fortissimo~大切な人と日常を護るために~ 作:Chelia
次でいいや次で(震え声
相変わらずマイペースな進み具合でまったりしていますが、その分内容はしっかりさせていこうと思います!
さて、原作通りのように見せかけて実は全然違うバトルがいよいよスタート!
戦う召喚せし者は題名の通りです。
その雫の音と共に世界は一遍する。
さっきまでいた場所どころか、どこまで見渡しても銀河の中にいるように青い空間ができあがったのだ。
「まさか、これが悠久の幻影!?」
「アイス………?何だそれ?」
里村からこぼれた聞き慣れない単語に首を傾げる。
そうすると、里村は更に血相を変えてこちらを見てきた。
「なっ…何で零二がここにいるの?」
「は?いきなり何言ってんだよ…」
この空間は召喚せし者しか絶対に入ることができない。
そして、12人の召喚せし者のうち里村にとって8人は未だ不明人物なのだ。
悠久の幻影に存在する零二。これが意味するのは最悪の結末だった
「零二が…敵… 嘘だ…嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だぁぁぁっ!!」
「お、おい!里村どうしたんだよ!!」
発狂し、地面にうずくまる里村に慌てて駆け寄る零二。
「来ないで!」
「なっ…」
今度はいきなり立ち上がるとこちらを睨みつけてくる。
目が、動作が、雰囲気が…全てが零二を否定していた。
「残念だよれーじ… れーじが「一般人」なら私ともっと上手くやれたのにね… 悪いけど、ここで死んでもらう!」
「里………村…?」
「魔術兵装(ゲート・オープン)!」
里村が呪文のようなものを唱えると、七色の光と共に里村の回りに七つの結晶が現れた。
何なんだこれは…言動といい、目の前の光景といい全く理解が追いつかない。
しかも、相手はパニックになっていてこちらの声が届いていない上言葉を鵜呑みにすれば、里村は俺を殺す気のようだ。
一体どうすりゃいいんだ…どうすれば、昨日までの里村に戻ってくれるんだよ…
「ばいばいれーじ… せめて一瞬で逝かせてあげるわ… これが私のしてあげられる、最大限の譲歩よ…」
「それじゃ、譲歩になってねぇな… 里村、お前は俺の告白の返事が欲しいって言ってたよな。いいのか?聞く前に殺しちまってよ」
おそらく里村は本気で俺を殺す気なのだろう。
対峙してる真剣な空気と、周りに漂う不気味な七色の結晶を見れば嫌でも冗談ではないというのがわかる。
だからこそ、俺は強気の態度ででることにした。
里村が何に怯え、何に対して怒りを感じているのかはわからない。
この謎の空間もあの結晶もなんなのかさっぱりわからない。
でも、何も知らずに殺されて人生終了なんてな…俺のプライドが許さないんだよ!
「その必要はなくなった。この瞬間を持って、れーじはあたしの「敵」だから。」
「わりぃが、お前がどういう意図を持って俺を殺そうとしているのかは検討がつかねぇ、だけど何も知らないまま俺を殺そうったってそんな理不尽「はい、そうですか」って受け入れられるわけないだろうが!」
「だから一瞬で逝かせてあげるのよ。さよなら零二。」
刹那、七色の結晶の一つからレーザーが放たれた。
「死ぬ」
その言葉が脳裏に浮かび上がる。
里村の放ったレーザーは、人の目視で避けられる速度を遥かに超えている。
何も知らなく、また何の力も持ってない俺にはどうすることもできなかった。
………
だが、俺は死んではいなかった。
体が宙に浮いてる?
と思ったら、誰かに抱えられているようだ
「兄さん!大丈夫!?」
「さ、紗雪!?」
自分を支えて空中を飛ぶことで里村のレーザーをかわしたのは、自分の妹である紗雪だった。
もう何がなんだかさっぱりわからない。
「悪い紗雪…お陰で助かったよ…」
「ん…間に合ってよかった。詳しい話は後でするから、兄さんはとにかく逃げて欲しいんだけど…」
「黒羽紗雪ぃぃぃ!!」
「里村紅葉…」
憎き相手に自分の邪魔をされ、里村の怒りは倍増する。
それを紗雪は冷静な目つきで受け流した。
「何の力もない俺は邪魔者ってことかよ…畜生!」
「そんなことない… 兄さんがいるから、私は戦うことができるの… 今はその言葉だけで充分!」
「調子に乗っちゃって… いいわ、気に食わないしまずはアンタから殺してあげる!」
「…望む所。 兄さんを危険に晒す人は、誰であっても許さない!魔術兵装(ゲート・オープン)!」
紗雪も里村と同じ呪文を言うと、白と黒の二丁拳銃を両手に持った。
「二丁拳銃…それがアンタの戦略破壊魔術兵器(マホウ)ね…」
紗雪の武器の名前はうたまる&アルキメデス。
自分の大切な愛猫の名前からとっていて、少ない消費魔力で長時間銃弾を放てる持久力に秀でた武器だ。
対する里村は自身の周りに展開させた七つの結晶が武器。
名前は七つの大罪(グリモワール)光と同じ速さの高速レーザーで敵を翻弄する戦略破壊魔術兵器か…
って、あれ?俺…戦いを見たわけでもないのに、何でこんなことわかるんだ?
