孤島エリア、10。
霧に包まれたこのエリアは本来、海岸である。
寄せては返す波に砂浜。ここが狩場で無かったのならば観光地として名を馳せていたであろう場所。
しかしそこに、今、命の気配を感じる事が出来なかった。
「酷い血の匂いだ…」
辺りに立ち込める肉が腐った臭い。
それはここに生きているはずの命が根刮ぎ殺されているということ。
それは恐暴竜でも金獅子でも──古龍でもない。
もはや
「…こんなの…許せない!」
ギルドナイトとしてではなく、純粋に、一人の人間として許せない。
無必要な殺生を行うその存在をユートは許さないだろう。
「見つけて、報いを受けさせる…!」
確かに霧はエリア10に立ち込めていた。
しかし、奥にエリアがあるのは事実。ここに居ない以上、もっと奥に進む必要がある。
だが。
それでもユートはこのエリアでやらなくてはならない事がある。
ここで命を落とした調査員の亡骸の埋葬だ。
エリアに入った途端に見つけてしまったのだ。
砲撃のような何かでグチャグチャにされてしまった亡骸を。
「助けられず…本当に申し訳ない。」
ユートは簡単に埋葬を済ませると合掌。哀悼の念を表した。
ここは敵地。それでも犠牲になった者たちに手を合わせないという選択肢は始めからユートにはなかった。
「…行くか。」
前を見据えてエリア11へと足を向けた。
その時だった。
「来たねぇ…
意識外からの一撃。
急に降って湧いたかのような気配。
そして明らかな殺気。
本来、極悪人にしか抜かない刃をユートに抜かせるには十分な邪悪だった。
未知の樹海と呼ばれる未開拓地域から出土した太刀―――天上天下無双刀を抜刀。
その一撃は避けることは叶わなかったがギルドナイトに支給される最上級の装備の前には大した痛手とはならなかった。
むしろ自分から反撃しに来てくれたといっても過言ではない。
「悪いけれど…ここで消えてもらうよ…!モンスターの虐殺、調査員の殺害。すでに数え役満だ…!」
本来ならばギルドナイトはギルドから指示された人間しか斬ることは許されない。
だが。
今、目の前の存在はここで斃さなくてはならない。
ユートが自分から規則を破らざるを得ないほどの邪悪。
霧が深くて視認はできない。
だが、そこにいる。
ならば、斬れる。
ユートは天上天下無双刀を握りしめ、謎の存在へと向かって行った。
その後、ユートは行方不明になる。
最近、枢機卿とジャン・バールの仲が険悪だ。
ジャン・バールは枢機卿に対して深いコンプレックスを抱いている。
枢機卿はどうやれば妹であるジャン・バールと仲を戻せるかを模索している。
「はぁ…どうしたらいいのかしらねぇ…」
ギスギスしていく関係にダンケルクはため息を吐くことしかできなかった。
ダンケルク自身、いままで仲間だった者たちと殺しあうなんてことはまっぴらごめんだ。
それでも、このままだと同じ陣営と殺しあうことになってしまう。
それは、ここにいる仲間にとっても辛いことだ。
そんな事を考えながら砂浜に出た。
そのとき、彼女が"彼"を見つけたのはたまたまだった。
何か帽子が落ちているな位の感覚だった。
また、漂着物か。
そう思って拾おうとして、近づいた。
だから、気づけたのだ。
「えっ…ひ、人!?」
その帽子はいまここで倒れている
意識はないがまだ息はある。
こうしてはいられない。
まだ息がある。
なら、救えるはずだ。
ダンケルクは彼を急いで医務室に担ぎ込んだ。
さて、アズレン世界に入ったユート君の装備をここで紹介しましょう。
防具はギルドナイトXシリーズ相当のものです。
武具は武器倍率310、会心0%の天上天下無双刀。