ウマ娘 紅の軌跡If もし物語開始前から三人が迫っていたら 作:小鳥遊 小佳夏
あの復活からしばらくの時が立った。
私はまだまだ現役を続けるも、負けることも多々増えてきた。最強とは言えども、やはり運や年には勝てないこともあるようだ。
ルドルフ、スズカ、テイオーの三人も私と一緒にまだ走り続けている。現状、何回か私の前になるも、未だ私に背中を見せられてはいない。
テイオーにいたっては四度目の骨折をするも、私に勝ちたい、また走りたいという強い心でまた這い上がってきた。
そして春。桜舞い散る中、トレセン学園に新入生が入ってきた。
新入生の中には、憧れのウマ娘と共に走りたいと願って入学してくるものも少なくない。
ここにも、また一人そんなウマ娘がいた。名をオウカといった。
オウカは式の後、教室で渡されたチーム一覧を読み、そこにシミュラクルの名前が無いことに首をかしげていた。
「ねえねえ、何してるの」
声をかけられて顔をあげると、一人のウマ娘がいた。
「私はミネルバアーク。アークって呼んで。それであなたは?」
「ボクはオウカ。よろしく、アーク」
「ええ、よろしくね。それで、何してたの?」
「ああ、チーム一覧の中に、シミュラクルが無くって。あそこのクレナイさんにあこがれてここに入ったから、どうしても入りたいと思ってたんだ」
「シミュラクル・・・。確か、先輩が、あそこは異質なチームで入るにはまず自力で部屋を探さないといけないとか言ってたはず」
「そうなのか!? よく知っているね」
「私の小学校の先輩なんだけど、あの人もクレナイさんにあこがれてたから。まあ私もなんだけど」
「それなら・・・?」
「ええ、一緒に探しましょう!」
それから二人は学園中を探し、聞き込み調査をするも、なかなか成果をあげられずにいた。そんなとき、見知ったウマ娘が学園内のレース場から出てくるのを偶然にも目撃した。
「あれって!!」
「うん、クレナイ先輩だ!!」
二人はクレナイの姿を見失わないように、でも気づかれないように後を追った。そうすれば部屋にたどり着けると思ったからだ。
しかし、森の中に入ったとこでふいにクレナイの姿を見失ってしまう。
どこに行ったんだろうとあたりを見回し、クレナイがいないとわかると、二人は顔を見合わせた。
「急にいなくなったけど、多分この近くだよね?」
「うん、私はそうじゃないかなって思うけど・・・もっと進んでみる?」
「ああ、行ってみよう」
そうしてまたしばらく進むが、完全に迷子になってしまった。クレナイの姿も建物も見当たらず、途方に暮れたとき、後ろから声がした。
「キミたちはここで何をしているのかな?」
その声に振り返ると、三人のウマ娘がいた。
「大方、レイの姿を見て後ろをつけてたとか?」
「でしょうね。あの人、それに気づいていると決まってここに迷わせにかかるから」
そこにいたのはトウカイテイオー、シンボリルドルフ、サイレンススズカの三人だった。年齢による衰えはあるものの、まだまだ現役を貫くと決めている三人である。
「それで、君たちはクレナイの姿を追ってここに来たの?」
こくりと頷く二人。
「ふむふむ、なるほどね。惜しいとこまで来てるし、合格でいいんじゃないの? クレナイ」
テイオーが木の上に向かって声をかけると、そこには枝に座ってみんなを見ているクレナイの姿があった。そんなクレナイの首には、ぼろぼろになりながらもまだかかっているお守りがあった。
「そ、そんなとこに・・・」
「全く気付かなかったよぉ・・・」
気からしゅたっと降りてきたクレナイは二人に声をかける。
「あなたたちが後をついてきてたのはわかっていたからね。普段から追われる身だと、背後に敏感になっちゃって。それでここであなたたちを撒こうとしてたんだけど、そのあとも進み始めたから気になっちゃって。というか、あなた達ってオウカとアークよね? いつも応援ありがとう」
まだ二人が小学生の頃のレースの後、少しだけクレナイと話したことがあり、その時に言った名前を憶えていてくれたことに驚き、更にオウカは首にかかっているのがあの時にあげたお守りだというのに気づき、またうれしくなる二人。そんな二人から三人に視線を変え、クレナイは問いかける。
「この二人ならいいと思う。私は入れてもいい」
「ボクがクレナイのやることに反対するわけないじゃん♪」
「全くだ。わざわざ聞かなくてもいいと言っているんだがな」
「まあちゃんと聞いてくれるとこ、好きですよ」
クレナイ、ルドルフ、テイオー、スズカの四人が頷く。
「さあ、最後にあなた達に確認するけど、シミュラクルに入りたい?」
それを聞いたオウカとアークはオウム返しする。
「シミュラクルに?」
「入れるの?」
クレナイが大きくうなずくと、二人がとっても明るい顔をする。
「「ぜひ、よろしくお願いします!!」」
こうしてシミュラクルは新たなメンバーを加え、クレナイ、ルドルフ、テイオー、スズカの古参メンバーはいちゃいちゃしながら、オウカとアークの二人はどんどん力をつけ、シミュラクルの名をとどろかせていった
「ところで、いい加減結婚してくれないかなぁ?」
「そうだな、早くレイと式を挙げてしまいたいんだが」
「ウマ娘同士のそういうのも増えてきましたからね前例を作ってもいいと思うんです」
「相変わらず愛がすごいわねぇ、あなたたちは」
「先輩方、なんかすごいね」
「本当ね。あれが早さの秘訣だったりするのかな」
「こらそこ、変に繋げない!!」
相変わらず重い愛を受けるクレナイは、果たしてどんな道を歩んでいき、それを間近で見るオウカとアークはどんな軌跡を歩んでいくのか。
それは神のみぞ知る。
最後はいちゃいちゃがなくなりましたが、こういう終わらせ方もありかなと思っています。
途中で怪文書感がなくなっちゃったのが反省点ですね。
次はもっと頑張ります