Re:ゼロから始めるダンジョン生活   作:Hi-Speed

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第六話

ロキの部屋を出たスバルは、引き続きレフィーヤによってファミリアのことや黄昏の館の館内の説明を受けるべく、共にホームの中を歩き回っていた。

 

「ここが食堂ですね」

 

「うぉー、広い」

 

「いつも皆さんで集まって食べるんですよ」

 

「そうなのか、なんか家族って感じがして良いですね」

 

「そうですね」

 

ここで、ふとスバルはレフィーヤに気になっていたことを聞く。

 

「ところでレフィーヤさんはエルフ、ですよね?」

 

「レフィーヤでいいですよ。それに敬語じゃなくていいですよ。だって私はまだ15歳ですから、スバルさんの方が恐らく年上ですし」

 

「良いのか?確かに俺は18だけど……じゃあ、俺も普通に呼び捨てで良いぞ?」

 

「何が“じゃあ”何でしょうか……でもまあそう言うことなら、呼び捨てにさせてもらいますね、スバル」

 

スバルとしては、レフィーヤの方が冒険者として先輩だから、という意味をこめて言った言葉だったが、そんな思いはレフィーヤには届かなかった。そしてそんなレフィーヤは「貴方の方が年上って確認したばかりでは?」と思ったが、それを口に出すことはせず、一応スバルの申し出に応じることにした。

 

「お、おう……」

 

お淑やかそうにみえたが意外と気が強そうだな、と思ったのはスバル。

 

「それで、先ほどの質問に戻りますが、確かに私はエルフです」

 

「そうか。エルフってことは、やっぱりレフィーヤも魔法を使えるのか?」

 

「はい。でも、戦闘で私はまだまだ活躍できなくて。この前の遠征でも、皆さんの足を引っ張ってしまいました」

 

「そうなのか」

 

「これでは憧れの人に追いつけません……」

 

レフィーヤは少し俯きながら言った。

 

「憧れって、もしかしてリヴェリアさんのことか?」

 

「いっ、いえ。リヴェリア様も確かに尊敬していますが、実は、アイズさんなんです……」

 

少しレフィーヤは恥ずかしそうに言った。

 

「アイズさんなのか。ってちょっと待った。その前にリヴェリア様って言ったか?」

 

「言いましたけど……?」

 

「リヴェリア“様”ってことは、もしかしてめっちゃ偉い人なの?」

 

「リヴェリア様はハイエルフ、エルフの王族なんです」

 

「王族って、まじか」

 

その事実に驚きつつも、「確かに、着てる服とか超高そう」とスバルは心の中で思い、納得する。

 

「ええ。って貴方、そんなことも知らないんですか?」

 

一方のレフィーヤは驚き、半ば呆れたように言った。

 

「あ、ああ。というより、このせ、いや、オラリオに来たのがほんの少し前だから、オラリオについてほとんど何も知らないな」

 

「そ、そうなんですね」

 

「一応、この【ファミリア】が都市の中で二大派閥の一つであることは知ってるぞ。でも、実際どれくらい強いのか、っていう実感が湧かないのが正直なところだな」

 

確かにスバルを助けてくれたリヴェリアの魔法とか、フィンの貫禄とか凄そうとは思うが、まだ彼らが戦っているところを見たことがないため、スバルは【ロキ・ファミリア】の強さに対して実感を持つことはできていなかった。

 

「Lv.6が3人もいるんですよ?」

 

「Lv.6って、そんなに強いのか?」

 

強いと言うとLv.100とかLv.80とかのイメージがある日本人の感覚では、Lv.6を高いと思うのは土台不可能な話だ。しかし、そんなことを知る由もないレフィーヤは少し強めに言う。

 

「当たり前じゃないですか!レベルがひとつ違うだけで、そこには大きな壁が存在するんです」

 

「そうなのか。ちなみにレフィーヤのレベルはいくつなんだ?」

 

「私ですか?私はLv.3ですが……」

 

「凄いんだよな、それ」

 

「まだまだです。アイズさんはLv.5ですし……」

 

