ウマ娘 紅の軌跡If もし物語開始前から三人が迫っていたら   作:小鳥遊 小佳夏

1 / 11
キサラギクレナイ

ウマ娘育成機関「日本ウマ娘トレーニングセンター学園」、通称トレセン学園。

ここには全国各地から才能のあるウマ娘が集まり、トゥインクルシリーズに出るために日夜切磋琢磨している。

そこにあるウマ娘がいた。名をキサラギクレナイといった。

 

彼女は誰よりも走ること、勝つこと、そして楽しんで生きることに執着していた。

入学後こそおとなしかった彼女だが、年を重ねるにつれ自由奔放な生き方を出すようになった。例えば・・・。

・オグリキャップと大食い対決

・タマモクロスと粉もの料理研究

・スーパークリークに骨抜きにされる

・マヤノトップガンと飛行機見物

・ハルウララと気ままにお散歩

・ニシノフラワーとダンスレッスン

・メジロマックイーンとお茶会

などなどなど。

更には幼馴染であったシンボリルドルフ、エアグルーヴ、ナリタブライアン以下の生徒会メンバーにもドッキリを仕掛けたりして遊びながら過ごしていた。まあこれも以前の話となり、今はなかなかそんなこともできなくなっているのだが、それについては後述しよう。

かといってトレーニングをおろそかにすることもなく、トレセン学園に収蔵されているデータや実体験をもとに自己流のトレーニングを確立。また同じウマ娘であるミホノブルボンやライスシャワー達とトレーニングを重ね、果てにはアグネスタキオンの研究に付き合いもしてスカウトされる前から成績を伸ばし、挙句の果てには桐生院トレーナーとトレーニング談議で盛り上がる、そんな光景も目に付いた。それだけ速いからこそ、自由奔放がゆるされていたのもあるだろう。

実際、教官がつくスカウト前のウマ娘たちがトレーニングしている際、彼女たちにトレーニング指導をして、成績をぐんと伸ばしたこともある。それだけ彼女のトレーニング知識は卓越していた。

 

更に彼女はウマ娘の故障についても調べていた。それこそサイレンススズカにトウカイテイオーと、ウマ娘が故障する例は数多くあった。同じく爆弾を膝に抱えるアグネスタキオンらと共に故障したウマ娘が復活するまで付き添い、そのデータ集めや治療法の研究に参加していた。特にテイオーのケガの時はメンタルケアに始まり、復帰までのトレーニング指導や休日のお出かけなどを通して、彼女を復活まで支えたということもあった。

 

そんな自由奔放かつ速く走ることに執着する彼女は、学内模擬レースでも他を圧倒。トゥインクルシリーズに出走しつつも、学内模擬レースでクレナイと対決したサイレンススズカはその強さに驚愕し、身近にこんな強いウマ娘がいるなら、それに勝たないと海外に行けないと、海外遠征を中止した。

「私はあなたと走ると、先頭の景色を見られませんでした。いつもあなたの背中だけ。あなたに私の背中を見せられるまで、海外にはいきません。あなたに勝ち逃げなんか、許しません」

そう彼女は語ったという。

 

そんなクレナイだが、なかなかチームに入ることを選ばなかった。

というのも、本人のトレーニング知識は豊富で今更教わることはない。また既に自分のやり方を確立している以上、ここから他人の指導法に合わせたくはないと。

それを証明するように、スカウトをかけてきたチームのトレーナーには自作の筆記テストを課し、自分はこれに満点をとれる。最低でも満点をとれなければチームには入らないと告げていた。

実際今まで満点をとれる人はおらず、更に他のウマ娘にたまに指導していることから、桐生院トレーナー以外のトレーナーから腫物を触るような扱いを受けていた。

 

だがそんな彼女も、今はあるチームに入っていた。チーム名はシミュラクル。トレーナーはまさかのキサラギクレナイ本人。というのも、理事長の発案により、彼女にトレーナーは必要ないが、チームに入らなければトゥインクルシリーズには出られない。それであれば、クレナイをトレーナーとするチームを作り、そこに入ってしまえばいいと特例を作ってしまったのだった。

この時に役に立ったのは今までトレーナーに課した筆記テスト。これだけのトレーナーとしての知識があり、速く走れる素質もあるのなら、ルールの方を変えて走らせればトレセン学園の利益にもなるといわれると、他の理事も納得せざるおえず、レースから引退した後の先取りも含めてチーム創設が許可されたのだった。

 

そしてチームという以上、規定より少ないながらもチームメンバーがいる。メンバーはシンボリルドルフ、トウカイテイオー、サイレンススズカの三人。そしてこの三人にクレナイは・・・。

「クレナイ、ご飯できましたよ」

「クレナイ、お風呂掃除終わったよ!」

「レイ、洗濯ものしまっておいたが、次は何をすればいい?」

すごーーーーーーーく重い愛を向けられていた。

誰が呼んだか重馬場の主、霧吹きを周りに向けているウマ娘、レースでは逃げるが日常生活では差されっぱなし、そんな渾名がつけられているキサラギクレナイであった。

ちなみにレイというのはクレナイの幼名である。クレナイを略してレイ、とのことである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。