転送先が死後の世界→異世界だった件   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


後悔先に立たず

―――早朝。

 

「諸君!まだ失意の底と絶望の淵に落ちる時ではない!何故なら、勇者殿は行方不明ではあるが死んだわけではない。我々が国を守り民を守り続ければ、必ずや最後の希望である勇者殿は帰還されるであろう!今こそ、我々の出番だ!この国を、家族を守り!魔王軍に恐るべきは勇者殿だけではないと知らしめるのだ!!」

 

兵士達を鼓舞しているであろう将軍の声は本当にデカイなー。そこそこ距離があるティリスの部屋まではっきりと聞こえてるし。

 

「だから本当なんだって。ユニコーンが角でスカートめくりしてたんだよ!」

「マジか。ユニコーンって本当は変態なのか?そういえば六号を乗せた時、どことなく露骨に嫌そうな顔をしてた気が……」

「そんなのどうでもいいだろ」

 

確かにどうでもいいけど。

 

「あの……六号様にクロスブレードマン様」

「ん?どうしたティリス?」

「……果たして敵はどう動くのでしょうか?」

 

そう聞いてくるティリスは不安そうだな。まあ、国が滅びる瀬戸際だから当然と言えば当然なんだが。

 

「途中で足止めくらってるんじゃないのか?なんせ、連中の通り道に罠をたっぷりと仕掛けたんだし」

「だな。本来は勇者が帰るまでの時間稼ぎだったんだけどな」

 

オレと六号がそう答えるとティリスは苦笑いを浮かべた。

 

「い、いつの間にそのような事を……」

「念のために言っとくがあんまり期待するなよ?使い捨てのような物だし、迂回すればそれで終わりだからな。自分は向こうに少しでも便宜を図ってもらえないかの手紙を書くから邪魔すんなよ」

「いや、あの幹部連中が特例なんか認めるかよ。クロスブレードマンのような、大きく関わることなら別だろうが」

 

オレは特例扱いかい。いや、嗜好品や調味料、野菜の苗をタダで送ってくれたから特例なんだろうけど。

 

「上手くいけば手榴弾一箱くらいは送ってもらえるんじゃないか?もしくは地雷で消費したポイントを返してもらうとか」

 

どっちにしろダメ元で送らないと意味ないけどな。

そんなこんなで時間が過ぎ……

 

ピロリロリ~ン♪

『悪行ポイントが加算されます』

 

あ、六号のポイント加算アナウンスが聞こえたな。

 

「お、悪行ポイントが増えたな」

「あの二人がまんまと罠に掛かったんじゃないのか?」

 

紫の方はオレが岩の破片に地雷本体が隠れるように設置したけど。

 

「もしくは俺の投げ込んだエロ本かもな。俺をチャックマン呼ばわりしたガキの家に、親に見つかるように置いてきたからな」

「……お前、子供相手に……」

 

六号の所業にアリスは呆れているが、オレは呆れるよりも先に疑問が浮かび上がった。

 

「……なあ、六号。そのエロ本、何処で手に入れたんだ?確かこの惑星にはそんな本はなかった筈だが」

 

オレのその質問に六号は汗をダラダラと流し始め、アリスはまさかと思って悪行ポイントを確認している。

自身の端末で六号の悪行ポイントを確認したらしいアリスは眉間にシワを寄せて、六号に詰め寄った。

 

「六号お前!この非常事態にエロ本呼んだんか!!脱出の保険に残していた悪行ポイントを使ってエロ本呼んだんか!!二百以上残してあったポイントが下回っているぞ!!一体エロ本に幾ら使ったんだ!?」

 

六号、まさかの保険のポイントを使ってエロ本を取り寄せていた。絶対に一冊二冊じゃないな。

 

「べ、別にいいだろ!?この星は娯楽が少ないんだし、クロスブレードマンも一緒だから逃げるだけなら何とかなるだろ!?」

 

おーい六号?オレをコキ使う気か?

