでは()()に移りたいと思います。ご意見のある方は挙手を━━━」

 

 彼女がそう言うと、すぐに幾人もが挙手を行い、疑問の提唱やそれに対する意見などが述べられる。

 真っ先に挙がったのは「金獅子と黒龍はどうなったのか?」だ。

 尤もな疑問であろう、そもそもにしてこの会議は「隻角の金獅子にどう対応するか?」というのが主旨である。その金獅子が黒龍に殺されていたのなら、そもそも話し合いの主旨が変わってくる。

 しかして、それ以降に隻角の金獅子の目撃者がおり、金獅子は健在。では黒龍はどうなったのかと問われれば、そちらは別の特級ハンター()()()()()調査を行い、生存を確認していた。

 この事から、隻角の金獅子には最低でも「黒龍に追撃を許さない程度の痛手を負わせ、無事に逃げ(おお)せるだけの実力がある」というのが分かる。

 ……国を滅ぼす龍と同等の実力を持つ金獅子(怪物)が各地を彷徨(うろつ)いているというのだから、この様な大規模な会議が催されるのも無理からぬ事だ。

 

 とはいえ、実は龍歴院とハンターズギルドの決定は()()()()()()()()

 何故このような会議を開いたのかだが、それは(ひとえ)に「若い者達に禁忌のモンスターを認識させる」のが目的だからだ。

 ……まぁ、若いというには無理があるオッサンや老人も居るが、彼らは総じて人間。長命を誇る竜人族からすれば、ひよっこも同然である。

 後進を正しく導くのも上役の仕事の内。この機会に、禁忌のモンスターに対する認識を改めさせるつもりであった。

 何しろ禁忌のモンスター━━━今回の件で言えば黒龍の事だが、それらの怪物達は一般的には空想上の生き物や御伽噺(おとぎばなし)の類だと思われている。

 現に、この場にいる約半数にも上る人間が「黒龍は実在したのか」と認識を改めている所だ。

 龍歴院やハンターズギルドにとって、今まではその方が都合が良かった。

 何故なら禁忌のモンスターは、災害級の力を持つ古龍達が一目散に逃げ出す程の力を備えた存在である。そんな存在に対し、興味本位や名を挙げる為といった目的で無謀なハンター達が挑んで行くのを避けたかったから。

 

 しかし、そんな禁忌のモンスターに匹敵する力を持つ存在が現れてしまった━━━隻角の金獅子である。

 金獅子とは思えないほど非常に温厚な個体ではあるが、問題はその圧倒的なまでの戦闘力。

 仮に、この個体が縄張りを持ち、そこから出て来ないのならば話は単純だった。その縄張りを禁制地とし、シュレイド城跡と同様に何人も近付けない様にするだけでいい。

 が、この個体は縄張りを持たず各地を転々と彷徨(さまよ)い歩いている。

 それはつまり、国を滅ぼせる規模の爆弾に手足が生えて、そこらを歩き回っている事に相違ない。

 ならば討伐すれば良いのでは、と思うかもしれないが、特級ハンター達がチームを組んだとしても討伐は難しいだろう。

 何故なら、かつて特級ハンターがチームを組んで黒龍討伐に向かったが、失敗に終わっている。その時は一人の死者も出なかったが、一人は重症で引退を余儀なくさせられてしまった。

 その黒龍と比肩する力を持つと推測される金獅子とあらば、やはり失敗する可能性の方が高い。

 そして、もし失敗して金獅子が人間を敵だと認識した場合━━━壊滅する里や村は一つや二つでは済まないであろう。

 そんなリスクを負ってまで金獅子を討伐する意味はない。

 そもそもにして、隻角の金獅子はイビルジョー以外の生物に対して関心が無い。人も野生の生き物も襲わず、自然環境を乱さない金獅子は、もはや完全に自然と調和していると言っても過言ではない。

 おまけに百害あって一利もないイビルジョーという害獣を駆逐してくれるのだから、益獣といっても差し支えないくらいだ。

 

 さて、会議の流れもそういった方向で纏まりつつあったが、部屋の入り口から一人の男性兵士が駆け込んできた。

 彼は部屋に飛び入るなり、こう言った。

 

「申し上げます! 第三王女様が、隻角の金獅子を見に行くと言って、城を飛び出していってしまわれました!」

 

