ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話 作:井上ああああ
これが本当の最終回です。
最終決戦から1ヵ月が過ぎた。
ミサトが退院するとともに、ネルフは解散の話が上がった。
だが、解散にはならなかった。
というのも悪意あるものたちがエヴァを量産化・実用化・兵器化しようともくろんでいるかもしれないからだ。
加持がつかんだ情報によれば複数の反社団体・テロ組織がエヴァの量産化をもくろんでいるという情報があった。
また、コンラッドはエヴァに関する情報や建造方法を複数のテロ組織に売却したことがわかった。
さらに多国籍企業も兵器としてのエヴァ開発や使徒のクローン化に絡むといわれている。
これが実現すればいつか悪意あるものが悪用するだろう。
これからは使徒vs人間ではなく人間vs人間になる。
その兵器としてあがるのが使徒やエヴァになるのだ。
リツコはその話が可能性が高いといっていた。
ミサトも確信していた。
いずれくる。
ゼーレという秩序が縛っていた混沌は再び立ち上がるだろう。
それを意味するのは、新しい恐怖の始まりなのかもしれない。
それはコンラッドのような、あるいはもっと進化した悪意を生み出すのだろう。
したがって、ネルフは解散にならなかった。
そして、エヴァの情報は公式的に公開されることとなった。
秘密組織から、国連の立派な二次団体に変わっていった。
その代わり超法的措置はなくなっていった。
それでもミサトはかまわなかった。
彼女は災害派遣などの救援活動でエヴァを使うことを思いついた。
これは功を奏した。
重機で入れない道もエヴァなら切り抜けられた。
この地道な活動のおかげでネルフは一般人からも尊敬される組織へと改善することに成功した。
セカンドインパクトと今回の世界中で起きたエヴァテロに対して傷ついた街を復興させる活動は多くの称賛を浴びた。
やがて、リツコの研究でエヴァたちがパイロットが14歳を過ぎても動くことようになった。
恐らくはコアの中にいる母の魂たちも別のエヴァが作られることをわかったのだろう。
それが、いつかはわからないが…またやってくる。
別れはまた会う時のおまじないなのだから。
終わりは始まりの第一ページなのだから。
いずれにせよ、災害復興活動などで、ゼーレではない企業や民間団体、国からの支援金がおりてゼーレの影響力はなくなっていった。
結局、組織を透明化させることが大事だったのだと総司令の冬月はボヤいた。
同じく、冬月はゲンドウがもくろんでいたことをすべて暴露した。
ハーグ裁判所で裁かれもしたが、無罪になった。
コンラッドに殺されずに済んだ多くの補完委員会の動向が明らかになったのだ。
古代から支配した秘密結社、それは内部崩壊で倒れる。
まさしく、大きな組織の衰退の縮図だとリツコはミサトに皮肉っていた。
この世に永遠という言葉などない。
冬月は辞職も考えたが、ミサトがナンバーワンになることを拒絶したリツコの推薦で残ることに決まった。
ミサトも自分は正直、ナンバーワンの器ではないことがわかっていた。
あくまで自分は中間管理職、それでよい。
この功績の影響でミサトは1佐に昇進することが決まった。
同じくネルフからヴィレに名称が変わることも決まったのだった。
やがて、ドイツにEU支部が作られることになりアスカはそこの配属が決まった。
かつてアスカが戦ったオーバーザレインボーに二号機は戻っていった。
艦長とアスカは仲が良くなったようだ。
加持もまた、ドイツに行くことが決定した。
ゼーレの残党たちを始末するために、CIAの知り合いも今度は味方をするらしい。
しかし、以前ほど諜報活動にいそしむこともなくなった。
今はアスカが見守り、守り続けると語っていた。
アスカが命を懸けて加持を守ったその日、加持はアスカへの想いが強くなっていったのだ。
ちなみに、加持の農園はシンジと冬月が引き継いだ。
シンジは初号機に乗るとアスカに手を振り別れを告げた。