まるで自分の脳じゃないみたいな…
って、そんなこと言っているうちに紗雪と里村の「殺し合い」が始まった。
「先手必勝!」
挨拶代わりにと、里村がレーザーを二つ発射する。
とても目視では追いつけないはずの圧倒的な速さにも関わらず、紗雪は素早いスピードでそれをかわした
…なるほど、あの速度で俺のことを助けてくれたわけか
「どうしたの?そんな可愛い攻撃じゃ、私は捉えられない。」
「くっ…光の速さをかわせるって、どういう運動神経してんのよこの化け物!これでどうだ!」
シュンシュンシュンシュン
自分が狙われていなくとも、横をレーザーが通りすぎるだけでものすごい音が聞こえる。
おそらく相当の攻撃力なのだろう…単体でかわされるならと里村は紗雪にレーザーの連続攻撃を浴びせるが、紗雪はそれを宙を舞うように一本一本丁寧にかわしていく。
「次はこっちの番!」
反撃する紗雪。
二丁の拳銃から白と黒の魔弾を連射する
「なっ…!?」
里村の方は紗雪のように超人的な速度で動くことはできないようだ。
紗雪の銃弾は実弾より遅く、目視で確認できる程度のレベルだが、それでも里村を捉えるのには充分だった。
ドーンという爆音とともに里村が煙に包まれる。
「戦略破壊魔術兵器を手にしただけで、ロクな戦闘経験もないような貴女じゃ、話にもならない。」
「あら、本当にそうかしら?」
「なっ!?」
余裕をかまして悠々と立つ紗雪だが、煙が晴れると里村はそこに立っていた。「無傷」で
自身の周りに展開させた結晶を集め、盾として使ったのだ。
「あたしはアンタみたいに化け物じゃないし、銃弾なんてかわせない… だったら「防ぐ」しかないじゃない?」
「なるほど…盾にもできるのね… ならこれはどう!?」
「なにおう!!」
紗雪は跳躍すると、大量の魔弾を放ち里村を襲う。
対する里村は、4つの結晶を展開させ自身を守り、3つの結晶からレーザーを放つことで紗雪に対抗するが互いの技が相手に決まることなく撃ち合いが始まった。
「こんなの… 本気の殺し合いじゃねえかよ!」
レーザーと魔弾が飛び交う中、零二は拳を握り締めることしかできなかった。
男である自分が、二人を止めたいのは山々だが目の前で行われていることは人間のそれ(喧嘩)を遥かに超えている。
しかも、紗雪は逃げなかった俺を護りながら戦う立ち回りをとっているのだ。
目の前の少女達の戦闘も止められず、妹の紗雪に迷惑をかけ…俺は…本当に何もできないのか?
「これで終わりよ!七つの大罪・全弾発射(グリモワール・フルスロットル)!」
里村が七つの大罪に力を込めると、七つ全ての結晶からレーザーが放たれる。
正面、背後、上下、死角…7つの方向から襲われるこの技を回避することなど不可能。
「それが貴女の全力なら、貴女の負けね。瞬間魔力換装(ブリューゲル・ブリッツ)!」
しかし、対峙するのはスピードを持ち味とする紗雪。
不可能、絶対…そんな言葉は召喚せし者(マホウツカイ)には存在しない。
魔法は何が起こるか常にわからないのだから…
「き、消えた!?」
そう。先程の呪文を唱えると原理はわからないが、紗雪が消えたように見えた。
そして、里村の背後を取っていたのだ
「Auf Wiedesehen(さ よ な ら)」
里村に別れの言葉を告げると、紗雪からものすごい魔力を感じる。
白き魔弾、黒き魔弾。その二つを放ち互いに交差させ、膨大な威力を誇るルーンを練り上げる。
「福音の魔弾(ヴァイス・シュヴァルツ)!!」
「くっ…!!」
慌てて後ろを向き直り、体制を立て直そうとするが、既に紗雪の必殺技の発砲は終わってるので、間に合うはずもない
「その程度の反応速度では遅すぎる… 私の福音の魔弾は相手の「音」に反応してその軌道を変える。人は生きている以上音を完全に遮断することはできない…故に、100発100中の魔弾…」
「そんな…デタラメな…」
鮮明に見える死のヴィジョン。
そもそも、里村と紗雪では戦闘経験に差がありすぎた。
幾多の戦闘を経験し、相手の動きを観察。更には、敵味方の武器の特性を把握し最善の一手を打つ紗雪。
対する里村は、自分の力を理解しているが、圧倒的な戦闘経験のなさから相手の行動を先読みするまでには至らない。
一対の魔弾は容赦なく里村を貫いた。
「ぐあああああっ!!!!」
「…善(ヴァイス)も悪(シュヴァルツ)もなく、ただ私の大切な者を護るために」
それが紗雪の戦う理由であり、決め台詞。
大切な者を護るためだけに抜く二丁拳銃には、何の迷いもない。
…だが、その魔弾の威力を持ってしても、里村を一撃で葬るにはいささか火力不足だった。
「はぁっ…はぁっ…やって…くれたなぁぁ!!」
血だらけになりながらも煙の中から立ち上がる里村。
自分の決めた決断を、こんな気に食わない奴に阻まれてなるものか!
