ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話   作:井上ああああ

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今回はちょっとラブコメらしいお話
次回以降はシリアスになります


シンジ君とミサトさんがデートに行く話

アメリカ、ニューヨーク。

 

加持リョウジはとある出張でここにいた。

最近、エヴァ四号機の調整を行っていたアメリカ支部が何千人という人間とともに消失したのだ。

その原因を図るため関係者に聞き取りを行っていた。

 

その本当の真意は別のところにある。

たびたびネルフを狙うテロリスト「コンラッド」の素性を知るためだ。

 

 

協力者であるダニエル・ソーンバーグのいるストリップクラブにやってきた加持はふと周囲をみつめた。

様々な人種の女性が全裸になり、媚を売るため男たちに寄っていた。

加持も女性の裸には慣れていた気ではいたが、こういうところは流石に気が引けてしまう。

 

 

「加持。」

 

彼の名前を呼ぶ20代後半ぐらいのハンサムな白人男性がいた。

 

ダニエル・ソーンバーグ、CIAの工作員でありながら国連にも情報を提供している。

加持以上のプレイボーイで世界中に彼女がいる、とんでもない男だ。

今日も彼の頬には女性のキスマークがあった。

肩には美人な女性がもたれかかっていた。

 

加持は表向きはプレイボーイだが、複数人の女性を弄び捨てるほどの残忍なことはしない。

 

だが、こいつはそれすらも平気だ。

 

 

「お前もどうだ?」

 

「いや、遠慮するよ。」

 

 

加持の言葉を聞くと、ダニエルは女の尻を強く叩き出ていけと手で追い払った。

とことん女性蔑視な人間だ、そして悲しいがこういうやつがモテるんだ。

 

 

「そうか…じゃあ面倒くさいからビジネスの話をしようか。まず金を…。」

 

加持はジェラルミンケースを取り出し、差し出した。

ダニエルは中身を空けると首を何度も何度もかぶりをふりながら、感心した。

金だけのものじゃない、日本政府の恥部やスキャンダル、野党の追及の影響で戦略自衛隊の予算がもう尽きていること…といったもののファイルも入ってる。

 

 

「確かに確認した。」

 

 

「次はおたくの番だ。」

 

 

「わかっているさ。」

 

 

ダニエルはスーツケースを開けると、ファイルを取り出した。

 

 

「頼まれていたマーカス・コンラッドの件だが、大分調べが付いた。こいつは表向きゼーレを破門されているが、キール議長とは個人的に連絡を取り合っている。おまけに元CIAという触れ込みだが、現在でも立派な破壊工作担当をしている。要するに偽造破門・偽造退職して表向きフリーの破壊工作をしている『破壊屋』だ。」

 

 

「破壊屋…。」

 

「逆に言えばCIAにゼーレの弱点、ゼーレにCIAの弱点を売り…お互いを利用しあうようにしているわけだ。アメリカはセカンドインパクトで多大なダメージを覆ったが、立ち直りも早い。表向き戦略自衛隊こそが世界最強の軍隊といっているが、現実は違う。アメリカは海兵隊を独自に強化している。戦自はもう4年前にその実力は抜かれてるのさ。」

 

「こいつの目的はなんだ。」

 

 

「加持、人類補完計画を知ってるか?」

 

 

人類補完計画、詳しくは知らん…。

だが、ゲンドウとゼーレがもくろんでいることだとはわかっている。

 

 

「いや…イマイチ。」

 

「わかりやすくいえば、人間をLCLのスープにして統一するってもんだ。だがな、ゼーレは人類補完計画をすることで人間を神の地位に高めようとしている。だがゲンドウは違う。神の器を用意している。この辺でやり方の違いがおきるわけだ。」

 

 

キール議長は体がボロボロで半分機械になっている。

神に高めようとしている、というのは大嘘で本当のところは自身が形を変えてでも生き残りたいというものだろう。

 

「だが、コンラッドは違う。そんなものを求めていない。こいつが求めてるのはな圧倒的な暴力で世界中の人類を虐殺することさ。そしてもくろんでいるんだよ世界中の犯罪者を集めた帝国を築き上げることをな。その皇帝になりたいんだ。」

 

 

「虐殺?」

 

 

「こいつにとってはな、手段が目的なんだ。恐らくネルフが使徒を倒し続けるまではおたくらの命を本気で狙うなんてことはしねえだろう。だが、使徒が滅んだらどうなるかな?アンタも気を付けたほうがいい。あとそうそう、アメリカが何でこいつを泳がせているか知ってるか?」

