Re:ゼロから始めるダンジョン生活   作:Hi-Speed

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第四話

「知らない天井だ」

 

スバルは目を覚ました。スバルはどこかの洋館の一室で、ベットの上で寝かせてもらえていたらしいことに気づく。

 

「てか何でこんなとこに……ってそうか、俺、異世界に飛ばされたんだっけ」

 

窓の外には、あの大きな塔、バベルが見える。スバルは自らの現状を理解する。

 

「普通に考えればここは俺を助けてくれた人たちに関係する場所か、はたまた病院みたいなところか」

 

本来なら、特に病院なら誰か来てくれるのを待つべきかもしれないが、どこに自分がいるのか確証も持たないため、とりあえず誰か探そうかと思いスバルは自分が寝かされていた部屋を出る。

 

部屋を出ると、いくつか部屋が並んでいる。

 

とりあえずスバルはまず隣の部屋をノックする。

 

「……」

 

返事はない。

 

「誰もいないか」

 

スバルは次の部屋をノックする。

 

「ーーはい……」

 

今度は返事があった。声から推測するに、この部屋の主は女性らしい。

 

「し、失礼します……」

 

ドアを開くと、そこにいたのは金髪で人形のような見た目の少女だった。

 

「君は、確かさっきの」

 

「あ、そ、そうだ。ナツキ・スバルだ。ダンジョンでミノタウロスに追われて、エルフの女性に助けられて」

 

「うん、リヴェリアが君を助けた」

 

「そうなのか、ありがとう。本当に助かったよ。ところであなたは……?」

 

「私は、アイズ・ヴァレンシュタイン」

 

「アイズさん、か。良い名前だ。ってそうだ、ベル!俺の他にいた白い髪の奴は大丈夫なのか?」

 

ここで、共にダンジョンを探索していたもう1人の安否が気になる。

 

「白い髪……?あ、うん。多分大丈夫なんだけど……」

 

「だけど?」

 

「私、あの子に逃げられちゃった……」

 

「血まみれにしちゃったからかな」と言いつつ、心なしかアイズは落ち込んでいるようだった。

 

「何やってんだ、ベルは……」と、スバルは心の中で呟く。

 

「あの子、どこに住んでるか知ってる?」

 

アイズがスバルに尋ねる。

 

「い、いや。実は俺も知り合ったばっかで、全然知らないんだ」

 

「そうなんだ……」

 

少しの沈黙の後、スバルが口を開く。

 

「ちなみにここってどこなんだ?」

 

「ここは黄昏の館。【ロキ・ファミリア】のホームだよ」

 

「【ロキ・ファミリア】って、まじか」

 

「うん」

 

スバルは【ロキ・ファミリア】というファミリアはオラリオの中で巨大なファミリアの一つである、ということをベルに前回の周回でオラリオの基礎知識の一つとして聞いたばかりなのである。

 

「あの、俺を助けてくれた人たちにお礼が言いたい。連れて行ってもらえるか?」

 

「いや、君はまだ休んでなきゃダメ。だから、君が起きたってフィンたちに伝えてくるね。ちょっと待ってて」

 

そう言うと、アイズはスバルを残し部屋を出ていく。

 

 

「アイズさんも綺麗だなぁ。それに、あの俺を助けてくれたエルフの女性、リヴェリアさんって言うのかな……?っていやいや」

 

スバルは、ダンジョンの中で助けてくれたエルフの女性を思い浮かべるが、顔が熱くなる感覚を覚える。そして、煩悩を振り払うかのように、共にダンジョン探索をした彼のことを思う。

 

「にしても、アイズさんは逃げたって言ってたけどベルは本当に大丈夫なのか?とりあえずあとで会いに行くか。まあどこにいるか分からないけど」

 

コンコン

 

そんなことを考えていると、ドアがノックされる。

 

「はい」

 

スバルは答える。

 

「失礼するよ」

 

「体調はどうだ?」

 

部屋に入ってきたのは、ダンジョンでスバルを助けてくれた2人、少年のような男性とエルフのような女性だ。そして、後ろからアイズもついてきていた。

 

「あ、大丈夫です。助けてくれて本当にありがとう。ええと……?」

 

名前が分からず聞こうかと迷っていたスバルを察した小人族が口を開く。

 

「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前はフィン・ディムナ。【ロキ・ファミリア】の団長だよ。そしてこちらが」

 

「リヴェリア・リヨス・アールヴだ。【ロキ・ファミリア】の副団長だ」

 

「フィンさんにリヴェリアさん、か」

 

「フィンでいいよ」

 

おお、さらっと距離を縮めてきたなぁとスバルは心の中で思った。

 

「わかったよ、フィン。じゃあ次は俺の番だな。俺の名前はナツキ・スバル!っ……!」

 

