ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話 作:井上ああああ
ネルフ本部
オペレーターの日向マコトは淡々と仕事をしていた。
「今日も各省庁からの連絡はなしか。」
使徒が来ればあわただしい発令所も平常では安静が支配していた。
ふと、みるとミサトとシンジが手を組んで歩いてきたのが見えた。
シンジ君がきてからずっとああだ。
別にシンジ君が嫌いってわけじゃない。
純粋でひたむきで頑固なところはあるけど、がんばっているから恨みなどない。
だが、どうだろう。
最近葛城さんは冷たい。
以前はよくお酒を飲みにつれていってくれた。
家に誘ってくれたこともあった。
それもシンジ君がきてから変わってしまった。
それと同時に気楽だった仕事も変わっていった。
やることが増えた、責任も。
しかし、これはちょっと面白かった。
世界を怪獣から守る、そんな仕事は楽しかった。
だが、子供にそのすべてを任せるのは気が引けた。
葛城さんもそんな自分のやっていることに引け目を感じていたのだろう。
シンジ君を引き取って家で暮らしているそうだ。
葛城さんは29だ、14の少年の母になれるような年齢じゃあない。
ふと、日向の耳に声が聞こえてきた。
「ミサトさん、ちょっと体重増えたんじゃない。」
シンジ君か。
姿は見ていない。
「え?なんで知ってるの。」
葛城さんの声が聞こえる。
相変わらずコケティッシュな声だ。
「だって、見ましたよこの前。ミサトさん、部屋の掃除ちゃんとすべきですよ。出ないと本当に…。」
「そんな意地悪言わないでよ、もしかして私がデブになったってだけで嫌いになっちゃうの?」
「そんなことはするわけないでしょっ!」
シンジ君の声が聞こえる。
細くて小さい声だが意思を強く感じる。
「じゃあ、教えてあげようか。シンジ君。私の体重が増えた理由。」
「え?」
日向は少し、モニターの黒くなっている画面状にミサトとシンジの顔がみえた。
ミサトは少し俯いている。
まるで少女のように。
彼女はシンジの顎を優しくつかむと、頬を赤らめながら言った。
「それはね、あなたの作る料理がおいしすぎるからよ。」
シンジはそれを聞いてさらに頬を染めている。
完全に恋人同士のそれだ。
「ブフォッ!!!」
近くでみていた赤木博士の吹き出す声が聞こえた。
その声とともに、近くで見ていたマヤの顔にコーヒーがかかっている。
リツコが噴出したものか。
「センパイ、ひどいですよ…。」
「いや、ごめんマヤ。」
「いこういこう、シンちゃん。ここに三十路超えて恋人もろくにいない人がいるわ。非モテのオーラがうつっちゃうじゃない。」
「絞め殺すわよ!ミサト!覚悟なさい!」
「きゃーこわーい!にっげーろー!」
ミサトとシンジは手を引き合うとそのままかけだしていった。
リツコは両腕を振り回しながらそれを追いかけている。
「もう、これだから若い男は…。」
マヤは呆れている様子だった。
彼女の隣にいたロンゲのオペレーターの青葉はため息をつくとマヤに言った。
「それ、ヨゴレてるじゃん。洗ってきな。」
「はい、ロッカーにある替えの制服とってきます。」
マヤは少し苛立たし気に立つとそのまま去っていった。
青葉はふと日向と目が合った。
青葉はふと考えた。
こいつ死んだ顔をしていた。
目はもうすぐで泣きそうだった。
葛城さんはわかっているか、わかっていないかわからないが日向は葛城さんにホレている。
これだけはわかっていることだ。
恐らくみんなが。
たまにはこいつを支えることをしてやらなきゃいけない。
特に同僚である俺が。
「なあ、日向。」
「なんだ。」
「今日終わったら付き合ってくれねえか?」
「なんだよ、それ。」
「だからさ、遊びに行かないかっていってんの。」
そういや、コイツとは長い付き合いだが遊んだことがない。
まあ、青葉なりの気休めだろう。
日向はそう思うと首を縦に振った。
「僕もなんか疲れちゃったよ。たまには行くか。」