 

 

「なんだ?」

 

 

「得だからだよ、この国は損得でしか動かない。ゼーレもその1部でしかないわけだ。」

 

 

 

世界一の超大国アメリカ、この国はゼーレすらも食い物にして肥大化していく。

それを誰も止めることはできないのか。

 

 

「この国はイカレている。」

 

 

「そうだ…世界中でエヴァシリーズが量産されてることも知ってるか?ゼーレが手引きしているらしい。それをコンラッドがアメリカ政府の大物に暴露した。ネルフのアメリカ支部が姿を消したのもコンラッドとアメリカ政府が裏工作を色々したからだ。」

 

 

やはり、そうか。

ゼーレのシナリオにはないことをコンラッドは行っている。

 

 

「それと近々ゼーレでクーデターがおきるらしい。その時コンラッドはアメリカを見捨てるんじゃないかともいわれている。その時奴はどうなるか⋯綱の外れた狂犬はあちこちで暴れまわるぞ。」

 

 

「ご協力ありがとう、他には何かあるか?」

 

 

「ああ、あるとも。このファイルにはアンタが知りたいもっとディープなことが書いている。例えばどうだろう、セカンドインパクトのこととか…興味はあるだろ?」

 

 

セカンドインパクト…。

俺と葛城の人生を変えた、家族を奪ったあの‥。

あの真実がここに書かれている。

 

 

「ありがとう。」

 

 

俗物だが、この男はいつも仕事を行う。

これ以上アメリカに長居する気はない。

加持は彼に背を向け、あとにした。

 

 

彼はこの後京都に行く⋯いわゆるマルドゥック機関の真相を知るため京都へと向かう。

 

 

 

 

日本。

 

 

ミサトに告白をしてから数か月たっていた。

実はというとミサトとシンジの間に何も進展もなかった。

というよりも、それ以降立て続けのように使徒が何度も来ていたこともあり、非常に忙しかった。

 

しかし、どれもこれもシンジにとって思い出深いものばかりだった。

 

二つに分かれる使徒イスラフェル、マグマの中に潜んでいた使徒サンダルフォン、クモ型の使徒マトリエル、空から来る隕石のような形をしたサハクィエル。

 

 

特にサンダルフォンの後に泊まった温泉は最高だった。

その後、温泉に入った後の浴衣姿のミサトを見てシンジは顔が一気に赤くなり、アスカに「真っ赤なトマトみたい」と笑われたのを覚えている。

 

マグマの中に入った初号機を二号機が救い上げた際にアスカは大声で「カノジョが好きなら残して死ぬんじゃなーい!」と大声をたてていたのは恥ずかしかったけど…。

 

 

 

そのすぐあと、ミサトが昇格したのをみんなで祝った。

 

ミサトはそれが終わった後に自分がなぜネルフに入ったのかを教えてくれた。

 

自分のことを認めてくれたのかとシンジは心の奥底から嬉しく感じた。

 

父ゲンドウからも褒められたが、父に褒められるよりミサトに褒められるほうがなんだかうれしく感じている。

 

 

でも、ミサトは最近忙しくて帰ってこれないことが多い。

加持と遊んでいるのかなとシンジは思ったら加持も忙しく、最近姿をアスカですら見ていないそうだ。

 

 

「何かあったのかな、加持さん。」

 

 

アスカは小首をかしげていた。

シンジはうっすら加持がなにをしているかわかっていた。

 

加持さんはスパイをしている。

ミサトさんと手を組んで、セカンドインパクトの裏で何が起きていたかを探っているとシンジは確信した。

 

 

というのも、イスラフェルの時は綾波とアスカをあえて組ませることで仲良くさせようというミサトさんのアイデアでシンジは待機していた。

 

その時、ふとミサトさんの執務室で『報告書』と書かれている書類を見ていた。

筆跡はミサトさんのものじゃなくて、明らかに加持さんのものだった。

中身はすべてはわからなかったが、松代で現在整備中の三号機に乗るのがトウジであること、ネルフのバックにゼーレという政治結社がいること、ネルフの地下にはアダムといわれる使徒の親玉がいることなどが書かれていた。

 

 

なぜトウジが選ばれたのか、加持さんはそれを調べているらしい。

 