ミサトも同じく手を振り、別れを告げた。
アスカは手を振り、大声で叫んだ。
「彼女を大事にしろよ!!!」
それを聞いたミサトとシンジは頬を染めた。
ヴィレに名前を変わっても、メンバーは変わらなかった。
時田もそのままヴィレのメンバーとなった。
最近、リツコと二人で過ごすことが多い。
ミサトはこっそりあとをつけたが、時田とリツコが微笑み合いながら喫茶店でコーヒーを美味しそうに飲んでいたのがみえた。
時田とリツコだけではなかった。
青葉とマヤは二人で約束していたお好み焼きにいった。
摂食障害が実はあったマヤは青葉により、摂食障害も解消されていった。
青葉はシンジとよく遊びに歩き、二人でギターの勉強をしている。
最近ではそれにカヲルが混じっている。
リツコへの依存もなくなり、「センパイ」という言い方から「赤木さん」という言い方に変わっていった。
ミサトと冬月はこっそり青葉が「コバルトスカイ」の臨時メンバーとしての活動をしていることを知っていたが、そろって観てみぬふりをすることにした。
日向はつい最近、親の勧めでお見合いをすることにしたとミサトは聞いた。
だが、シンジは日向がまだミサトを愛していることに気が付いた。
冬月はそのまま総司令になった。
最近ではカヲルを家に招き、二人で暮らしている。
ちなみに規律に厳しい冬月の影響で、ミサトは始末書を書かされることが増えた。
カヲルはシンジに「冬月さんは怒ると怖い」とボヤいていた。
だが、カヲルにピアノの授業を受けさせてくれていると聞いた。
それにシンジは知っていた、冬月が裏でこっそりカヲルに月30万円の小遣いをあげていることに。
シンジは進路はピアニストかメイクアップアーティストか悩んでいるとカヲルに教えてもらった。
綾波は洞木家に養子として迎え入れられた。
素直な綾波は洞木家に順応し、よく二人で時間を過ごすことが増えていった。
綾波に笑顔が増えていったことをシンジは喜んだ。
そんな綾波はカヲルと過ごすことがしばしばあった。
だが、シンジは気づいていなかったがミサトにはわかっていた。
まだ、レイにはシンジへの想いが残されていると……。
ヒカリはまだトウジへの愛を未だに胸に秘めていた。
トウジの妹であるサクラをよくかわいがっており、本当の姉妹のようになっているのをシンジはよく知っている。
ちなみに、シンジはサクラからラブレターをもらったが、断って泣かしてしまった。
この事をヒカリに強く責められたこともあった。
この時にはさすがにドイツからアスカに電話をもらい、仲介に入ってもらった。
ヒカリはコンラッドをフライパンで殴り飛ばしたことで自信が大きくついたらしく、男子を論破することが増えた。
ケンスケはドイツ語を勉強するようになった。
アスカが好きだから追いかけてドイツの大学に行って、コクって結婚すると意気込んでいる。
それが可能かはシンジはわからない。
ミサトにもわからない。
だってアスカには加持がいるのだから。
コンラッドの部下であるシンとリーは姿を消した。
逮捕されなかった。
リーに関してはいつの日かまた会う事があるだろうとミサトは思っている。
調べたところによると、彼らはゼーレとは関係ないフリーの暗殺者であった。
今思えば二人は強かった。
だが、殺しを楽しみすぎるコンラッドとは違い正々堂々とした規律ある武人のそれがあったのが彼女は気に入っていた。
もし、再戦するならばコンラッドとは違い正々堂々とした勝負になるだろうとミサトは考えていた。
彼に備えるためミサトは筋トレに励んでいった。
そして、四年後。
シンジは18歳になった。
ミサトは33歳になった。
リツコの技術か、あるいは母たちの意志なのかわからないがエヴァは14歳過ぎても乗れることがわかった。
エヴァが必要となくなっても、二人はそのままコンフォートで暮らしていた。
シンジ・ペンペン・ミサトの3人暮らしだった。
ミサトはヴィレ副司令となった。
