fortissimo~大切な人と日常を護るために~   作:Chelia

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序章

月読島。

 

16年前、都会とは離れたこの小さな島で残酷な儀式は行われた。

 

その名は「魔法戦争」

 

人間という存在を遥かに凌駕した召喚せし者(マホウツカイ)同士で行われた戦争である。

召喚せし者同士の戦いは悠久の幻影(アイ・スペース)という特殊な空間で行われる。

この空間では、召喚せし者以外の全ての生物は存在することができず、また悠久の幻影内で破壊された建造物などは現実世界への影響を受けない。

また、発動条件は召喚せし者の強い戦意や殺意が発生した時に本人達の意志とは無関係に発動し、解除する方法は召喚せし者の消滅(すなわち「死」)のみである。

1時間毎に現実世界への侵食を開始し、13時間経っても決着がつかなかった場合現実世界を喰らいつくしこの島を滅亡させる。

つまり、互いに戦わずに試合(殺し合い)放棄することはできないのである。

召喚せし者が倒れた場合、その倒れた召喚せし者の魔力はそこから最も近くにいる人間に受け継がれる。

通常、召喚せし者一人一人には魔力の総量が決まっており増やすことはできないのだが、この方法でのみ自分の魔力を増加させることができる。

敵を倒せば倒すほど自分が強くなり、やられにくくなる方式。

 

こういった、戦意を増加させるようなルールが存在したことで16年前の魔法戦争は順調に進んでいたのだが、たった一人の災厄の召喚せし者によりその全てが崩壊する。

召喚せし者達はその男を「ローゲの魔法使い」と呼んだ。

ローゲの魔法使いは全てを燃やし尽くすと言われる黒い炎を使い、悠久の幻影と召喚せし者を焼き尽くした。

更に、絶対に現実世界へ干渉できない悠久の幻影のルールすらも焼き尽くし、月読島をも燃やし尽くしたという。

こうして、16年前の魔法戦争は不完全な状態で幕を降ろしたのであった。

 

16年後の今現在、そんな出来事が嘘であるかのようにこの月読島では平和な日々が続いていた。

それもそのはず。一般の人間には戦争が行われていたという知識はあるが、まさかそれが空想上にしかない「魔法」を使った戦争であるなんて誰も思わないであろう。

一般人の間では魔法戦争は十年戦争と呼ばれ、よからぬ歴史として残っているに過ぎない。

 

芳乃零二。

 

この島出身で、しばらくの間都会に出ていた少年の名前である。

この少年が4年ぶりに月読島に帰ってきた所から物語は始まる。

 

………

 

おっと、疑問に持ってる人がいるようだ。

先程の魔法戦争での説明でおかしい点があると…

ローゲの魔法使いは確かに悠久の幻影だけでなく、現実世界の月読島も燃やし尽くした。

だが、たった16年で島を栄えさせることなど本当にできるのだろうか?

察しの良い人はこの矛盾点に気づくだろう。

そう。この物語の主人公は零二だけではない。

この残酷な現実を書き換えるため、とある世界から送られてきた使者がいるのだ。

この人物の力により、月読島の復興が早まり、今ではそんな戦争の跡すら残さない平和な島となっているのだが…その詳細は本編で語るとしよう。

 

 

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