それを加持さんに指摘したところ、アスカにだけはこういうところを見せるな・言うな・巻き込むなと加持さんに再三釘を刺されていたので、加持の中でアスカが特別な存在になっていっているのは間違いないとシンジは確信していた。

 

恐らく以前は鬱陶しい存在だったのかもしれないが、今では大事な家族・それ以上の存在として認識しているようでアスカが風邪をひいたときは面倒を見にわざわざ家まで来たことすらもあった。

 

ミサトさんと話をしている時に加持さんが言っていた。

 

 

「以前は自分ひとりの命と思っていたが、アスカを見守っていきたい、奴が大人になるまで…それまで無駄に死ぬ気はない。アスカに助けられた俺の命を大事にしたい。」

 

 

「アスカのことを思うと、1日経つごとに自分が強くなっていくのを感じる。本当に強いのは失うものがないやつじゃない⋯失うものがある人間が強いんだ。」

 

 

あんな軽薄な加持さんが本気になっているのは珍しい。

正直、こんなことを言ってもらえるアスカは幸せ者だと思っている。

 

 

だから、ミサトさんが加持さんに代わって情報を集めることも多くなっている。

加持さんにできることとミサトさんのできることを分担しているわけだ。

 

 

ミサトが家に遅くにしか帰ってこないのもそれが原因だ。

 

だからシンジは黙ってぐっとこらえていた。

 

 

ミサトさんを愛しているが、それ以上に世界の命運が大事だ。

 

 

ミサトの家でアスカ・ペンペン・シンジはふと考え込んでいた。

最近は家にヒカリが邪魔をすることも多く、ペンペンを大事そうに撫でていた。

アスカもペンペンが好きらしく、ヒカリを見送る際に一緒に行ったりしていた。

 

そんな今日もヒカリは来ていた。

 

 

アスカがペンペンの散歩に行った際に、ヒカリはシンジに尋ねた。

 

 

「碇君…鈴原のことをどう思う?」

 

 

「大事な友達だと思ってるよ。」

 

 

ヒカリは少し、何か考えこむような表情をしていた。

ヒカリがトウジのことを好きなのは、残念ながらクラス上の暗黙の了解となっている。

先生ですら知っていることだ。

 

そして、恥ずかしそうに俯くと告げた。

 

 

「今度、デートに行くの。鈴原と…。私が告白したら鈴原もずっとお前が好きだったって…。」

 

 

「そうなの?」

 

 

デートかあ、そういやミサトさんとはお互いの気持ちを言い合う前に外食に行ったきりだなあ。

あれはデートじゃないと思ってる。

ミサトさんとデートに行かないと、でも時間がないし。

 

 

「デートか…。」

 

するとドアの音がぴしゃりとするのが聞こえた。

アスカはペンペンをぬいぐるみのように抱きかかえると不満げに言った。

 

 

「なーに黄昏れてるの!!!バカシンジ!!あんたもさっさとデートに誘いなさいよ!!!あいつに早く!!!」

 

 

アスカが言う「あいつ」⋯ミサトさんのことか。

 

 

「でも、時間がないし、あの人。」

 

シンジが自信なさげに返していた。

ヒカリは困惑していた。

 

 

「え?碇君彼女いるの?」

 

 

「かなり美人よ。」

 

 

「すごい!!!」

 

 

アスカはウィンクをした。

シンジに「仲はばらさないよ」という事をアピールしているんだろう。

 

アスカは機嫌がすこぶるいい、なにせ使徒にトドメをさすのはアスカの役割と最近は決めているからだ。

 

これはミサトさんのアイデアではなく、青葉さんのアイデアらしい。

 

青葉さんも聞けばかなり女性にモテるタイプで、女性の扱い方を熟知している。

それと、アスカは加持さんをもうとられたくないその気持ちだろう。

なんだかんだでアスカのアドバイスは当たっていることが多い。

ミサトさんも最近は部下の助言を聞き、作戦や指揮に反映することが多い。

 

やはり、他人のアドバイスは聞いておいた方がいい。

 

アスカのこれも的を得ている。

 

この場合、助言は聞いておくに限る。

 

シンジはそう考えると、首を縦に振った。

 

 

「そうだね、デートしてみるよ。」

 

「ふっふ、バカシンジも素直になったなあ~!」

 

 

どっちがだよ…。

シンジはケータイを取り出すと、すぐさまメールを送った。

 

 