 

「そういう問題じゃねぇんだよ!この非常時にそんなくだらない事に使ったことが問題なんだよ!……たく、もう済んだことは仕方ない。六号、絶対にこれ以上無駄なことにポイント使うなよ?」

「わ、分かってるよ」

 

諦めたように溜め息をつくアリスに六号は顔を背けて答える。

まあ、夜になったら脱出だからな。ティリス連れて逃げるなら夜の方が色々と都合がいいし。

さらに時間が経過して夕方。

ついに魔王軍が姿を現した。

数では圧倒的に優位な魔王軍だが、騎士達は上手く連携して各個撃破していっている。

オレも双眼鏡片手に戦況を確認しているが、互角以上に……

 

「あ」

「どうしたクロスブレードマン?」

「いや……魔王軍の後方に……あの時のゴーレムが……」

「なに?」

 

アリスは双眼鏡をオレからひったくて覗き込むと、衝撃な事実を告げた。

 

「……確かにお前がぶっ倒したのと同じゴーレムがいるな。それも一つや二つじゃない。少なくとも十体以上はいるぞ」

「そんな……!」

 

アリスの報告にティリスはその場で絶望したように崩れ落ちる。

 

「なあ、ゴーレムってそんなにヤバいのか?」

「ヤバいも何も……ゴーレムは一般兵士が束になっても勝てない相手なんですよ!?それが十体以上いるなんて……!」

 

マジか。あの土人形がそこまで厄介なモノだったとか。

 

「今のところゴーレムが前に出る気配は微塵もないな。おそらく夜かここぞというタイミングで投入するつもりなんだろうな」

「今すぐ脱出しないのか?」

「それは夜になってからだ」

 

どっちにしろ夜まで足止めか。てか、スノウ達は大丈夫か?

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「スノウ殿!スノウ殿は!!」

「どうした!?一体何があった!?」

 

青ざめた表情で私を探す兵士に声をかけると、その兵士は私に急いで駆け寄って声を上げた。

 

「ゴーレムが!長時間の戦いで疲弊したところに、ゴーレムが……十五体のゴーレムが、中央の守りを強引に突破してこちらに向かっております!!」

 

ゴーレムが十五体!?

その数に驚いている間にも、そのゴーレム達が徐々にこちらへと近づいてきている。

 

「グリム!呪いで何とかなる相手か!?」

「破壊は無理でも足止めぐらいならなんとかなるわ!それに、カップル達のペアリングを街の防衛にかこつけて片っ端から徴収してもらったしね。ゼナリス様への贄も充分よ!!」

 

よし!徴収の件は聞かなかったことにしよう!今はあのゴーレム達をどうにかすることが先決だ!

 

「よし、全員グリムを守る陣形を取れ!ハンマーやメイスを持っている者は、足止めしたゴーレムに殴りかかれ!!」

 

部下に指示を出したその直後。

 

「そうはさせないよ!お前達は引っ込んでな!!」

 

ゴーレムの軍団からそんな声が聞こえてくる。

見れば《炎》のハイネと《雷》のロータスがゴーレムの肩に乗ってこちらへと近づいてきている。

 

「六号を出せ!!あの男だけは絶対に生かしちゃおけない!!」

「あの変態はどこ!?アイツだけは絶対に黒焦げにしてデッドリーヘッグ共の餌にしてやる!!」

 

そう叫ぶハイネとロータス表情は怒り心頭。見れば身体も衣服もボロボロだ。

……どうやらあのバカはまた何かやらかしたようだ。いい様だと思ったが。

 

「六号はここにはいない!貴様らの相手はこの私だ!」

「お前じゃ力不足なんだよ!!お前程度、予備の魔導石で十分だ!!」

「ハイネ様に不様に負けた雑魚がなに言ってんのよ!!いいから早くあの変態を出しなさいよ!!」

 

ハイネとロータスは邪魔だと言わんばかりに炎と雷を私に向かって放つが、それに割って入ったロゼが炎を蹴り飛ばして上手く雷にぶつけて相殺させた。

上手い。雷への耐性がないから耐性がある炎の攻撃を利用して防ぐとは。

 

「偉大なるゼナリス様。この石人形に災いを!足裏を地に縫い付けられるがいい!!」

 

グリムがそう叫ぶと、ハイネが乗っていたゴーレムの足が地面にくっついたように止まり、そのままバランスを崩して前のめりに倒れる。

 

「偉大なるゼナリス様。この猫耳女に災いを!雷の魔法を永続的に封じられるがいい!!」

 

ロータスはゴーレムの後ろに隠れる暇もなく咄嗟に顔を腕で庇う。そして恐る恐る魔法を発動すると紫色の電気が弾け飛んだ。

 

