ちょっとした暇つぶしに、私の元についてくれるウマ娘が必要になったの!
期限内に納入してくれれば、★専属トレーナーの権利書とヘルメスの血を払うよー!
トレーナー室
トレセン学園に所属するトレーナーには、それぞれ部室と部屋が与えられることになっている。
それはユキも例外ではなく、トレーナーとして扱われる以上、専用の部室と部屋が理事長から与えられていた。
「さて、と。ハウスボードはここにおいて、遺伝子複合機とトレーニングマシン……、あれ、バーベキューセットはどこにおいてたっけなぁ」
彼女はどこから取り出したのか、誰が見ても
そんな様子をどこから迷い込んだのか、一匹の
「……なぁ、ご主人」
「えーっと、ストラディバリウスとグランドピアノ……、あっ! エヘちゃん用に祭壇も用意しておかないと」
「なぁ、ご主人ってば!」
「んぁ? あー、クロ。どうしたの?」
「どうした? じゃなくてだな……。本当にトレーナーとかいうモノになるのか?」
「あれ? クロ、私がトレーナーになること知ってたの?」
「……まぁ、見覚えのない本を持ち込んでいたからな。赤い本でもないし、少し読ませてもらったよ」
「本? あー、パンフレットと名簿かぁ。……そうだね、いい暇つぶしになりそうだし、トレーナーになってみるつもりだよ?」
「……ペットにでもするつもりか?」
「いや? そんなつもりはないけど……。なに、嫉妬したの?」
「違うわ! ご主人に絡まれる……、あー、ウマ娘だったか? が、可哀想なだけだよ」
「んまぁ、失礼な! 私に面倒見てもらえるなんて、滅多に無いことだと思うけど?」
荷物を整理しながら、ユキは黒猫の言葉に頬を膨らませながら返答するが……、
そんな様子など露知らず、黒猫はユキに少しの間一緒に居た、
「……かなり前に、ご主人が気まぐれで結婚した、あのエレアは?」
「奴隷商人に売ったよ? 弱くて邪魔だったし、御祝儀が欲しかっただけだから」
「……そういうとこだぞ、ご主人。普通の奴は結婚相手を売ったりしないからな」
「そう? 私の友人も、港街の女たらしにお嫁さん引き渡してたよ?」
「……マジかよ」
それからというもの、イルヴァから様々なものを持ち込んだり、理事長と今後の予定を話したり、ノイエルを核爆弾で吹き飛ばしたりしているうちに、体育館での挨拶から1週間が経過しようとしていた。
○○○○○
「ここ……、ですわよね?」
一週間後、メジロマックイーンはトレーナー室を訪れていた。
先週の体育館でのトレーナー紹介を見て、沢山のウマ娘が彼女のトレーナー室を訪れたものの、
……何故か入部希望者は誰一人としていなかった。
それどころか、この一週間彼女のトレーナー室を訪れた者は、決まって保健室を利用していた。
「あら? これは、看板でしょうか? ……なんですの? この内容」
ユキのトレーナー室の前には、明らかに手作りであろう看板のような物が立て掛けられていた。
①命の保証はできません
②どのような状態に陥っても、一切の責任を負いません
③ウマ娘という種族をやめる可能性があります
④正気を失う可能性があります
⑤飽きたら捨てられる可能性があります
ご主人による被害者数:29名
「……そういえば、ここに入部しようとした方々全員が、保健室を利用しているという噂を聞きましたが、……あ、あながち間違いではなさそうですわね」
今現在も保健室のベッドは、ユキのトレーナー室を訪れたウマ娘たちで占領されている。
なぜか餓死しかけている子や、野菜や
「あの子のトレーニングは死んでも受けたくない!」
と口を揃えて言うのだった。
だが、ユキのトレーナー室を訪れた子は、今までとは比較にならない程、
そんな事もあってか、理事長もユキのことを止められず、むしろ1週間程度で劇的に成長させられていることから、ユキのことを高く評価していた。
「あまり乗り気はしませんが、それでも成長できるなら……、天皇賞を制覇できるなら、私は……」
悩みに悩んだ結果、メジロマックイーンは躊躇いながらも、トレーナー室の扉を開けるのであった。
○○○○○
同日、トレーナ室の中でユキとクロは誰かが来てもいいように、暇つぶしも兼ねて料理をしていた。