 その言葉で第一王女はぶっ倒れた。

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって、雪山地方。四人の男女が一面雪に覆われた山道を歩いていた。

 彼らはハンターである。男性二人と女性二人。

 ライトボウガンと弓をそれぞれ担いでいるのが男性二人、女性の方は片手剣とランスを担いでいる。

 彼らは四人チームで、ティガレックスやディアブロスを討伐した功績のある中堅パーティだ。

 そんな彼らの標的は、雪山で幅を利かせている雪獅子ドドブランゴ。

 山の麓で積み荷を載せた商人の馬車を襲ったらしく、討伐依頼がハンターズギルドに舞い込んできた。それを彼らが受注し、雪山までやって来た、という訳だ。

 危険度で言えばティガレックスやディアブロスの方が上なので、余程の事態でも起きない限り討伐失敗はないだろう。

 

 しばらく進んでゆくと、開けた場所に出た。

 目的地まであと少しだが、ここまで一時間以上ぶっ通しで歩き続けている。ここらで少し休憩しようという事になった。

 幸い、近くには背の低い岩壁があり、そこには人が複数人入れる窪みがある。そこで焚き火をすれば、暖を取る事も出来るであろう。

 近くに都合良く横たわっていた倒木を解体し、運ぼうとしていたところで()()()()()が起こった。

 

 ドスンと何かが落ちてきた音を聞き、振り返ってみれば━━━そこには全身が金色の毛に覆われた巨大な金獅子の姿が。

 龍歴院やギルドが危険視している、隻角の金獅子である。

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ちょっ━━━」

 

 金獅子の姿を見るなり、ライトボウガン使いの男が発狂。隣に居た弓使いの男が止める間もなくライトボウガンを構え、金獅子に向けて弾を撃ちまくる。

 彼は昔、金獅子の所為で死に掛けた事があるらしく、トラウマを触発されてしまったらしい。一心不乱に弾を撃ち続け、弾切れになってもすぐにリロードし、尚も撃ち続ける。

 一方の金獅子はというと、面倒臭そうに腕でガードしていた。何というか、耳元や顔の前で羽虫が飛んでいる時のように、本当に面倒臭そうな顔をしていた。

 とはいえ、そんな事など人間側には分からない。

 しかも、彼らは金獅子が超攻撃的生物であり、目にした生物を殺害するまで攻撃をやめない事と、ティガレックスやディアブロスとは比較にならない戦闘力を備えている事を知っている。

 故に、隣の弓使いも武器を展開し、金獅子に向けて矢を放つ事は当然の結果であった。離れた場所にいた女性ハンター二人が、抜刀しながら走ってきた事も。

 生き残る為には、全力で抗わなければならないのだ。

 

 ……という人間側の事情も、当然ながら隻角の金獅子が分かる筈もなく。

 

 羽虫の如く煩わしい存在を前に、金獅子は凄まじい咆哮をあげた。隣の山で雪崩が起こった程の声量である。

 ハンター達は怒声ともとれる咆哮を前に、その場に(うずくま)って耳を押さえる事しか出来なかった。

 そして、金獅子が自らの両拳を叩き合わせると、金獅子の前に巨大な雷光球が出現。

 その大きさは、実に鎧竜グラビモスを飲み込んでしまいそうな程。

 あまりにも強大なエネルギーを前に、ハンター達は腰を抜かしてただただ見つめる事しか出来ずにいる。

 その雷光球を、金獅子は殴りつけた。

 瞬間、世界は轟音と共に光に包まれて━━━

 

 

 

 ━━━ハンター達が恐る恐る目を開けてみれば、そこに金獅子の姿は無かった。

 まるで狸獣(りじゅう)ブンブジナにでも化かされたかのような気分である。本当は金獅子など最初から居なくて、幻覚でも見せられていたかのように。

 

「━━━あぁっ!!」

 

 背後からの仲間の声に振り返ってみれば━━━景色が変わっていた。

 

 ━━━岩壁が無くなっている。

 