「……不発?焦らせないでよ」

「ああ!私にもう少しだけ勇気があれば、反動を覚悟で乳がもげる呪いをかけてやるのに!!あんた達みたいな淫売が一番嫌いなのよ!!」

「い、淫売!?」

「それはあたしのことも言ってるのか!?この邪神崇拝者!!」

「ゼナリス様を邪神呼ばわりするな!そこの褐色淫売は炎の魔法を封じる呪いだけじゃなく、オークにだけ好かれる呪いもかけるぞ!」

 

あまりにもバカらしいやり取りだ。だが、呪いの反動で雷はもちろん、炎の魔法を封じられてもグリムにデメリットは一切ない。つまり、成功するまで何度もかけ続けることが出来る。

 

「ヒャッハー!!乱れ射ちよー!!」

 

後ろからそんな声が聞こえてくる。アイツは近衛騎士の一人で、弓を持たせるとまるで人が変わったように矢を後先考えずに射ちまくるのだが、アイツが使ってる弓は男でも満足に引けないめちゃくちゃ堅いものだ。

その分威力と速度が高く、それを当たり前のように連射しまくるからそこそこ頼りにはなるが。

 

「よし、このまま射かけて足止め―――」

「おい、ハイネにロータス。遊んでないでとっととその女を殺しちまえよ!」

 

そんな声と共にグリムの背後に降り立ったのは……《地》のガダルカンド。

奴の右腕は金属製のものとなっており、以前来ていた鎧よりも遥かに頑丈そうな物へと変わっている。左手に持つ金棒もだ。

 

「あん?お前、以前ぶっ殺した女に似てねぇか?まあいいか。もう一度―――」

「お、おりゃー」

 

ガダルカンドは金棒を振り上げようとしたタイミングで、ロゼが力が抜けそうな声と共にガダルカンドの顔に飛び蹴りを喰らわす。

それによりグリムへの攻撃は中断されたが……

 

「……今、この俺に何しやがった?」

 

ガダルカンドはそう呟くと、金属製の右腕でロゼを殴り飛ばした。

殴り飛ばされたロゼはそのまま正門の壁に激突。瓦礫の中へと埋もれてしまう。

 

「ロゼ!」

 

私は呼び掛けるも返事は返ってこない。ロゼの安否を確認したいが、今はガダルカンドを止めるのが最優先事項だ。

私はグリムに狙いを定めているガダルカンドの前へと立った。

 

「……俺を蹴ったあの雑魚も何処かで見たことあると思ったが、テメェらあの人間と一緒にいた奴らか?」

「だとしたらなんだ!?」

「何、テメェらをブチ殺して晒し者にすれば、あの人間も出てくるだろうと思っただけよ。あの人間だけは俺様の手で無惨に殺してやりたいからな!!」

 

ガダルカンドのその言葉に私は愕然とした。

こいつは私を敵としてではなく、クロスブレードマンを呼び寄せる餌としか見ていない。それだけの価値しかないのだと突き付けられたのだから。

 

「だから、ここでプチっと死ね!!」

 

ガダルカンドはそう言って金棒を振り上げるも、炎のブレスに襲われてまたしても中断される。

 

「雑魚の分際で!テメェが俺に勝てないのは魔物の本能で感じ取れるだろ!!」

 

翼で炎を吹き飛ばしたガダルカンドの鬱陶しげな叫びに、覚束ない足取りで立ち上がっているロゼは強がりの笑みを浮かべている。

 

「え、えへへ。勝てないのは分かってるけど、あたし見習い戦闘員らしいんで。怖いけど戦わないわけにはいかないんですよ。あと、お爺ちゃんの遺言で、仲間ができたら絶対に見捨てるなって言われたもので……!」

「じゃあとっとと死ね」

 

ガダルカンドはそう告げると同時に金棒を振り下ろす。ロゼは懐に深く飛び込んでガダルカンドの身体に拳を叩き込む。

しかし、その拳は鎧によって防がれ、ガダルカンドは右の拳でロゼを殴り潰そうとする。

ロゼはその拳を紙一重で避け、殴る蹴るを続けていく。

その戦いに、私も含めて誰もが援護出来ずに見守るしか出来ない。

 

「ヒィィハァアアアアアアア―――ッ!!」

「ああ!マジで鬱陶しいよ!!」

 

ハイネの方は絶え間なく襲いかかる矢の雨で中々反撃に転じれていない。しかし、矢は消耗品。いつまでもこの攻撃が続くわけではない。

 

「偉大なるゼナリス様!この猫耳女に災いを!」

「一々指ささないでよ!!」

 

ロータスもグリムの呪いを警戒してゴーレムの背に隠れるので雷の標準を合わせきれていない。

なら、私は……!