最近はピンク色の頭をした生意気な職員に頭を悩まされている。
上司であるミサトにも敬語を使わないのだ。
ピンク色なのに名前はミドリとややこしい限りだ。
なんでピンク色なんだ、最近の若者はわからんとミサトはボヤいた。
それだけではないドイツから加持の友人のハゲたマッチョが来たが、ことあるごとに加持がどうだとかこうだとかそれに比べてミサトはああだとかこうだとかを語り非常に鬱陶しい限りである。
年上なのでミサトも敬語を使っている。
年上の部下、面倒くさい限りである。
とはいえ、楽しく日常を過ごしていた。
シンジは大学進学を決めた、冬月の厳しい指導の下なんとか成績を上げることに成功したのだった。
その間に冬月はすっかりシンジの精神的父親になったらしく、「シンジ君」から「シンジ」と呼ぶようになっていった。
シンジも「冬月さん」ではなく「叔父さん」と冬月をよぶようになった。
シンジの誕生日を祝ったミサトは「約束はたそっか」とシンジに言うと、二人は一つとなった。
同じ日にシンジはミサトに誕生日プレゼントとして、婚約指輪を渡した。
ミサトは感じた、結局シンジ君の母親になれなかった。
でも、いま二人はいわゆる家族とは別の形の愛を探している。
リツコにはそのことを言うと、「嘘つき、それ以前につながってたんじゃないの」と水を差してきた。
ミサトは「証拠があるなら出しなさい。」と返した。
実際にリツコは証拠は何もなかった。
だから、リツコに偉そうにいわれるすじあいなどないとミサトは感じた。
翌日、シンジとミサトはとある場所へ向かった。
それは結婚式場だった。
二人は予約を済ませた。
人気の式場で半年近く予約がうまっているらしい。
海の見える結婚式場。
そこには旧ネルフもといヴィレのメンバー、そしてドイツからアスカと加持も参加する予定になった。
ミサトはその帰り道少し吐き気を覚えた。
そこで彼女はわかったのだった。
自分とシンジとの間の子ができたことが。
シンジは大学に通いながら、ミサトはヴィレにいきながら二人の愛の形を育てることにした。
数か月たち、ミサトは子供を産んだ。
性別は男だった。
名前はシンイチにしようか、ゴンドウにしようか迷ったが流石にゴンドウはおかしいだろとミサトはツッコミを入れた。
シンイチもまずいだろとシンジはツッコミを入れた。
そして、それから1か月後……。
結婚式場に二人はいた。
ようやく半年がたった。
「愛を誓イますか?」
神父がいた。
なんと神父はリーだった。
こいつ、神父だったのか!!!
ミサトはあっけにとられた。
すると、横にいたシンジがこう言った。
シンジはミサトの身長を超えるほど成長していた。
「誓います。」
シンジは真面目な顔でそういった。
ミサトは少し頬を染めると同じくこういった。
「誓います。」
リーは暗殺者とは信じられないような微笑みで返した。
「では、キスを。」
シンジとミサトはお互いに抱き合うと口づけをした。
式場にいた人々は交互に「おめでとう!」と叫んでいた。
そこには時田もいた。
時田はリツコの腕をつかみ合っていた。
アスカもレイもカヲルもケンスケもヒカリも日向も青葉もマヤも、冬月もペンペンですら来ていた。
アスカが来た時にきてた艦長まで混じっていた。
シンジは微笑んだ。
「ありがとう。」
式は予定通り終わると、シンジはアスカとの再会を喜んだ。
すると、横にいた神父姿のリーがミサトに話しかけた。
「おねエさん、話がある。」
「また?」
「まただ、でも暗殺じゃない。もうやめタ。コンラッドさんは殺意に呑まれて死んでしまッタ。でも、四年間修行しタ。あなたに青龍刀きかナイ。素手でひねりつぶスよ!」
「じゃあ、その成果をみせてもらおうかしら。あたしも四年間体を鍛えて待ってたのよ。」
「これが最後だ。」
「また来るんでしょ?」
「かもしれナイ。」
そういうとリーとミサトはバルコニーに出た。
ミサトはウェディングドレスのまま、リーは神父姿のままだった。
リーは構えをとると、微笑んで言った。