 つい先ほど、休憩場所として利用しようと考えていた岩壁が、まるで巨大な球状の何かに(えぐ)り取られたかの如く無くなっているのだ。

 思い当たる要因は一つしかない。先ほどの金獅子が作り出した、巨大な雷光球。

 全員が目を閉じ顔を伏せていたので見ていなかったが、アレが岩壁を抉りながら通り抜けたに違いない。

 その事実を前に、ハンター達は放心したように動けないでいる。

 なぜ金獅子が去ったのかは分からないが、とにかく生きているのが奇跡だった。

 

 彼らが硬直したまま数分が経っただろうか。

 ハンター達が辿ってきた道の方から、陽気な鼻歌が聞こえてきた。

 声の主は十代後半の少女である。金獅子の毛から作られたのであろう装備を身に纏い、背には金色に輝く煌びやかなハンマー。

 その格好から推察するに、恐らくは上級ハンターであろう。

 ハンター達全員がそう思ったが、実は違う。

 何を隠そう、単身雪山に乗り込んできた彼女こそ、第三王女本人なのである。

 

 彼女にはお抱えの女性ハンターが居るのだが。そのハンターに着いて森や密林に行ったり、彼女の狩猟を間近で見たり、ハンターとしての知識を色々教えてもらったり。

 そんな風に経験を積んでいく内に、第三王女という立場でありながらハンター並の超人にまで成長した、という経緯がある。

 その所為で、気の向くまま城を飛び出し、雪山だろうが火山だろうが勝手に出かけてしまう様になった。

 しかも、その都度家臣達が大騒ぎで兵士を派遣したり、ハンターに依頼を出したりと騒動を引き起こしているので、彼女の周りの人間はいつも苦労が耐えない。哀れ。

 

「━━━む? お主ら、こんな所で何をしておるんじゃ?」

 

 ハンター達を視認した王女は、朗らかな声で話し掛けた。

 それに弓使いのハンターが答えようとしたが、王女は「ああ、いや。やはり良い」と言って言葉を遮った。

 彼女の目的は「隻角の金獅子を見る事」であり、有象無象の事情などどうでもいい……というのもあるが、近くに金獅子の足跡らしきものを見つけたので、さっさと追い掛けたいと思ったからだ。

 故に、彼女が聞くべき事は一つ。

 

 金獅子はどこへ向かったか、である。

 

 しかしながら、彼らは金獅子の攻撃を前に顔を伏せていただけなので、行方など分かる筈もない。

 使えん奴らよのぅ〜、と吐き残して王女は自分の勘を頼りに歩き出す。

 が、それを弓使いが止めた。

 

「あの金獅子に挑むつもりか!? 馬鹿、よせ! 殺されるぞ!」

「んな━━━っ! 馬鹿とは何じゃ! 馬鹿とは! これでも妾は一国の━━━」

 

 ハッとしたように言葉が途切れる。一般人相手に王女と名乗る訳にもいかない事に気付いたからだ。

 どんな面倒事を呼び寄せるか分かったものではないし、何よりこれは止めに入った家臣達を撒いてまでやって来た、謂わばお忍びの旅。

 目的の金獅子にいつ会えるかも分からぬ以上、身分を明かすのは家臣達に捕まるリスクが大きくなるだけだ。

 しかしながら、目の前の暴言を吐いてきた男に何も言い返さないのは癪だ。

 そのまま彼女は何かを考え込むように歯軋りした後。

 

「馬鹿って言う方が馬鹿なんじゃ! バーカ!」

 

 それだけ言い残して、走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで十数分ほど歩き回った後、第三王女は隻角の金獅子を見つける事に成功した。

 金獅子は胡座(あぐら)をかきながらヒーラカの実を食しており、第三王女が現れて一瞥(いちべつ)はしたものの、特に興味も示さず食事を続けている。

 

「人を見ても襲い掛かって来ないとは、お主本当に変わっておるのぅ」

 

