フルネーム判明してるのって、オーキド家、ツワブキ家、サクラギ家に、ソネザキ・マサキ、シン・リー、優藤聖代、
後はシロナさんの名字がカラシナかも知れないぐらい?
私はショタコンだ。
うん、待って。引かないでくれる?私はただ、筆をおろす同人とか、写生の管理をする同人とか、無知シチュの同人とかが好きなだけなのだ。
こら、そこ異常性癖とか言わない。一回異常性癖で検索してみい?脳姦とか眼窩姦とかと比べたら全然マシなんだから。
まあ、ともかく私はそんな感じの人物なのだ。そんな私は今、人生の岐路に立たされている。
「れ、レッド……?」
私は、目の前の少年が呟いた言葉に酷く動搖していた。
──レッド
その名前はポケモン世界に於いて、特別な名前だ。マサラタウンから冒険の旅に出た、初代主人公の名前。僅か十一歳にしてロケット団を
後の作品では、シロガネ山で山籠りしたり、チャンピオンズトーナメントに出場したり。
色んな意味で、伝説の存在となっている。
彼は、そんなモノの名前を名乗った。
「ほ、本当に……?」
「えっと、本当だよ?」
そう言われると、目の前の少年はどことなくゲームでのレッドに似ている気がする。そう言えば、キミの名前はとか言われてた気がする。
取りあえず、本名を呟く。
「私の名前……は、萩原栞」
「……ハギハラ・シオリ?」
何だか妙な間が空いた。変な名前だった?名字の文化がないとか。いや、でもオーキド・ユキナリさんがいるし、名字文化はあるよね。
この名前、もしかしてポケモン世界では下ネタに値する可能性ある?ゲーム版では『れおなるど』と言う名前もNGワードに設定されていたし、なくはないかも?
そう考えていると、レッド君は私の様子に気づき答える。
「名字を名乗るのが珍しくてね」
へえー、初耳。普通名字は名乗らないんだ。そう言われると、博士関係でしか名字呼びされてないな。そもそも、皆自分の名字を覚えているのだろうか。それすら疑問に覚えてくる。
レッド君は首を
「まあ良いや、ぼくとポケモン勝負しようよ!」
もしかしたら、レッド君の方が常識知らずかも知れない。
ちょっと何を言ってるか、よく分からない。普通、初対面の相手にポケモン勝負を仕掛けるか?あれか、トレーナーは目があったら即バトルするものなのかな。この世界、ゲーム版準拠っぽいしあり得ないことはないけど。
少し悩み、レッド君の姿を見る。
その姿は物凄く可愛い。大人しい感じのショタに見える。しかし、この子は将来、シロガネ山の頂上に居座って都市伝説になる少年であって。
……ふむ。
私は、危ないことには関わらない主義の者だ。確かゲーム版でのレッド君は、悪の組織であるロケット団と対立し、あはや命を失う……みたいなこともあったはず。あんまり関わるのは危険が及びそうだし、ポケモン勝負も断る方向にしようか。
「バトル、しようよ」
「……分かった」
……ハッ!
気がついたら了承していた。これがショタの懇願か。自覚しているか分からないが、上目遣いでのお願いなんて断りようもない。
まあ、ショタのお願いを無碍にする訳にはいかないし、どっちみち了承していたか。……この書き方、何だか犯罪臭がするな。
「手持ちポケモンは、まだ一匹しか捕まえてないから、一対一で」
一匹だけってことは、まだ旅に出たばかりなのかな。博士にお届け物を届けたあとぐらい?
旅人と言っていたし、ポケモン図鑑貰ったあとなのは確かだけど。1番道路を通ってトキワシティに着いたばかり、と言った所か。リーグ優勝後だとしたら、どうしようかと思った。
私は、彼にバレないように『はやぶさバッヂ』を取り出した。そして、その場でメニュー画面開いた。
「……?」
レッド君は特に、気にした様子を見せないので、メニュー画面は使用者にだけ見えているのだろう。私は、メニュー画面のポケモンの項目に手を触れた。
この項目は嫌な予感がして、まだ開いていなかった。鞄の中にバグアイテムが入っているのだ。当然、手持ちポケモンが普通のポケモンであるはずがないのだろう。
しかし、今からポケモン勝負をするのだ。押すしかない。私はメニューのその項目を押してみた。すると、現在の手持ちのポケモンが目の前に写った。
てもちポケモン
・ ミュウ
・
・ベアビヲ9
・
・9パゾ9な゙
・けつばん
Oh……これはダメだ。もう一度言う。これはダメだ。予想以上にダメだった。
碌なポケモンがいない。
一体ぐらい正規のポケモンがいると思っていたのだが、全てアウトだった。唯一正規っぽいのが、ミュウ……というのがヤバい。勿論、これはタマムシデパートで釣ったバグ産なのだが。幻のポケモンが一番正規感するのは何なのだろうか。
そうこうしている間に準備が整ったのか、レッド君は私に話し掛ける。
「よし、じゃあ始めるよ」
始められるポケモンがいない。(切実)
大真面目に出せるポケモンがいないのだ。それでも、何も出さない訳にもいかない。私の腰には、いつの間に付いていたのだろうか、モンスターボールが六つ存在していた。ポケモンを持っていないと誤魔化すことも出来ない。
どうしようかと、悩みあぐねていると、レッド君は一匹のポケモンを繰り出した。
「いけ、フシギダネ」
「ダネフシャ!」
緑色をした小型のポケモンを出した。フシギダネだ。フシギダネはツタを宙に浮かせて、やる気満々の様子だ。レッドの名前から、ヒトカゲを出すと予想していたのだが、大きく外れた。
いやでも、Let's go版ではフシギバナ使っていたし妥当か?
