日本ウマ娘トレーニングセンター学園
トゥインクル・シリーズへのデビューを目指して、毎年全国からウマ娘が集まるこの学園に、とある噂が流れ込んできていた。
新しく、小学生のような見た目のトレーナーが雇われたらしい。
何でも、そのトレーナーは理事長の関係者であり、
根も葉もない噂ゆえ、あまり信じられていないが、
火のないところに煙は立たない、
という言葉があるように、
何の根拠もなしに、そのような噂は流れないものだ。
○○○○○
最高速度数値5桁
とある世界に、素の速度が4桁を記録する程までに、自身を鍛え続けた少女が居た。
一般人が全力で走っても、1桁程度の速度しか出すことができず、
ウマ娘が全力で走って、精々2桁。
世界レコードを何度も書き換えた伝説のウマ娘、
あのセクレタリアトですら、速度数値3桁に到達できたものの、4桁には届かずにいた……。
○○○○○
「……ウマ娘かぁ。私の世界にはない種族だけに、興味が惹かれるねぇ。
それで? 私がその、えっと、トレーナーだっけ? になる代わりに、この世界での私の身分を保証してくれる……、だったかな?」
「その通りッ! 本来であれば、トレーナーになるには特別な試験や資格が必要になるが、
そこは私に任せておいて欲しい! ……まぁ、正直言うと、君が私の目の届かないところにいるのが怖い……、だけなのだが」
「あー、まぁ、そうだよね。私だって、自分より強くていつでも私のこと殺せそうな人が、自分の目の届かないところにいたら怖いからねぇ。……メシェーラ菌が無く、エーテルの香りすらしない、こんな平和な世界があるとは思わなかったけど」
「疑問ッ! 君のいた世界は、そんなに過酷だったのか?」
「そうだねぇ。弱い者は道を歩くだけで殺され、強い者は周りから恐れられ、敬遠される。
そんな残酷で、強くなる以外に生き残る方法がない世界かな。
……ムーンゲートもあるし、よかったら遊びに行ってみる?」
「え、遠慮するッ!
……そういえば、君に言われて用意した名簿だが、気になる子は居ただろうか?」
「まぁ、何人かは居たかな。色々この世界のことやウマ娘について教えてもらったけど、本当に私が面倒を見ていいの? 今ならまだ撤回できるけど?」
「無論ッ! さっきはああ言ったが、ウマ娘よりも速く走れる君に興味があるのも事実!
その速さを、彼女たちにも伝授してもらいたい。……ただし、彼女たちを壊してしまうような、そんな危険なことだけはやめて欲しい」
「わかってるって。私だって、無闇矢鱈に誰かを傷つけるようなことはしたくないからね。
……それじゃあ、改めて。これからよろしくね? お母さん」
「こちらこそだッ! ……別に、二人っきりの時は無理に親子の関係に見せなくても構わないのだぞ?」
「まぁ、誰が聞いてるかわからないしね。それじゃあ、私は一旦向こうの世界に帰るね。
明日までに少し、用意しておきたいものとかもあるから。じゃあ、またね。……【帰還】」
○○○○○
「行ったか……」
魔法、だったか? 本当に彼女はこの世界の人間ではないのだな。
あの日、私の目の前に突然現れた時は驚いたものだが、
彼女が大人しい性格で良かった。
イルヴァと呼ばれる世界のことや、その世界で暮らす様々な種族、
ネフィアと呼ばれる文明遺跡のことや、多種多様なモンスターのことなど、
御伽噺のような世界のことを聞いた私は、
彼女に興味が湧くと同時に、……恐怖してしまった。
もしも、彼女がこの世界で暴れようものなら……。
もしも、彼女の世界のモンスターがこの世界で暴れようものなら……。
もしも、彼女に嫌われようものなら……。
もしかしたら私は、とても危険な取引をしているのかもしれない。
だが、彼女の実力が本物なら、
神様よりも速く走れるという彼女の話が本当なら!
間違いなく、トレセン学園に新しい息吹をもたらしてくれるだろう!
1話あたりの文字数はどのぐらいが丁度いいですか?
-
1000~2000
-
2000~3000
-
3000~4000
-
4000~5000
-
それ以上