 特異個体の金獅子の話を聞き、第三王女という身分でありながら、こんな辺鄙(へんぴ)な所まで見に来た彼女も大概である。

 何を食っておるのじゃ、などと訊ねながら不用意に金獅子の隣まで近付くが、金獅子も金獅子で第三王女に全く興味を示さない。

 しかも、王女が「ヒーラカの実か、中身を見た事ないから、ちょっと妾に見せてくれんか」と言い、しかし言語を解さぬ金獅子に言葉が届く筈もなく。

 そのままヒーラカの実を食べ続ける金獅子に対して「無視すんなこのっ!」と王女が金獅子の足をポカポカ叩いても尚、我関せずを貫いている程だ。

 確かに王女も害する気持ちがあった訳ではないし、本気で殴り掛かった訳でもないが、普通なら怒ってもおかしくない所である。そんな事をされたらケルビだって怒るだろう。

 全く反応を示さないので、その内王女も諦めて座り込み、金獅子に話し掛け始めた。

 いや、話し掛けたというよりは殆ど独り言に近い。

 その内容が、やれ「執事長がやたらと口うるさい」だの「料理の味付けが薄い」だの「ベルナ村のデカいアイルーが気持ち悪かった」だの「ペットの黒轟竜が餌を食い過ぎる」だの「ネコートさんを雇い入れて侍らせたかった」等々。

 殆ど彼女が勝手に愚痴を垂れ流しているだけである。

 金獅子も金獅子で彼女が何を言っているのかは全く分からないが、不思議そうに見つめながら話を聞いていた。

 たまに王女が「お主もそう思うじゃろ?」などと同意を求めるのだが、金獅子は「そんな事言われても何言ってんのか分からんちん」とばかりに見つめ返すだけである。

 

 そんな風にして、大体三十分が経過しただろうか。

 ふと、金獅子が立ち上がり、明後日の方向を睨み付けた。

 どうしたのじゃ、と問い掛ける前に金獅子の毛がみるみる内に逆立ってゆくのを見て、王女は直感でヤバいと感じ、耳を押さえながら飛び退く。

 次の瞬間、金獅子が怒りの咆哮をあげた。

 炎のような黄金のオーラが金獅子の全身から吹き出し、王女が「のわあああぁぁ!」と悲鳴を上げながら吹き飛んでゆく。

 すぐに体勢を立て直し、王女が何事かと顔を上げて確認してみれば、奥の道から巨大な生物がこちらへやって来るのが見えた。

 

 ━━━イビルジョーである。

 

 実際に王女が目にするのは初めてだが、お抱えのハンターから話には聞いていた。

 曰く、王女にとって(ある意味)お気に入りの金獅子と同等の力を持つ存在であると。

 それはつまり、この場で隻角の金獅子が敗北する事もあり得る━━━と彼女は考えた。

 相手はただのイビルジョーなので、実際は九分九厘あり得ない事である。が、王女は「他の生物を襲わない、変わった金獅子が居るらしい」という話しか聞いていなかったので、その実力までは知らなかったのだ。

 背中のハンマーを構え、隙を見て横からイビルジョーを殴り付けてやろう━━━そんな風に考えていたが、彼女は認識を改める事となる。

 

 やはりと言うべきか、イビルジョーは秒殺されたからだ。

 そして、いつもの惨劇が始まる。

 金獅子はイビルジョーが亡骸になっても攻撃の手を止めず、肉を引き千切り、骨を握り潰し、雪面を血に染めた。相変わらず肉片は一つも残っていない。

 初めは呆気に取られて呆然と眺めていた王女だったが、その表情は段々と痛々しいものを見る様に変わってゆき、最後には哀れむ様な表情でその光景を見ていた。

 金獅子は気が済んだのか、体を覆っていた黄金のオーラは消え去り、最初に王女が出会った時の様に落ち着きを取り戻す。

 そのまま歩き去ろうとしたが、王女に呼び止められた。

 

「のう、お主━━━いつもその様な事を繰り返しておるのか?」

 

 隻角の金獅子は各地を転々としながらイビルジョーを殺し回っているが、王女はそんな事情など知らない。そもそも、イビルジョーを秒殺出来る程の力がある事すら知らなかったのだから。

 しかし、彼女は立場上、色々な人間を見てきた。

 民を憂う父や姉。王を敬愛し、支える大臣。それに続く臣下。私腹を肥やす事しか頭に無い貴族。第三王女に取り入ろうとする者。善人。悪人。

 生来の(野生動物の様な)勘の良さも合わさり、その人間が持つ様々な感情も読み取れる様になった。

 そして、それは人間だけではなく、他の野生動物にすら発揮される様になった。

 彼女は自らの直感と経験で、金獅子がいつもこの様な惨事を繰り返しているのを見抜いたのである。

 彼女の言葉に、金獅子が足を止め振り返った。

 

