fortissimo~大切な人と日常を護るために~ 作:Chelia
★芳乃零二 SIDE★
「行ってきます、兄さん!」
翌日。
朝食を終えると紗雪が元気よく学校に向かって行く。
苺さん曰く、俺が昨日戻ってから更に明るくなって嬉しいとのこと
紗雪を見送りはしたが、俺も今日から学校だ。
まずは書類を用意して職員室へ向かう…10時には間に合いそうだ。
「それじゃ苺さん、俺もボチボチ行ってきますね」
「久しぶりのこっちの学校じゃ、がんばってこい!」
苺さんに見送られ、俺は必要なものを揃えに行く。
あらかた揃ったところで一度確認し、そのまま職員室へ
「失礼しまーす…」
「おお、芳乃か!久しぶりだな!」
4年ぶりにあったはずなのに、先生に声をかけられた。
そう、この月読島には学校はここ「星見学園」しかない。
それに、一学年2クラスという小規模な学校なので生徒も先生も仲良く、またこうして離れていても覚えていてもらえる。
こういう所は、やっぱ都会よりいいよな
「お久しぶりです。先生。」
「すまんな、全部そちらでやらせてしまって… 何せ忙しくて手が回せなかったんだよ…」
「そうなんですか?」
「お前以外にもこの学校へ来る人間が何人かいるんだ。一人はお前もよく知ってるだろう」
先生と話をしようとすると、別の生徒が職員室へ入ってきた。
「れ、零二!?」
「げっ…龍一…」
今職員室へ入ってきた男こそ、俺の親友にしてライバルの皇樹龍一である。
見るだけで殴りたくなるほどでっかくなりやがって…
って、それは俺も同じか
「げっ…って何さ、せっかくこうして久しぶりに会ったのに相変わらず失礼だね、零二は。」
「対してお前は全く変わってなさそーだけどな」
「あはは… 手厳しいな。 先生、僕も書類を提出に…」
「丁度よかった皇樹… 説明の手間も省けるし、早速二人には教室に行ってもらおう。いくら元地元でも、自己紹介しないわけにも行かないだろうしな。」
「久しぶりの授業か… 何だか嬉しいな。」
授業が嬉しいとか気持ち悪いこと言うなよな龍一…
元々こいつが真面目ってのでも理由にはなるんだが、一応別の理由もちゃんとある。
龍一は俺が4年前にこの島を離れた時と同じくらいの時期に同じく島を離れていた。
俺は都会で一人暮らしが理由だったけど、龍一は師匠って人と共に紛争地帯に趣き、戦争を無くすための活動をしていたらしい。
俺、紗雪、そして龍一。この三人は全員16年前の戦争のせいで一人になってしまった戦争孤児だが、これまたびっくりするくらい違うように育ったってもんだ。
何が起きようと、考え方次第で人はどうにでもなるものなのかも知れない。
「まあいいや、俺達のせいで二限潰すのもあれだし、さっさと行こうぜ?」
久しぶりの顔を見るとついつい色々考え事してしまうな。
そう思いながらも、俺と龍一は先生につれられ新しいクラスへと案内された。
「えー、まあ、知ってる人もいると思うが、今日からこのクラスに二人の転入生が来ることになっている。二人共中に入るように。」
…………………………
「「あーーーーーーーっ!!!!」」
教室に入った瞬間赤い制服と白い制服が立ち上がったと思ったらいきなり叫びだしたぞ…
って、よく見たら…あれ?
「………な、なぎさ?」
「里村………」
その立った二人が、昨日であった鈴白と里村の二人組だったのだ。
龍一の方もびっくりだったのか唖然とした顔で教室を見ている。
「何だ知り合いか? まあいいや、芳乃零二に皇樹龍一だ、知らない人も名前くらいは覚えてやってくれ 二人共、空いてる席に座って授業を受けてくれ。」
「わかりました。」
(れーじ!れーじ!れーじ!れーじ!れーじ!れーじ!)
