異世界転生は3つのタレントと今までプレイしてきたゲームのアイテムと共に   作:色々残念

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城塞都市エ・ランテル

セバスに色々な説明をしながら城塞都市エ・ランテルを案内するフレイムとフレイムの護衛として付き添うブレイン。セバスを一目見て、人間じゃないなと見抜いたブレインだったが、フレイムが気にしていないようなので、それを追求したりはしなかった。

 

劣化しないポーションを作るにあたって、現地の王国の人間でポーションに詳しい者がいないか気になったモモンガが、フレイムに聞くとエ・ランテルに店を構えるリィジー・バレアレの名が上がったので、ナザリックでも珍しくカルマ値が善のセバスがエ・ランテルに派遣されることになったのだ。

 

 

エ・ランテルで一番の薬師と言われるリィジー・バレアレの店に到着した3人が店内に入るとンフィーレア・バレアレが3人を出迎えた。「いらっしゃいませ、お客さ、フ、フレイム王子!」と驚いた様子のンフィーレアに背を向けてポーションを調合していたリィジーも驚いて振り返る。

 

「フレイム王子、何故このようなところに」と困惑しているリィジーに「新しく知り合った友人がポーションに興味があるようでね。エ・ランテル一番の薬師として名高いリィジー殿を紹介しようと思ったまでさ。ああ、勿論冷やかしではない。ポーションは一揃い買わせてもらうよ」とフレイムは笑顔で言った。

 

購入したポーション一揃いをブレインに手渡して下がったフレイムと前に出たセバス。リィジーの目の前で懐からモモンガに手渡されたマイナーヒーリングポーションを取り出したセバスは「貴女ならこれの価値が解る筈ですね」と言って紅い液体が詰まった瓶をカウンターの上に置いた。

 

勢いよく身を乗り出して瓶を恐る恐る掴んだリィジーは「か、神の血!これを何処で手に入れたんじゃ!」と声を荒げる。セバスは「詳細を教えることはできませんが、あることに協力していただけるなら、それは差し上げましょう」と冷静に言う。

 

リィジーは鬼気迫る様子で「何じゃ!孫を殺せという願い以外なら何でもするぞ!」と答えた。セバスは「そのポーションを参考にして劣化しないポーションを作り上げて、販売してほしいのですよ。売り上げの半分は此方にも回収させてもらいます。それが貴女に望むことですが、よろしいですか?」と聞く。

 

リィジーは「神の血が頂けるなら、その程度は些細なことじゃ!必ず劣化しないポーションを作り上げてみせますぞ!」気合いの入った声で宣言する。セバスは頷いてから「交渉は成立ですね。後日再び伺わせていただきます」と言った。

 

「用は済んだようだな、それでは失礼」と言ってから踵を返したフレイムにブレインとセバスは着いていく。それからエ・ランテルの外に出てかなり離れたところでフレイムがブレインに、持っているポーションをセバスに渡すように言った。

 

「とりあえずそのポーション一揃いは差し上げよう。現地のポーションがそちらの参考になればいいがな。それでは私達はエ・ランテルに戻るとするよ」と言ったフレイムはブレインを連れてその場から風のぼうしの効果で 一瞬でエ・ランテルまで移動する。

 

1人残されたセバスをゲートで迎えにきたナザリックのしもべに連れられてナザリックにセバスは帰還した。帰還したセバスを出迎えたモモンガは無事に現地の協力者がつくれたことを喜び、現地のポーション一揃いを買ってくれたフレイムに感謝する。

 

劣化するポーションであることから迅速に効果を確める必要があると判断したモモンガはナザリックのしもべ達に命じて、現地のポーションの効果を確めさせることにした。結果としては直ぐに効果が現れる物は最高額の物だけだと判明。

 

あとは値段に応じて回復量に差があり、回復自体に時間がかかるということが解った。劣化しないポーションを作り上げれば莫大な利益が得られると確信したモモンガはフレイムとの縁は大切にしようと心に決める。

 

その頃エ・ランテルではブレインとクレマンティーヌが対峙していた。冒険者を襲おうとしていたクレマンティーヌを発見したフレイムとブレインがクレマンティーヌに話しかけると襲い掛かってきたクレマンティーヌ。

 

仕方なく手を出そうとしたフレイムを制して「今日は俺が貴方の護衛なんだろう?仕事を奪わないでくれ」と言ったブレインのカブレライト製の刀が、クレマンティーヌのオリハルコンコーティングがされたミスリルのスティレットをバターの様に両断した。