「ねぇー、ここ数日誰も来ないんだけどー」
「……そりゃあ、あんだけのことをしたら誰も来ないだろ」
ユキはバーベキューセットで【クジラの刺し身】を作り、クロはフードプロセッサーで【アロエパフェ】を作っていた。
「なんでー? ちょっとハーブを食べさせたり、主能力も上げてあげようと
「ご主人の周りではそれが普通かもしれないが、こっちの世界では普通じゃないんだろ。……というか、向こうでも別に普通じゃないからな?」
「貴重なヘルメスの血とかプレゼントしてあげたのになぁ」
「どうせすぐに用意できるだろ?」
「まぁ、メダルはいっぱい余ってるし、いつでも交換できるけどさ。ていうか、クロの姿を見て気が狂った子も居たと思うんだけど?」
「それは……、まぁ、俺が悪かったよ。まさか、こっちの世界の猫は喋ったり、尻尾を自在に伸ばしたりしないとは思わなかったし……」
「あやうくユニコーンの角を使うところだったよ。でも、困ったなぁ。いい暇つぶしだったのに」
「これ以上、ご主人の被害者が増えないことを祈るよ。……看板も置いておいたし、大丈夫だと思うが」
「すみませーん! 入部したいのですがー!」
「……マジかよ。看板の文字が読めなかったのか?」
「看板? って、そんなことより、入部希望!? 入部希望だって! やったよクロ! 新しい子だ! ちょっと迎えに行ってくるから、大人しくしててねー!」
「はいはい。……って、この刺し身とパフェどうするんだよ」
○○○○○
「……」
マックイーンは絶句した。本来、各トレーナに与えられるトレーナー室と部室は、格差が生まれないように、同じサイズの部屋が与えられるのだが……。
マックイーンが扉を開けた先に広がっていたのは、明らかに他の部室よりも広く、豪華な家具が並べられた光景であった。理事長がユキにだけ特別広い部屋を与えた……。
……などというわけではなく、ユキが勝手にハウスボードで空間を広げ、イルヴァから持ち込んだ家具を並べていたのだ。だが、そんなことを知る由もないマックイーンは、こちらの世界の基準で考えれば、数十万から数百万円規模の家具が溢れるほど並べられているという光景に、絶句したのだ。
メジロ家だって名のある貴族の家柄であり、高級な家具なども所持しているが、ここまで贅沢に並べられることはないだろう。
……それ以前に、明らかに部屋の広さが外見以上という、現実ではありえない光景に目を奪われていた。
「……私、幻覚でも見ているのでしょうか? あ、明らかに部屋の規模……、というか、内装がおかしいのですが」
人の姿は見当たらず、室内を見回していたマックイーンだが、部屋の奥から美味しそうな香りが漂って来ることに気がついた。
「何やら美味しそうな甘い香りが……。もしかして、お料理でもしていらっしゃるのでしょうか? ……と、とりあえず、声だけ掛けてみましょうか」
流石に料理中に声をかけるのは失礼かもしれないと考えたが、どのみちこの場で待っていても埒が明かないからと、マックイーンは思い切って声をかけてみた。
「すみませーん! 入部したいのですがー!」
この時、声をかけてしまったことを、マックイーンは近い将来、後悔するのであった。
第5話までは、1話毎に1000文字単位で増やしていき、それ以降はアンケート結果を目安にした文字数で書いていきますね。
1話あたりの文字数はどのぐらいが丁度いいですか?
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1000~2000
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2000~3000
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3000~4000
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4000~5000
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それ以上