マブラヴ大好き青年が行くIS世界   作:王選騎士団

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27話

Side 斑鳩

結局その後、教室ではいつもどおりの授業が行われた。一夏やセシリア達からも心配されたが大丈夫だと伝えた。皆からは感謝されたし、いつもどおりに接してくれた。唯一篠ノ之箒だけが気にかかったが、放置した。今はまだ様子見と考えている。が、恐らくどうせロクでもない事を考えているんだろうとは思った。具体的に例を出すと第4世代機の譲渡、とか。

 

   本当に、忌々しい。

 

自分には、自分がそこそこ優秀な自覚も自負もある。実際に第3世代技術を作ったのも自分だ。だがそれは、()()()()()()()なのだ。知識として存在を知り、機能を知り、作り方さえも学習し、知ることが出来た。ここまで来て作れない方がおかしい。

確かに自分の優先順位が戦術機の再現に趣味として偏っているとしても軍人として(最初は招聘された身分だったがいつの間にか正式な軍人になっていた。)働かなければ。実績を残さなければ快く送り出してくれたラダビノッド夫妻、そして信頼してくれているツェルベルスの面々に申し訳が立たない。

だからこそ自分は自分が襲われて死ぬかもしれないというリスクを飲み込んでまで此処、IS学園に来た。どうにかして他国の機体の技術を得よう、と思っていたのだ。

だからこそ、開発者の妹だからと第4世代機をねだる篠ノ之箒が許せない。メンタル面はともかくとし、更識楯無や凰鈴音、セシリア・オルコット達国家代表や候補生達  ひいてはそれに類する者たち  が必死で努力しその末にようやく与えられた専用機、それを彼女は欲しいからという理由だけで得る事が出来る。こんな巫山戯た話があってたまるか。自分でも何故まだ静観のスタンスをとっているのか分からないぐらいだ。

だが自分が大事にしている一夏にとって篠ノ之箒という存在が大きいのも事実だ。だから、感情に折り合いをつけて見守る事にした。

 

夕飯を食堂で取った後、寮に戻った。自室のドアをノックし、部屋に入る。

 

簪は、手元のタブレットで黙々と何かの作業に取り組んでいた。部屋に入った時に一瞬だけこちらに目を向けたが直ぐにタブレットに目を落とした。

彼女と会うのもあの病室での一件以来だ。気まずくなったのか、はたまた姉に勝つために努力しているのか。自分にそれを知る術は無い。ただ、恐らく後者だろうな、とは感じていた。

正直この程度の喧嘩にISを持ち込まないで欲しいと思う。レイの存在によりIS、正確にはそのコアには意思があるという説が立証された。彼女らのコアがそうかは分からないが、少なくとも自分なら姉妹の喧嘩に巻き込んで欲しくは無い。少なくとも、勝負をけしかけた自分が言えることではないが。

 

仕方無しに制服から寝間着に着替え、特にすることも無いので就寝する。久しぶりの自室に安心したのか、直ぐに深い眠りへ落ちていった。

 

 

 

Side 3人称

 

特に何事も無く1週間は経過し、アリーナ内観客席。

崇継、そして離れた所では箒を除いた一夏とその取り巻きが観客席に座っていた。辺りを見回してみれば見知った顔が2人。あちらも崇継に気づいたのか歩いてくる。

 

「よぉ、アンタも来てたのか」

 

笑顔で片手で挨拶しながらダリルとフォルテが近づいてきた。

 

「久しぶりだね。元気にしてたかな」

 

「はっ、そうそう簡単に体調崩してたら不味い立場だぜ。そう言うアンタこそ大変だったらしいじゃねぇか」

 

「あぁ。何事も無く……とは言えないがともかく大丈夫だよ。心配ありがとう」

 

「なに、少し話しただけの仲とは言え同じ学校の生徒が死ぬのは寝覚めが悪い。……っと、それはともかく。何だってアリーナ貸し切って、実質観戦不可になってるんだ?」

 

「さぁ?それは私にもわからないんだよ」

 

本当に知らないのだ。この学園の生徒会長は最強でなければならないだったかどうかは忘れたが、少なくとも更識楯無はこれまで挑戦者との試合を告知しなかった事は無いし、そもそも女性のコミュニティの力で直ぐに情報が行き渡る。

だが今回は徹底して秘匿を図ったらしい。貸し切りの情報は流れていたし、生徒会だからと誰も疑いはしていなかった。だから今回戦う2人と自分が連れてきた一夏、一夏と仲がいい鈴、その鈴と仲が良いセシリア。そして生徒会関係者でサポートに入っている布仏姉妹以外は居ない。はずだったのだがどうしてかここに2人も居ない筈の人がいる。

 

「話を変えるが、そもそも何故君達はここに居るんだ?」

 

「ん?それはな、更識のやつ、ここ1週間ずーっと思い詰めた感じでな。虚に聞いたら妹と戦うっていうから見に来たんだ」

 

(何故この2人には教えたんだ布仏姉…疲れてたのか…?)

