ヒーロー組織を解雇されたので、敵味方問わず肉奴隷にすると決めた。 作:胡椒こしょこしょ
装光機関。
司令室を書かれた立て札が下げられた部屋の中。
薄暗い部屋の中で、二人の人物がある書類を持って立っている。
「前医療顧問及びに臨時技術補助員、冠木夢二.....か。」
「えぇ、今現在は宝条恵美を拘束して行方をくらませている。」
ガタイの良い偉丈夫の前で白衣を来た女性が立っている。
偉丈夫は彼女の言葉を聞いて、言葉を漏らす。
「...結局、君が言う通りだったな。彼が魔族と繋がりがあるのかもしれないと。もっと早く注意を向けていれば....」
彼がそう言うと、目の前の女性は励ますように明るく言葉を続ける。
「健彦くんのせいじゃないわ。貴方は...優しすぎるから、皆を信じてしまうのよ。」
彼女がそう言って健彦司令の肩に手を置く。
しかし彼はゆっくりと彼女の手を払いのけた。
「そんなこと、言い訳にもならない。私の判断が皆を危険に晒してしまった。....彼は、護送中の装光を襲撃した。もはやグレーなどではなく、黒だ。彼は我々装光機関の敵であると見なす。」
「そうね。....それにしても、まさか辞めさせた矢先にパワードスーツ?らしき物を作っているなんてね。辞める前からそのつもりだったのかしら。」
彼女はそう考えこむ。
すると、健彦が口を開いた。
「....今思えば、彼は不可解な所が多い。確かに彼は医療の知識も資格も十全にあった。しかし、実績を考えみるに技術部門に行くのが妥当なはず。前回の玲緒奈君の報告によればあんなアーマーを用意していたというじゃないか。しかし、彼は医療部門を強く要望した。それこそ、技術部門へは臨時職員として積極的に関わるのを避けていた気がする。何を考えていたのか.....?」
「....私の推理でしかないけど、もしかすれば彼は神姫たちと関わりを持ち、バイタルデータを取得する為に医療部門の顧問にまでなったんじゃないかしら?グレーであったからこそ、私達は神姫たちの意向を優先すると言った名目で辞めさせたけど....もし彼女達が感じていた恐怖がセクハラだけでなく、無意識に自身を探る視線を感じていたとしたら.....」
すると、彼は真面目な顔で女性に言葉を掛けた。
「だとすれば、私達はみすみす彼の目的の達成を看過してしまったと言えるな。...今回、護送中のトラックが奪われたのは....」
彼女は首を縦に振る。
「彼ではないわ。未だに人工衛星は荷台が凍りながらも走行しているトラックを捉えている。つまりは以前起動実験で盗まれた装光が用いられている事から、犯人はあの時の少女だということが分かる。ただ.....。」
「玲緒奈君によれば恵美君が彼女に出した応援要請では人型の機械がトラックの荷台に居ると言っていた。つまり君が考えているのは....今回の事件が冠木夢二と彼女の二人によって行われた。そういうことだろう?」
そう言うと、彼女は頷く。
その様子を見て、彼は暫く考え込むと顔を上げて口を開く。
「なんにせよ、我々はあの男の居場所を割り出し、恵美君を救出しなければいけない。....また苦労を掛けることになってすまない。ディーラ君。」
そう言うと、彼女は柔和に微笑む。
「ふふ...何言ってるのよ?忘れちゃった?私は医療及び技術顧問なんだから。それが私の仕事よ。」
「本当に、君には助けられている。...ありがとう。」
そう言うと彼らの話は終わり、部屋の外へと彼女は出る。
部屋から出て廊下を歩く。
周りに人気はない。
すると、彼女の表情はさっき柔和な笑みを浮かべていたのが嘘のような無表情で言葉を続ける。
「これで不確定要素を排除できる。」
そう一言言うと、彼女は技術部門へと歩みを進めた。
自らの仕事を為す為に。
◇
▲月△日
今日はまずはメイド神姫の装玉の解析を始めた。
一応、KⅡの方にデータはあった物の、やはり直接対象物からデータを収集すると奴らからコピーしたデータをより詳しく深めていく事が出来る。