「いつもそんなに怒ってばかりいるのか?」

 

 その問い掛けに、金獅子はただ王女を見つめ返すばかり。

 

「そんなに怒ってばかりいて、疲れやせんか?」

 

 言葉の意味も分からず、ただただ耳を傾ける。

 

「もしも疲れて行く宛も無いなら、その時は妾の元へ来い。お主の居場所を、妾なら作ってやれるぞ」

 

 言葉が通じた訳ではない。彼女が愚痴を垂れ流していた時と同じく、金獅子は王女を見つめ返すばかり。

 やがて金獅子は再び彼女に背を向け、歩き出す。

 どこか寂しそうな背中を見ながら、王女は「待っておるぞー!」と声を掛けて。

 

 ━━━何となくだが、彼女は子供の頃に出会った温厚な幻獣の事を思い出していた。

 金獅子の背中が、何故かその幻獣と重なって見えたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、金獅子は山の頂きで、亡き友に想いを馳せながら咆哮をあげた。

 その声は、どこか哀愁を漂わせていたそうな。




 第三王女(ネタキャラ)をぶち込んだのに、何故かシリアスな展開になっていた謎。
 第三王女wikiは抱腹絶倒ものなので、一度は見てみて下サイヤ人。

 さて、解説タイムに入らせて頂きます。
 の前に、一ヶ月以上もお待たせして申し訳ございませぬ……。
 会議の話を描写するにあたって、龍歴院についてとかハンターズギルドについてとか組織の人員役職とか、色々調べながら書いてたので妙に時間が掛かってしまいました……。あとモンハンライズやってた……。
 重ねて申し訳ございません。

 で、色々調べながら書いたんですが、正直私が勝手に解釈して脚色を加えたり、もしかしたら間違っている点もあったりすると思いますが、平に御容赦を……。

 まず、金獅子の呼び名はとりあえず「隻角の金獅子」となっています。
 上層部や、出現した地方のギルドにしか伝わってないので、仮の呼称の段階です。
 最初は「蒼角の金獅子」で進めていましたが、それだと金獅子の角が蒼色みたいだと気付いてやめました。
 ……一応、一通りの確認はしましたが、もし間違っている部分があれば誤字報告お願いします。

Q.金獅子を知らない人が居るのか?
A.作中でも述べた通り、地方によっては生息していない(という事にした)からである。シリーズによっては出てないし。
 ぶっちゃけ、他の支部からモンスターの情報ぐらい行ってると思うけど、書いてる当時の私は「生息してない地方もあるし、情報持ってない支部もあるだろう」とか考えていたので、そういう事になった。ウカツ。

Q.イビルジョーはみんな知っているのか?
A.作中でも述べた通り、コイツは何処にでも現れる。
 金獅子と違って縄張りを持たず、本当にどこにでも現れるのでそういう事になった。
 因みに私は疑問に思っているのだが、イビルジョーは共食いまでやらかすのに、どうして絶滅しないのか。性別が違うと共食いしないとかあるのだろうか。
 それとも、雄雌とか無くてナメ◯ク星人やヨ◯シーみたいに卵をプリッと出すのだろうか。謎だ……。

Q.隻角の金獅子は人里で何をしてたの?
A.金獅子「紐が欲しかった」
 キリンの蒼角を下げてるという理由付けの為にハンターの武器が犠牲になった。
 後から気づいたけど、適当に人の居ないキャンプ後とかで紐を拾ったという事にでもしておけば良かったんじゃないかな……。
 というか、金獅子が自分で蒼角に穴開けて紐通したと考えると何か可愛い……くないな。絵面的に。

Q.第一王女は何故、不干渉要請を出したのか?
A.第一王女「勝てる訳が無い!アイツは伝説の(スーパー)金獅子なんだど!」
 冗談はさておき、金獅子の虐殺を目の当たりにした騎士の大半がトラウマになって使い物にならなくなった。ア◯ンズ様の超位魔法を目の当たりにした帝国騎士みたいに。
 それを見た王女は、人脈を使って金獅子の情報を集める内に「人が立ち向かっていい相手では無い」と判断。
 被害は出ていない様だし、下手に突いて怒りを買うぐらいなら手を出さない方が良いと考え、ハンターズギルドへ赴くのであった。

Q.龍識船の隊長(タイチョウ)の名前ハイメルなの?
A.wikiに書いてあった。私も初めて知った。タイチョウミズカラガテイサツヲ……?