 

「それは止めておきなさい、スノウ。不死を司る大司教からの忠告よ。死ぬのは本当に辛いから」

 

震える手で覚悟を決めた私にグリムが真面目な声で呼び止めた。

そのタイミングで、ガダルカンドと戦っているロゼが切羽詰まった声で告げる。

 

「このままじゃ押しきられます!スノウさんはティリス様の所に行ってください!!」

「ティリス様を連れて他国に亡命するにしても、隊長達だけじゃ不安でしょ?スノウが目付役として付いていきなさい!!」

 

……確かに近衛騎士としては間違っていない。だが、アイツらがいる以上それは絶対というものではない。

つまり、二人は私に逃げろと言っているのだ。

私も、最近まで二人を厄介者や落ちこぼれと見下していたのに……

それに……

 

『こういうのは逆の行動を取るからな』

 

クロスブレードマンの言った通りだった。二人は口では逃げると言いながらも、最後までこの場に残って時間を稼ぐつもりだ。

なのに、私じゃ二人を救えない。力になってやれない。

……打開策は一つある。

だけど、今さらどの面下げて頼めばいい?アイツらを追い出したこの私がどうやって?

 

『超強い俺達の助けが欲しくなったら、今まで調子こいてごめんちゃいって、媚を売りながらお願いしろよ!』

 

……二人を守れるのなら、媚でも何でも売ってやる!!

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

夜になり、戦線も敗北色が濃厚となったので親バカ王との約束通りティリスを連れて逃げようとしたのだが。

 

「嫌です!私はここから絶対に動きません!死ぬ時はみんな一緒です!!」

 

六号に担がれたそのティリスが、ベッドの垂れ幕にしがみ付いて逃亡を拒否していた。

 

「いいから来い!つーか、昨日言った他の国々を団結させるとかはお前がやれ!!」

「クロスブレードマン、垂れ幕を斬れ。それで万事解決だ」

「オーケー」

 

アリスの指示でティリスが掴んでいた垂れ幕を斬り、無意味な布へと成り下がらせる。

 

「ああ!?だ、誰か!誰かー!」

「呼んでも誰も来ねぇよ!!あの王様がお前を逃がすように手回ししたんだからな!」

「ええ!?」

「そういう事だ。この国が滅んでも王族のお前が生き残ればお前の勝ちだ!後、血を残すための行為なら俺が幾らでも協力してやる!!」

「六号様は何言っているんですかぁ!?」

 

どっちにしろ急いで脱出しないと魔王軍と相手しながら強行突破になりかねない。そんな面倒臭いことはしたくないからな。

 

「というかそれでいいんですかっ?隊のみんなも死ぬかもしれないんですよ!?」

 

…………。

 

「アイツらにはヤバくなったら逃げろと言ってるから、後は自己責任だ」

「それにアイツらはずっと生きているさ……そう、俺達の心の中で」

 

六号、良いこと言ったな。半年後には消えそうだけど。

 

「だから問題なし!」

「これにて一件落着!行くぞアリス!!」

「がってんだ!!」

「本当にあなた達はどうなっているんですかー!?」

 

六号に担がれたティリスは信じられないと叫ぶが、オレ達は構わずに部屋の外に出てそのまま城の外を目指して廊下を走っていく。

 

「戦闘員六号に、クロスブレードマン!」

 

階段に差し掛かったところで、正門にいるはずのスノウがオレ達の前に現れた。走ってきたのか息も絶え絶えだ。

 

「門の外に……っ、多数のゴーレムと四天王が……っ」

「部屋からずっと見てたから知ってるわボケェ!だから今逃げようとしてるんだよ!」

「てかそこどけよ!今逃げれば助かる確率が上がるんだからよ!」

 

全く持ってその通りだ!!早くしないと連中が暴れる中で逃げなきゃならなくなるんだからな!!

ほら、分かったらそこどけ!

 

「……ここまでぶれないと、もう清々しく感じるなぁ」

 

スノウはそんなオレ達に呆れたような溜め息を吐き、少し躊躇ったように話し始めた。

 

「……今、正門でロゼとグリムが連中を足止めしているが長くはもたないだろう。私じゃ何もできない……アイツらは、私なんかお前達を呼び寄せる餌としか見なかった」

 

…………。

 

「私は……生まれや育ち、男女の差。いろんな障害にも……誰にも負けないように、ずっと頑張ってきたのに……」

 

…………で?

