「…で、君たちは一体なんなんだ!?海に浮くって…そして、あの機械は…!?」
「ああもう、一度に質問しないで!ちゃんと答えるから!」
ダンケルクは案の定、ユートに詰め寄られていた。
当たり前だ。
「私たちはね…兵器なのよ。海から現れる怪物――――セイレーンと戦うための。私達は"人"の体と心を持っている兵器なのよ。もちろん私達の事をひっくるめて呼ぶ名前もあるの。それが、"KAN-SEN"。とある大戦を戦った"船"の記憶を持った、兵器なのよ。」
自分で言ってて悲しくなってくる。
争い事が嫌いなのに、争うことでしか解決できない自分が嫌になる。
「…今ね、この世界は人間同士で争っているのよ。実のところいうと、この国も分裂直前だったのよね。…貴方のお陰で踏みとどまっているけれど。」
「…は?」
「やっぱり、そういう反応するわよね」と、ダンケルクは苦笑した。
「…とりあえず、話を戻すわ。セイレーンの侵攻をなんとか抑えた後、人間は二つの勢力に分かれて争いだしたの。
純粋な人間の技術だけでセイレーンを滅ぼそうとする、ロイヤル、ユニオンを中心とした組織『アズールレーン』。
もう一つが毒を以て毒を制すを地で行く―――セイレーンの技術を積極的に取り入れる事でセイレーンに抗おうとする組織『レッドアクシズ』。こっちの中心となっている国家は鉄血と重桜ね。」
ダンケルクはこの世界の情勢をかいつまんで説明した。
もしかしたら、この世界で何らかの騒乱にユートが巻き込まれるかもしれない。
「…私はね、正直に言うと、レッドアクシズの方が正しいって思ってるの。世の中綺麗事だけじゃないって示してるのは他ならない私達だしね。」
「…何がいいたいんだ?まさか、レッドアクシズとやらへの勧誘かい?」
「まさか。どうせあなたの事だから、両方ともおかしいなんて思っているでしょうしね。」
「わかっちゃう?」
ユートの目は呆れ果てたものに変わっていた。
「人類同士でやりあうなんて、それこそ愚の骨頂でしょ。」
ユートから言わせれば愚の骨頂。
正直に言って、ダンケルクもそう思っている。
セイレーンという強大にして、人類共通の敵がいるのに、何故人間同士で争うのかと。
その争いによって、昨日まで親しくしていた者たちと今日は殺しあわない、なんて保証はどこにもない。
そして、それがどれほど辛く苦しく、心を締め付けるモノなのかを上層部は知っているのだろうか。
「…安心してよ。例え世界の全てがここの敵になっても、僕はここを守るさ。―――いざとなったら、敵を斬る覚悟は、ある。」
つまり、終わりのない争いに身を投じる覚悟がある、と。
目の前の男はそう言ったのだ。
「命を救ってもらったからね。………本当は余りこういうことはよくないんだけどね。」
そう言って苦笑するユート。
確かに、余りいいとは言えないのだろう。
それでもダンケルクにとっては嬉しい誤算だった。
争い事に彼を引き摺り込むのは気が引ける。
それでも、今は本当にに少しでも多くの戦力が欲しいのだ。
「……よろしく、ユート。」
「……うん。よろしく。ダンケルク。」
こうしてアイリス・ヴィシアに力を貸すことになったユート。
ここから、新たな物語が始まる。
前回で終わりと言ったな。
あれは嘘だ。
その後を書かなきゃいけないのに終わりはないでしょーよ!