お待たせしました、第3話です!
港を擁する街の祠で、旅の安全祈願をすることにした私。
翼を腕に見立て、祈りを捧げる……すると右足に付けられたリングが淡く反応し光を放ち、巨大な人影が私の前に現れた。
『……あら、そのリング……イフリートさんの加護下の者が私に祈るなんて、何千年ぶりかしら?』
『え……うぇっ?!』
目を閉じていたので声の主の姿がいきなり目の前に居る事に動揺し、私はすっとんきょうな声を上げる……目の前の人影さんは『あらあら、心配しないで? 別に信者が違うからって無下に扱う事はないですよ』と笑っていた。
暖かみのある声と、優しさ溢れる口調、物腰柔らかな雰囲気……逆光を何とかしようと私はすぐ横の岩に飛び乗って、再び相手を見る。
水色のヴェールやシースルーのワンピースに、魚のヒレを思わせる独特な形状の耳……青白いオーラを纏い、誰もが羨むモデル体型の精霊……
水の精霊王ウンディーネ……彼女が直に私を見に、現界していたのである。
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『……なるほど、それでイフリートさんがアナタに加護とそのリングを……』
『はい、最初は色々とビックリしましたけど……』
驚いて飛び去ろうとした私を呼び止め、リングを授かった経緯とイフリートさんの近況を知りたがったウンディーネさん……個と全の境界が曖昧な精霊にしては珍しく、彼女とイフリートさんは個人的な知り合いらしい……庇護下の森での顛末を聞いている彼女は、私が話し終えるまでの間、ずっと真剣な表情を崩さなかった。
『よく分かりました、アナタは彼の恩人……私からも感謝を』
『いえそんな……大したことしてませんから!!』
『フフフ……鳥の姿で魂は人間……なのに、ずいぶんと面白い転生者さんですね?
転生者は欲深いモノだと思っていましたが……私の偏見だったようです……
そんなアナタの清廉さを見込んで、少し頼みたい事が有るのですが……』
ウンディーネさんは私を持ち上げ、1つの頼み事をしてきた……
ウンディーネさんの頼みとは……同じ水の精霊系統で、妹分の精霊を探して欲しい……と、言ってきた。
容姿が似ていて笑顔もそっくりだが、気に入らない事には遠慮無く毒を吐くらしい……
容姿がよく似ているからか、自然精霊との距離が普通に近いこの国の人達から見ると、どちらも同じ様にしか見えないらしく……自分で探すと、街の人を混乱させてしまうとの事……
確かに、見知った同じ顔の人を探すもう一人が居るとか……そりゃ混乱するわ。
そういう訳で、街の散策ついでにウンディーネのそっくりさんを探しに、街の中を低空飛行……活気のあるこの街は人通りも多く、他国との交易の中継点でもあるので、様々な種族が街の中を行き交っている。
この街の地形も独特で、大昔は巨大な崖だった所を……精霊の力を借りて開拓された場所だという。
全長100kmを超え、高さも約600m、海岸線からの幅も2kmはある巨大な四角い岩盤を、海側から緩やかな階段状に削って建設された街……陸側の通路はトンネルが3ヶ所のみで、崖そのものが城壁の役割を果たしており……海に広がる広大な浅瀬と珊瑚礁が、軍艦などの大型船の進入を阻むという、まさに自然そのものが天然の要塞の役割を果たす街……それがハルトラウムだった。
一頻り飛行して気付いたが、この街は獣人が多い……ネコミミ、イヌミミ、キツネミミ……フワフワな丸い尻尾や、尾の先だけに毛の生えた尻尾、無毛の尻尾……
『……うぇへへへ……♪』
多分、端から見た私の顔はみっともなくなっていたであろう……
転生前から『私は獣人が大好き』なのである。
(……うぅ、イカンイカン……今は捜索をしないと……)
だが、住むなら絶対にこの街が良い! いや、この街に住みたい!