『ミサトさん、次の日曜日にデートいきませんか?』

 

 

どう返してくるかわからない、だがミサトが好きな気持ちは変わらない。

シンジは決意をした。

僕よりも大分年上だけど、それでも愛は変わらない。

 

 

「委員長、アスカ…僕は彼女が何歳になっても愛し続けるよ。」

 

「シンジったら、男をあげちゃって…。」

 

 

アスカはそういうと頭をくしゃくしゃと撫でていた。

まるでできの悪い弟を姉が褒めるように。

 

 

ミサトはその頃、ネルフ本部にいた。

最近はシンジ君にかまってやれていない。

エヴァの補修費の算出、始末書の整理、対人防衛の向上の意見書、そしてMAGI端末へのハッキング…これらをやることで忙しい。

 

家に帰るのは大体深夜だ。

 

内心、シンジ君には申し訳ないと思っている。

 

 

そして、この前彼女はシンジに冷たくこう言ってしまった。

 

 

「そうして、人の顔色ばかり気にしてるからよ」

 

 

アスカがなぜ怒っているのか知りたい少年の純な疑問を暴言で吐き捨てた。

あの後、シンジ君はなにも言ってこないが、恐らく傷ついているだろう。

 

 

昇進もしたが、なんだか虫の居所がよくないというか居心地が悪い。

やる仕事も増えてきたというのもある。

 

 

執務室に訪れていたリツコはため息をつくミサトをみて微笑んでいた。

 

 

「恋煩いかしら?」

 

 

「そ、そんなんじゃないわよ。シンジ君とは…。」

 

 

「あら、でも水族館であなたキスしたんでしょ。彼と…。」

 

 

把握済みか。

流石、碇司令。

 

 

「ええ、そうよ。」

 

 

彼への愛の言葉は本当だ。

真意だ。

キスもずっとしたくて我慢してたものをしてしまっただけだ。

 

 

「あなた言ってなかったかしら?『子供に手をだすほど飢えてない』って…。」

 

 

「でも、大学時代にあなた言ってなかった?『恋愛はロジックじゃない』って。なにがおきるかわからないじゃない。それで結果的には彼はエヴァに乗ってくれている。それでいいでしょ。」

 

 

「じゃあ、あなたはエヴァパイロットとしての彼以外は必要ではないということ?」

 

 

「それも違うわ。」

 

 

私がほしいのはシンジ君そのもの。

パイロットとしての彼だけではない、彼の初々しい笑顔、あのうなじ、細い首筋、未発達の胸板…すべてが愛おしい。

 

 

「彼は私にとってのすべてよ。」

 

 

「加持くんよりも入れ込んでるわね…。」

 

 

「そうね。」

 

 

リツコは少し危険に感じていた。

ミサトが一線を越えてしまったらどうしよう。

シンジ君の今後に影響を及ぼしたらどうなるだろう。

 

 

全ては補完計画の前の傷口の舐め合いでいいのか。

 

 

だが、恐らく今の碇司令は補完計画がなくてもほとんど人生に満足している。

 

 

そして何よりなぜ私がこんなことを考えなくちゃいけないんだろう‥。

結局、人間はロジックではないのかもしれない。

 

リツコは頭を掻きながら壁に背中を付けた。

 

 

 

ふとミサトの携帯が鳴っているのをみた。

 

 

「ミサト、何かなってるわよ。」

 

 

「あ、メールだ。」

 

 

ミサトは携帯を開いた。

 

ズコッ!!!

 

 

ミサトは大きな音をたてて椅子からこけおちた。

 

 

「み、ミサト…。」

 

 

顔は真っ赤である。

 

シンジ君からのメールか。

 

リツコはミサトの手から携帯を取り上げると、中身をみた。

 

 

『ミサトさん、次の日曜日にデートいきませんか?』

 

 

 

リツコはため息をついた。

 

 

「あなた、男にモテるわねえ…。キスはいいけど本当に『手を出したら』ただじゃ済まさないわよ。本当。」

 

 

ミサトは赤面しながら携帯をリツコから取り返すとメールを打ち返した。

 

 

『いきましょう。』

 

 

横で見ていたリツコは親友を静止しようとした。

 

 

「ちょっと、ミサト!」

 

 

「いいのよ、これで…。」

 

 

赤面し終えると、ミサトはふと窓をみつめた。

以前彼に冷たい態度をした、どこかでその埋め合わせはしないといけない。

いい機会だから、行こう。

 