 

別に自分に関係無いから良いが、それは不味くないか。そう思った。

すると片側から簪が出てきた。自分も製作に少しだけ関わった打鉄弐式を纏っている。自然体のようだ。戦うときのコンディションとしてはベストと言っていい。

一方の更識楯無は未だ出てこない。

 

「丁度良いや。アンタ、何でこんなことしてるのか知らないか?」

 

純粋に理由を知りたいようだった。いささか迷ったが彼女達に無駄に言いふらさないよう言い含めてから話し始めた。

 

 

 

 

 

「はぁ〜、なるほどなぁ。けど、かなり飛躍したなぁ。いきなり生徒会長の座をかけて勝負とか」

 

「まぁ、若くて良いんじゃないか。ISを使っているとはいえただの喧嘩ですむ」

 

「27歳も結構若いほうだと思うっすけどねぇ〜」

 

「ありがとう。ところで、流石にちょっと」

 

「「遅い」」

 

先程簪が出てから既に15分経っている。流石に遅すぎる。まさか、この期に及んでまだ日和っているのか?

 

「済まない、少し席を外させてもらう」

 

崇継は控室に向かった。

 

 

 

「お嬢様、すでに妹様が出てから15分経っています。いい加減覚悟を決めてください」

 

「……」

 

更識楯無は未だ覚悟が決まっていないようだった。バレないよう、と言っても既に布仏姉にはバレているだろうが、話を聞く。何を言うのか気になったからだ。だが更識の口から出た言葉は崇継の冷静さを奪うには十分なものだった。

 

「……私が、生徒会長を降りれば、簪ちゃんは満足するのかしら」

 

「……は?」

 

更識はその声に反応しても、両手で頭を抱えて座ったままだった。

 

「私は、簪ちゃんに……」

 

「おい」

 

耐えられなくなった崇継は更識に近づき胸ぐらをつかんで持ち上げた。

 

「お前がまさかそこまで腐っているとは思ってなかったよ。簪の事舐めてんのか?」

 

更識は何もしない。

 

「これは簪からお前に与えられた最後のチャンスだ。何時までも逃げてばっかのお前へのな」

 

更識はうなだれた首のまま視線だけで弱々しく崇継を見る。

 

「どう、して…」

 

「『どうして』だと?今も言ったろ。逃げてばかりのお前も、生徒会長として引きずり出せば逃げられない。そうして整えた場で勝負する。それで落とし前をつけるってことだ。だがもし、ここで逃げれば。お前は簪からは一生突き放されたままだし何よりお前は姉として大事なものを失う。……さぁ、選べ。今ここで。戦うか、否かを」

 

斑鳩は掴んでいた手を離した。更識は尻もちをついた。

すると更識は涙をこぼしながら崇継を見た。

 

「どうして!?何でなの!?私は簪ちゃんを危険な目にあわせたくなかった!あんな物を簪ちゃんには見てほしくなかった!ただ、ただそれだけなのに!」

 

「だからだ」

 

「え…?」

 

「簪はお前がそういう事をやっていると知っている。それが辛いことだということも。ただ、だからこそ自分を頼ってほしかったんだよ。苦しみを共有してほしかった。だがお前はそれを拒んだ」

 

「……」

 

「簪はそれでもお前を許そうとしているんだ。だからこそお前はここから逃げ出しちゃいけない」

 

「……分かった。私、戦うわ」

 

そう言った彼女の目には決意が灯っていた。

 

「簪、聞こえるか」

 

『っ、聞こえます』

 

気まずいのか、はたまたいると思っていなかったのか動揺していたが無視だ。

 

「待たせた。これから生徒会長が行く。存分に戦い語り合え。今の彼女なら、受け止められるだろう……多分」

 

『ちょっと!せっかく良さげだったのに!最後の多分はなんですか!』

 

「気にしないでくれ。それじゃ」

 

そう言って通信を切った。

 

「じゃあ後は任せたぞ」

 

「貴方は見て行かないのですか?」

 

「う〜ん、どうしよう。まだ迷ってる」

 

すると布仏はメガネを中指で押さえるメガネ特有の動きをして言った。

 

「実質貴方がけしかけたようなものでしょう。最後まで見届ける義務が有ると思いますが」

 

「それを言われると弱いな。ま、そう言うんだったら見ていくよ。管制よろしく」

 

 




イモータルズやったんですが結構面白いっすわ。皆さんもやってみてほしい。

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