……そう思わずには居られなかった。
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『……何だろ、荒事かな……?』
上空からの視点は人探しに最適だ。
現にこうして人だかりを易々と発見できるし、その原因や問題の人物なんかも簡単に見る事が出来る……人だかりの原因はケンカだった。
「テメェ……舐めた口聞いてると、タダじゃ済ませねぇぞゴルァ!」
「そっちこそ! わざと他人にぶつかっておいて謝罪も無し……
逆に傷が付いたとか言って金寄越せとか、頭おかしいんじゃないの?!」
屋根の上に降りて様子を伺う……青い髪の女の子と、如何にも「冒険者」風の男が罵り合いをしていた。
青髪の娘のすぐ側にはお婆ちゃんが彼女を
どうやら……あの男とお婆ちゃんがぶつかったのだが、彼女はあの男がわざとぶつかりに行ったのを見ていたらしい……まさかの当たり屋行為に、私は呆れるしかなかった。
「お嬢ちゃん、良いんだよ……私の足が……」
「お婆ちゃんは悪くないよ! コイツが自分から当たりに来たの、見てたんだから!」
私は直接その状況を見てないので何とも言えないが……少女の剣幕と、指摘された男の狼狽ぶりから間違いなく彼女が見た事が事実なのだろうと思った。
野次馬の中から、2人ほど若い男女がお婆ちゃんに近寄っていく……
「……立てますか?」
「お婆ちゃん、足は大丈夫?」
言い争いをしている少女と同じくらいの年齢の男女は、お婆ちゃんに手を貸して立たせる……少年が一度だけ青髪の少女を一瞥し、3人は野次馬の中へと引き込まれた。
その直後だ。
「どうやら痛い目見ねェと解らねぇ様だなァ……!?」
冒険者の男がついに腰に下げていた剣を抜いたのだ。
途端に野次馬の一部から悲鳴が上がり、相対する少女も『あちゃー』と言う風な顔をし始めた。
当然、事態を目にした私は無意識でその間に飛び込もうと動き始めていた……多分、こういう性格だから体験型RPGだとすぐ死んじゃうのかな?
「……っと、
だが、剣による攻撃は少女に触れる事なく止められていた。
「テメェ……! っ!?」
冒険者の男の剣を止めたのは、如何にもな格好をした薄紫の髪の少年……その手には異様な雰囲気を放つ黒い大剣が握られており……少年は地面に下ろした剣先と片手だけでそれを支え、男の全体重を乗せた剣撃を受け止めていた。
普通なら剣先くらい地面にめり込むはずなのだが……その黒い大剣はピクリとも動いておらず、男の剣と体重を受け止め続けていた。
「やれやれ……冒険者ってのは、力でしか物事を解決出来ない人種なのかな?」
「テメェが止めなきゃもう終わってんだ……ッ?!」
冒険者の男は獲物を少年へと変更し、自分の邪魔をした彼に怒りをぶつけようと剣を振り……上げられなかった。
「何で、剣が……上がらねぇッ?!」
剣撃を止めた大剣から、冒険者の男の剣が離れない……それ処か、冒険者の剣から金色の雷光が迸り……使い手だったはずの冒険者の男の手を襲ったのだ。
「テメェ……! 俺の剣に何しやがった!?」
「さぁ? キミに愛想が尽きたんじゃないかい?」
剣は男の手から離れた途端に大剣からも離れ、地面に落ちる……拾い上げようと男は再び手を伸ばすが、やはりさっきと同じ様に雷光が迸って男の手を拒絶していた。
「……クソッ、47万もしたのに……!
オラ、退きやがれ! 俺は見せもんじゃねぇッ!!」
ボソッと何かを言って、冒険者の男はこれ以上関わるのを諦め……野次馬を怒鳴り散らしながら去っていった。
ちなみに私はしれっと青髪の少女の肩に止まり、如何にも最初から此処に居ました!って感じを無意識に演出していた。
口喧嘩からの実力行使……チンピラっぽい冒険者ならやりそうですよね?
対してそれを止めたのも冒険者……
でも、手にした大剣は片手では振れない位に重そうなんですけど?
あと、青髪の娘は後先考えなさ過ぎw
感想お待ちしてま~す♪
争いを止めたのは……?
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良識ある同じ冒険者
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騎士を目指す田舎育ちの少年
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後の勇者
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転生者(実は同じクラスだった)