せっかくのデートなんだ、オシャレしないと…。

 

 

ミサトは気合で始末書を早く書き上げると、その足で第二新東京にある仕立て屋でドレスを買った。

 

 

 

やがて、デート当日の日曜日になった。

 

 

 

 

シンジは父のゲンドウに頼んで高級ホテルのレストランを予約した。

父は冬月副司令やリツコさんとよく来るらしい。

 

リツコさんと父さんってそういう仲なのか。

 

シンジは初めて知ったのだった。

 

そして、シンジはゲンドウのくれた特別手当を使いオーダーメイドのタキシードを着こんだ。

 

今回のデートも事実上、ゲンドウからもらった特別手当を使い行くものである。

 

 

 

「ちょっと大げさかな。」

 

 

シンジがそういうと、試着の手伝いをしていたアスカが笑っていった。

 

 

「でも、アンタらが行く店っていわゆるスーツやタキシードじゃないといけないとこでしょ?」

 

「そうだよ、でも…。」

 

「いいじゃない、遊んできなって!私はペンペンとお留守番してるからさ!」

 

「いや…なんか恥ずかしいよ。」

 

「がんばれよ、バカシンジ!」

 

すると、そんな矢先だった。

ミサトの部屋から、赤いドレスをつけたミサトが姿を現した。

ふと太腿が少しみえている。

ミサトの太腿は程よく鍛えたスレンダーな筋肉をしていた。

口元には特別なルージュがしてあった。

香水は以前にアスカが欲しがっていたラベンダーをしている。

 

 

「お待たせ。」

 

 

シンジは思わずミサトの顔をみて顔が真っ赤に染まっていくのを感じた。

 

 

「あ、アスカ…恥ずかしいよ、助けて⋯⋯」

 

 

アスカは無視してシンジをミサトの方に押しやると手を振った。

 

 

「じゃあいってらっしゃい。」

 

 

「お留守番頼むわ。」

 

 

こうなったら覚悟を決めないといけない。

逃げちゃダメだ。

シンジはミサトの手をつかみ握った。

 

 

「行きましょう、ミサトさん…。」

 

 

ミサトはそんなシンジをみて微笑んだ。

 

 

「ええ、シンジ君。」

 

 

二人は手を握るとそのままエレベーターの方へと向かっていった。

 

 

ドアの小窓からミサトとシンジの様子をみつめていたアスカはニシシと笑っていた。

足元にいるペンペンはくえと鳴くとアスカをみつめた。

アスカはペンペンを抱っこすると、ペンペンのフカフカの部分を自分の顔で埋め尽くした。

 

 

バカシンジのやつ、無理しちゃって。

 

結構あいつにもかわいいところあるんだよなー。

 

 

ミサトはこの日のために別の車であるフェラーリの特別モデルを用意していた。

これに乗り込んだ二人はお互い顔を染めながらニコニコと微笑みあっていた。

 

シンジとミサトはお互いに口を開こうとした。

 

 

「「あのさ…。」」

 

 

かぶってしまった。

ミサトは笑顔で言った。

 

 

「シンちゃんから先に言って。」

 

 

「うん、今回の店父さんが教えてくれたんだ。最近父さん優しくって…。今回のデートの費用も父さんからのお小遣いなんだ…。」

 

 

シンジの父、碇ゲンドウ。

最近は優しいかもしれない。

本来の性格はそれで、冷酷な顔は仮面だったのかも。

 

だが、彼は裏で何を考えているかわからない。

恐らくは人類補完計画を進めている、そのために邪魔な使途を排除している。

 

「ミサトさん、どうしたの顔が険しくなってるよ。」

 

「あ、ごめん…。」

 

「何か僕に言いたいことがあるんでしょ。」

 

「うん…シンジ君、ごめんね。最近。」

 

「え?」

 

最近忙しいのをミサトさんも気にしていたのか。

 

 

「忙しくってこんな日作れなかったね。せっかくお互い好きっていえたのに…。ごめんね。」

 

 

「ミサトさん…僕…。」

 

 

「シンジ君、世界がエヴァを必要としなくても…あなたはここにいてね。」

 

 

「え?」

 

 

ミサトは少し照れ気味顔を伏せると、助手席のシンジの手をつかんで握った。

 

 

「あなたにずっとここにいてほしいの。あたしのそばで…。あなたがよければだけど…。」

 

 

