火竜襲来から丸二週間。ようやく例の鑑定が終わったと聞き、ユートはリシュリューに元へ向かった
「…結論から言います。あの武具は貴方専用の艤装でした。」
「…やっぱりね。」
リシュリューから告げられた答えはユートには分かりきっていた事だった。
「貴方には二つの道があります。一つは帰還を諦めて、この世界で一生を過ごす事。その場合、こちらで住む場所を用意します。…ただし、監視付きになってしまいますが。」
リシュリューは一旦目を伏せる。
これから提案することは彼女にとって、とても納得できないことだろうからだ。
「―――もう一つは、指揮官として生活しながら、帰還への道を探ること、です。恐らく貴方は"鏡面海域"と呼ばれるセイレーンの領域からこちらにきたのでしょう。ただし、こちらの場合は―――」
「死ぬ可能性がある。―――っていうことだよね。」
「―――はい。」
リシュリューは申し訳なさそうに目を逸らした。
ユートは完全に被害者だ。
それなのに「探索」という建前の下で、わざわざ戦線に送りださねばならない。
それが、どれだけ辛いことか。
それが、どれだけ情けないことか。
それが、どれだけ悔しいことか。
きっと、誰にも分からない。
それでも。
ユートの意思を尊重する。
「…もちろん、帰還したい。」
「…いいんですね?」
「ああ。当たり前だよ。でっかいものに挑む。
「死ぬ覚悟」―――本来、それは
ただの人間にとって、それは背負うこと自体が恐怖なのだから。
それでも一度、その覚悟を持った人間は、強い。
「…分かりました。これより、貴方を護教騎士団に配属とします。が、それは"KAN-SEN"としての貴方の立場です。貴方にはこれから―――私達の指揮官になってもらいます。」
「…は?」
にっこりとリシュリューは微笑んで、
「よろしくお願いしますね?指揮官様」
そう、告げた。
「…やっぱり、そうなるわよね…。はぁ。もう、貴方はハンターという種族に思えてくるわ…」
ユートのKAN-SENとしての力を見極めるために行った演習。
基本的な艤装とは一線を画すその姿に演習に参加したKAN-SEN達からは本当に大丈夫か?という声が上がった。
しかし、蓋を開けてみると、多対一でも数分、
勿論、ユートの圧勝である。
今までに数多くの危険な狩猟をこなし、多くの罪人を闇に葬ってきたその経歴のせいか、ちょっとした動きから次の行動を予測し、即座にその行動の出鼻をくじくという訳の分からない、明らかに人外の境地に達しているユートに負ける要素などないのだが。
「うへー。これじゃ勝負にすらならないよー…」
と異端審問官――ラ・ガリソニエールは嘆き―――
「…まさか、ここまでなんて…」
とリシュリューを驚愕させ―――
「オマエ…普通にオレ達よりも強いんじゃないか…?」
ジャン・バールは誰だって抱く疑問を吐く。
「うーん。まだまだだなぁ。何発か被弾しちゃったし…」
それでもなお、勘が鈍っているというユートに対し、思わず―――
「…一体彼の全盛期とは…?」
誰かがこう呟いた。
その真実は、驚愕とともに迎えられるが、それはまた、別の話である。
ユート君のKAN-SENとしてのスキルを無理矢理文にするならこうなる。
・戦闘開始後、一定数被弾で発動。この戦闘中ダメージを受け無くなる。
なにこのぶっ壊れ?