「いいんじゃねーの?ゆっくりで」

 

「それはそうですけど……」

 

「まあ、長い道のりかもしれないけど、自分の気持ちを切らさなきゃ絶対に届くよ」

 

スバルは真面目な顔で、聞く側からしたら恥ずかしいことをサラッと言った。そんな聞く側のレフィーヤは案の定少し顔がほてった。

 

「コホン、ところでスバルはランクアップについて知らなかったと言うことは、二つ名も知らないはずですね?」

 

そしてレフィーヤはわざとらしく咳をした後に唐突に話の話題を変えてきた。

 

「ふ、二つ名?」

 

「そうです。Lv.2以上の人には神会によって決められた二つ名が授けられます」

 

「そんなシステムもあるのか」

 

「ちなみにフィン団長は【勇者(ブレイバー)】、リヴェリア様は【九魔姫(ナインヘル)】、ガレスさんは【重傑(エルガルム)】、アイズさんは【剣姫(けんき)】です」

 

ガレスさんとやらはわからなかったが、それ以外は今日出会った人達だなと思うスバル。

 

「レフィーヤもLv.3ってことは、あるのか?二つ名」

 

「わ、私ですか?私は【千の妖精(サウザンド・エルフ)】です」

 

「なんか凄そう」

 

「まだこの名は私には重すぎます……」

 

とそこで通路の向こうから歩いてきたのはアマゾネスの姉妹のような女性2人だ。

 

「あー、レフィーヤいたー!」

 

「あっ、ティオナさん、ティオネさん!」

 

「あれ、その人誰?」

 

「あっ、この方は新入りで……」

 

「そうなんだ、君が!私はティオナ・ヒリュテだよ!こっちは姉のティオネ・ヒリュテ!よろしくね!」

 

『君が』ということは、俺がこのファミリアに入ったってことが何人かの団員かには伝わっているのだろうか、と思うスバル。

 

「俺はナツキ・スバルだ。よろしくな、ティオナさん、ティオネさん」

 

「私は呼び捨てでいいよー!何かバルスの方が年上っぽいし」

 

「そうね、私も呼び捨てでいいわ」

 

「そうか?じゃあそうさせてもらうよ。っておい、俺の名前が目潰しの呪文になってるんだが!?」

 

「いいでしょ?バルスー」

 

そして、スバルはどこか知らない世界のことをふと頭に思い浮かべる……

 

「ん?バルス、どうかしたー?」

 

「いや、何でもねえ。なんか頭の中にメイド服を着た鬼がいただけだ」

 

「何それ変なの」

 

ところで、とスバルは2人に気になったことを尋ねる。

 

「2人は姉妹、なのか?」

 

「うん、私たちは双子の姉妹なんだ!ちなみに私は妹ね!」

 

ティオネはしっかりしていそうな姉で、ティオナはとても活発そうな妹だな、とそれぞれに対して思うスバル。

 

「ってアンタ、すっかり本題を忘れてるわよ?」

 

と、そんな姉妹の姉のティオネがティオナに言う。

 

「ってそうだ、レフィーヤ。明後日の怪物祭(モンスターフィリア)、一緒に行こうよ!」

 

「えっ、良いですけど……」

 

「バルスもくる?」

 

「いいのか?」

 

怪物祭(モンスターフィリア)』が何かわからなかったが、とりあえず答えるスバル。

 

「もちろん!ね?レフィーヤ?」

 

「そうですね」

 

「てゆーか、スバルは怪物祭(モンスターフィリア)を知ってるの?」

 

ここでティオネが尋ねる。

 

「い、いや、全く」

 

ただ、モンスターと言われ頭の中には散々ダンジョンの中で追いかけ回されたミノタウロスの顔が浮かび、すこし身震いするスバル。

 

「では、明後日のお楽しみね」

 

ティオネは笑顔でスバルに言う。

 

「そうさせてもらうよ」

 

「あとでアイズも誘おうよ!」

 

「良いですね!私もアイズさんと行きたかったんです!」

 