青葉はそういう日向の顔をみるとほくそ笑んだ。
了承のサインだ。
数時間後、二人は一通りの仕事を終えるとそのまま市街地に駆け込んでいった。
第三新東京市、それも使徒が来なければ普通の街だ。
青葉と日向は私服に着替えると、そのまま市街地を練り歩いた。
二人は並んで愚痴を言い合った。
ゲンドウがうるさいこと、冬月はそれに輪をかけてうるさいこと。
赤木博士はなんで金髪なのか、マヤはかわいいか否か。
青葉はあえてミサトの話はしなかった。
そんな流れであったが、日向はふと青葉に打ち明けた。
「葛城さんも昔はよく連れてってくれたんだけどなあ。」
青葉は日向をふとみつめた。
「そうなの?」
「うん、シンジ君が来るちょっと前まではね。色々いってたんだ。いっておくけどさ、デートじゃあないよ。ただ仕事の延長で付き合いがあって。」
青葉には言えなかったが、日向はミサトに代わり情報収集をしていた。
ネルフが隠している真実を。
この組織の裏で暗躍する秘密結社の存在を。
その代わりとしてミサトが時々飲食を奢ってくれたことがあった。
「そういえば、遅くなってさ。あの人を送ったことがあったんだ家まで。そしたら家にあがらないかって。断ったんだよ。」
「え?お前バカじゃん。それフラグじゃねぇーか。」
「今考えればそうかもしれない。」
「お前のそういうところマジで欠点だぜ。」
青葉は日向をみて苦言を呈した。
こいつは昔からそうだ。
空気が絶望的に読めない。
見た目もキレイでそこそこいい顔をしているのに、絶望的に空気が読めない。
間が悪いのだ。
「あー、できれば僕が葛城さんと暮らしたかったよ。あんな子じゃなくてさ。」
日向は少し漏らした。
嫉妬だろう。
「お前、あんまシンジ君のこと知らねえだろ。あの子、結構レベルたけーぞ。」
「お前こそ何か知ってるのかよ。」
「よくギターを教えてるんだ。音楽に興味あるからな。あの子はいい子だよ。チェロが得意なんだ。優しいし、顔もかわいい。それにああみえて行動力あるしな。」
青葉は遠回しに言った。
相手はでかすぎるぞということだ。
加持さんもプレイボーイだが、彼女のことを100%受け止めることはできなかったとボヤいてた。
そんなプレイボーイが崩せない牙城を崩した。
彼はそんな奴だ。
日向は多分勝てない。
青葉は話題を変えた。
「まあまあ、そんなことよりさ今日は飲もうぜ。明日休みだろ俺ら。」
「そうだな…。そうしようか。」
「この近くに新しい店がオープンしたんだ行こうぜ。」
青葉の声だった。
日向は首を手で押さえると青葉の指さす方向をみた。
そこは周囲でも有名ないわゆる風俗街だった。
「おいおい、ここの周辺って怪しいガールズバーとかしかないだろ。大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫、俺厨房のころやんちゃやってたから素手ゴロならまけねーよ。」
「はいはい。」
日向は青葉の軽口を無視した。
二人はすぐさま、目当ての店に近寄ると客引きの男に声をかけられた。
日向は少し面を喰らった。
まだ声変わりもしていない、シンジ君と変わりないような年齢の少年だった。
「二名でいいすか?」
「ああいいよ。」
青葉は平然としていた。
やはり遊び馴れているのだ。
「おい、大丈夫かよ。」
日向は真剣に怖くなって問い詰めた。
「大丈夫!大丈夫!行こうぜ!」
ふと彼らはエレベーターに上がると中に入った。
そこにはバーカウンターに美人の女性がいた。
客らしき影はほとんどいない。
「いらっしゃいませ。」
「ほら、普通の店じゃん。ガールズバーなんかじゃあねえっての!」
日向は安心すると、カウンターらしき場所に座った。
「ちょっとだけ安心したよ、マジで。」
「だろ?今回は俺のおごりよ。チューハイ二つで。」
「いいのか?」
「気にするなって。」
すると、女はグラスを取り出すとチューハイを入れ始めた。
ビンには『チューハイ』という文字がテープで貼っているだけであった。
この店、大丈夫か?