まだまだ序盤ではあるが、これから更に分かることも増えていくだろう。
現状、これを解析するのは私のスーツの瞬間的着装機構の制作の為ではあるが、もしかすれば収集したデータが何か別のことに役立つかもしれない。
スーツについては素材から考える必要がある。
昔、研究に携わった物を探してみてもいいかもしれないが、基準としては極地に対応できる物だ。
現状、スーツの改造においては二つ選択肢がある。
一つは、熱と冷気二つに両方対応できるような装甲にする。
しかし、どちらもとなると耐熱と耐冷のどちらにおいても中途半端になってしまうかもしれない。
もう一つは、耐冷仕様と耐熱仕様で分けると言った考えだ。
しかし、現状の私の技術ではその場で仕様変更するようなことが出来ず、戦闘前にどのような攻撃を行う敵か判断して着て行く必要があり、そうなると二つスーツを作る必要が出てしまう。
少し考える必要がありそうだ。
また、今日は彼女が起きた。
低体温症になっていたのを看病したのは私である。
元々は彼女の担当医ではあったが、今はそうではない。
なのに、面倒見たのだから大人しく調教を受けてもらいましょうかね....。
取り敢えず、明日から調教を始めようと思う。
どんな感じに躾けていくか楽しみである。
初めての調教、明日までに色々と調べておこう。
▲月▽日
色々と彼女と話していて、様子がおかしい。
なんか死にそうな顔してるのだ。
しかもこれから私が調教してやるからな的なこと言っていたら、もう好きにしてくれ的なことを投げやりに言われた。
これでは、全然勃たない。
こう、なんだろ....嫌がってても良いから相手の意思を感じないと、それって壁相手にやってるのと同じだと私は思うのだ。
今の彼女は電池が切れたかのようだ。
何故こうなっているのか心当たりはある。
多分、薬が切れたのだろう。
精神安定剤。
鬱なのだろう。
担当医でそのことに関して薬を処方していたりするので、私には分かる。
しかし、そんな薬は現状手元にない。
だが、この状態の彼女にどうこうしたところで、意味がない。
取り敢えず精神安定剤と、一応睡眠導入剤を取り寄せないといけない。
薬の種類を明日聞いておこう。
未だにスーツの案は出ないが、マスクの音声やリキッドスティンガーの修理を完了した。
また蟲たちの繁殖も忘れない、大事な武器だからな。
装玉においてももっと時間を掛ける必要がありそうだ。
▲月▲日
今日は彼女に薬の量を聞いた。
そしたら聞いて驚いたのだが、私が居た頃の十分量以上だ。
正直、私が居なくなる前に引き継ぎの時に、彼女の処方量はゆっくり徐々に減らしていったのでそれを経過を見て継続するように書いていたが、元の量以上に増やされているのはなんでだろうか?。
随分ときな臭くなった。
医者として彼女のことを考えれば、確かに精神安定剤を飲むことは彼女の気質を見て悪い事では決してないが、薬物療法を過信するのもアレだし、そもそも多く飲まなくても元気であるに越したことはないのだ。
副作用のこともある。
なんのつもりだ...?今の彼女の担当医は。
引き継ぎの内容を守らないとか軽く説教物だぞ。
....まぁ、神姫の身体に触ってあわよくばを狙う為というスケベ心が故に医療部門を強く要望した私が説教するのもおかしな話ではあるが。
取り敢えず彼女には一応色々話して、薬の量をまともな量へ徐々に減らしていくと明言した。
最初は疑っていたが、心当たりがある為か、最終的に同意していた。
正直、さっさと減らしてしまった方が面倒臭くなくて良いが、離脱症状という物がある。
ゆっくりと進めて行こう。
まぁ一応縛り付けているから安心だが、様子はずっと見ておこう。
....なんで調教して肉奴隷にするつもりだったのに、患者の時と同じことしてるんだよ。
これでは分析もスーツの修理も進むわけがないと言うもの。
クッソ、今の彼女では勃たないが、胸くらい一日中揉ませろ!!