スバルはそんなレフィーヤの声を聞き、やはりアイズのことが好きなのだろうと思えた。

 

「って、やばっ、私やることあったんだ!じゃあね、レフィーヤ、バルス!」

 

あっという間に去っていた2人。

 

「何か、このファミリアってすごく良い人たちが多いな」

 

2人の背中を見送りつつ、スバルはそう呟いた。

 

「そうですね。色々な人種の方がいらっしゃいますが、どの方も人格者ばかりです」

 

「ちなみにあの2人のレベルはどれくらいなんだ?」

 

「お二人はLv.5ですよ!」

 

「まじ?」

 

素直に驚いたスバル。

 

「ええ、ちなみにティオネさんの二つ名は【怒蛇(ヨルムガンド)】で、ティオナさんは【大切断(アマゾン)】ですよ」

 

「そうなのか」

 

結構いかつい二つ名だなと思うスバル。

 

それからしばらくして黄昏の館の案内を終えたレフィーヤは、スバルを引き連れロキ達のいる部屋に戻ってくる。ロキの他には、先ほどと同じようにフィンとリヴェリアがいた。

 

「お、おかえりー」

 

「ただいま戻りました」

 

「ありがとうな、レフィーヤ」

 

「いえ……」

 

「それで、どや、スバル?ここは気に入ったかー?」

 

「ああ、すごく良いところだな」

 

「それは何よりだね」

 

フィンが微笑みながら言う。

 

「せっかくだ、まだ打ち上げまで時間がある。オラリオの街を少し見てきたらどうだ?」

 

リヴェリアが提案する。

 

「わかった。って、打ち上げってどこでやるんだ?」

 

「うちのファミリア行きつけのレストランや。でも、そうやな。いきなりスバル一人でオラリオ探索させるわけにはいかないから……」

 

「では私が連れて行こう。提案したのも私だしな」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「ちなみに私が言っておいていうのも変かもしれないが、本当に体調は大丈夫か?」

 

色々なことがあったため、ダンジョンでリヴェリア達に救われたのがとうの昔のように思えるが、実はまだ彼女たちと出会ってから、さらに言えばこの世界に召喚されてから1日もたっていないことに気づくスバル。

 

「はい、大丈夫です」

 

「そうか」

 

「そや、スバル。これ」

 

そう言ってロキはスバルに魔石が入った袋を渡す。

 

「これは……?」

 

「僕らが君を助けた時に君が持っていた魔石だよ。この際にギルドでの換金の仕方も覚えてきたらどうかな?」

 

「わかった」

 

フィンの提案に頷くスバル。

 

「ついでにスバルをギルドに冒険者登録させてくれないかい?」

 

フィンがリヴェリアに頼んだ。

 

「ああ、分かった。ではスバル、準備が出来次第行くぞ」

 

「はい」

 

 

***

 

 

「ここがギルドか」

 

まず最初に来たのは『ギルド』なるところらしい。中には冒険者らしき人がたくさんいた。

 

「ああ、あまり時間もない。行くぞ、スバル」

 

「あ、はい」

 

ギルド中の視線がスバルとリヴェリアに集まる。

 

『な、【九魔姫(ナインヘル)】がヒューマンの男を連れている!?』

 

「なんか、めっちゃ見られてないですか?」

 

「気にするな」

 

「それに、やっぱりリヴェリアさんの二つ名は【九魔姫】なのだな」と、周りで噂されている声を聞いて、スバルは先程のレフィーヤの言葉を思い出す。

 

「すまない、エイナ・チュールはいるか?」

 

受付嬢にそう言ったリヴェリア。

 

「は、はい!今呼んできますね」

 

しばらくすると、ハーフエルフの女性が奥から出てきた。

 

「り、リヴェリア様!?」

 

「ああ、エイナ。久しいな、少し見ない間に随分と綺麗になった。見違えたぞ」

 

「あ、ありがとうございます。そ、そしてそちらの方は……?」

 

「ああ、我らの新入団員だ。名はナツキ・スバルだ。」

 