…里村がもんのすごいキラキラとした目で自分の隣の席をポンポン叩いている。
あそこ座らなかったら後で何言われんだろ…
というか、鈴白達と同い年だったんだな…そこも意外だ。
「はぁ…」
軽くため息をつくと、恋愛に糞鈍感な龍一が余計なことをする前に里村の隣へと向かってやる。
「ん?零二はそっちの席でいいのかい?じゃあ、僕はあっちにするよ」
俺の動きを龍一が見たからか、残りの席(鈴白の隣)へと向かっていく。
え、ええええっ!?
口にしてなくても鈴白が何が言いたいのかわかってしまうほど顔を真っ赤にしている。
まさか…鈴白のやつ龍一のことが好きなのか?
俺が言うのも何だが、あいつはめんどくさいぞ…
「れーじ!れーじ!まさかここで会えるなんて、これって運命だねっ☆」
自分の隣の席に来てくれて尚更嬉しいのか、里村が満面の笑みでウインクしてくる。
「そ、そうかもな…」
適当に流し、何やら色々やりたそうな里村に授業中だからと無理矢理お預けにさせる。
本当に活発的な奴だ。
そして昼休み
「れーじ!お昼はどこで食べるの?」
もう待ちきれないかのように里村が話しかけてくる。
本当は紗雪と食べる予定だったのだが、ちょっともう一つのクラスには顔が出しづらくなってしまった。
このクラスにいないとすれば、必然的に向こうにいるのだ。
俺の元カノ「水坂美樹」が…
水坂美樹…俺が昔付き合っていた女の子で同い年。
都会に出る前に付き合ったんだけど、遠距離恋愛がうまく行かなくて別れてしまった。
それ以来、友達関係には戻ったのだが相変わらずギスギスしてしまいお互いに上手く話せない。
そのうち会わなければいけないのだが、初日からそんな気分にはなれなかった。
「そうだな… 妹と食べる予定だったんだが、今日は向こうが予定あるみたいだからフリーかな?」
「そうなんだ… じゃあさ、私達のとっておきの場所教えてあげるから一緒に食べようよ!」
「とっておき?…何だか面白そうだな」
「じゃ、決まりだねっ!」
「あれ?紅葉、芳乃くんもお昼誘うの?」
里村と昼食の話を済ませると鈴白が話に入ってきた。
そう言えば、この二人は知り合いなんだよな…
俺はタイミングが別に出会ったからあれだけど、今日見てた感じ、この二人と龍一は知り合いな気がする。
「そーだよ!ま、話は向こうについてからにしよ?」
「それもそうだね…」
そう言って、里村と鈴白に誘われて俺が連れて行かれた場所は何と生徒会室だった。
「生徒会室?」
「そ!あたし達はこの学校の生徒会長と三人でいつもお昼食べてるんだ」
「あれ?何か聞こえるんだけど…」
「あー…多分、会長が弾いてるんだね…」
「いーよいーよ気にしなくて!かいちょー!おっじゃまっしまーす!!」
里村が何の気兼ねもなく扉を勢い良く開く。
だが、そこで俺は動きが止まってしまった
扉が開いた生徒会室の奥では、美しいピアノの音色を奏で、その風景に優雅に一体化している人物がいた。
一言で美しいという言葉がでる。
気づけば、体を動かすことすら忘れ、その光景を見入っていたのだがピアノが止むことで我に帰ることができた。
「もう… 紅葉はもう少しお淑やかになりなさい?」
「ですよねー… 紅葉ったら…」
「まあ、そこに立っていても仕方がないし、みんな入ってらっしゃい?何だか珍しいお客さんもいるみたいだからじっくり話を聞きましょうか…」