そのくらい働いた、今の機関の医療顧問が誰か気になる物である。
説教してやる。
▲月▼日
薬を徐々に減らしてから1週間。
彼女が歯軋りしながら暴れて薬が欲しいと懇願した。
元から縛り付けてたから問題ないが、こうして見るとやっぱ結構引く。
俺、やっぱこの子持ち帰らない方が良かったかなぁ。
最近は調教どころか普通に治療してるし。
そんでもって落ち着いて我を取り戻せば泣いて謝る始末である。
泣くなら調教でイッた後にして欲しい。
とにかくこれから薬を減らす以上、いつもこうなられては困る。
何か手段を考えなくては。
ただ悪い事ばかりではない。
装光の形成プロセスがどのような物なのかが解析していく内に分かった。
装玉内部に保存されている粒子を適合者に適合する形で、装玉ごと再構築するものらしい。
一応、演算自体は再現できなくもない物だ。
要するに、装玉自体が粒子を保存して装着した物に会うように演算していると言えるからだ。
そう考えれば、KⅡでも一応その機構の代用は出来る。
しかし、なぜ装光を形成できるほどの粒子を保存しておきながらあれだけ軽いのか分からない。
もっと分析が必要だ。
正直、スーツの瞬間的着装機構は後にして、耐冷と耐熱をどう使い分けるか。
それが重要な点なのだ。
最近は頭を悩ますことが多い。
▲月〇日
薬抜きをして2週間。
昨日は徐々に薬を減らしていって耐えられなかった彼女に辛抱ならずもうこのまま調教しようとして蟲を付けた。
イキ狂った様子は心底股間に悪かったが、なんにも解決手段になっていない。
そう考えていると、予想外に彼女にまた頼まれたのだ。
なんでもイッてる最中は考えなくて良くなるからだとか。
まさか蟲君にこんな使い道があったなんて...。
そもそも医療目的ではなく、私の調教道具なので、こんな使い方するのは複雑な気分だが、それで彼女の薬抜きが進めるなら本望だろう。
もしかすれば蟲の体液などにも何か効果があるのか?
もし何かあってはアレだから調べておこう。
最近はこれも自分が勃つような彼女に持っていこうとしてるから調教なんじゃね?と考えるようになってきた。
なるほど....医療行為もれっきとした調教だったのか。
勉強になった。
これは調教と治療を並列して行った方が良さそうだ。
スーツに置いては耐熱と耐冷に置いてケツアクメシステムに装甲の表面温度を一定に保つという機能を追加して、装甲内で装光の温度に冷却水と不凍液を流し分けてスーツ内部から装甲の温度を調節する。
そしてスーツ自体の凍結や雪詰まりを防ぐために雪固着防止剤を噴射した。
一瞬ローション化して付けるかと色々考えたが、そうなると、頭部の視界が悪くなる可能性があるのでやめた。
これで一応自分が出来る温度対策は完了した。
まぁ至らない部分が見つかればまた直せばいい話だ。
ただローションと言った要素を考えた時に、今のスーツの強化アイデアが浮かんだ。
一応温度変化による装甲の結晶構造の変化に対する変化対策は一段落付いたので、新しく作ってみてもいいかもしれない。
▲月×日
最近は調教と並列して行っているので治療も順調に進んでいる。
蟲だけではなく、私自身のモチベーションの為に手づから調教も行っている。
別に身体は弄ったけどまだ手は出しちゃいない。
こういうのはじわじわと攻め立てて、詰みの状況になった所で盛大にぶっ壊すのが良い。
まるで将棋だな。
なお使っている蟲の分泌物を調べるとどうやら調教用だけあって唾液の作用である性欲増強効果と共に、調教対象者を墜とす為に脳内に幸せホルモンが分泌されていることから、これが鬱状態の解消に良い効果を示しているかもしれない。
装玉の解析は依然継続中。