「初めまして、ナツキ氏。私はギルド職員のエイナ・チュールです、よろしくお願いしますね。では、早速ですが冒険者の登録をさせて頂きますね」

 

そういえばベルがダンジョンの中で『エイナさん』って言ってたけど、この人のことかな、とスバルは思う。そしてここでまたベルの方が気になった。

 

「すみません、その前に、ベル・クラネル君って知ってますか?」

 

「ええ、私はクラネル氏のアドバイザーを担当していますが……」

 

「彼は今日ここにきましたか?」

 

「く、クラネル氏なら少し前に血塗れでこのギルドに駆けつけて来ましたよ」

 

「ち、血塗れで?」

 

「あ、でもその血はクラネル氏のものではなくて、ミノタウロスの返り血なので、彼は無事ですよ」

 

おいおい、とスバルは思うが、それと同時に無事だということを聞けて一安心するスバル。

 

「よかった。あ、ありがとうございました」

 

「いえ、彼もナツキ氏のことを心配していましたよ」

 

「そ、そうなんですね」

 

「あの、余計なお節介かもしれませんが、いきなり5階層まで潜るのは無茶しすぎですよ」

 

「はい、すみません……」

 

「これからは気をつけてくださいね。では、冒険者登録の方をさせていただきますね」

 

エイナから軽く説教を受けたところで、スバルの冒険者登録の手続きが始まった。まだ文字の書き方がわからなかったため、リヴェリアに教えてもらいながら書くのに少し時間がかかったが、それ以外は特に問題なく登録を終えた。

 

「では、これで以上になります。これから、頑張って下さい!」

 

ついでに魔石の換金も済ませ、エイナさんに見送られながらギルドを出る2人。

 

「思ったよりも時間がかからなかったな」

 

「もう今日の会場に向かうんですか?」

 

「いや、それだと少し早いな……そうだ、スバル。お前、武器や防具を持っていなかったよな?」

 

「はい、持ってないですけど」

 

「試しにどんなものがあるか見に行くか」

 

「はい」

 

そうして2人はバベルに向かって歩き始めた。

 

 

***

 

 

二人はバベルの八階に来ていた。

 

「ここは……?」

 

「バベルの中にある【ヘファイストス・ファミリア】のテナントだ。最初は【ゴブニュ・ファミリア】へ連れて行こうかと思ったのだが、最近はティオナ、ああ、お前はまだ会っていないかもしれないがそいつやアイズが迷惑をかけてしまっているから、入りづらいんだ」

 

何でも高級素材を目一杯使った武器を壊しまくっているせいで、特にティオナは鍛冶職人たちに破壊者の異名をつけられつつあるらしい。

 

「そんな事情があったとは……」

 

「ちなみに【へファイストス・ファミリア】の作る武器や装備はどれも一級品で、今のお前では到底買えん。だが、ここに出ているのはまだLv.1の鍛治師たちによる作品だ。だから、そんなに値は張らん」

 

「なるほど、逆に言えばこれから大物の鍛治師になる人によって作られた掘り出し物があるかもしれないってことですか?」

 

「そうだ。そう言えばスバル、お前の得物は何だ?」

 

「いや、俺武器とか使ったことがないからわからないです」

 

「そうか、まあ無難なところだとナイフか短刀だな、、、お前の体に斧や大剣は合わんだろうし、弓矢だと威力が無さすぎるだろうしな」

 

「接近戦ってことですか?」

 

「ああ、お前の魔法は攻撃力がないからな。相手を倒すためにはそうならざるを得ないな」

 

「なるほど……って今、魔法って言いました?」

 

ここで、スバルにとって衝撃的な事実が発覚する。

 

「ああ、言ったが。あっ、ろ、ロキには言われなかったのか?」

 

「特に何も言われなかったです」

 

「そ、そうなのか。まあ良い、とにかくスバル。お前には魔法が発現している」

 