「早くキミも出しなよ」
そんなことを考えていると急かされた。ポケモンのことを考察して現実逃避していたのだが、無駄だったか。しかし、うん、なるほど……。
この中で、一番目立たないポケモンを出すしかないか……。
「……いけ、ミュウ」
「みゅうみゅ」
検討に検討を重ねた結果、ミュウが一番目立たないポケモンだと判断いたしました。これは正気じゃない。
ほら、見てみろよ、あのレッド君の
これにはフジ博士もニッコリだろう。
でも見た感じ、初めて見るポケモンに驚いている……って様子だ。
まあ、それはそうか。
いくらミュウが凄いポケモンだとしても、その存在を知らない人には伝わらないか。
幻のポケモン──それは、誰も知らないからこその幻なのだ。知る人ぞ知るって感じで。何だか、ラーメン屋みたい。
しかし、流石はレッド君。すぐに正気を取り戻して、フシギダネへと指示を出してる。
「フシギダネ、"なきごえ"、そして"たいあたり"!」
フシギダネは大きく鳴き声をあげてから、真っ直ぐミュウへと身体を突っ込んでいく。その頭をミュウの身体へとぶつけるように。しかし、それを許す訳にはいかない。
「……避けて」
「みゅう!」
フシギダネのたいあたりを、ミュウは余裕を持って躱す。
フシギダネのレベルは、そこまで高くないのだろう。精々6レベルぐらいだろうか。それぐらいならば余裕で避けられる。多分、今のレベル10レベルはいってるだろうし。
「ミュウ、"はたく"!」
「みゅうみゅ」
ミュウの目の前には、攻撃を躱され無防備な状態になったフシギダネがいる。すかさず、ミュウは私の指示通りフシギダネの頭めがけて手で
「フシギダネ……!」
「ダ、ネフシャ」
一撃では決まらなかった。ゲームだったら一撃で決まっているぐらいの攻撃だったと思うが。鳴き声で攻撃力を下げられた影響だろうか。
「ミュウ。もう一度"はたく"」
「みゅう」
フシギダネはこの追撃に対応できず、ひんし状態になる。
やったぜ!
正直、レベル差が大きくて実力関係なく勝てると思ってたけど、普通に嬉しい。私の実力を全く感じさせない戦いだった。タイプ相性とか知らない、下手の横好きの私が、主人公に勝ったぞ!
なんか虚しくなってきた……。
「キミ、強いね」
ちょっと、褒めるな。私自身全く凄くないのに褒められるのは、めちゃくちゃ辛いから。
「それに、この……ミュウ?見たことがないよ」
「新種の……ポケモンだから……」
冷や汗をかきながら答える。図鑑に『しんしゅポケモン』と書いてあったので、あながち噓でもない。
「ねえ、キミはこれからどうするの」
「……決まってない」
これは本当だ。取りあえずニビシティに行くか、ここらへんでポケモン探しをするか、全く決まっていない。
「それだったら、一緒に行かないかい。グリーンは一人で行っちゃったし」
初代ライバルのグリーンまでいるのか。ふんふん。一緒にか。え、何が?
「?」
「ミュウのこと気になるし、ポケモン勝負だって負けたままなの悔しいし」
……。これってもしかして、レッド君と一緒に旅に出られるチャンスなのでは?何でそんなビッグチャンスが訪れたの。
やっぱり寂しいとかそういうのかな?そりゃあ、こんな小さな子の一人旅とかどうかしてると思うけど。
レッド君と旅をする上で、一番怖いのはイベントに巻き込まれることだ。一緒に旅に出ることの、リスクとリターンを考える。
「一人で行きたいんだったら……」
「行く」
食い気味にそう言って、大きくコクリと
「私も、着いていく」
なるべく、笑顔をつくってそう言った。
尚、表情筋が死んでるので笑えてない。