「ミサトさん…。」

 

 

「ダメ?」

 

シンジは顔が赤くなっていくのを感じた。

胸はドキドキしている。

ミサトの顔をみているとそのまま吸い込まれてしまいそうだ。

目はみれない。

 

 

「僕はミサトさんとずっといたいです…。」

 

 

「ホント、嬉しい…。」

 

 

 

シンジはミサトの手をぎゅーッと握りしめた。

いつまでも離れないように。

やがて二人は第二新東京市の市街地に輝く高級ホテルにたどり着いた。

 

 

ホテル・クランプ。

 

 

かつてアメリカ大統領だったクランプが日本で作った高級ホテルだ。

フェラーリから降りると、ミサトは車をホテルマンに預けた。

シンジはミサトの手をとると、そのまま予約していたレストランに向かっていった。

前菜はスープ、サラダ、メインディッシュは牛フィレ、デザートはケーキ。

 

シンジとミサトはご飯を堪能した。

 

 

「シンジ君、ありがとうこんなところアタシの給料じゃ無理よ。」

 

「ミサトさん、もっと給料あげてもらったほうがいいですよ。真剣に。」

 

「ナマいっちゃって。」

 

ミサトは微笑んだ。

どうやら請求書はゲンドウに飛ぶらしい。

普段、経理部がやる仕事まで私に振らされている。

 

ミサトはこうなりゃやけだと追加で山ほど注文することにした。

 

 

 

「やっぱビールいきたいわね。」

 

 

「父さん怒るかな…。」

 

 

ふと席の奥にあるピアノが鳴り響いた。

ミサトはその曲を知っていた、父が子供のころに見せてくれたアメリカアニメ映画の曲だ。

あの頃、父は家庭を顧みない性格だった。

だが、一度だけ映画に連れてってくれた。

 

姫様と見にくいバケモノに姿をかえられた王子が踊るナンバーがこれだった。

 

 

シンジの手をとるとミサトは二人で踊り始めた。

 

 

「この曲、セカンドインパクトの大分前の時に流行った映画の曲よ。父さんが連れてってくれたの。」

 

 

「そうなんですか。」

 

 

「バケモノになった王子様と姫様がこれで踊るの…すごいきれいだったわ。いつかこんなことを経験したかった。」

 

 

シンジはミサトに身長が及んでいない。

背伸びして何とか耐えていた。

 

 

「ぼ、僕がミサトさんより大きくなったらもう一度来ましょう。その時は僕がエスコートします。」

 

ミサトはキョトンとシンジを見つめ返した。

そして笑顔になると耳元でささやいた。

 

 

「待ってる。」

 

 

ダンスは終わり、食事を終えた二人はその後、ホテルの寝室に泊まった。

シンジはどうやら疲れたらしく、シャワーを浴びてからベッドに倒れ込んだ。

明日の学校は休むとミサトは連絡しておいた。

 

 

年齢が近ければ体を寄せ合い、性行為を行い愛し合うこともできただろう。

 

 

しかし、それもできない。

 

リツコが言っている一線は敷くつもりだ。

 

ただ、彼が自分を求めれば答えるかもしれない。

 

それまではプラトニックな愛を貫きたい。

 

 

 

 

「それにしてもビール飲みたいわ…。」

 

 

このホテルにはビールはなかった。

カクテルで我慢したが、どうにも酔えるものではない。

 

 

 

ミサトはドレスを脱ぐと私服のタンクトップとカットジーンズに履き替えた。

近くにコンビニがあるはず、それを使用しよう。

ミサトはそう思うと、部屋に鍵をかけて外にでていった。

 

 

数㎞歩いた先にあったコンビニの前、すると男たちがガサガサと何かしているのがみえた。

 

 

刺客か?

 

ミサトは兵士の顔に戻ると、ビルの中に隠れた。

違う。

男たちが、若い男女を連れている。

リンチか。

 

まずったな。

 

トラブルに巻き込まれるのはごめんだ。

遠く離れたところに移動してから、あとで警察を呼んでおこう。

 

ミサトは踵を返し、帰ろうとしたその矢先だった。

 

 

「鈴原…鈴原ァ~~~!!!」

 

女の声が聞こえた。

ミサトはこの声に聞き覚えがあった。

洞木ヒカリ…シンジのクラスメイトだ。

 

 

そして、鈴原というのは恐らく鈴原トウジ。

エヴァ三号機のパイロット候補だ。

なにかあったのか。

 

 

 

ミサトは姿勢を低くすると、どこから声がするか耳を澄ませて聞いてみた。

 

すると、そこは空き地であった。

 

夜は午前1時…あの二人はなにをやっているのだろう。

 

 

ミサトはビルに身を伏せると遠くからみつめた。

 

 

する小指のない男がトウジの前にフンぞっていた。

男の周囲には180㎝以上ある巨漢が並んでいた。

 

小指がない、下手うったヤクザか?

