月光城 ~宮中志シリーズ第0巻~   作:仲村大輝

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さあいよいよ霊能力者が実力を発揮します。

だれが偽物なのでしょう?


第4幕 霊能力決戦

登場人物

宮中志 初日に似た服装をしている。

村長

岸奈龍 スーツを着ている

新田三郎 襟付きシャツを着ている

宮川輝 袴を履いている

白鷺姫 和装をしている

宝田楓 来た時と同じ服装をしている。昨日、宮中に会ったときとは違う。

里見結衣 昨日来た時より明るく綺麗な洋服を着ている。

 

舞台

子供達が遊んでいた場所

 

幕が閉まっている。

鳥のさえずりが聞こえ、正面幕は下がっている状態で、左の舞台袖より宮中と村長が登場。

カーテンとわずかにあるステージに立っているイメージ

もし、そのスペースがなければ、舞台袖の花道でも良い。

 

村長:いや、先程見せていただいた手品は、若いときみたことがありましてな。先に解いてしまってすみません。

宮中:いえ、こういったことで、霊能力を語るものもいるかもしれませんから、少しお考えになるようにと思いましたから…それと、これを私がやったというのは内密にしていただけませんか?

村長:大丈夫です。もともと知っていたのですから…

宮中:すみません。いきなり手品を見てくれなんて言いまして…

村長:いや、これから見るものの練習になって良かったです。さあ、こちらが会場ですよ。

 

村長の台詞の後に、舞台が開く。(なにか台詞や手を叩くなどを行なっても良い。)

客席から見て左側(下手)に霊能力者達、右側(上手)に村人(大人)達が集まっている。

 

宮中 右の一番袖側に引っ込む。

村長 真ん中に立ち、若干左を見ながら、

村長:只今より、月光城主を決める霊能力者決定行事を行う。各自奮闘すべし。

霊能力者:おー。(はい。)など声をあげる。

村長:では最初に、岸奈龍。やってみよ。

岸名龍:はい。

一同 全体的に中央を開けるように下がり、岸名は真ん中に出てくる。

岸奈 懐から小さい杖を出す。それを振りかぶると、急に木がざわざわし始める。それをシュっとふると、風がビューっと吹く。

(会場に扇風機などがあれば、観客も臨場感が出て良い。)

村長:君は風を操るのか?

岸名:いいえ、他にも…

岸奈 もう一度振ると天気なのに雨が降る。

(雨を降らすのに抵抗があれば、雨音や、照明で表現する。役者達も雨から逃げる動作をして表現する。)

 

村民:すごい、自然を操るのか…

村民:彼が城主になれば作物がどんどん育ちそうだ。

村民達 ガヤガヤ騒ぐ。

村長:よし。そこらで良い。次は新田三郎。

新田:はい。

(天気が晴れで止まる。)

岸名 指揮者がお辞儀するように下がると新田がそこに立つ。

(一度腕時計を見る。)

(新田 ちょっと急いでいる。)

新田:私は自由になんでも操ることが出来ます。現に上をご覧ください。

(早口でしゃべる。)

みんなが上を見上げる。各々、「わー!」など驚きの声をあげ、その場から離れようとする。

村民が下がったあたりに巨石が降ってくる。

新田:いかがですかな?

村長:うむ…

村民:あの人だったらどんなものが来ても大丈夫そうだな。

村民:あぁ、あれにうってつけだろうな…

村民:だけど、裏切って城から石を大量に落とされたらたまったもんじゃないぞ。

村民:うーん…

村長:よし。とりあえず力は見せた。下がって良い。次は宮川輝。

宮川:はい。

新田 形通りな礼をすると引っ込み、宮川が出てくる。

(ここはゆっくり)

宮川 紙をハサミでチョキチョキ切り出した。

宮川:私は見ての通りですと、紙切り芸を披露するように見えるでしょうが、私の作る紙は生きているのです。ほらほらどうでしょうか?