ピアノを弾いていた会長さんらしき人から案内があり、席へと座る。
とりあえず昼食と、各自お昼を食べながら雑談会が始まった。
「さて…と、芳乃零二くんでいいのよね? 私は雨宮綾音。 ようこそ、生徒会室へ」
「あの… なんで俺の名前を?」
「紅葉が昨日すんごいハイテンションで電話してきたのよ…もう、びっくりだわ」
「そうだよね…あの男を寄せ付けない紅葉が好きな人できたーって言った時は冗談かと思ったけどまさかその相手が芳乃くんだなんて… どんなトリックを使ったの?」
雨宮も鈴白も不思議そうに俺を見てくる。
いや、トリックも何も出会った瞬間いきなり告白されたんだが…
ここに来る前龍一にも軽く聞いたが、里村は普段は男を全く寄せ付けない可憐の花と呼ばれているらしい。
そんな清純系女子が俺に逆ナンしてきたかと思うと未だに信じられない。
「ねっ?私が本気だってわかったでしょ?」
里村本人もこう言ってくる始末である。
「ああ… えっと…その…」
しまった。向こうが俺の名前知ってたからこっちの自己紹介がうまくできなかった。
雨宮さんは恐らく三年生だよな?なんて呼べばいいんだ…
「私なら、呼び捨てで構わないわよ?」
「えっ?」
「かいちょーは成績学年トップ、運動神経もトップ、頭もキレるし、音楽の才能抜群。生徒会長やってるし、おまけに謙虚ときたもんだ 弱点なんてないよこのバカいちょーには…」
「ま、マジかよ…」
里村が口を挟んだことにより、ますます呼び捨てで呼びにくくなった。
最初に見た時の雰囲気の通り、やっぱりめちゃくちゃヤバイ人だったらしい。
「あら、私はたかが1歳年齢が違うだけでどうこう言うつもりはないわよ? それに、フランクに接する方が私は好きだし」
「そっか… それじゃ、雨宮って呼ばせてもらうよ。」
その言い分は俺もよくわかる(というか、昨日鈴白にも似たようなことを言った)ので、思い切ってこのスーパー生徒会長を呼び捨てで呼んでみることにした。
…怒られなきゃいいけどな
「うふふ…素直に呼んでくれて嬉しいわ 改めてよろしくね?零二くん。」
よかった。何だかとても嬉しそうだった。
学校一日目にしては、何だかすごい知り合いが増えた気がする
ここの三人もそうだけど、休み時間とかに元クラスメイトとか、幼馴染だった奴に色々と声をかけられた。
やっぱこの島サイコーだ
「ちぇーっ、楽しい時間は過ぎるの早いね もう昼休み終わりか…」
「次は全学年合同の体育だから仕方ないよ… 混み合うだろうし早めに移動しないと…」
「じゃあ一緒に行きましょう?紅葉達と一緒の授業なんてそうはないし、私も楽しみだわ」
「次は体育か… んじゃ、俺もお暇しますかね。」
雨宮達と中々楽しい時間を過ごすことができたので、誘ってくれた里村には感謝しなきゃな…
合同体育って何やんだ?
教室に戻る途中龍一と会った
「やあ、零二」
「龍一か… 次は体育らしいぜ?」
「そうだね、合同でやるらしいから僕らも早めに着替えないと…」
「なんや龍や~ん! そないな面白そうな友達いるなら、ワイにも紹介してくれてもいいやんけ!」
何かこの島では珍しい大阪弁を使いながら男子便所から猛スピードで走ってくる男がいるんだけど…
何あいつ、こわっ!
