申し訳ありません。
これも全て天鱗を出さないシャガルマガラが悪いんです。
アイリスとヴィシア―――――二つの陣営に分かれる日に流れ込んだはじまりの風。
それは、いろいろな意味でたくさんのモノを運んだ。
例えば―――
「…9999ッ…!10000ッ!」
朝から美丈夫が一万回の素振りをしている光景とか、である。
朝早くにベッドから起きたと思ったら、これだ。
「…何やってるのよ。」
「見ての通り素振りさ。これでも体は鍛えないと喰っていけない商売していいるからね。」
監視役として同じ空間で生活するようになって色々とユートには驚かせられた。
インナー一丁で過ごすことも、与えられた部屋で武器の手入れをするのも。
全てがダンケルクにとっての初めてだった。
しかも、ギルドナイトの仕事について簡単にだが教えてくれた。
結論から言えばユート本人は超が三つついても足りないような聖人だった。
周りの事を第一に考え、狩りでもなるべく必要以上に命を奪わない。
まさに自然と人間を調和させる存在だった。
「で、毎日やるの?それ。」
「うん。」
つまりこのむさ苦しい時間を何度も経験しなくてはならない。
そもそもの話、ダンケルクはあんな重い物を一万回素振りするなんて正気の沙汰ではない、と思っていた。
狩人は体が資本────
これを文字通りに実践するユートだからこそ自然との調和を行えるのだろう。
「はあ…こんなことになるなら飛竜刀でも持ってくれば良かったな。」
とユートはぼやく。
少なくとも素人目でもわかる相当の業物である天上天下無双刀を持ってきていても彼は飛竜刀というもののほうが良いといった。それが気になってつい飛竜刀について聞いてしまった。
「ねえ、その飛竜刀ってどんなものなの?」
「んー?えっと…火を扱う竜…火竜リオレウスってのが居るんだけど。」
「…ん?」
「その火竜の素材をふんだんに使った飛竜刀【
一応情報として、最低限の彼の持つ情報を伝えられていたダンケルク達。
亜種や希少種がどれだけ強大な存在かを資料となった彼の
その書曰く
「リオレウス希少種、またの名を銀火竜。白銀の太陽とも呼ばれ、相対するもの全てを焼き尽くす」
と。
「まあ、この項は言ってみれば初心者向けのモンスター講座用の原文。ギルドを通してユクモ村の居付きのハンターに依頼されたんだ。"あいつ等がまともな文章を書けるとは思えないから協力してくれ"って。」
「へえ…。じゃあ、これは誇張しているわけ?」
「いいや?油断すると丸焦げになるのは事実だよ。…だから、なんだって話だけどね。」
「やっぱり…。もう、貴方人間辞めてるんじゃない?」
「…まさか。火事場のバカ力をいつも発揮しているだけさ。」
どうやら、ハンター…というか目の前のこの男は人間卒業間近らしい。
まったく、とんでもない拾い物をしたものだと笑う。
「さてと、次はアイテムの整理だ。…見ていくかい?色々と紹介しときたいし、いざとなったら君達も使えるかもしれないし。」
「そうさせてもらおうかしらね。」
この後、秘薬や強走薬の効果を聞いて改めてとんでもない世界と繋がったものだと頭を抱えた。
そして同じ説明をしたところ、リシュリューとジャン・バールが頭を抱えたがそれはまた別の話である。
日常回の皮を被ったカオス回です。
ユート君は孤島エリア10で襲われて以降の記憶がほとんどありません。
その前の記憶とかははっきりしてます。