日向はふと思った。
「まあ、お堅いことぬきで乾杯といこうぜ。」
「ああ。」
青葉と日向はグラスを合わせあうと酒を飲み合った。
すると、バーカウンターにいた女性もグラスを取り出した。
「お兄さんとかんぱーい!」
青葉は女に釣られて乾杯をした。
「おいおい、青葉…。」
「だからてめえは女にモテねーんだよ!ノる時はノれって!せっかく顔はイケメンなんだから…お前総務課の女の子の間でかわいいって評判いいんだぞ。」
「それとこれとは関係ないような。」
「あるっての!」
青葉は完全に飲まれて酔っていた。
日向は少し呆れながらそれに釣られて飲み始めた。
苦い。
酒は苦手だ。
葛城さんはよく飲んでいたが…。
「日向、お前酒飲めねーの?」
「あんまり、得意じゃないかな…。」
「まあ、いいとこのボンちゃんなのはわかるぜ。」
「勉強ばかりしてきたからな、恋愛なんて縁なかったよ。大学に入ってそればっかだったかな。」
「俺は遊んでばっかだったな。当時の仲間はプロにいっちゃってさ、俺だけだよなれなかったのは。その時副司令が面接担当で『君は耳がいい』とかでスカウトされたんだよ。」
「僕はずっと退屈な人生だった。だから今の仕事が大好きなんだ。」
「お前変わってるわ。やっぱ。」
それから日向と青葉は自分の過去のことについて話し合った。
気が付けば11時を回っていた。
「家に帰るか。」
「だな。」
二人はそろそろお開きにしようと会計を済ませようとした。
バーカウンターにいた女性はすごすごと引き下がると、会計担当と思われる若い男がやってきた。
体格は非常にいい。
青葉はふと、伝票をみた。
「50万円?」
青葉は絶句した。
日向は青葉の声を聴くと思わず見返した。
確かに50万と書いている。
会計係の男は不機嫌そうに言った。
「なんスか。」
「あの、ボクたち2杯しかのんでないですけど・・・。」
日向はか細い声でそういった。
だが、それをかき消すように青葉は叫んだ。
「いや、おかしいだろお前ら!!これで50万はねーよ!!まさか…。」
会計係の男はほくそ笑むと、言い訳をした。
「いや、女の子飲んでたでしょ。それ代ですよ。」
ぼったくりだ。
青葉は睨みつけると、男の前に踊り立った。
「てめェ、なめてんのか?」
「なめてんのはそっちだろ、この金額がうちのルールってやつなんだよ。」
「ンだとこの野郎ォ…。」
「文句があるならいいぜ、店長をお呼びします。」
男がドアを開くとそこに褐色の肌をした大柄な巨漢がでてきた。
身長188㎝以上ある黒人の男はギラリとした目で睨みつけてきた。
青葉は思い出した。
「あっこいつ…関東同盟の獅堂レオンだ!」
獅堂レオン、日本人とナイジェリア人のハーフで関東最大の半グレ組織「関東同盟」の4代目リーダーであった男。
その腕っぷしで関東を支配した半グレ界の大ボス。
歌舞伎俳優の蛯谷渋蔵をボコボコにしたことで有名だ。
さらにその腕自慢は格闘家を何人も病院送りにしたことでもっと有名だ。
暴力団とも関係が深い男で、関東の暴力団からはその武力を買ってかわいがられているとも青葉は聞いた。
「知ってるのか、青葉。」
「俺の中学時代に先輩の間で伝説だったやつだよ。」
レオンは青葉をにらむと立ちはだかった。
「俺を知ってるとは話が早いな。50万はらってもらおうじゃねえか。いやそれじゃたりねえ倍の100万だな。」
青葉は一瞬で表情が変わった。
話が違う。
確かに中学時代、やんちゃはしていたがこいつは文字通りの規格外のバケモノだ。
こいつが中1のころに近所の高校生が集まってリンチにしようとしたが返り討ちにしたことがニュースになったこともあった。
気が付くと周囲には男たちがいた。
どれもこれも体が大きい。
「まずいぞ、囲まれてる。」
小声で思わずつぶやいた。
レオンはほくそ笑んでいた。
このままじゃ、金を払うまで帰れない。
どうしよう…。
日向と青葉は頭を抱えた。
そんな時だった。
「あ、ちわーっす!一名でお願いしまーす!」
聞き覚えのある声だった。
「葛城さん!?」
「あら、青葉くん日向君。こんなとこで会うなんて奇遇ね。」
ミサトは余裕の表情だった。
微笑みの微笑があった。
「て、てめェは…。」
中にいた金髪メッシュロン毛の男が吠えた。
顎に包帯らしきものをまいていた。
「あ、アンタは前の…。」
二人は顔見知りなのか、と日向は思った。
「レオンさん、こいつです!俺やられたのは!」
