IF:廃人がウマ娘に興味を持ったら……   作:鮭ハラス

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メジロマックイーンのファンの皆様


本当に申し訳ない(無能博士


悪気はないのです! これが……、これがelona流の歓迎なのです。

うちは悪くない! 緑髪のエレアが悪いんや!



それはそれとして、Elona Mobileの正式リリースおめでとうございます。
PC版が出たら、私もやります。


第3話:食事の時間

「お待たせー。それでそれで? 入部希望だって?」

 

「え、えぇ。入部希望ですけれど……、その前に一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「うん? どうしたの?」

 

「この部屋の家具は一体……。理事長が用意したのでしょうか?」

 

「いや? これ全部、私の私物だよ。……まぁ、殆どが盗品だけど」

 

「そ、そうですか。……うん? 盗品?」

 

「い、いやいや、なんでもないよー。……それよりもさ! 入部希望だって? 君、名前は?」

 

「メジロマックイーンですわ」

 

「め、メジロ、マックイーン? んー、長いからマックちゃんね」

 

「ま、マックちゃん……、ですか」

 

「うん! それじゃあ、入部してくれるにあたって、色々やってもらいたいことがあるんだけど……。

ちょっと待っててね? 今からご飯食べようとしてたから。

……あ、良かったらマックちゃんも一緒に食べる?」

 

「よろしいのですか?」

 

「うん、いいよー! 誰かと一緒にご飯食べるのなんて、数十年ぶりだしね」

 

「それでは、ご馳走になりますわ。 ……って、え? 数十年ぶり?」

 

「それじゃあ、ちょっとここに座って待っててね」

 

「は、はい」

 

 

○○○○○

 

 

ユキさん、だったかしら? 噂に聞くほど危険……、といいますか、無茶なトレーニングをさせる方には見えませんね。

しかし、まさかご相伴にあずかることになるとは……。まぁ、後ほど食堂の方へ伺おうと思っていたところですし、丁度良かったですわ。

 

それにしても……。所々違和感というか、先程の会話内容、どこかおかしかったような……。

 

まぁ、細かいことを気にしていてもしょうがないですわね。

 

「クロー! 料理運んどいてー!」

 

……? 他にも誰か、いらしてるのでしょうか? クロさん、と仰ってましたが、そのようなあだ名の方なんていましたっけ……?

 

「はいはい。……ったく、猫使いの荒いご主人だな」

 

「……? ……!?!?!?」

 

 

あ……、ありのまま、今起こったことを話しますわ……!

私は、ユキさんに言われた通り、ソファーに座っていましたの。

そ、そしたら猫が……。ね、猫が尻尾を2本に分けて、料理を運んでいましたの!

 

な、何を言ってるか、わからないと思いますが、

私にも、目の前で起きていることの意味がわかりませんわ!?

 

 

「……? ……やっべ、やらかした。俺が料理運んだらダメじゃん」

 

「あ、あの……。あなたは……?」

 

「あー、えっとだな……。 ご主人ー! ちょっとご主人ー!」

 

「なにー? 今、()()()()()作ってるんだけどー?」

 

「俺がこの世界の猫じゃないこと、バレちゃったんだけど!」

 

「……あ」

 

「……見られた以上どうしようもないから、この子の気が狂わないうちに説明してくれよ」

 

「う、うん……。えっとね、マックちゃん。実は……」

 

 

○○○○○

 

 

それからというもの、イルヴァという世界からやってきたことや、トレーナになる代わりに身分を保証してもらったことなどを、マックイーンに説明するのであった。

 

「と、とても信じがたいですが、理解はしましたわ……。実際、猫が喋ってますし……」

 

「まぁ、急に異世界だの何だの言われても、信じられないよな」

 

「で、でも他に説明のしようがないし……。それか、マックちゃんも向こうの世界に行ってみる? 帰還の呪文で帰れることもわかったし、いつでも向こうの世界に行けるけど……」

 

「い、いいえ、結構ですわ! ほ、本当に行けるとしても、そんな危険な世界に行きたくありませんわ!」

 

「そりゃぁ、そうだよな。向こうに行ってもすぐ殺されるだろうし……」

 

「ち、ちなみに。今までこちらに来た方にも説明を?」

 

「うん? いや、説明したのはマックちゃんが初めてだよ。

……一応説明しようとはしたけど、それより先に()()へ行ってたり、クロが喋っただけで気が狂っちゃったりして、説明できなかったんだよね」

 

「そうでしたか……」

 

(工場……?) 