リヴェリアは「魔法も口止めの対象だったのか?」とヒヤッとしたが、ロキは「スキルについて言うな」としか言っていなかったことを自身の記憶で確認し、魔法についてはスバルに教えることにした。ただ、どちらにしろこのような誰が聞き耳を立てているかわからないようなところで彼の魔法について話すのは迂闊だった、と心の中で反省するリヴェリア。

 

「まじか!?お、俺も魔法が使えるんですか?」

 

「そうだな、まあ練習が必要だがな。明日、文字を教えるついでに魔法についても教えてやろう」

 

「お、お願いします」

 

「それで武器の話に戻るが、まあ武器はホームを探せば一つや二つ出てくるだろう。それでどの武器が合うのか確かめよう。それよりも防具だな。スバル、お前、先ほどいくら換金できた?」

 

そう言いながらリヴェリアは防具を見繕っていた。

 

「ええと、12000ヴァリスです」

 

「ちなみに、鎧見たいな重装備か、もしくはライトアーマーみたいな軽装備。どちらが良い?」

 

「出来れば軽装備がいいです」

 

「そうか……ではこれとかどうだ?」

 

リヴェリアは通路の床の方に置かれていたライトアーマーを手に取った。

 

「これは……?」

 

「とても軽装だが、作りはしっかりしている。この品質は中々なものだ」

 

そう言いながらリヴェリアはスバルの身体にその防具をあてがう。

 

「確かに、俺の身体にもなぜかピッタリだし、なんか運命を感じるな」

 

そして、リヴェリアはその防具の製作者のサインをみる。

 

「製作者は、『ヴェルフ・クロッゾ』……『クロッゾ』だと?」

 

「え?知り合いとかですか?」

 

「いや、そう言うわけではないが……」

 

「ちなみにいくらですか?」

 

「ええと、9900ヴァリスだな」

 

スバルは少し考えた結果、

 

「リヴェリアさん、俺、この防具にします」

 

購入を決意した。

 

「ああ、それが良いだろう」

 

リヴェリアの太鼓判も得られた。スバルは、自身の防具を得たことで、やっと冒険者になれた気がした。

 

 

***

 

 

防具を購入し、2人がバベルを出るとすっかりあたりは夕焼け色になっていた。

 

「そろそろ良い時間だ。会場に向かうか」

 

「はい。その、リヴェリアさん」

 

「どうした」

 

「今日はありがとうございました。ダンジョンで助けてもらったり、こうして案内までしてもらって……」

 

「どうした、急に」

 

「いや、そういえばまともにお礼を言っていなかったような気がして……」

 

「そうか。まあ、そういうことならこれからの頑張りで返してくれ」

 

「はい」

 

「それと、その他人行儀な喋り方はやめないか?」

 

「え?」

 

スバルは驚いた。

 

「お前はロキやフィンに対してはもっと畏まらずに話すだろう?」

 

「それは、そうですけど……」

 

それはあの人たちにそう話せって言われたからで、自分から言ったわけではないんですが……と内心で思うスバル。

 

「では、なぜ私にはそうできない?」

 

「いや、だってリヴェリアさんって王族の方なんですよね?」

 

先ほどレフィーヤに聞いたことで、よりリヴェリアに対して畏怖の念を抱いていたスバル。

 

「ここはエルフの里ではないんだ。それに、そもそもお前は里の生まれですらあるまい。敬われる覚えはないぞ」

 

「で、ですが……」

 

「確かに最低限の弁えは心得るべきものだが、それ以上は不要だ。それに、私のことを敬うというのなら、まずは私の心中を汲め」

 

そう言われてしまっては仕方ない、とスバルはリヴェリアに従うことにした。

 

「わ、わかりました、じゃなくてわかった、リヴェリア」

 

「ああ、そうしてくれ、スバル」

 

スバルは思わず名前まで呼び捨てにしてしまい、少しヒヤッとしたが、リヴェリアにはそうしてくれと言われたため一安心する。そしてスバルに名前を呼ばれたリヴェリアの夕日に照らされた顔は、どこかほんのり紅味を帯びていた。それから歩くこと数分、二人は気がつくと本日の打ち上げ会場である「豊穣の女主人」の前まで来ていた。

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