レオンは部下をの話を聞くとミサトの前に立ちはだかった。
「俺様のいないときにかわいい後輩の顎を粉砕してくれたのはてめェだったか。」
「まあ、過ぎたことはいいじゃない。で酒飲みたいんだけど…。」
ミサトは道化じみた表情でいった。
まるでレオンなど気にしていないというそぶりだった。
「てめぇにやる酒なんてもんはねェ、ここで落とし前つけてもらおうじゃねえか。」
レオンはいらだった様子で言った。
それに反して、ミサトは不適に微笑んだ。
「あっ、ここってぼったくりなのか。じゃあ暴れられても無理はないね。」
ぼったくりの部分を強調させていた。
周囲の男たちの顔は紅潮していた。
恥と憤怒、憎悪それらがごちゃ混ぜになっていたのだ。
「いい加減にしとけ、クソアマ!!!」
レオンはその剛腕を振るうと、マホガニーのカウンターに叩きつけた。
バキッ…。
重さ400㎏あるカウンターはひび割れ大きく凹んだ。
「なんてパワーだ!!」
青葉は悲鳴を出した。
こいつはやばい。
バケモノだ。
「クソアマ、てめえもこうなりてえか?」
レオンは勝ち誇ったかのように言った。
だが、それをみてもミサトは平気そうであった。
「だからなんなの?」
「なんだと?」
「いや、それ壊して何か意味あるのかなって。」
会計係の男が申し訳なさそうに声を出した。
「そ、それ500万するヤツですよ。壊したら…。」
レオンは男をにらむと、その剛腕で思いっきり頭を殴り飛ばした。
ゴキッという鈍い音が聞こえた。
男は控室のドアをぶち破るとそのまま姿がみえなくなった。
死んだのか生きているのかわからない。
「ゴタゴタうるせェんだよ!俺からすりゃ500万なんてのはな、はした金なんだ!闇金いじめて金を回収すりゃいいだろ!黙ってみてろ!」
「部下をいじめたやつに復讐とか息巻いてるけど、自分は殴り飛ばしてるじゃない。矛盾してない?」
ミサトの無駄口にキレたレオンは立ち上がると雄たけびを上げた。
「なめんじゃねーぞ!!」
レオンは右腕を振るうと、獅子のような雄たけびをあげミサトの前に降りかかった。
ミサトは素早く、それをかわした。
ぼんっ!
レオンの拳はミサトによけられると壁に大きな穴をあけた。
モルタル製だったようだ。
「次はてめえの頭がこうなる。」
「中々やるじゃない、腕力だけならそっちが上ね。」
ふと、日向はミサトの背後に男が近づいてるのがみえた。
日向は青葉の肩を叩くと指摘した。
「挟み撃ちにしようって考えみたいだ。」
「そうはさせるかよ。」
青葉はその場に転がっていたビール瓶を持つと、素早くミサトの背後にいた男の頭めがけて瓶を叩きつけた。
バリィィィィン!!!
音が響いた。
「うごっ!」
ミサトの背後にたっていた男は悲鳴をあげると、頭を抱えて地面に倒れ込んだ。
「この野郎、黙ってみておけば!」
脇にいたチンピラの一人が青葉に殴りかかってきた。
だが、日向はその男の背後に立つと勢いよく地面に押さえつけていた。
「おっ、やるじゃん。」
青葉は押さえつけられていた男の顔面を勢いよく蹴り上げた。
まるでサッカーボールのように。
ミサトはその様子をみると、誇らしげに微笑んだ。
「アンタの部下よりうちの子たちのほうが上手のようね。」
レオンは怒りに任せると、再び拳を切り出した。
ミサトはその腕をつかむと、柔道の一本背負いを繰り出した。
「うおおっ!!!」
体重100kg近い大男の体は宙を浮くとそのまま地面に倒れた。
「このクソがァ!!!」
レオンの舎弟たちは2人そろってミサトの近くに躍り出た。
手には包丁や警棒らしきものがみえた。
ミサトは1番危険な包丁を持った男の股間を思いっきり蹴り上げた。
「ぎえっ!!」
股間を蹴られた男は地面に倒れ悶絶した。
次にミサトは背後から迫ってきていた警棒を持った男の手首を両腕でつかみとると、思いっきり自身の肩にぶつけた。
ゴキッ。
「ぎあああああああ!!」
男の腕は折れたらしく地面に苦悶しながら倒れた。
周囲のチンピラたちは残されたのはアゴに包帯を巻いた男のみを除き、ほとんどいなくなったのがミサトにはみえた。
「あ、あああ・・・。」
以前、ミサトに顎を砕かれた男は完全に震えあがっていた。
戦意はほとんどない。
「なめんじゃねェェェェェ!!!」
レオンは立ち上がると、ミサトの頭めがけて渾身の右ストレートを繰り出した。
ミサトは少し右にそれよけると、足に全身の力を入れてレオンの顔を蹴り飛ばした。