 

恐らくトウジは顔を何発か殴られている、鼻から血を出して地面に倒れていた。

 

 

「も、もうやめて!やめてください!」

 

ヒカリは泣き叫んでいた。

 

 

「いや、俺の気持ちが晴れん。なあトウジ…。」

 

 

関西弁、恐らくトウジ君と同じふるさとを持つ身…知り合いか?

男は倒れていたトウジの胸倉をつかむと、無理矢理起こしていた。

 

 

「お前と俺が大阪におった時、お前は俺をチンコロかましてくれたんやろ?なあ‥ずーっと覚えてるで。あいつがシャブ売ってるってうたいやがってのォ。お前のせいで警察にパクられるわ、俺の組は取りつぶされるわ、刑務所で和歌山や奈良の田舎ヤクザにいいじめられるわでろくなめにあわんかったわ。どないケジメつけるんや…。」

 

 

男は完全に怒っていた。

どうやらスジモノのようだ。

大阪にいたらしいから、大阪府警のマル暴にいわされたんだろう。

ミサトも大阪府警に知り合いがいるが、あれほど怖いものはない。

きっと、警察署でとんでもない尋問を喰らってトラウマになってるんだろうなあ…。とミサトは思い込んでいた。

 

 

トウジは不敵にほほ笑んだ。

 

 

「それで終わりか?ワシを殴りたければいくらでも殴ったらええ。だけど、委員長には手を出すな!!それに尼崎の親分からシャブは売るなつってたのを無視したのはマサキ兄ちゃんのせいやろ。だから下手売ってパクられて小指飛ばされたんや、自業自得やないか。金ないからシャブのシノギやったんやろ!違うんかい!」

 

 

「なんやとコラァ!」

 

 

兄ちゃん?兄弟か?

トウジ君に兄弟がいたのか?

トウジ君も中々キモが座ってる。

マサキという男はトウジを勢いよく殴り飛ばした。

 

 

「ぶっ」

 

地面に再び倒れたトウジのジャージは泥まみれになっていた。

すると待っていましたといわんばかりに男たちはトウジを蹴り始めた。

 

 

「このまま蹴り殺したれ、コイツが終わった後はこのメスウマを蹴り殺すぞ!」

 

あれ以上やると殺される、それは許せない。

ミサトは地面にあった石を持つと、勢いよくマサキの頭にこつんと当てた。

 

 

「・・・誰や邪魔しとんのは!」

 

 

マサキは反応した。

 

 

「金なしヤクザが子供を囲んでリンチか。近頃のヤクザときたら、任侠精神のかけらもないわねェ~。」

 

 

ミサトは鼻で笑った。

トウジとヒカリはミサトの存在に気が付くと顔をあげた。

 

「ミサトさん…。」

 

 

月夜に輝くミサトは一際美しく二人の目の前にうつった。

 

 

 

 

「何や姉ちゃん、ヤクザに喧嘩売っとんのか。」

 

 

「なんか文句あるの。」

 

 

「邪魔しおってからに、こいつからやったれ!お前ら!」

 

 

マサキの号令とともに巨漢たちはミサトを取り囲んだ。

手には木刀やら長ドスを持っていた。

 

 

「シバキ回すぞ、クソアマァ~~~!!!」

 

 

木刀を持った巨漢はミサトにふりかかった、だがミサトは素早かった。

大きく飛び上がると、男の振り下ろした木刀の先に着地した。

 

 

「ナニ!?」

 

 

「月に代わっておしおきよ。」

 

 

 

 

そして、そのままかかと落としを男の頭めがけて振り下ろした。

 

 

「ごべっ!」

 

 

男はそのまま気を失うと、木刀を離した。

ミサトは男から木刀を奪うと、次に襲い掛かってきた男の腹部に木刀を胴の形で当てた。

 

「うぶ!」

 

男は肋骨がおれたらしくうめき声をあげながら地面に倒れた。

 