 

「てめぇっブレイン・アングラウスか!」距離を取って叫ぶクレマンティーヌに「そういうあんたは誰だ?」と居合いの構えで問うブレイン。「このクレマンティーヌ様が、てめぇのような奴に負ける訳がねぇんだよぉ!」と獅子が獲物に飛び掛かる前の様な前傾姿勢になりながら吼えるクレマンティーヌ。

 

その態勢から武技の流水加速を用いて疾走するクレマンティーヌがスティレットをブレインの額を狙って突き出したが、100レベルである今のブレインには止まって見えるほどスローな動きに見えていた。容易くそれは避けられて、鞘から抜き放たれた刃が煌めく。

 

武技ですらない4連斬が放たれて四肢を斬り落とされたクレマンティーヌが地に転がる。盛大に噴き出した血液が地を染めていく。ブレインは「過去の俺だったら額に穴が開いてたかもな」と冷静に言う。クレマンティーヌに血が止まる程度の最低限の外傷治療を施しているとドクターの職業を習得したフレイムだった。

 

思わぬ職業習得に気分が上向きになりながらも「さて生殺与奪の権は此方にあるわけだが、何故冒険者を襲おうとしていたのかな君は」と本人にとってはかなり軽い殺気を放ってクレマンティーヌに質問するフレイム。「ひぃっ!こ、殺して冒険者プレートを奪おうと考えてました!」と感じる殺気の圧力に失禁しながら素直に質問に答えるクレマンティーヌ。

 

 

「何故そんなことをするのかといえば、ハンティングトロフィーのようなものかな」と言いながらクレマンティーヌの髪を掴み上げて顔を覗き込むフレイム。「そ、そうですぅ!」と恐怖に涙を流しながら肯定するクレマンティーヌ。「さて、このエ・ランテルに 何をしにきたのかな?正直に答えてくれると嬉しいのだが」と質問するフレイム。

 

「ズーラーノーンのカジットと共にエ・ランテルに死の螺旋を起こしにきましたぁ!」とあっさりと白状したクレマンティーヌ。「どうやって死の螺旋を起こすつもりだ?」と無表情で聞くフレイム。「リィジー・バレアレの孫にわたしが持ってる叡者の額冠を被せてから墓地で魔法を使わせて死の螺旋を起こすつもりでした!」とすらすらと答えるクレマンティーヌ。

 

「それだけ聞ければ充分だ。貴様を生かしておく必要はない。王国の害となりえる貴様とカジットとやらには消えてもらおう。跡形もなく消えろ」と言って魔法を唱えたフレイム。文字通り跡形もなく消え去るクレマンティーヌ。

 

クレマンティーヌが居た場所に落ちる叡者の額冠がクレマンティーヌがそこに居たことを現していた。叡者の額冠を拾い上げてアイテムボックスにしまいこんだフレイムはブレインに「行くぞ、次はカジットだ」と言って墓地へと向かう。

 

墓地に潜んでいたカジットを発見したフレイムとブレイン。フレイムが「貴様がカジットか?」と聞くと「何故わしの名を知っている」とカジットは困惑している様子だった。「クレマンティーヌが白状したぞ、貴様が死の螺旋を起こそうとしていることもな」とフレイムが言うと「口の軽い奴め、クレマンティーヌはどうした?」と問うカジット。

 

「殺したよ、次は貴様の番だ」と言い放つフレイム。「クレマンティーヌを殺せるほどには腕が立つようだが、わしを甘くみるなよ!」と言ったカジットは死の宝珠を掲げてアンデットの召喚を始めた。現れたスケリトルドラゴン2体が咆哮を上げながら接近してくるが、ブレインが居合いの構えで前に出たかと思えば、スケリトルドラゴンは粉微塵に切り裂かれて微細な欠片しか残らない。

 

「馬鹿なっ!」と叫ぶカジットの眼前にいつの間にか立っていたブレインが抜き放っていた刀を鞘に納めた瞬間、カジットが反応出来ない速度でいつの間にか十字に切り裂かれていたカジットが4つに両断される。

 

両断されたカジットの死体から死の宝珠を回収してアイテムボックスにしまいこんだフレイムは、カジットの死体と衣服を残さず魔法で消滅させた。「さて、宿に帰るかブレイン」と言って墓地を後にするフレイムにブレインは着いていく。