「毎回同じだけど、銃なしでいくヨ。」
「来なさい!」
すると、オーディエンスが囲み歓声をあげているのがみえた。
シンジは自身とミサトの間に生まれた赤ん坊を抱えると頭を抱えてこういった。
「もうやめなよ。」
シンジは呆れた。
しかし、わかっていた。
今回はあくまでリーの勝負につきあうだけ。
殺し合いなどではない。
でも、ケガしたら困るな。
ミサトは微笑み、ウィンクをしてシンジを黙らせた。
「もういいカ?」
「いいわよ!」
リーはそういうとキェェェェェ!!! と奇声をあげながら蹴りをかました。
ミサトもそれに迎撃するために同じく蹴りをかました。
二人の蹴りは交差すると、空気をよどめかした。
リーとの喧嘩はミサトの勝利で終わった。
その後、リーも交え二次会が開かれた。
加持はアスカが酒を飲もうとすると「お前は飲むなまだ早い」といい遠ざけた。
だが、結局アスカにも飲ませて二人で楽しそうに話をしているのをシンジはみた。
青葉とマヤは仲良くデュエットをうたってる。
元ミュージシャンの青葉はうまかった。
艦長は赤ん坊を抱くとあやし馴れているのか胸の中で寝させていた。
シンジはその光景を見て、父さんが生きていたらこんな一面もみせてくれたのになと心底思った。
だが、1番はヒカリだった。
ヒカリの歌声でなぜか時田が泣きながらリツコに慰められていた。
青葉はヒカリに「素晴らしい。」と絶賛していた。
カヲルはヒカリの歌声を聞いて「もう一度何か歌ってくれ」と懇願していた。
日向はミサトをみて少し寂しそうな顔をしていた。
シンジはそんな日向を見て、少し申し訳ない気分になった。
レイは最近動物に興味があるのか寝ているペンペンをじっくりとみていた。
ケンスケはアスカにアピールしていたが、あまり相手にされていないようだった。
そんな喧噪の中、冬月はシンジにある手紙を渡した。
「碇にいつかこの時が来たら君にこれを渡せといわれてね。」
シンジは中を開いた。
そこにはくしゃくしゃになった紙と奇麗な二枚の写真があった。
1枚は母ユイとゲンドウの若き頃、2枚目には赤ん坊のシンジを抱いたユイとゲンドウの写真。
手紙には直筆で書かれていた。
下手な字であった。
『おめでとう。強く生きろ。』
シンジは手紙を握ると涙を浮かべむせび泣いた。
父さんは僕を愛していた。
嫌っているわけではなかった。
大人になったシンジは今でもゲンドウが自分を愛してたかわからなかった。
だが、そこには愛があった。
なければ補完計画などしなかったのだから。
愛はあったのだ。
シンジはそう考えた。
そして、写真は全部捨ててなかった。
あったのだ。
「碇はね、君が葛城君への好意を相談したその時に考えが変わったんだ。君の幸せを追求させようとね。それがあいつのせめてもの親心だよ。」
冬月は付け加えた。
長い間いた友人のために、ユイ君のためにも。
いってやらないといけないことがある。
冬月はそんなシンジを支えると酒をすすめた。
シンジはありがたく受けると涙を流しながら会釈した。
「あいつもいつか言っていたな、あいつと酒飲みながら釣りに行きたいと。」
「父とは結局、わかりあえませんでした。僕が父をわかろうとしませんでした。だからだと思っています。」
「後悔の連続か、人生は。他人を完全にわかることなど人にはできない。それでよいのだ。他人をわかりすぎるとより深い後悔も生まれる。元から人類補完計画など破綻するものだったのだよ。」
「でも、後悔するそのたびに前に進めたような気がします。」
冬月は微笑んだ。
シンジは大人になった。
もう私も碇の手も必要ではない。
私の役目は終わったのだ。
否、もう終わっていたのかもな。
ミサトは寝たふりをしながらその会話を聞いていた。
後悔は人生を先に進めるか。
後悔とぬか喜びばかりだったが、それでも私は前を向けた。
シンジくんがそばにいるから。
父が助けた命、加持が導いた人生は、シンジ君に出会うのがゴールだったのだ。
シンジは外に出た。