「き、霧崎くん…」
龍一も苦手なのだろう(というか、龍一が苦手とするタイプなのが容易に想像がつく)霧崎と呼ばれた男が近づいてくると若干あとさずりしていた
「あ、ええと…紹介だったね、彼は芳乃零二。僕の幼馴染で、島人だよ。さっき教室で先生から紹介があったから詳細は不要だと思うけど… で、零二 彼は霧崎剣悟君。クラスメイトで性格は…まあ、見ての通りだよ…」
「よろしくな、芳やん! なんやなんやー男二人してエロトークにでも花咲かせとったんか?」
「いや、残念ながら糞つまんねえ次の授業の話しだよ、そもそも龍一を知ってるならそんな話しても花は咲かないのは想像つくだろ?」
なるほど、霧崎はこういうタイプか。
嫌いじゃないし、割りと面白そうかもしれない…龍一は苦手らしいが、俺は割りとこういうの得意だしな
「つまらんのー… やっぱ男と言ったらエロトークやろ!」
「き、霧崎くん!真昼間からそんな話はよくないっていつも言ってるだろう!」
マジでそんなこと言ってんのかよ…
お前はいつの時代の生徒だ
「つれないなー 芳やんもそうは思わん?」
「俺はもう諦めてるよ、龍一に関してはな」
「零二までそういうこと言うなよ!と、とにかく、僕は先に着替えにいくから!」
空気に耐えられなくなった龍一が逃亡する。
マジで霧崎のことは苦手みたいだな
こりゃ、困った時は霧崎に頼れば何とか上手くやってけるかもしれない
何て悪事を想像していると
「さて…邪魔者は消えたかいな…」
「邪魔者ってお前まさか…」
「そや、体育の前と言ったら真の男のやることはただひとーつ! それに、今日は全学年合同の体育!あの会長さんなんかの着替え姿も拝めるかもしれないで?こなチャンスまたとないわ!」
「最初からそれが目的で龍一をからかったわけか… お前、悪だな。」
「そう言いながらもさり気なくワイの後をついてこようとしている芳やんも、悪やな。」
二人で意気投合しながら、霧崎の知るベストスポットとかいう場所に案内してもらう。
女子更衣室の隣の空き教室か…
まあ、確かに見やすい場所ではあると思うが、教室の壁に穴でもあいてんのか?
「ほれ!見てみ芳やん!こんな所に小さな穴が開いとるやない!誰だこんなことしたのは… もしこれで隣の部屋が見えるとしたら大問題や… 確かめて隣が見えるようなら塞いでもらなあかんわな」
「そうだな、この学校の女子たちを守るため、俺達が人肌脱いでやらないとな」
マジで穴が空いてた。
つか、これあけたの霧崎だったりして…いや、考えすぎか?
訳の分からない小芝居を二人でしたあと早速その穴を覗いてみるが…
「お、おい…これ丸見えじゃねえか…」
「ベストスポット言うたやろ、そこはただもんじゃないで?」
覗いた目の前には下着姿の里村がいた。
隣には鈴白、その後ろには絶対に普通じゃ見れないであろう下着姿の会長が立っていた。
「おー、眼福眼福… 会長は想像通りの上玉やな… 紅葉ちゃんは、まあ努力賞ってところか?」
そこで女性の胸を評価するのは色々最低だと思うんだが、覗きをしている時点で既に最低なのであえて何も言わないでおく。
穴のせいか、向こうの話し声まで聞こえてきた。
「ふんふふーん♪ 今度こそれーじに振り向いてもらうため、次は何をしようかな」
「ホントに紅葉は芳乃くんのこと好きなんだね… 未だに信じられないよ…」
「恋愛感情なんていつ芽生えてもおかしくはないわ… 紅葉だって年頃の女の子なんだもの」
「それもそうですね…」
そこで俺の話すんのか!!
「な、なんや芳やん!あの鉄壁って言われてる紅葉ちゃんを手玉に取ったのか!?やるやないけ!」
「い、いや…これには色々事情がだな…」
ほら突っ込まれた…今の俺と里村の関係は色々と特殊だから、あんまり突っ込まれたくはないんだけどな…
「お、左の方にも可愛い女の子がぎょーさんおるで?」
左…?
って!やべえ!
確かに可愛い子ではあるが、そこにいたのは何と妹である紗雪と元カノである美樹だった。
罪悪感ボルテージが物凄い勢いで上がっていく。
美樹は相変わらずだな…紗雪のやつはあんな下着つけてたのか…
って、そうじゃねえええ!!
「なんや、左の方が芳やんの好みなんか?」
「これ…バレたら殺されるわ…」
「なんやなんや、今更もう遅いっちゅーに ワイと芳やんは共犯者やからな」
いや、そういう意味じゃなくてだな…
って、やべえ…今雨宮がこっちを見てきた気がした。
霧崎もそれを感じ取ったのかさっと穴から視線を外す。
だがしかし、目線を外して後ろを向けば…
「お前達、そこで何をしている。」
げっ、確実に制服でない白いスーツのような格好。教員ならチェックメイトか…
流石に霧崎も都合の良い言い訳が思いつかないのか、プルプルと肩を震わせている。
「…覗きとは、またまた学生らしいことしてるじゃねえか 俺にも見せろよ?」
………は?
