IF:廃人がウマ娘に興味を持ったら……   作:鮭ハラス

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第1話:廃人を紹介してみたところ……

翌日、トレセン学園に所属するウマ娘たちは全員、

体育館へと集められていた。

 

新しいトレーナーが急遽、今日からトレセン学園で働くことになる……、とは聞いていたが、まさか体育館へ集められるとは思っていなかったのか、彼女たちは困惑していた。

 

「ねぇ、マックイーン。ボクたち何で体育館に集められたんだっけ?」

 

「聞いていませんでしたの? 今日から新しいトレーナーが来るらしいですわよ」

 

「そうだっけ? ていうか、そんな事の為だけにボクたち集められたの?」

 

「そんな事って、テイオーあなたねぇ……。まぁ、理事長直々の紹介らしいですから、他のトレーナーよりも優秀だとは思いますが」

 

「ふーん、優秀ねぇ……。そうだといいけど」

 

何も聞かされていない生徒が殆どらしく、ざわつきはしばらく収まりそうになかった。

 

「……ねぇ、ルドルフ。あなた何か聞いてる?」

 

「……いや、私も今日突然理事長から伝えられてな。

そういうマルゼンスキーこそ、何か耳にしていないか?」

 

「私も初耳よ」

 

「そうか……」

 

しばらくざわつきが収まらない体育館だったが、理事長が登壇してからは、さっきまでのざわつきが嘘だったかのように、静まり返っていた。

 

「静粛ッ! みんなには朝から集まってもらって申し訳ない! 本日、新しいトレーナーが就任するから君たちに紹介したいと思う! それじゃあ、入ってくれ!」

 

理事長の言葉を合図に、一人の()()が舞台上へと上がってくる。本来であれば大事な式であるため、理事長の言う通り静粛にしなくてはならないのだが、入ってきたトレーナーの姿を見て、彼女たちは戸惑いを隠せなかった。

 

「どうもー。今日からここで働くことになった、ユキです。みんな、これからよろしくね」

 

推定身長、140cm

明らかに子供にしか見えない体躯に、まるで物語の魔法使いのような法衣。

 

そんなおかしな姿をしたトレーナーを前にすれば、驚くのも無理はないが……。

 

「……ねぇ、マックイーン。い、今の見えた?」

 

「いえ、私にも何がなんだか……」

 

彼女たちが驚いた本当の理由は、ユキが入ってくる瞬間を見ることができなかったからだ。

 

いや、正確に言うのであれば、ユキの速度が速すぎて、視界に収めることができなかったのだ。

 

どこかに隠れていたのかとも思ったが、隠れる場所などどこにもなく、理事長が扉の方を見ていたことから、そこから入ってきたのは明確だった。

 

「説明ッ! みんな疑問に思っていることだろう。彼女はこの度、私が直々にスカウトしたトレーナーだ! 人間でありながら、ウマ娘よりも速く走ることができ、まだ幼いながらも、トレーナーとしての実力も他のトレーナーと遜色ないほどである!

故にッ! 私が直々にスカウトしたのだ!」

 

「そうですねー。私はトレーナーとして、この理事長にスカウトされましたが、

他にも困ったことがあったら手伝ってあげますので、遠慮しないでくださいね。

 

あー、あと、この格好については気にしないでね。

この服は別に私の趣味とかじゃなくて、速度が上がるから着てるだけなので」

 

今、このトレーナーはなんと言った?

 

着ているだけで速度が上がる服?

 

というか、ウマ娘よりも速く走れる人間だって……?

 

こんな幼いのにトレーナとしても優秀?

 

などなど、驚きと戸惑いは伝染していき、再び体育館はざわつきに支配された。

 

「えっ、その服着てると速度が上がるのか?

……あっ、ごほん!

というわけで! 彼女は今日からここで働くことになった! ということを、みんなにも把握しておいてもらいたい!

 

それじゃあ、みんな。朝から集まってもらって悪かった! 以上で、解散ッ! とする。各自教室に戻るように!」

 

 

○○○○○

 

 

その日、私は驚きを隠せなかった。そもそも、新しいトレーナーが就任するからといって、わざわざ私達を集める意味がわかりませんわ。

 

「ねぇ、マックイーン。ボクたち何で体育館に集められたんだっけ?」

 

隣りに座っているテイオーに、そう言われましたが、そんなの、私のほうが聞きたいですわ!

 

「聞いていませんでしたの? 今日から新しいトレーナーが来るらしいですわよ」

 

「そうだっけ? ていうか、そんな事の為だけにボクたち集められたの?」

 

「そんな事って、テイオーあなたねぇ……。まぁ、理事長直々の紹介らしいですから、他のトレーナーよりも優秀だとは思いますが」

 

「ふーん、優秀ねぇ……。そうだといいけど」

 

まぁ、理事長が直々に紹介するということは、それに値するだけの実力を持ったトレーナーなのでしょう。

 

にしても、そんな優秀なトレーナーがいらっしゃるのであれば、おばあ様の方から、何か情報があると思ってましたが……。

 

「静粛ッ! みんなには朝から集まってもらって申し訳ない! 本日、新しいトレーナーが就任するから君たちに紹介したいと思う! それじゃあ、入ってくれ!」

 

さて、どのような方なのでしょうか。

 

「どうもー。今日からここで働くことになった、ユキです。

みんな、これからよろしくね」

 

……私はあの瞬間の出来事を、忘れることはないと思いますわ。

どのような見た目のトレーナーなのかと、扉に注意を向けていたというのに、まさか、壇上から声が聞こえてくるとは思ってませんでしたから……。

 

「……ねぇ、マックイーン。い、今の見えた?」

 

……やはり、見えていなかったのは、私だけではなかったようですね。

一瞬、私が見落としたのかと思ってましたが、隣りにいるテイオーにも見えていなかったようですね。

 

「いえ、私にも何がなんだか……」

 

それにしても、10歳……、

いえ、12歳ぐらいでしょうか?

 

あ、明らかに幼い子供のようにしか見えないこの子が、トレーナーですって……?

 

「説明ッ! みんな疑問に思っていることだろう。彼女はこの度、私が直々にスカウトしたトレーナーだ! 人間でありながら、ウマ娘よりも速く走ることができ、まだ幼いながらも、トレーナーとしての実力も他のトレーナーと遜色ないほどである!

故にッ! 私が直々にスカウトしたのだ!」

 

ちょ、ちょっと待ってくださいまし!?

 

ウマ娘よりも速く走れる人間?

 

子供でありながら、他のトレーナーと遜色ないほどの指導力?

 

き、聞き間違いでしょうか?

 

「そうですねー。私はトレーナーとして、この理事長にスカウトされましたが、

他にも困ったことがあったら手伝ってあげますので、遠慮しないでくださいね。

 

あー、あと、この格好については気にしないでね。

この服は別に私の趣味とかじゃなくて、速度が上がるから着てるだけなので」

 

わ、私、疲れているのでしょうか。

今、ありえない言葉が聞こえたような……。

 

着ているだけで足が速くなる服?

 

そ、そんな服があるわけありませんわ!

 

「えっ、その服着てると速度が上がるのか?

……あっ、ごほん!

というわけで! 彼女は今日からここで働くことになった!

ということを、みんなにも把握しておいてもらいたい!

 

それじゃあ、みんな。朝から集まってもらって悪かった!

以上で、解散ッ! とする。各自教室に戻るように!」

 

 

 

……とりあえず、教室に戻ることにしましょうか。

 

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