宮川 手元から蝶がひらひら何匹も生まれてくる。

宮川:蝶では腹が膨れません。今から餅を切ってみましょう。

チョキチョキっと餅型に切ったものを村長に差し出す。

宮川:どうぞ、かじってみてください。

村長 受け取った餅をかじってみる。すると、紙だったはずなのに紙が餅のように伸びる。

それをみた村民は思わず声をあげる。

村民:すごい。あれなら誰も困らないぞ。

村民:餅だけでなくいろいろ出してもらおうじゃないか。

宮川:これはどうですか?折り紙した薄っぺらいものですが、破いてみてください。

村民:どらどら?

村民 渡された折り紙を破る。すると中からチョコレートが入っている。

村民:おー!チョコレートだ!

村民:すごい。みんなの腹を満たしてくれるなら、すぐ城主ものだぞ。

村長:よし。どうやらこの時点では君が一番だが全員分見ようではないか。次、白鷺姫

宮川 落語家のように深くお辞儀すると背を翻し元に戻った。

入れ替わりで白鷺姫が出てくる。

村民:なんと美しい…

村民:白鷺の名前にふさわしいな…

村民:あぁ。

白鷺姫 うやうやしくお辞儀する。

弟子の二人が出てきて、テーブルをセットする。

白鷺姫:私は、人の心を操ることも、先に考えて行動することが出来ます。村長。どうぞこちらにお立ちください。

白鷺姫と村長があい向かいに座る。(観客に対し横を向く。)

白鷺姫:村長さん。このカード、よくきって、好きな一枚を取ってください。

宮中 観客席を見る。

(おや?というような動き。)

村長 トランプを数回切って、適当なところで二つに分ける。その時、分けた方のトランプにわざとらしく手を置き、慌てて、テーブルの下に手を入れた。

村長:あぁ、失礼失礼、手がガサガサなもんでつい引っかかったようだ。乾燥してしまってダメだ…

白鷺姫:働き者の良い手ですよ。

白鷺姫 分けたところに封筒を置いた。

白鷺姫:村長さん。その封を切って書いてあることを呼んでください。

村長 わざと観客席を見る。(ちょっと動きを止めても良い。)

村長は封筒を取って、封を切り、手紙を広げる。

村長:「私は、ダイヤのエースでカードの山を分けた。」

読み上げたら、後ろ幕にプロジェクションマッピングで、トランプのダイヤのエースが浮かび上がる。

白鷺姫:では、分けたところを一枚めくってください。

村長 分けたところを一枚ひっくり返す。

そのカードはダイヤのエース。ひっくり返すその同時にプロジェクションマッピングにダイヤのエースがもう一枚追加される。

村民:おー!

白鷺姫 小さく首を垂れると、立ち上がろうときた。

村長:お待ちください。

村長 もう一枚下のカードをめくり、表にして置いた。

プロジェクションマッピングにも投影される。クラブの6である。

村長:白鷺姫…わしはさっき、指が引っかかりカードを傷つけてしまったと思うんだが、さっき持ったダイヤのエースは傷がなかった。ただ、今もったクラブの6には傷があるぞ。

村長 指でカードの左側を撫でる。

村長:これはどういうことかな?

(手を台に置き、諭すように)

白鷺姫:…お言葉ですが村長さん。これほどの先見の明をお持ちならもう誰が霊能者としてふさわしいか検討が付いているのではないでしょうか?

村長:…いえ、付いておりません。ただ、あなたが行ったマジックのタネは分かったと言うことです。

白鷺姫はなにか反論しようとするが、宝田楓が止める。

宝田:もうやめなさい。白鷺姫。

白鷺姫が振り返り、宝田を村長、村民もそちらを向く。

(白鷺姫はまだ余裕があるのかゆっくり。)

宝田:…私には本当に霊能力がある。それをあなたは伸ばしてくれると思ったのに、あなたは毎回毎回、人を騙すようなマジックしか教えないで…

白鷺:楓、やめなさい。

(声は大きく)

宝田:村長、今度は私にやらせてください。私は本物です。今回は出場資格はないですが…もしでしたら、ここにいる偽物の霊能力者を一人、今から子守唄になぞらえて呪い殺してみせます。

村民:子守唄で呪い殺す?