スーツの方は、小型のジェットポッドを付けることで瞬間的着装機関とはいわないが、遠くに居ても遠隔操作で着装できるように変更した。
少し改造するだけなのでそこまでかからない。
またローションを用いた武装については初の別形態という物に挑戦しようと思う。
最近のヒーローは大体一つか二つ、用途が違ったり、純粋に強化フォームと呼ばれるような形態を持っている物だ。
そしてそういう分かりやすい変化は得てして人気になりやすい。
よって私は新しくローションを用いた形態を作ることに決定した。
改造としては四肢のパーツを取り替える感じにする。
遠隔から新形態のパーツを呼び寄せてその場で換装する感じである。
スーツの改造及び修復は順調であるが、少し気になることもある。。
なんでも、私を嗅ぎまわっている連中がいるらしく、周囲を偵察用のドローンが飛んでいたりした。
もしかすれば、ここから別の所に移らないといけなくなるかもしれない。
作りたい物が決まった矢先にこれだよ。
多分バイクで帰った時をカメラで記録されていたんだろうな。
新形態制作と転居用意も急がなくてはいけない。
◇
とある一室。
机や椅子などの殺風景な部屋には似つかわしくない拘束器具に拘束された少女。
そしてドアが唐突に開く。
「よぉ。将来のご主人様の視察だぞ。様態の方はどうだ?」
そこには白衣を着てキビキビとした様子で入ってくる男。
そんな彼を見て、少女は一言呟く。
「冠木先生....、元気ですね。」
彼女は男を先生と呼ぶ。
以前、彼が機関に居た頃、自分の担当医だった時の呼び方。
彼の治療を受けて、曲がりなりにも薬の量を減らすことに成功している。
少し歪んではいるものの、彼と彼女の両者の関係は前以上に患者と医者になっていた。
だからこそ、先生と呼んだ方が良いのではないかとさん付けを止めたのだ。
彼女の中で心境の変化があったようだ。
「当然だ、スーツの制作が順調でね。分かるかね宝条恵美君?スーツじゃなくてsuit、suitなのだよ。」
ネイティブ風に恵美に対してそう言葉を口にする冠木。
その有様は見ていて、腹の立つようなしたり顔をしていた。
「なんか腹立つのでその顔をやめてもらって良いですか?」
「ほう、その不遜な態度...中々良いぞ。やはり調教相手というのはこちらに抵抗してこないとな。返答としては満点だロリ巨乳!!」
彼はそう言って、勢いよく宝条に指を突きつける。
すると、彼女をムッとした様子で返答する。
「何ですかその呼び方!!エッチなのはいけないと思いますッ!そんなだから辞めさせられちゃうんですよ!!第一私はロリじゃないし、小っちゃくないです!!!」
「フッ、私はこういう人間だ。だから天才である我が気質に合わない職場の方が悪い。それにロリ巨乳をロリ巨乳と、チビをチビと呼んで何が悪い。寧ろ、その胸でロリであることに誇りを持つべきだろう。私の中では初めて見たロリ巨乳だ。パイオニアと呼ばせてもらおうか。これからよろしくな、パイオニア。」
「縛られていなかったら今すぐぶん殴ろうとしていましたよ...マジで....。」
おちょくるような口調で言葉を口から紡ぐ冠木に対して睨みながらも、ガシャガシャと拘束具を動かす彼女。
彼女は両手両足を固定されており、揺らすことしかできない。
「元気そうじゃないか....まぁ私の主観ではだが。自分自身ではどうなんだ?」
そう言うと、一瞬逡巡するも彼女が申しわけなさそうな表情で頷く。
「え、えっと....その.....私としてはまだ大丈夫だけど、その沈む予感があって....アレ、お願いしたいんですけど。」
そう言うと彼女は恥ずかしそうに赤面する。