すると、冷たい空気がシンジを包むのがわかった。
ミサトも外に出てきた。
「季節が戻ってきているのね。」
少し、ケガを負っていたが、どうやら気にしていないようだった。
リーとはケンカ仲間のようなものなんだろう。
「私の父さんも生きていたらきていたのかな?」
ミサトはシンジの肩によりかかり、そう言った。
碇ゲンドウは私の父の仇の一人。
だが、シンジ君の父でもあるのだ。
「そうだね、よびたかったな。僕の父さんも。」
シンジはそう言い、ミサトを受け止めた。
来ていたら笑顔がみれたのかな。
父さんの笑顔はみれなかった。
いつも怖い顔だった。
「私の父さんはね、冷たい人だった。でも最後はわたしを助けて死んでいった。だから復讐のためにネルフに入ったの。」
ゲンドウがいないのはつらいことだ。
シンジにとって。
ミサトにとってはどうだろう。
彼が反省し、罪を認めれば許せていたのだろうか。
否、殺していたかもしれない。
それができなかったのも、ある意味では幸運か。
していればどうなったのだろう。
シンジ君と殺し合う未来もありえた。
あるいは彼を交え、生きていくことも。
もしくは彼を救うことはできず私は死んでいたこともあり得たかも。
どこかの世界線ではきっと、エヴァがなく私とシンジ君が出会っていなかったこともありえるのかもしれない。
だが、それはたらればの話。
二人が出会ったのは運命。
運命の砂はかけたパズルのピースをあわせた。
「トウジも呼んであげたかった。」
シンジはつぶやいた。
その言葉を傍で見ていたヒカリは聞いていた。
本当だ。
トウジがいたら得意の腹芸で笑わせてくれたんだろう。
それももう、見ることのない光景。
「人生はつらい事ばかりだ、でもその辛さが生きている証拠なんだと思う。だから辛い事を抱えて前に進まなきゃいけない。」
シンジは思い出した。
コンラッドも同じことを言っていた。
彼も同じ考えだったのだろう。
ヤツは海に散っていった。
あいつにも辛いことがあったのかな。
でも、アレの気持ちをわかる気には今もなれはしない。
加持さんがいうところによれば、養父で師匠であったゼーレの代表者を恨んでこんなことをおかしたらしい。
父さんを憎んでいる、ある意味ではもう一人の僕のような存在だったのかもしれない。
ミサトはコンラッドに対して複雑な想いがあった。
あいつは憎い、だが人類補完計画はヤツがゼーレを抹殺しなければ止めることなどできなかった。
奴は世界の破壊者であったが、結果的にはゼーレを潰した原因にもなった。
ヤツは恐らく私たち以上にゼーレを憎んでいた。
利用するだけ利用して、暴走すれば排除しようとしたそのことに怒ったのだ。
ある意味では私と彼はまるで合わせ鏡のようなところがあったのかも。
だからといって同情する気にはなれない、許す気もない。
二人は思っていた、ヤツの二の舞はくるだろう。
人間の歴史は戦争の歴史だ。
ヤツの意志を継ごうとする悪意から世界を守る。
そのためにエヴァはあり続けるのだ。
「失ったものも多いけど、でもだから辛い思いがあるから楽しかった思い出もきらきらと輝くんだ。彼のためにも僕は生きるよ。生き続ける、どんなことがあっても。トウジが大好きだったこの世界で生きるしかない。」
シンジの目から涙が出ていた。
ヒカリもシンジの言葉を聞いていた。
そうだ、愛を教えてくれた鈴原が笑った世界を大事にしていこう。
私も生きていくしかない。
この辛さ痛みを抱えて、いつか鈴原が笑って天国から迎えてくれるまで。
ヒカリは手を強く握りしめ涙を流した。
「前に進んでいくしかないのよ、シンジ君。」
「そうだね。」
シンジはしみじみ言った。
ミサトはそんなシンジを強く抱きしめることしかできなかった。
女神になれない、でも生きるしかない。
寄り添い合い、傷口をなめ合うのが人間だから。
他人を認め合い、傷つけ合いながら寄り添うそれが生きてる意味なのだから。
ミサトはシンジを抱いた。
シンジはミサトをより強く抱きしめた。
