月光城 ~宮中志シリーズ第0巻~   作:仲村大輝

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これも数年前に書いたものです。
お楽しみください。

前回の美朝村は横溝正史、トリック、ひぐらしからインスパイアされたと言いましたがこれの作成時、魔法少女にはまっていたため、魔法使いと宮中は闘います。

絶対にないと言い切れない冒険へ



月光城 ~宮中志シリーズ第0巻~

 中川勇気はライターである。

 新聞の一面を飾るようなどーんとした記事ではなく、人に寄り添い、人の考えていることまで適細かくかく書く、新田次郎のような作家である。

 そんな彼には、演劇を見るという趣味がある。

 もちろん脚本みたいなものを書いてみたことはあるが、ことごとく断られてしまっている。

 どうか一発、劇団長の心にズブッとまるで殺人犯がつかうナイフのように突き刺さるネタが書けないものだろうか?といつも考えていた。

 同じく通う大学院には宮中志という友人がいる。

 そんなことを友に相談した。

「…いままでタブーとされているようなことや、誰もが思いつかないようなことを書くしかないな。」

 彼は言った。

「では、どうすれば誰も思いつかなかったようなことが考えつく?」

 勇気は、死活問題だから鋭く聞いた。

「ニッチなジャンルを狙うか、市場が成熟してないものを狙う。もしくは、嘘だろ。ってものとコラボさせる。」

「もう演劇は尽きたろ。」

「いや、科学の進歩によって空を飛んだりすることが出来るんだ。出来るだろう。」

「うんや…それもそうだが…」

 勇気は言い込められてしまっている。

「…なら、いっそのこと観客も演者になってもらったらどうだ?」

「ヒーローショーか?」

「観客の介入ありきの脚本を書いたらどうだ?」

「……。」

「どこまで介入させるかはお前次第だけどな。」

「…少し、自分を信じるかな。」

「そのいきだ。」

「ところで、俺に文章化して欲しいっていう話はなんだ?」

「それはな…」

 

八月 駒川大学 旧三号館二階

宮中志(民俗) 若木鷹(外国文化)長井進(経済)の研究室

 随分専門の方向性がバラバラな三人だと思われるが、この三人は地方で成功方法を模索する学生が集まる学部で研究をやっているのだ。

 三人とも夏休み前に学生に教える最後の授業を終えているので成績をつけたりしているが、宮中先生は鼻歌混じりで地図を見ている。

 あまりにも楽しそうなので若木さんが覗き込んできた。

「未だに集落の人の宗教的統治は超能力を持った人がやってる地域があるんですって?」

「そうらしいんですよ、若木先生。夏休みってこともあるので行ってみようと考えています。」

 コーヒーがなくなったので追加しようと立ち上がった長井さんが聞いてきた。

「どこにあるのですか?」

「甲父県 月市月光集落です。」

「………聞いたことないですね。」

「もちろんです。この集落は航空写真には映らないし、地図も曖昧なんです。」

「なぜ?」

 宮中はコンピューターで航空写真を見せた。二人が後ろから覗きこむ。

「見てください。森のところにピンが立ってるでしょう。この集落の人たちはなにかの理由で見つからないようにあまりあまり木を切らずに土地を広げて縫うように家を建てているらしいんです。」

「ほぅ〜」

次に宮中は本を取り出しパラパラめくった。

「これが甲父県の住宅地図なんですが…」

「月光集落は、家がないですね?」

「この集落の人たちは、木の成長に合わせて何年かに一度家を移築するんです。ですが、家は立派で木造のおおきなものらしいです。」

「へぇ〜」

「では、なんでこんなところに霊能者を呼ぶようになったんですか?」

「一説によると、もともと月光集落は盆地になったところにあり、周りの村と比べて不易な待遇を受けていたらしいのです。

 ある時、二人の霊能者が集落の人たちを哀れに思い、一日で盆地から小山に変え、次の日に樹齢何十年という木を山じゅうに生やし、三日目に山全体を城のようなつくりにしてしまったらしいのです。」

「はあ。」

「片方の霊能者は年寄りだったのですぐ死んでしまったらしいのですが、残った片方の霊能者は集落の人と共に不易に搾取された分を取り戻したのですが、領主は面白くなく何度も霊能者と戦ったらしいです。

身の危険を感じた霊能者は自分が死んだ時ように新しく戦える強く正しい霊能者を全国から呼び寄せようとしましたが、それが領主の耳に入り、領主は家来に霊能者のふりをして月光集落を奪い取ろうとしましたが、霊能者は領主の策略を見破り、霊能者を戦わせ合うという作戦に出て、それ以降 霊能者が戦っていたのです。」

「聞けば聞くほど面白そうな風習ですね。」

「現代は祭りもないような土地なので息抜きにマジシャン的なものがネタを見せるようですが、今回はどこかから要望がありもっと真面目に執り行うことになったらしいです。」

「なるほど。」

 その時、学校事務から荷物が届いた。

 なんでも来年から新しい研究者がこの学部にやって来るらしいが、その研究者からだ。

 荷物を開けると、帽子と手紙が入っていた。

「なになに?三人の中で早急にどこかに現地調査を行う人がいたらこの帽子を持っていきなさい。 新任の上地より ですって。」

「この帽子は撥水加工に加え、熱を逃がす加工がされてますよ。宮中さん良かったですね。」

そういって宮中に荷物を渡す。

「まあ、はい。ではそろそろ家に帰り支度しますのでこれで失礼します。」

「ええ、頑張ってきてください。」

「土産話を楽しみにしています。」

 そう言って二人は見送った。

 その時、二人は宮中の机にあの手紙が置かれていることに気がついた。

 二人はなにげなしに目を通した。

すると、

「いかなかったお二人は隣の324号室に移動になると思いますので、荷物をまとめておいた方が良いとおもいます。」

と追加されていた。

 実際上地先生が宮中先生の部屋に来た時、長井先生と若木先生は324号室に移動になっていた…

 

「というところから始まる俺の冒険記なんだけど…」

「ほうほう。それで?」

「実は、この行ってきた集落での出来事が、詳説にすると面白そうなんだ。良い感じに加工して小説にしてくれないか?」

「そういうことか。なら良いよ。なにか面白そうだ。で、どんな村だったんだ?」

 

 

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