この人教師だよな?教師が覗きなんてしてるの見つかったら職員室どころか刑務所行きだぞ?
「えっと…教師…でいいんよな?」
「あー、俺今先生役か… やべ、すっかり忘れてたわ… ちっ、久々に面白そうな事できると思ったんだけどな」
マジで教師だったらしい。
というか、この人も中々特殊そうな性格持ってるな
教師じゃなかったら覗きする気だったのだろうざんねんそうにしている。
「おっと、紹介が遅れたな。俺は天王寺海斗という。今日からこの学校で教育実習生としてみんなに勉強を教えていくことになっている。ついこの間まで学生だったし、年齢もお前達と一つしか変わらないからな。まだまだそういうとこ不慣れなんだ。授業中は先生として扱ってもらうが、こういう他に人がいない時は呼び捨てで呼んでもらって構わない。よろしくな?」
なるほど、見かけない顔だと思ったら教育実習生か
先生が忙しいって言っていた理由は、恐らく俺と龍一、そしてこの天王寺先生の手続きが重なったからだろう。
「芳乃零二だ。」
「霧崎剣悟や。新米教師はんか…よろしゅうな?わかっとると思うが、この事は内密やぞ?」
「あいにく、俺は不真面目なんでな。見なかったことにしてやるが、授業には遅れるなよ?」
「「はーい」」
二人で返事をすると、天王寺さんはさっさと戻っていってしまった。
霧崎は首の皮一枚繋がったと安堵のため息をしていた。
「見つかったのがあの人で助かったわ… んじゃ、ワイらも体育行くか…」
「だな」
無事授業が全て終わり帰りのホームルームが行われている時、俺はさっきの先生と再び会った。
「最後に、今日から教育実習生としてしばらく君たちの授業のいくつかを受け持つ先生が来ているから紹介するぞ?」
「二人の転入生、一人の教師か…何か色んな人が一気に来るね?なぎさ」
「そうだねー、この島ではこういうこと滅多にないからちょっとビックリかも」
里村たちもそんな話をしている。
天王寺先生か…何だか不思議な感じがしたけど、どんな人なんどろうな。
噂をすれば本人が教室に入ってきて名前を書き始めた。
「天王寺海斗といいます。どの科目も教えることはできますが、授業としては日本史、体育、情報処理を中心に教えていくのでよろしくお願いします。年齢も、君たちとさほど変わらないので気楽に声をかけてくださいね。」
キャーッ!
っとクラスのミーハーな女子たちが叫び始めた。
なんでって…この先生、めちゃめちゃイケメンなんだよな。
先生も困ったように苦笑いしつつもよろしくと挨拶している。
「ま、まあなんだ… よろしくやってくれ…」
担任の先生ももう苦笑い。
そしてようやく放課後
天王寺先生がクラスの女子達に捕まっている中、里村は俺の方に真っ直ぐ直行してくる。
「お前も行ってこなくていいのか?」
「だってあたしはれーじ一筋だもん。 それでね? えっと…」
里村らしくなく、弱々しくモジモジしている。
「どうした?」
「その…私とデート…してほしいの…」
「いいぜ」
「その!本気とかじゃなくてお試しとか、一緒に買い物とかで全然いいから!!………ってふぇ?」
俺が即答してやると、里村もまさかいきなりオーケーが貰えるとは思っていなかったのか、かなり驚いた様子だった。
「ここまで来ると、流石にお前の思いを軽く受け流すのは失礼に当たるからな。いいぜ、デートしようじゃねえか」
「や…やった! うん!ありがと、れーじ!!」
満面の笑みで微笑む里村。
こうして俺と里村は放課後デートすることとなったのであった。