 

と、疑問に思ったものの、本能的に嫌な予感を感じ取ってか、あえて聞かなかった事にしたマックイーンであった。

 

「うん。というかむしろ、よく発狂しなかったね、マックちゃん」

 

「いえ、まぁ、取り乱しはしましたが……。

メジロ家のウマ娘たるもの、この程度のことで気が狂うほど、軟な育ち方はしておりませんわ」

 

「おぉー! 立派だねぇ。……っと、ご飯前にごめんね? 先にこれ食べてていいから、もうちょっと待っててね。食べ終わったら、これからどうするか話そうね」

 

「わ、わかりましたわ。 ……あの、ところでこれは一体」

 

「クジラのお刺し身だよー。……あれ、もしかして嫌いだった?」

 

「く、クジラ!? クジラ……、ですか。お刺身になってるのは、初めて見ましたわ……」

 

「こっちの世界じゃ珍しいのかな? 味は保証するから大丈夫だよー! 料理スキルもちゃんと上げてあるからね」

 

「そ、そうですか……」

 

「あ、クロも先に食べてていいよー。あとは私の方で作っちゃうから」

 

「お、それじゃあ先に食べてるわ」

 

 

○○○○○

 

 

「いやー、相変わらず美味いなぁ」

 

「そう……、ですわね。初めて食べましたけど、とても美味しいですわ!」

 

「だろ? ……なぁ、マックイーン、だったか?」

 

「なんですの?」

 

「……ご主人のこと、あんまり悪く思わないでくれよな?」

 

「どういうことですの……?」

 

「いやな、ああ見えてご主人のやつ、結構はしゃいでるのよ。向こうの世界だと、まともに話してくれる奴すら居なかったからさ」

 

「それは……、ええっと、気の許せる方が居ないとか、そういう……」

 

「いや、違くてな。みんなご主人のこと見ると、離れていくんだわ。街を歩けばみんな逃げていき、ガード*1が……。

あー、襲ってくるやつがいる。そんな過酷な状況で何年も生きてきたからさ。ここみたいな平和な世界に来れて嬉しそうなんだわ」

 

「そうでしたの。……確かに驚きはしましたが、話してみて悪い人ではないことは分かりましたし。

……何より、私は入部したくてここに来ましたから。敬遠しようとは思いませんわ」

 

「そっか。それなら、良かったよ」

 

(いやまぁ、普通のやつからしたら間違いなく悪い奴だとは思うけどな? ご主人と中のいい奴は、ほとんどが盗賊ギルドの奴だし……、街の奴らが逃げてくのは、ご主人が気分で花火(メテオ)を落としたりするからだし……、ガードが襲ってくるのは、ご主人がカルマ-100の犯罪者だからだけど、……別に言わなくてもいいよな!)

 

クロは、基本的にはユキの味方である。

元々は、とある神様の下僕だったが、仕えていた神様からユキの元へと、信仰の褒美として送られて以来、()()()()ユキと共に行動していたのだ。多少なりともユキのために行動したくなるのは、仕方のないことだろう。

 

そんなクロの策略には気づかず、マックイーンは初めて食べるクジラの刺し身の美味しさに、舌鼓を打っていた。

 

 

○○○○○

 

 

クロとマックイーンが食事を進める中、ユキは次々と料理を作っていた。ハーンバーグや野菜の天ぷら、シュークリームやフルーツケーキなど、これでもかと言うほどの料理を作ったユキは、満足そうにクロたちのいるテーブルへと戻ってきた。

 

「お待たせー。いっぱい作ったから、マックちゃんも遠慮せずに食べてね」

 

「あ、ありがとうございます。……! この大葉焼き、とても美味しいですわね!」

 

「……本当に食べちゃったの?」

 

「……え!? た、食べてはいけませんでしたの……?」

 

「いやぁ? そんなことはないけど」

 

「おい、ご主人。……()()大葉焼きなんだ?」

 

「グウェン*2ちゃん」

 

「……マックイーン。その大葉焼き、美味しいか?」

 

「え、えぇ……。とても美味しいですけれど……」

 

「そっか。それならいいんだ。遠慮せずに食べてくれよな!」

 

「……? い、いただきますわ」

 

 

Curiosity killed the cat

 

好奇心は猫を殺す、とはよく言ったものだ。知ろうとするから危険な目に合うし、知ろうとするから気が狂う。つまりそれは、知りさえしなければ危ない目に合うことも、気が狂うこともないのだ。……たとえ、自分が食べている肉が人肉だったとしても。

 

 