二人は抱擁を重ね合い、時間が止まっていく感じがした。
ふとミサト気が付いた。
この子、こんなに大きくなってたのね。
ちょっと前までは抱きしめたら背骨がおれそうなほど華奢だった。
それが今では自分の肩すら並べるほどの身長がある。
やがて、流星が流れていくのがみえた。
まるでシンジたちを包んでいくように星空は輝いていた。
「きれいだ。」
カヲルも同じく外に出てきていた、そして星空をみていた。
自分を産んだ第一始祖民族、彼らは何を考えたのだろう。
きっと、シンジ君たちのように愛を奏でながら歴史を書き記していったのだろう。
僕たちを産んだ第一始祖民族にも何か自分たちを産んだ考えはあるはず。
いつか自分を産んだ第一始祖民族に会う。
彼らの話を聞いてみたい。
カヲルはそう決意して、生きることを選んだ。
シンジとカヲルは目が合うとお互いに微笑みあった。
綾波とアスカもきていた。
綾波は起きてしまったペンペンを抱き、星空をみた。
そして思わず言った。
「奇麗…。」
星空はこんなにも美しいのか。
綾波は驚いた。
まだ、知らないことが多い。
自分はもっとこの世界を知っておく必要がある。
碇司令が自分を産んだ理由は恐らくもっと深いものがあると思うから。
利用するための道具以上の情がそこにはあったのだから。
それだけで生まれた意味があるのだから。
綾波は胸に思った。
「本当だね。」
アスカも綾波に続いた。
加持さんとの関係はデートまでしかいっていない。
だけど、いつか結ばれる日がくるかもしれないし、別れるかもしれない。
でもそうなっても思い出は消えるわけではない。
エヴァパイロットを必要としなくなったとしても、そんな世界でも私は生きていける。
だって楽しかった思い出、好きになったモノは消せないもの。
例え今が辛くても楽しかった思い出が自分を応援してくれるなら未来に向かって歩いて行ける。
アスカはエヴァを経て自信がうまれた。
世界を救った四人を星空は優しく包み込んだ。
四人はそれぞれ見つめ合うと、自分たちが救った世界を感じた。
シンジは手紙を取ると、小さな声でこういった。
「父さん、ありがとう。」
シンジはそういうと、流星は輝いた。
まるでシンジに答えるように。
「強く生きるよ。生きてみせるさ。」
風はシンジとミサトをやさしくつつみこんだ。
季節が戻ってきた地球で二人は生きていく。
それはいいことばかりじゃない。
恐らく何かで問題はおきるだろう。
辛い事もあるだろう。
厳しいこともあるだろう。
逃げたくなることもあるだろう。
でも、逃げちゃダメなんだ。
そして、生きていかないといけない。
前を向いて辛い事も受け入れて、生きなきゃいけないんだ。
どこにも行けはしない、最初からこの世界でしか生きていけないのだから。
シンジはそう思い、ミサトとともに料亭に戻っていった。
仲間たちもそれに続いた。
星々は輝いた。
二人と仲間たちを見守るように。
エヴァを残しながら、地球は回っていった。
また、必ずエヴァが必要となる世界がくるのだから。
最後まで読んでいただき本当に、ありがとうございました。
僕の中でのミサトとシンジの話はこれで終わりにします。
オリジナルの悪役を出して人類補完計画を破綻させてご都合主義のハッピーエンドになるエヴァでもいいんじゃないかと思います。
当初は短編で終わらせる気でしたが、このミサトとシンジ、しいてはエヴァのキャラを幸せにさせたかったのでこのようなオチになりました。
もう一度になりますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
続編はやったほうがいいですか?よくないですか。
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やったほうがいい
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やらなくてもよい