最後の最後まで生き延びて、罪を償ってやる!
「まだ立てるの?でも、次で終わりね…」
里村の体力は風前の灯。
第三者である零二の目から見ても、紗雪が圧倒的に優位なようにしか見えない。
しかし、戦場にいる里村は全くそうは思っていなかった。
「それはどうかしらね?」
「えっ…? なっ!?」
突然紗雪が両膝を地面についた
「何なの…これはっ…!」
「あたしの七つの大罪(グリモワール)の能力、貪る贖罪の鎖(グレイプニル)よ。あたしは当てた色のレーザーによって相手に罪を背負わせることができるの。あたしの七つの大罪・全弾発射…アンタは全部かわしきったって思ってるかも知れないけど、「僅かに」かすってるのよね…」
「僅かにかすらせるだけで追加効果が発動する!?…デタラメもいい所ね。それにしても、私が技の命中に気づけないなんて…」
「そりゃそうよ、あたしがアンタに当てたのはアスモデウスとレヴィアタン。これら二つの能力によりアンタは今痛覚と固有感覚を失った。ま、かすらせただけだから効果は数分だけど、アンタを倒すには充分よ!」
「なるほど…確かに痛覚を消せば命中に気づけないのも納得がいく。想像以上に厄介…」
それだけではない… 膝をついただけならまだマシ。罪を受けた瞬間危うくうたまる&アルキメデス(この子たち)まで落としそうになってしまった。
固有感覚の喪失により、手と足の感覚がない…召喚せし者は戦略破壊魔術兵器を壊されれば死んでしまう。
この状況で、自分の武器(マホウ)を落とすと言う事は自殺に等しいのだ。
いきなり訪れる特別の感覚でも武器を落とさなかったのは紗雪の強さといっていいだろう。
しかし、これだけ大きな隙が生まれれば里村には充分過ぎた。
「よくもあたしと七つの大罪(春花)を傷つけてくれたわね!あたしの本当の切り札でアンタを消してあげる!」
「くっ…!」
感覚をいきなり持っていかれたことで上手く動けない。
まずい、このまま隙を与え続ければ負ける!
しかし、紗雪の身体は答えてはくれなかった。
「収束(あがれ)!収束(あがれ)!収束(あがれええぇっ!!)!!私に仇なす罪、浄化してあげる!断罪せし裁きの虹(ひかり)その身に受けろぉぉ!!」
七つの結晶全てが一点に集まり、どんどんどんどん魔力をかき集めて行く…
通常の魔法を遥かに超えた伝説級の破壊力を持つ一撃「神話魔術」が、今紗雪に向けられて放たれようとしている。
「極光の断罪者(ジャッジメント)!!」
それはまさしく神の如く絶対なる浄化の光。
七つの高速を重ねた超光速の波状攻撃は容赦なく紗雪を消し去ろうと迫りくる。
「あ…」
「紗雪ぃぃぃ!!」
遅かった。極光の断罪者は七つの光によって放たれる故、光の七倍の速度で迫る。これをかわすには瞬間魔力換装しかないが、固有感覚を失っている今、上手く発動することができない。
瞬間魔力換装は、魔力を練って大技を発動させる原理を応用して発動している。
魔力を注ぐ対象を戦略破壊魔術兵器ではなく、自身へと送ることにより瞬間移動にも負けない爆発的な速さでの移動を可能とするのだ。
しかし、今はその対象である自身の「感覚」がない。
いかに紗雪であっても、この精密な動きをこの短時間で可能とすることはできなかった。
兄さん…ごめんなさい…
せっかく私の為に叫んでくれてるのに、答えてあげることができなさそう…
しかし、死を覚悟して目を閉じる紗雪の前に青い影が立ちはだかるのであった。