村民:たしかにあの子守唄は、大昔にここに住んでいたご先祖たちを助けるために霊能力者が作ったって言われてるからな…

村民:それじゃ、あの白鷺姫をあの弟子が呪い殺すと言っているのか…

村長:白鷺ならば、

白鷺 蛙を丸呑みし

蛙が腹で大騒ぎ

口で腹をつついてみれば

中から蛙がこんにちは

とあるがそれかね?

プロジェクションマッピングに歌が映し出される。

 

宝田:えぇ。なにせ歌はたくさんありますから、偽物は全て排除します。

宝田 白鷺姫を見る。

宝田:楽しみにしていてください。

(白鷺姫をにらみつけながら)

村長:よし、分かった。すぐというわけにいかぬから、全員最後まで見させてくれ。白鷺姫下がって。次は、里見結衣。

里見:はい。テーブルを使います。

白鷺姫 単体で下がり、里見が出てくる。

里見 小さな箱を持っている。

里見:これは玉手箱です。開ければ年齢が変わります。

村長:どういうことだ?

里見:では、これを…

里見 カバンから英語の単語帳とノートを二冊出す。

里見:誰か年齢と学力が同じぐらいな方は?

村民:俺たちは双子だが、英語の勉強なんか久しくやってないぞ。

二人が前に出てきながら言う。

里見:では、お二人とも単語を三分で覚えられるだけ覚えてください。では始めます。よーい…どん。

三分間、二人は一生懸命単語を覚える。

三分後

里見:そこまで。では覚えた数を書いてください。

二人は迷いながらノートに書いていく。

(終わったらセリフ)

村民:三分しかないならこんだけしか答えられんな…俺は四つは自身がある。

村民:俺も三つは自身があるが、あとは曖昧なのが何個か書けたな…

里見:では、この箱を開けてください。頭が若返るはずです。

二人共、中を覗き込む。箱からは煙が出ている。

村民:げほげほ…なんだ?

里見:それぐらいで大丈夫です。では、今度は単語帳の一番最後を覚えてください。行きますよ。よーいどん!

(三分後)

里見:では書き取り始め!

(村民 書き終える。)

村民:すごい!さっきよりも記憶にきちんと残っている。

村民:あいまいでも覚えた数が増えてる。これはすごい。

村民:これならいつまでも長生き出来そうだぞ!

村民 拍手

村長:良し。ならばこれで全員の霊能力決定行事の…

宝田:待ってください!白鷺姫がいません。

全員 ザワザワと見渡す。

宝田:逃げた?

村民:さっきの女、村長に悪事がバレて怖くなったんじゃないか?

村民:とにかく探さないと危なくないか?

村民:村長、探しましょう。

村長:そうだな。では二人一組になって捜索する。

全員:はい。

村民は二人一組になって「えらいことになったぞ。」などと言いながら退場。各々上手下手から出て行く。

魔法使いたちは宮川が一人で、残りは二人になり散って行った。

宮川 うろうろした後、慌てて退場する。

宮中:村長。

村長:すみません。宮中さん。しかしどうでしたか?

宮中:ある意味感動しました。ここに来た目的に沿って言えば、こんなことをやって決めていたのかと驚愕しました。これは残すべき文化です。しかし、あの白鷺姫という者…

村長:まさか見せていただいたものをそのままやるとは思いませんでしたな。逆に対策を取ってしまいましたが…

宮中:しかも、弟子二人の目の前でこのようなミスとは…

村長:私が彼女だったら逃げ出したくなるのは分かります。ただ…

宮中:弟子の宝田の魔法ですか?

村長:それもありますが、どうして宝田は「今から子守唄になぞらえて殺すと言ったのでしょう?」そらだったら、彼女が死んだら一発で自分が殺したと思うでしょう?

宮中:たしかに…しかし、どうして宝田は師匠が偽物だと…

村人:村長ー!

村長:どうした?

村人:宮川氏が、腹を引き裂かれて死んでます!

 

幕が落ち、客席側が暗転し、斜めに赤く、切り裂いたような切り口が浮かび上がる。

 




霊能力者たちがやったことを整理しました。

岸奈龍 自然を操る
新田三郎 ものを操る
宮川輝 切り絵を本物にする(死亡?)
白鷺姫 トランプのマジック?
宝田楓 呪い殺すという宣言
里見結衣 玉手箱
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