「おぼ・・・。」
レオンはマヌケな声をあげるととうとう3m先に吹き飛び、倒れた。
ミサトは倒れたレオンに背を向けると、青葉と日向の方に向き直った。
二人は無事だったことに安堵したミサトは優しく微笑んだ。
「元気そうね、よかったよかった。それじゃ帰ろうか。」
会計係を担当していた男がようやく目を覚ましたらしく地面に置きあがっていた。
ふと、周囲が死屍累々なのをみるとその顔面は蒼白になっていった。
「正規の金額でお願い。」
ミサトは静かにそういった。
男は震えあがると…告げた。
「あ、えーっと2千円です。」
「それでも高いんじゃないの。」
「すいません、これ以上は…。」
「あっそ、じゃ…。」
ミサトは2千円を財布から取り出すとそのまま男に手渡した。
「あ、ありがとうございました…。」
会計係の男は小さい声で言った。
青葉は中指を会計係の男にたてるとミサトの後についていった。
同じく日向もついていった。
やがて、ビルを抜けると複数の救急車とパトカーがビルの下に来るのを日向はみた。
バレるのは困ると判断した3人は足早に去っていった。
「二人とも、あんなとこによっちゃダメだよ。シンちゃんと前に来た時ここで喧嘩に巻き込まれちゃってさ。もうこりごりなのよねー。こんなところ。」
「すいません、葛城さん。」
青葉は頭を下げた。
「申し訳ありません!」
日向も同じく下げた。
ミサトの顔は怒っていなかった。
それどころか、笑顔だった。
「二人は悪くないわよ、でもちょーっち運がよかったね。あんま変なとこで夜遊びしちゃダメよ。だって二人とも大事な大事な仕事仲間なんだもの。体は大事に、ね?」
『仲間』か。
まだそんな認識なのかな、日向は少し悲しくなった。
「じゃ、あたしはこれで…。明日も仕事なのよね。じゃあ日向君月曜日またね。」
ミサトはジャケットを脱ぎ背中越しで持つと、そのまま街の中へと去っていった。
日向は何かを言おうとしたがミサトはそのまま姿がみえなくなってしまった。
青葉はミサトが去った後にふと日向に聞いた。
「もしかして俺らのことずっとマギか何かで見てたのかな、そんで心配になってきてくれたのかな。」
「わからない。」
偶然か計算かわからない。
いずれにせよ、日向のミサトへの想いはこの一件以降より強くなった。
そして、いつかはあの人に恩を返したい。
そう、彼は強く思ったのだった。
同刻、アメリカ西海岸。
太平洋を走る一つの大型客船があった。
乗っている人物は多国籍企業の社長や重役・関係者であった。
その中にVTOL機が降り立った。
「待っていたよ。」
重役の一人が告げた。
その声と同じく、機体の中から一人の男がやってきた。
銀色の髪をした筋骨隆々の男は片腕を鋼鉄でできた義手にしていた。
右目はなく眼帯をしていた。
年齢は50代前後だが、その肉体はまだ若かった。
「お前が求める人間の情報はその中にある。」
重役はそういうと、アタッシュケースを手渡した。
大男は義手ではないほうの手を使い、ふたを開けた。
「葛城ミサト、お前…こいつを使って何にしようってんだ?アーノルド。」
「こいつは私の腕を奪ったのだ。」
アーノルドという男は背を向きながら言った。
葛城ミサト、知っている。
今彼女はぬるま湯の家族ごっこで甘んじている。
もっと上に行ける人間なのに。
「ヤツの全て、否定してやる。」
アーノルドの目は憤怒に燃えていた。
次に前後編でやる話が最終作になります。
その後、もしかしたら別枠で続編をやる予定です。
宜しければその時の投票などの参加よろしくお願いします。
続編・番外編があるとするならどんなものがみたいですか?
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アスカと加持を主役にした活躍
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レイとカヲルを主人公にした活躍
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ゼーレに代わる抵抗勢力の暗躍
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帰ってきたゼーレ
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帰ってきたコンラッド