 

「頼む二人とも!力を貸してくれ!今までのことなら謝罪する!私にできることなら土下座でもなんでもする!必要なら金だって払う!自分で言うのもなんだが、金に汚い私の全財産だ!コレクションの名剣達や愛剣だって売れば相当の金になる!だから―――」

「そんな嘘に乗るとでも思ってるのか?」

 

オレの冷めたその言葉に、スノウは虚を突かれたように言葉を詰まらせた。

 

「お前、その剣のローンがたくさんあるだろ。どう考えてもお前の財産は大した額じゃないのは明白だ。それに、全財産とか何でもするは後でなんだかんだ理由を付けてうやむやにし、最終的には反故にするお約束だ。もう、良いように使われるのは御免なんだよ!!」

 

オレのその言葉にスノウは怯えたように縮こまる。そんな態度取っても魔王軍と戦う気は一切ないぞ。

そんなスノウに対し、六号が更なる追い討ちをかける。

 

「第一、俺達はもうただの一般人だ!お前がそうしたんだからな!だいたい泣きついてくるのがおせーんだよ!」

「スノウがここまで言っているのに……!あなた達は、本当に見損ないました!!」

 

オレ達のその態度にティリスは憤慨しているが知ったことか。さっきも言ったが、もうコキ使われるのは御免だ!

オレ達はそのままスノウの横を通り過ぎようとするも、スノウはオレ達のベルトを掴んで強引に引き留めた。

 

「悔しい……っ。アイツらにやられっぱなしじゃ悔しいんだ…………」

 

悔しい?こっちは何度も味わってるんだよ。

いくら頑張っても評価されず、タダ働き同然で戦わされ続けたんだからな。

どれだけ怪人や戦闘員を倒しても、巨大な兵器を破壊しても、悪の組織の拠点を壊滅させても、何一つ報われなかったのだから。

そんなことを呟いたスノウにオレは苛立って後ろを振り返り―――

 

「…………お願いします……隊長。副隊長。…………ロゼとグリムを助けてください……っ!」

 

振り返ならきゃ良かったと、ものすっごく後悔した。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「いい加減、鬱陶しいんだよ!この雑魚が!!」

「ハァ……ハァ……」

 

あれから何度も攻撃を繰り返したあたしの手足は血が滲み、ガダルカンドは大したダメージを受けなかった。

あの鎧、本当に硬いです。攻撃して傷つくとか本当に反則です。しかもほとんど全身ですからかじれませんし。

 

「ハイネ!ロータス!そっちはどうなっている!?」

「こっちはもうすぐカタがつく!向こうの矢はそろそろ打ち止めみたいだからね!!」

「こちらも同じよ!あの女の呪いは指輪がいるみたいだから、その指輪の数が少ないからね!」

 

本当にギリギリですね。隊長達はティリス様を連れてちゃんと逃げれたでしょうか……?

 

『※℃@℃/√♯√♯∬*‡!!』

 

何の前触れもなくそんな意味不明の音が聞こえた瞬間、ハイネが乗っていたゴーレムが突如飛来した何かに轟音と共に粉砕される。

ハイネがその衝撃で地面に転がり落ちると同時に、その飛来した何かは宙を舞って今度はロータスが乗っていたゴーレムの前に猛烈な勢いで落下すると、そのゴーレムは斬られたように真っ二つに割れる。

そして、二つに分かれたゴーレムの前にいた何かの正体は……

 

「「副隊長っ!?」」

 

右側が緑、左側が黄色となり、同じように染まった剣を地面に叩き付けるように振り下ろした体勢の副隊長でした。

ティリス様の傍にいた筈の副隊長はゆっくり立ち上がると、どこか諦めたように肩を竦めるのでした。

 

 

 




プロフィール

============
ティリス

Ver.2

実質的な国の責任者。
実の兄である勇者が行方不明となり、この国の滅亡を予感してその見届けを六号達に依頼する。
本人は国と民、兵士達と共に死ぬつもりであったが、王の根回しによってそれは叶わぬ願いとなる。
後、六号達三人を経費削減の為に一部屋にした腹黒。

クロスブレードマンの評価:法や契約の穴を突いて何でもしそうな王女。
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