Q.黒龍について
A.地面に(ロックマンX)ダイヴ(好評配信中)しただけで地震を起こすとかやり過ぎた気がしなくもない。
 本当は前の話で怒り喰らうジョーをぶちのめす描写をもっと色々する筈だったのに、何故か書き上がってみると2発で沈めるという展開になっていた。尻尾を持って振り回すとかやりたかったのに……。
 ドス古龍すら勝てない気がする特異個体を秒殺する様な奴の相手になりそうなのが黒龍しか思い浮かばなかったので登場。
 自分の縄張りの近くで圧倒的な存在感を放つ隻角の金獅子が癇に障ったらしく、執拗に追いかけ戦いを仕掛けたが引き分けに終わった。

Q.禁忌のモンスターの存在をバラしていくのか……。
A.ハイメルの報告を上層部は事前に聞いており、隻角の金獅子がどれだけ危険な存在であるかを示すべく、龍歴院とギルドが会議に参加した者に情報を開示した。その後に箝口令(かんこうれい)も敷いている(描写し忘れた。ウカツ)。
 ある程度の地位にある者限定とはいえ、禁忌のモンスターの存在を明確に伝えるのはどうかと思ったけど、隻角の金獅子はそれぐらいヤバいんだよ、というのを伝えるべく情報解禁となった。
 元々、黒龍関連の本とか出回ってるし、別にいいかなと……。(現実ではグッズも出てるし……)
 どうでもいいが、ゲーム中でも黒龍撃退とかあったから作中で「特級ハンター達が撃退した事がある」という風になったけど、逃げた先で黒龍が国とか村とか襲ったらどうすんだと思わなくもない。

Q.狸獣ブンブジナにでも化かされた〜の件
A.「狸に化かされた」と書こうとして、そういえばモンハン界に狸は居るのかと調べたらコイツが出てきた。カムラの里周辺にしか生息してなさそうなコイツを名前だけとはいえ出すのはどうかと思ったが……

Q.第三王女について
A.長くなります。覚悟の準備をしておいて下さい!
 まずは第三王女についてサラッと説明します(wiki読んだ方が面白いし分かりやすいです)が、彼女はゲーム中でクエストの依頼を出している人物です。
 やたらとラージャンを狩って来いという依頼を出しているイメージを持っている人もいるでしょう。
 しかし、それ以外にも結構頭のおかしい事を言っている。
「リオレウスをペットにしたいから捕獲しろ」とか「兄との釣り勝負にヴォルガノスの魚拓をとるから狩ってこい」とか。
 挙句「宝石が欲しいからと自分で掘りに火山へ出かけてしまう」「真の女王の座をかけてリオレイアに勝負を挑む」「黒轟竜の咆哮を目覚まし代わりするから捕獲しろ」最終的には「手袋が欲しいから金獅子を捕獲しに行った」である。
 ……火山に出掛けて無事に戻ってくるだけでも大概だが、リオレイアに勝負を挑もうとしたり金獅子を自ら捕獲しに行こうとする辺り、ただの人間ではない。
 そして、MH4Gのセルレギオス二頭の依頼文。

姫さまが、かの千刃竜の鋭い鱗は本当に千枚あるのか知りたいと数えに出掛けてしまわれました。
…そろそろ私も、姫さまの間違いを諭さねばなりません。
だって、千刃竜が2頭いたら2千枚ではないですか!

 ……クエストは侍女が出しているのだが、物凄く呑気である。
 コレを見た私は、ふと思った。

 ━━━もしかして、王女はセルレギオス一頭ぐらいなら軽くぶちのめせる実力があって、二頭だと流石に危険かもしれないからクエストを出したのでは?

 ……流石に飛躍し過ぎの様な気はするが、この推測から私の中で「第三王女はハンター並の超人」という図式が頭から離れなくなった。
 実際、MHXのイベントクエストで、

「妾も狩りとかしてみたいのじゃ」と、姫さまが闘技場に向かわれました! 城の一個師団が、総力をあげて阻止していますが、いつものように出し抜かれるでしょう。姫さまが闘技場に着く前にモンスターを狩って下さい!