スバルは指を天に向けて、例のポーズを決める。しかし、スバルはまだ病み上がりだったため、いきなり立てば当然ふらつき倒れそうになる。

 

「うっ……って、えっ?」

 

スバルは自身が床へと叩きつけられる、と思っていたが、スバルが倒れた先は床でもベットでもなくリヴェリアだった。咄嗟の判断でリヴェリアが自身の腕でスバルの身体を支える。

 

「おい、大丈夫か?」

 

スバルの頭の上から、また綺麗な声が聞こえた。そして、その事実に気づいたスバルは瞬時にベッドに戻る。

 

「ごめんなさいごめんなさい」

 

「……」

 

フィンは目を少し見開いた。そう、驚いていた。

 

「まあ、良い。改めてスバル、すまなかった」

 

しかし当のリヴェリアは表情を変えることなく言った。そして先ほどまでの驚愕を一瞬で振り払ったフィンもリヴェリアに続く。

 

「僕らの不手際で、君やその連れを傷つけてしまった」

 

そう言って、フィンとリヴェリアは頭を下げる。また、チラッと横を見ると今まで会話を黙って聞いていたアイズも頭を下げていた。

 

「いや、頭を上げて下さいよ。結果こうして生きてるし、全然気にしてないですから」

 

スバルは答える。しかし、リヴェリアは一歩も引かなかった。

 

「いや、それだとこちらの気が済まない。そうだ、スバル。私たちに何かして欲しいことはあるか?」

 

「まじか!?」

 

唐突なリヴェリアからの提案に驚くスバル。そして、彼は「本当にいいのか?」と思い、この【ファミリア】の団長であるフィンの方に顔を向ける。

 

「ああ、君の願いを一つ、叶えてあげよう」

 

どうやら本当にいいらしいことを悟ったスバル。

 

「そうか。実は俺、住むところも金も一切ないんだ。だから……」

 

スバルは、この世界における今の自分の状況を踏まえた上でこう答えた。

 

「俺をこの【ファミリア】に入れてくれ!」

 

「うん、わかったよ。歓迎しよう」

 

ノータイムでフィンから了承を得る。これには流石にスバルも驚きを隠せず思ったことを口にしようとする。

 

「えっ?本当にいいのか??だって、フィン達の【ファミリア】って……?」

 

「いいや、この際ファミリアの大小は関係ないよ。それに、君の願いを一つ叶えると言ったのはこちらだ」

 

「ああ、むしろそんなことで良いのか?と聞き返したいくらいだ。もっと傲慢な要求がくると思っていたからな」

 

「そ、そうなのか……?」

 

フィンとリヴェリアは、柔和な笑み、とまではいかないが、柔らかい表情をその顔に浮かべながら答えた。

 

「とりあえず僕らの【ファミリア】の主神、ロキに会ってみてほしい。そして、ぜひうちの【ファミリア】に入団してほしいと思ってるよ」

 

「こ、こちらこそぜひ!!って主神様に会うのか!?そりゃ、入団するのに神様に会わないわけないもんな。っべ、緊張してきた……ちょっとトイレ!」

 

スバルはひたすら独り言を言って、しまいには化粧室へ駆け込もうとする始末。

 

「トイレはこっち」

 

先ほどからあまり口を挟まず、横で会話を聞いていたアイズに化粧室の場所を教えてもらい、スバルは一目散にそこへ駆け込んだ。

 

 

***

 

 

スバルとアイズがいなくなった部屋でフィンとリヴェリアが、スバルについて意見を交わす。

 

「あの少年、スバルはフィンの言う通り本当にオラリオについて何も知らなさそうだったな」

 

「そうみたいだね」

 

「オラリオの外から来たばかりなら私たちのことを知らないのは、まあありえるか。しかし、金がないと言っていた割に服装や体つきはそれなりに良い……まさか闇派閥(イヴィルス)か!?」

 

「いや、それはないと思うよ。彼の格好、言動は少々目立ちすぎだ」

 

「確かにな。あと、彼が入団を希望するところまで予想通りだったな。ちなみにこれからどうするんだ?」

 

「とりあえず様子見ってところかな。彼が入団したら、リヴェリア、君が彼の教育係をしてくれないかい?どうやら君も彼のことを気に入っているらしいし」

 

「まあ良いが、他のメンバーに怪しまれないか?」

 

「確かにそうだけど、それよりも彼が何かをしでかさないように監視、そして事が起こればすぐに抑えられるようにさせたい」

 

「なるほど、分かった」

 

フィンとリヴェリアがスバルに関する一通りの現状を確認、把握、そして今後の方針を固めたところでスバルがお手洗いから帰ってくる。

 

「すまん、待たせた。って何の話してんだ?」

 

「いや、何でもないよ。ではロキのところに行こうか」

 

「分かった」

 

フィンたちに連れられ、スバルはアイズの部屋を後にする。

 

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