対して男はニヤリと笑みを浮かべる。
「自分から要求してくるとは...ククッ、堕ちてきたか?調教の甲斐があったというもの。」
「なっ!ち、違います!これは蟲による処置を望んでるのであって断じて私は墜ちてなんかいませんし、貴方にも身体を許したつもりはありませんっ!!」
弾かれたように語気強く否定する彼女。
それを見ても、彼はニヤニヤと笑みを崩すことはない。
「そうかぁ?まぁ、どちらであれ今日は蟲オンリーにするから関係ないけど。私はちょっと立て込んでて手が離せない。本当に残念だがな。」
「立て込んでいる?」
冠木の言葉を聞くと、首を傾げる彼女。
それを見て、彼は言葉を続けた。
「そうだ。...良かったな。どうやらお仲間が助けに来てくれるらしいぞ。」
「仲間って...みんなが!?」
恵美は声を上げる。
すると彼は頷く。
「そうだ。良かったなぁ、運が良ければ戻れるかもしれないぞ?まぁ、させやしないが。残念だったな。」
勝ち誇るようにそう言う彼。
すると、彼女が複雑そうな表情をする。
「戻る....方が、良いんですかね....?」
「ん?何を言ってる?」
その煮え切れない物言いを聞いて冠木は首を傾げる。
するとぽつぽつと彼女は言葉を続ける。
「こんな風に薬や誰かの支えがないと苦しいなんて....それに、神姫でもない先生に負けちゃうくらいで、私なんか足手まといだし....それに、医療顧問のディーラさんは何でか私に一杯薬出してて、戻れば元に戻っちゃうかもしれないし.....。」
ウジウジと言葉を続ける彼女。
しかし、その言葉を聞くと呆れたように冠木は言葉を吐く。
「そんな君自身の重い思いなんか知らないよ。私はyouじゃないから、その答えを知らない。」
「で、ですよね....なんか、急にごめんなさい。あ、アハハ...やっ、やっぱりもう沈んできてるのかなぁー!参ったなぁ...えへへ.....」
彼女は作り笑いを顔に浮かべて冗談めかす。
しかし、その顔を見ながら彼は言葉を続けた。
「...ただ薬や誰かの支えがないと苦しいのはおかしなことではないし、天を貫き宇宙すらも覆う程の才能を持つ私に負けることは妥当なことだ。寧ろ勝てると思ってたのか?それに、医療顧問には、君がちゃんと要望を言えば受け入れられるんじゃないか?もしあれなら、司令とやら相談すれば良いだろう。それに第一.....。」
彼は三日月のように獰猛な笑みを口元に刻み、彼女の頬を掴む。
そして顔を近づけて言った。
「君は私の肉奴隷一号にして、希少価値の高い巨乳ロリだからな。手放す気など毛頭ない。私から逃れられると思うな....どうせ私の元から離れられないのだからそんな余計な事を考える必要はない。それをするなら、精々肉奴隷らしく、私にどんな目に合わされて泣かされるか考えて怯えているんだな....私が君に求めるのは、それだけだ。分かったか?」
彼の問いかけに、一瞬の間の後に首を勢いよく振る彼女。
それを見ると満足げに笑って、蟲の準備をすると言ってカーカッカッと笑いながら部屋を出る冠木。
彼が出て行った後、ぽつりと呟いた。
「...多分、言葉通りでそれ以上の意味なんか...ない、よね?....にしても変な笑い方。」
そう言いながらも、彼女は彼の笑い声を聞いてクスクスと小さく笑う。
数秒後、この部屋で蟲の吸い付く音と嬌声が響かせる。
その少し前の出来事だった。
◇
暗い夜道。
辺りを包む闇夜とは対照的な白い冷気が高速道路を移動している。
上部が半凍結状態になったトラック。
その運転席には一人の少女が座って、トラックを運転している。
山付近の坂道を上っていくトラック。
そんなトラックの背後。
