ウマ娘 紅の軌跡If もし物語開始前から三人が迫っていたら 作:小鳥遊 小佳夏
「速い速い!! これはセイフティリード!! キサラギクレナイ、またも後続と大差をつけて今ゴール!! 天皇賞秋を制しました!!」
天皇賞秋。秋シニア三冠を目指すうえで絶対に避けて通れない一戦。ここを私はいつも通り一着で勝利していた。そのままジャパンカップも制した私は一番人気で有馬に出走。当日、中山競バ場にはクレナイのセンターを見ようと、大勢のファンが詰めかけていた。
その有馬があんなことになるなんて、あの時は誰も、私さえも予想していなかった
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「各ウマゲートに入りました。・・・・・・・・・スタートです!!」
ゲートが開き、一斉にウマ娘が飛び出す。先頭を切るのはもちろんキサラギクレナイ。二番手にサイレンススズカ。そしてその後ろからはトウカイテイオーとシンボリルドルフが続く。
そのまま中山競バ場の4コーナーに突入。先頭集団の順位は変わらず。そしてぐるりと一周してそろそろスパートというとき。一気にサイレンススズカがスピードを上げた。
「おっと、ここでサイレンスがスパート!! キサラギクレナイに並んできたぁ!! そしてそれに続くトウカイテイオーとシンボリルドルフもスピードアップ!!! 差せるか、今日こそ差して無敗王者に土をつけられるか!!! 帝王と皇帝の威厳をまた示すことはできるのか!!!」
スピードを上げたスズカは珍しくクレナイに横並びとなり、そのあとを追うッテイオーとルドルフもその背後に付け、最後に差し切る体制に入った。そして四人がもつれたままレースは最後の直線に入る
「さぁ中山の直線は短いぞ!! 後ろの娘達は間に合うのか!!」
クレナイもゴールが見え最後のスパートと足に全力を入れた時。クレナイに事件が起こった。
「っ!?!?!?」
芝に突いた右足が何かにとられ、前に出せない。咄嗟に左足で地面を蹴るも、それ以外何もできない。
「おおっっと!? これは、クレナイが転倒した!? クレナイが転倒!!!!!」
ウマ娘の最高速は優に60km/hを超える。それも成長目覚ましく、またスパートをかけたウマ娘ともなれば、80km/hを超えても不思議ではない。その状態のウマ娘が転べばどうなるか。まあ無事で済むわけがないのは想像に難くないだろう。芝にたたきつけられ、そこで私の意識は途絶えた。
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そのレースではいつもの通り、レイの逃げに始まった。それを追うスズカ、テイオー、私。いつも通りの構図だ。でも今日はいつもと違って、最後にスズカの背後に付けた。そのスズカはレイと並んでいて、もしかしたら、今日こそはレイに、スズカに勝てるかもという気がした。だから全力で、無我夢中に、スズカを避けるように横へ出て前だけを見て走っていた。そしてゴール板を駆け抜けた。多分、ぎりぎり。あそこから横に並べても、前に抜け出せるほど私はレイやスズカ、テイオーより強くはないし、それを許してくれるほど彼女たちも弱くはない。結果は、勝ったのは誰だ。そう思って確定板を見ると、トップにスズカの番号が、そして二番には私の三番にテイオー、そして四番にまだ番号が出ていなかった。
なぜ? 何でレイの番号がない? レイに何かあった? 同時に見ていたスズカとテイオーと一緒にゴールに目を向けると、ゴールライン手前で一人のウマ娘が酷い姿で横たわっているのが見えた。
あれは・・・あの勝負服は・・・っ!!
「レイっ!!」
すぐさま駆け寄るも、片手と両足がぐちゃぐちゃに折れ曲がり、体中から血を流している。
「っ、スズカ! 急いで救急セットを! 控室にある! テイオーは私と応急処置だ!」
生徒会長として応急処置の勉強もしていた私が即座に指揮を執り、消毒、止血など、その場で救急車が来るまでにできる応急処置を施した。
どうして、なんで・・・。そう思いながら、今はできることをやるしかできなかった。
その後、レイは救急車で搬送された。
レイ以降の後続のウマ娘はレイを避けようと大混戦に陥った。
そして荒れに荒れた有馬。レイの搬送やレイの姿を見た観客に体調不良が多発したこともあり、いつもより時間をおいてのウイニングライブになった。私はウイニングライブなんかやってる場合じゃないと思いもしたが、せっかく有馬に来た観客にライブをしないでそのまま返しては、学園の恥となってもおかしくはない。だからスズカやテイオーと一生懸命にライブをし、何とか終えることができた。
この大事故は後に、血の有馬として語り継がれることになった。
はい、回収できないのでオウカが消えました。
まあこの後三人がなんとかクレナイを復帰させてくれると思います。