 という侍女からの依頼が出ており、約数千から数万にも及ぶ騎士達を出し抜くと断言している辺り、確実に超人なのは間違いない。騎士達もハ◯ラル兵かゲ◯ム兵かよ……
 狩りとかしてみたい、と言っているので狩猟経験が無い(私の推測は外れた)のだが、何か勿体ないと思ったので、作中ではハンターに色々教わって超人になった事にしました。
 武器がハンマーなのは……何かワイルドなイメージが拭えず、ラージャンが余程お気に入りの様なのでパワータイプかな、と。人の形をしたラージャンなのでは、とか書かれてたし……

 とまあ、第三王女が実は有能みたいに描きましたが、実際はただの我が儘お嬢様なんだと思います。


Q.で、二つ名は?
A.ごめんなさい。
 いや、あの、本当は会議中に二つ名決めさせるつもりだったんですが、いつの間にか会議のシーン終わってて……。
 募集した癖に結局(自分で考えた物も含めて)出さなかったという……。
 幾つか読者の方から出して頂けたのですが、折角なのでちょこっと紹介します。
 まず「金剛掌」。個人的にコレが一番のお気に入りです。カッコいいし、隻角の金獅子のキャラ設定的にもピッタリ。
 「鬼仏」というのもありました。温厚な時が仏、激昂した時は鬼という、隻角君のイメージ的にもピッタリ。
 「嘆き哀悼する」哀悼っていう言葉が良いですね。喪に服している(服着てないけど)感じがして……キリンの事が忘れられないんだろうなぁ、と。
 折角色々と案を出して頂いたのに申し訳ない……。



 最後に。
 
 赤評価を頂けたのは初めての事だったので、とても嬉しく思っています。(後編投稿して下がってたらお笑い物だけどw)
 小説書くのは久々でした(四年ぶり)が、書いてて楽しかった。物凄く時間掛かりましたが……。
 タイトルも変えようと思いましたが、やめました。候補に「蒼角の誓い」とかあったんですが、何か厨二臭くて……。「フェルガナの誓い」はカッコいいのに不思議
 あと、実はちょっとガバッてたり……。

 会議のシーンで、金獅子がキリンの蒼角を下げている事に着目 → そこから以前、ある金獅子がキリンと一緒に行動していた事を思い出す → もしかして、そのキリンをイビルジョーが殺し、金獅子はそれを根にもって執拗にイビルジョーを殺しまわっているのではと推測 → もしもあの二匹に人間が手を出していたと思うとゾッとしない

 という感じのシーンを入れる筈だったのに入ってない……。
 あと、一日で百里(一里は約四キロ)を駆けた事もあるという設定とか……。
 一応のプロットも立ててあったのに何故ガバるのかコレガワカラナイ。

 今後何を書くかは未定です。
 ……本当は金獅子書く前にロックマンXを題材に書いてた(既に9話出来ている)のですが、ちょっとどうしようか迷い中。
 第三王女wiki読んでたら、第三王女を主軸に一話書けそうな気がするので、もしかしたら書くかもしれません。
 よろしければ、その時はまたよろしくお願いします。

追記
Q.隻角君は他のキリンをどう思っているのか
A.特にどうも思っていないようです。
 他のキリンに遭遇した際、問答無用で攻撃されたので、特にどうとも思っていません。元々、キリンにとって金獅子は天敵と言っても過言ではないので……。
 仮にハンターとキリンが戦っていても何もしないと思われます。


追々記 2022/07/06
 サンブレイク始めました。
 第一王女があんな幼女だなんて聞いてないぞ!
 二十代前後のつもりで書いてたのに!
 また猫嬢の人気にあやかるつもりなのか!
 ヒノエやミノトみたいな美人系でも良かったじゃないか!(チッチェ姫もアレはアレで可愛いけど)
 あと、王国騎士の本分は対人戦であって、モンスター戦に於いてはディアブロス一頭に一個師団壊滅させられる様な無能集団だと思っていたのに、普通にモンスターと戦っているじゃないか!
 もしかして、わがまま第三王女の国とは別の国なのか?
 それとも、フィオレーネ達はモンスター戦に特化した部隊なのだろうか。
 謎だ……。
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