闇に紛れて人影がトラックを後ろから追いかけていた。
その人影はただ走っているだけ。
それだけなのに、走行しているトラックに食らいついているのだ。
その人影は左腕を上げる。
そこに握られているのは銃のような物。
それをトラックのケツに向ける。
そして引き金を引いた。
パシュと控えめな発射音と共にその銃器からアンカーが飛び出す。
アンカーは勢いよくトラックのケツへと飛んでいき、荷台に突き刺さる。
突き刺さったことでピンと縄が張る。
人影はそれを確認すると、まるでウェイクボードで海面を滑るかのようにアスファルトの道路を火花を出しながら滑っていく。
そして、もう片方の手で腰の後ろに付けていた大型の銃器を握る。
瞬間、アンカーの張力に任せて跳び上がる。
トラックの荷台に向かって飛んでいく彼女。
右腕で握った銃をそのトラックのケツに向けて発砲した。
銃とは思えない程に轟く発砲音。
弾丸が荷台にめり込んでいく。
そして炸裂した。
扉が跳び上がった彼女の真下を飛んでいく。
アンカーは刺さる対象を失い、フックガンの元へと戻っていく。
そのフックガンを流れるような所作で後ろに放ると、トラックの中に向かって、空を蹴った。
「....!?なに?」
トラックの急な揺れと大きな音でトラックに何か異常が起きている事を理解する騎士甲冑の少女。
後ろの荷台の中から誰かが歩く音が聞こえる。
しかし、彼女は今ブレーキを踏んでトラックを止めれば逃げる隙を相手に与えることになる。。
だからこそ、彼女は剣を助手席に突き刺した。
瞬間、そこからドンドンと凍結していくトラック。
氷が運転席のみならず、荷台へと迫っていく。
そして、完全に荷台が凍結する。
それを確認すると、彼女はブレーキを踏んだ。
トラックを止める。
運転席から出ると、トラックの荷台を見に行く。
氷は荷台のコンテナに空いた穴を塞ぐように凍っていた。
(....あの時は、まだ荷台の中に居た。そしてこの凍結速度。相手はきっとこの中...!)
瞬く間に凍らせることが出来る自分の装光。
それに自信がある彼女はそれを確信すると、氷に手を添える。
すると、氷がみるみる内に溶けていき、コンテナの中が見える。
「...そん...なっ....!凍結速度よりも早く、抜け出した...?そんなこと、あり得ない...。」
コンテナの中、遺物を収めていたであろうケースはバラバラに割れて下に散らばっており、そこには遺物どころか人一人居なかった。
驚愕した様子で呟く彼女。
暗い夜道、ただ一つのトラックが唯白い冷気を放ちながらも、そこに佇む。
そして彼女も茫然として、動けなかった。
後ろを見ると、何やら一つ銃器が落ちていた。
「...あなたは、一体...何者.....?」
自らを撒いてみせた存在。
そんな存在への行き場のない敵意を込めた目を空へと向ける。
空は雲で覆われて、何も見えなかった。
東京上空。
ハングライダーが暗闇を掻き分けるように進んでいく。
そこに乗っているのは一人の少女。
黒いボディスーツの上からミニスカタキシードに身に纏い、マントを夜風にたなびかせる。
輝くような金髪には小さなシルクハットが乗っている。
右手左手にはそれぞれ色の違う黒と白の手袋。
足は艶やかに輝く黒タイツ。
そして涙のラインがあるマスクだけが彼女の目元を隠していた。
そして、ハングライダーを掴んでいる手とは別の手に皺皺の腕のミイラのような物を握っていた。
それを見て、彼女は爽やかに笑みを浮かべる。
「遺物....ゲットデー--ス!!」
彼女が影が月光を切り裂くように横切ると、嬉しそうな少女の声が夜空に微かに響いた。
お前は俺の物宣言
なお、肉奴隷という意味の模様