 

すると、長ドスを持った男が迫ってきたので再び大きくジャンプすると木刀で面の形で男の側頭部にたたきつけたのだった。

長ドスを抱えた男は地面に倒れると頭を抱えて悶絶した。

 

残りは二名、それぞれが木刀を持ち、襲い掛かってきたがミサトは素早く片方の男の顔面に蹴りを入れて黙らせると残りの男には股間めがけてゴルフスイングの勢いで木刀を叩きつけた。

 

「にっぎゃあああああああああ!!!」

 

男は股間を抑えると地面にうめき声をあげて倒れた。

 

 

 

「なんやなんや、俺がでなあかんか。」

 

 

男は着ていた白スーツを脱ぐと、般若の入れ墨をした背中を見せつけた。

そして、止めていた車から大きな日本刀を取り出した。

 

 

「お嬢ちゃん、ダンビラって知ってるか?刀のことや。極道のケンカではな、チャカとダンビラやとダンビラが勝つんや。」

 

 

マサキと名乗る男は日本刀を持つと奇声をあげながら振りかぶってきた。

ミサトは男の隙をみると、木刀で素早くマサキの胸元に胴を当てた。

 

 

「がはっ!」

 

 

激痛が走ったマサキは刀を置くと地面に片膝をついた。

次にミサトは両腕で木刀を構えると、勢いよく面打ちをした。

 

 

「ごば!」

 

マサキは頭を抱え激痛に苦しみながら倒れた。

地面に倒れる男たちを放置すると、ミサトはトウジの前に向かっていった。

その表情は険しかった。

 

 

「こんな夜遅くまで何をやっているの。」

 

 

すると、ヒカリが声を出した。

 

 

「私たち、9時に帰るつもりだったんです。それがこいつらに囲まれて中々帰してくれなくて…。いろんなところ連れまわされて、気が付けばここにいて…。」

 

 

トウジはうめき声をあげてさらに言った。

 

 

「マサキ兄ちゃんは俺の従兄なんです、昔から近所で有名なヤンキーで成人になったらそのまんまヤー(ヤクザ)になったんです。でもシノギに苦しんで、親分に黙ってシャブに手を出したんです。その内、うちのおとんまで巻き込みそうになったから警察に通報したら、5年ぐらいで外にでてきよったんです。迷惑かけてすんません。」

 

 

ミサトは笑顔に戻ると、二人に微笑んだ。

 

 

「病院に行って、それから帰りなさい。」

 

 

ミサトはケガをしているトウジやヤクザ崩れたちを治療するため救急車を呼んだ。

トウジのケガは軽傷で、ヒカリは何もされていなかった。

マサキと名乗るヤクザ崩れとその取り巻きは鋤骨が折れていたり、骨折していたりとけが人続出だった。

ミサトは状況が落ち着いたとわかると、コンビニでビールを飲みそれをたらふく飲んでからシンジの横でがっつりと寝ていた。

 

 

しかし、ミサトはすっかり忘れていた。

翌日ネルフの出勤日であった。

その日は無断欠勤をしてしまったが、翌日には状況を聞いた冬月副司令からこっぴどく叱られ、反省文を書かされる羽目になったのであった。

 

 

 

シンジはこのミサトとのデートが思い出深いものとなった。

いつか僕がミサトさんを超える身長になると、もう一度来てその時ミサトさんをエスコートするんだ。

その時まで僕はエヴァに乗って彼女を守る。

そう、誓ったのだった。

 

 

第一中学校に通う生徒たち、トウジはシンジに自分たちを守るミサトが以下にカッコよく強く美しかったかを語っていた。

ヒカリはそんなトウジをキッと睨んでいた。

その光景を見てアスカは「夫婦喧嘩」と冷やかして遊んでいた。

 

 

 

しかし、そんな彼らを見張る車が一台あった。

その車に乗っていたのはコンラッドだった。

コンラッドは助手席に乗るとスコープで子供たちを遠くのがけからみていた。

 

 

「あれが碇シンジの友達か…。」

 

 

コンラッドは不気味にほくそえんだ。

そして、トウジと洞木ヒカリに目を移すとニッと微笑んだ。

 

 

「あれが次の獲物だ。」

 

 

 

悪の親玉はゆっくり舌なめずりをして、どう料理するかを考えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続編はやったほうがいいですか?よくないですか。

  • やったほうがいい
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