ウマ娘 紅の軌跡If もし物語開始前から三人が迫っていたら   作:小鳥遊 小佳夏

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クレナイの軌跡

学内レースでの復活の後、自信をつけた私は更にトレーニングを重ねた。そのままケガをする前に近づく体を取り戻すことができた。

そして時は過ぎ、有馬がやってきた。私が公式に復活する日である。どうしてもレースで勝てると踏めるだけの体を手に入れられなくて、ここまで来てしまった。正直言えばまだ足りないと思うのだけれど、そうしたらいつまでたっても出られない、早くレースに出て私たちと勝負しろという三人に負けた。

実際、私が有馬への登録をしたら票が続々と集まり、まさかの一番人気で出走が決まった。

まあ予想はしていた。トレーニング続けている間も応援のメッセージや手紙が毎日のように届いていたし、時たま取材に来る記者が結構いたし。にしても、乙名史記者だったかしら? あの記者、過大に感じ取るの何とかしてほしいわね。次変なこと書いたら絶対会長に頼んで出禁にしてもらいましょう。

それはさておき。

中山競バ場。芝の香りと勝負服の感覚が懐かしい。

さて、有馬の人気を上から何人か紹介しておきましょう。

二番人気、アメリカへの遠征中止の後一時期レースから遠のくも(私の看病のため)、最近レースに復帰し、相も変わらず目覚ましいスピードを見せるサイレンススズカ

三番人気、最近あまりレースに出てない(私の看病(ry)けども、出ると究極テイオーステップで勝利を収めるトウカイテイオー

四番人気、こちらもレースはご無沙汰(私の(ry)だが皇帝たる威厳を見せつけろシンボリルドルフ

きっちり私に関係のあるウマ娘が上位に来た感じね。私の紹介文?

一番人気、血の有馬から復活を遂げた軌跡のウマ娘。あの後も人気は衰えずその声援を背負って今日もトップでゴール板を駆け抜けられるか、キサラギクレナイ

なんかすっごいプレッシャーを感じなくはないわね。とはいえ、別に気にならないのだけども。

ちなみに、お守りをくれたオウカは競バ場から観戦してくれるらしい。あの後ずっとあのお守りを首にかけている。たまに三人に嫉妬されもするが、なんかこれをつけていると安心できると言ったら、渋い顔をしつつも納得してくれた。

今日もこの想いと一緒に、ターフを駆け抜ける。

 

「くれない~!! がんばれ~!!」

控室からレース場に出ると、近くの観戦席から私を呼ぶ声がする。あの小さい娘はオウカだ。小さく手を振ると、にこっといい笑顔を向けてくる。可愛い。

「クレナイ、相変わらず愛されてるね」

「でも私たちの愛の方が大きいでしょうけど」

「いや、小さい子と何張り合ってるのよ大人げない」

あきれ顔をテイオーとスズカに向ける。

「ほらそこで止まってないで、早くゲートに行け。そろそろだぞ」

私たちを呼ぶルドルフの声でゲートに向かう。さぁ、出走だ。

 

「各場ゲートに入りました。体勢整えて・・・各ウマ娘きれいなスタートを切りました!」

ゲートが開いて一気にレース場に飛び出す。そのまま一気に加速して先頭に。

「さぁ先頭を行くはキサラギクレナイ。いつものように先頭を駆けていきます。それに続くは二番人気サイレンススズカ。クレナイに迫らんという気迫で追いついていきます」

第三コーナーから四コーナーを抜けて有馬を一周。あの時と同じ。順調に走っている。

「さぁここで後ろからシンボリルドルフが上がってきた! シンボリルドルフ凄い加速だ! これはまさに皇帝の神威! その前トウカイテイオーも横に飛び出て加速! スパートをかけてサイレンススズカに迫ろうとしている!」

最終コーナーに入る。多分、後ろにはスズカがいる。見なくても聞かなくてもわかる。あれだけ一緒に練習したスズカなら、絶対にいる。わかる。

でも前にはいかせない。

「先頭からキサラギクレナイ、サイレンススズカ、トウカイテイオー、シンボリルドルフと続いてくる!」

最終コーナーの第四コーナー。ここの立ち上がりと同時に一気に全力を出す。

「さぁ中山の直線は短いぞ! 後ろの娘たちは間に合うか!?」

「最初に立ち上がったのはキサラギクレナイ! あの時と同じ、前の有馬と同じように!! ぐんぐんと、ぐんぐんと加速する!!!」

「それに合わせてサイレンススズカもラストスパート! その後ろからトウカイテイオーとシンボリルドルフが迫る!! 並んだ、あの時と同じく四人が並んだ!! 年末の有馬は、夢の有馬は、いったい誰が制すのか!! 誰が勝ってもおかしくないこの状態、だれが最初にゴール板の前を駆け抜けるのか!!!」

あの時はここで転んだんだっけ。そう思いつつも、最後の、本当の最後の力を振り絞って全部の力でターフを蹴る。

「今ゴールしました!! 同着!! 同着です!! これは写真判定になるでしょう」

ゴール板を駆け抜けた後、ゆっくりと減速。うん、足に痛みはない。大丈夫。

誰が勝った? そう思って確定板を見ると、未確定の文字が。写真判定をしているらしい。息を整えている間に結果が出た。場内に放送が響く。

「結果が出ました! 1着はキサラギクレナイ!! 血の有馬から完全復活!! 奇跡の大復活です!!」

「2着はサイレンススズカ、3着シンボリルドルフ、4着トウカイテイオー、5着にライスシャワーという結果になりました!!!」

・・・勝った? ・・・勝った! 勝った!!!

だんだんと勝ったという実感がわいてきて、そのまま天に向かって叫んだ

「勝ったぁあああああああ!!!!」

それに合わせて観客席から大きな拍手が沸き上がった。ちらっとオウカの方を見ると、いい笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねながら拍手している。あの跳躍力、将来いいウマ娘になりそう。

「やっぱりあなたが強いわね」

「本当だよ。最後の最後で差し切ったと思ったのに」

「今日こそは皇帝の神威をと思ったが、まだまだだな」

「まだまだ。無敗のウマ娘の称号は降ろさないわ」

「「「いや(いえ)、一度おろしてるじゃん(おろしてるじゃない)」」」

そんなやり取りをしつつ、ライブの準備へ。

偶然にも今日の曲はSpecial record。4人で歌う曲だ。

「さぁ、ライブやってきっちり終わらせるわよ!」

「ああ!」

「ええ!」

「うん!」

 

その日のライブはいつもよりも盛り上がった気がした

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