 

それから数日後、エ・ランテルを歩くフレイムとブレインに話しかけてくる男達と女が1人いた。王国のアダマンタイト級の冒険者チーム四腕のリーダーであるゼロが「久しぶりだな、ブレイン・アングラウス」と声をかけたことから始まり、ペシュリアンとマルムヴィストが「御前試合以来だな!」と会話に入ってきて、エドストレームが「初めましてフレイム王子、リーダーがブレインしか目に入ってなかったみたいで、すいません」と挨拶と謝罪をしている。

 

 

そんなエドストレームに「ああ、構わないよ」とフレイムが笑顔で返事をしていると、そんなフレイムを横目で見ながら「フレイム王子の護衛とは、出世したなブレイン」と言ったゼロに「そちらこそ、四腕はアダマンタイトだろう。冒険者の最高位じゃないか」と言うブレイン。

 

「互いにガゼフに負けた者同士、あのままではない筈だ。勝負しないかブレイン」と言ったゼロに「フレイム王子、構いませんか?」とブレインはフレイムに聞く。「構わないよ、好きにするといい」と了承するフレイム。「決まりだな、エ・ランテルでやると止められそうだ。外に出るぞブレイン」と言って歩き出すゼロ。そんなゼロに四腕の3人が着いていく。

 

フレイムとブレインもその後に続いた。エ・ランテルから離れた場所で対峙するゼロとブレイン。構えるゼロにブレインはフレイムから手渡された手加減する為の刀を抜き、柄を時計回りに回して刀身を峰打ちにかえた。踏み込んだゼロの腕をブレインは峰で軽く叩く。

 

ブレインにとっては壊れ物を扱うかのようにそれは優しく叩いたのだが、レベル差が有り過ぎてゼロにとっては剛打の一撃に等しかった。骨が折れていないことが奇跡に感じるゼロは、受けた一撃の重さから実力差を感じ取ったが、それでも退かずに立ち向かう。頭を峰打ちだとしても打たないように気をつけながらブレインはゼロの身体を打ちのめしていく。

 

数十分でゼロは立てなくなった。意識がはっきりしていても身体が言うことをきかないという状態にまで追い詰められたゼロ。そんなゼロに「勝負ありだ」と言ったブレイン。「これほど迄に差があるとはな」と悔しそうな声を出すゼロ。そんなゼロをケアルガのマテリアを使って回復させるフレイム。

 

「感謝する、フレイム王子」と頭を下げたゼロ。ブレインは「まだやるか?」と聞いた。ゼロは「いや俺の完敗だ。実力に差が有り過ぎて実感が湧かないが、お前は俺の遥か先にいるということは確かだろう」と素直に負けを認める。

 

マルムヴィストとペシュリアンは「リーダーが手も足も出ないなんて格が違う」と戦慄している。エドストレームは「アダマンタイトになってもまだまだ上がいるんだね」と頷いていた。ゼロは「ブレイン、どうやってそこまで強くなったんだ?」とブレインに問う。

 

 

ブレインは「話しても構いませんかフレイム王子」とフレイムに聞いた。フレイムは「特に秘密にしている訳ではないから、問題はないよ」と答える。

 

ブレインは「俺が強くなれたのはガゼフよりも強いフレイム王子とバルブロ王子のおかげだ。ひたすら自分よりも強い王子と戦い続けていたら、強くなっていた。自分の限界以上に強くなれたのは王子達が先にいたから、追い付こうと思って頑張れたんだ」とゼロに自分が強くなれた理由を話す。

 

ゼロはフレイムを見て「貴方の元でなら俺も強くなれるだろうか」と言った。フレイムは「諦めなければ必ず強くしてみせるさ」と力強く断言する。ゼロは頭を深々と下げて「俺を強くしてくれ!俺はもっと強くなりたい!」と叫んだ。

 

マルムヴィストとペシュリアンは「リーダーがそうするなら俺達も着いていく!」と言い出した。エドストレームは「こりゃ冒険者稼業はしばらくお休みかね、あたしもよろしくお願いしますフレイム王子」と頭を下げる。フレイムは「やる気があるなら早速今日から始めるが、厳しくいくから覚悟しておけよ」と言って笑う。

 

ブレインは「頑張れよお前ら」と自分の過去を思い出しながら四腕を激励した。後日四腕は全員がレベル50に到達するが、フレイム王子の訓練内容が地獄だったと語ったらしい。


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