「まだまだいっぱいあるから、どんどん食べてね! 他にも何か食べたいものがあれば作ってあげるからね」

 

「そ、そんなに食べられませんわ。というか、驚くほどの料理の腕ですわね。メジロ家のシェフにも劣らない……、いえ、むしろそれ以上に美味しいのですが」

 

「まぁ、仮にも数百年間料理してるからねぇ」

 

ユキの言葉に驚いてか、マックイーンは食べる手を止めてしまった。

 

「……はい? き、聞き間違いでしょうか? い、今なんとおっしゃいましたか?」

 

「他にも何か食べたいものがあれば作ってあげるよ?」

 

「その後ですわ!」

 

「仮にも数百年間料理してるから?」

 

「それですわ! 数百年って……、さ、流石に冗談ですわよね?」

 

「あれ? クロ、私が料理始めてから100年経ってないっけ?」

 

「いや、経ってると思うぞ。俺と出会って少ししてから、料理をしだしたしな。……じゃなくてだな、ご主人」

 

「うん?」

 

「マックイーンが疑問に思ったのは、多分そこじゃないぞ。数百年以上生きてるってことに疑問を感じてるんだと思うぞ」

 

「そうなの? って、そっか。こっちの世界には寿命ってのがあるんだっけ?」

 

「あ、ありますけど。……え? そっちの世界にはないんですの?」

 

「うーん、死んでも這い上がれるからねぇ。自分で埋まった場合は例外だけど、寿命って意味ではないかなぁ」

 

「……これ以上驚くことはないと思っていましたが、この様子だとまだまだありそうですわね……」

 

「まぁ、ご主人が異常だってのもあるからな。ご主人といる限り、驚きは無くならないと思うぞ」

 

「失礼だなぁー。私は普通だってー」

 

「いいか、マックイーン。こういう奴に限って狂ってるのが大体だ。こっちの世界では大丈夫だと思うが、気をつけろよ?」

 

「わ、分かりましたわ」

 

「よし。……そういえば、ご主人」

 

「なに?」

 

「ご主人がハーブ以外の物を食べさせるなんて珍しいな。在庫切れか?」

 

「いや? 畑に行けばすぐ取れるし、いっぱいあるけど?」

 

「じゃあ、なんで普通の料理なんか作ってるんだ?」

 

「あー、それは……。ほら、前に入部したいって来た子いたでしょ?」

 

「居すぎてどの娘かわからんが……、それで?」

 

「いやさ、速くなりたいじゃなくて、強くなりたいって言う子が居たからさ、吐くまでハーブを食べさせてあげたのよね。そしたらここに来なくなっちゃったからさー」

 

「来なくなっちゃったからさー、じゃないわ! んなことしたら、来なくなるのなんて当たり前だわ!」 

 

「……ハーブ、ですか?」

 

「おっ、興味ある? これなんだけど」

 

「これ、ですか? 見たところ、ただの葉っぱのようですが」

 

「それ、食べるだけで筋力が上がるよ」

 

「……はい?」

 

「モージアって名前のハーブなんだけど、食べるだけで筋力が上がるんだよね。結構貴重なんだよー?」

 

「にわかには信じがたいですが……、い、いただきますわ」

 

「あっ、待てマックイーン! そのまま食べたら……」

 

「……ん゛ん゛っ」

 

「美味しくないでしょー? 吐いてもいいよー?」

 

「……」

 

「ま、マックイーン? おい、大丈夫か?」

 

「……た、食べましたわ。なんですの、これ。ありえないほど不味いんですけれど……。苦味とか酸味とかが混ぜ合わされたかのような……」

 

「よう、食べきったな。ほれ、口直しにパフェでも食べな」

 

「い、いただきます」

 

 

 

それ以降も、イルヴァのことを聞いてマックイーンが驚いたり、逆にこの世界のことを聞いてユキが驚いたりと、色々なことがあったが、二人と一匹は美味しく料理を食べ進めるのであった。

 

 

*1
こっちの世界で言うところの警察のようなもの。警備員、警察、衛兵。そんな感じ

*2
無邪気な女の子




本当に食べてしまったのか? (緑髪のエレア)

チュートリアルで人肉を食べさせて、発狂させてくるNPCがいるらしいですよ。


多分、人肉だと気づきさえしなければ、発狂しないと思うんですよね。
それなのに、見ただけで【乞食の死体】だと分かるプレイヤーは……

1話あたりの文字数はどのぐらいが丁度いいですか?

  • 1000~2000
  • 2000~3000
  • 3000~4000
  • 4000~5000
  • それ以上

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