転送先が死後の世界→異世界だった件   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


生態調査はお手のもの?

第二の勇者呼ばわりしたクソガキを捕まえてアイアンクローで制裁した後、オレは六号達と共に祝杯を上げていた。

 

「仕事の後の一杯は本当に最高だな!」

 

六号は持ち込んだ氷(オレ製)が入った酒を今日も上機嫌で飲んでいく。

 

「あたし、ご飯を奢ってくれるときの隊長だけは大好きです!」

「でも散財癖は伴侶としては減点ね!」

「こんなだから周りからの信用が厚いんだろ。良くも悪くも」

「そんなに褒めるなよ!」

 

六号は本当に上機嫌だな。普通に聞けば地味に痛い言葉なのに。

 

「六号。今の言葉が褒め言葉に聞こえるのか……しかし……アリスが来るなんて珍しいな」

 

六号に対して呆れているスノウの言う通り、今日はアリスも一緒にいる。手には注射器やメスを握っているが。

 

「リリス様に食事機能でも付けてもらったのか?」

「スノウにスパイがバレてから、お前は本当に色々隠さなくなったな」

 

ちなみにオレ達の素性はスノウ達に話してある。

他の星から来た云々は完全に首を傾げていたが……

 

『月の給金が銅貨一枚程度……加えてボーナスもほとんどなし……なんて酷い場所なんだ!』

『美味しくないご飯しか食べられないとか、本当に酷すぎますよ!』

『休みなく戦場だなんて……私とロゼの待遇の方がずっと幸せに感じるくらいよ!』

 

オレの前職場に関しては揃ってドン引きし、同情された。

 

「今日ついて来たのは調査の一環だ」

 

アリスは六号に対してそう言って、小瓶をその手で軽く振る。アリスの食卓の周りにはメスやピンセット、小瓶が幾つも置かれてある。

 

「現地人が当たり前に食べている物も、地球人にとっては毒の可能性もあるしな」

「人間は元々雑食だから知らなきゃ平気で食べれるだろうが……知ったら後でクるパターンもあるからな」

 

どこぞのサイコパス映画のように。

 

「……ちなみに今日の日替わり肉って何なんだ?」

「オークの肉ですよ」

 

ロゼがあっさり答えた瞬間、六号は吐きそうな感じで口を押さえた。

 

「ああ。魔王軍との小競り合いでオーク肉が安いからね」

 

店主のオッサンも同意した瞬間、六号はオーク肉がある自身の皿をロゼの方へと寄せた。

 

「隊長どうしたんです?食べないならあたしが貰いますよ」

 

瞳輝かせてそう言ったロゼは六号が言葉を返す前に既にオーク肉に食らいついている。

オーク肉は豚肉に近い気がするな。しゃぶしゃぶかトンカツにしたらもっと美味しく食べれそうだし。

……今度、しゃぶしゃぶ用の鍋やパン粉等を必要経費で申請してみるか。仮拠点の近くで耕して植え、世話しているキュウリも普通に育ってるし。

 

「……お前は何でオーク肉を平気で食えるんだよ?知的生命体だぞ?」

「普通に食えるから大丈夫だろ。地球だってイナゴの佃煮とかハチノコという昆虫食材もあるんだし。蛙や鳩、ウサギも場所によっては食肉だった筈だし」

 

生卵や海苔は日本独自の食文化のようだし、外国では普通でも日本ではあり得ないものが食材となっているものがあるみたいだし。

 

「割り切り良すぎだろ……」

 

六号はうんざり気味となっているが、あのカロリー○イトよりはマシだろ。ロゼも何故か引いているが。

 

「六号は食に関しては繊細なのだな。我が国では荒野が多く水不足だからな」

「だから野菜が全体的に少ないのか」

 

スノウのその説明にオレは得心がいったように呟く。

ここ一ヶ月でも雨は全然降らないし、水自体が少ないから飲み水と生活用水に回すだけで手一杯なのだろう。

植物を育てるには水が多くいるから、どうしても穀物や野菜は自給自足ではなく他国からの輸入に頼るしかないと。

 

「その通りだ。肉はそこらで歩いているからな」

 

スノウはそう言って、オーク肉とは違う別の肉をトングモドキで掴み上げる。

 

「ほら、ポイズンスポイラーとスポポッチも食え」

「妙なもん食わそうとすんな!」

「じゃ、お言葉に甘えて」

 

六号は拒否する横で、オレはポイズンスポイラーとスポポッチの肉を小皿に入れてもらい、何の躊躇いもなく食べていく。

うん。どっちも美味いな。ポン酢や焼き肉のタレと合わせたらもっとイケそうだ。

 

「そういえば、試しにシュールストレミングを申請したら受理されたんだよな。カッパとビニール手袋、缶切りもセットで送られたから近い内に食べるか」

「……お前は本当にチャレンジャーだな」

 

かもなー。世界一臭い缶詰めと有名だし。ちなみに美味しいみたいだぞ?六号。

 

「そのシュールストレミングとはなんだ?話の流れからして食べ物だとは分かるが」

「オレの星の世界一臭い食べ物だ。その臭いは強烈で、一度染み付くと絶対に取れないと言われている程だ」

「それは絶対に国の外で開けるにゃんよ!腐った死体より強烈にゃんだからな!」

 

別のテーブルで食事していたトラ男、必死だな。そりゃあ、万が一にでも毛についたら剃らなきゃいけなくなるから当然なんだろうが。

にしても転送は本当に凄いな。これ利用したら輸送が困難な物も楽々運べるぞ。シュールストレミングなんて船でしか運べないから特に。

 

「それは本当に食べ物なんですか……?」

「使い方次第では恐ろしい兵器になるが、立派な食べ物だぞ?」

 

ロゼが恐れ戦いているが何故だ?食べ物の話なら嬉々として食いつく筈だが。

オレがロゼの反応に首を傾げていると、グリムがその理由を教えてくれた。

 

「ロゼはキメラだからね。嗅覚が敏感だからそういった臭いは駄目なのよ」

「敏感なのも考えものだな」

 

六号の未開封のカロリーゼットの匂いを嗅ぎ付けるくらいだから当然か。下手したら昇天するかもしれん。

 

「そんな事より、お前達は明日休みだろ。報酬出すから手伝ってくれないか?」

「それってキサラギの仕事か?」

「当たり前だろ」

 

だよなー。アリスの仕事は全部キサラギ関係だし。傭兵契約は副業扱いだから本業もちゃんと進めないといけないし。

 

「別に構わんが高くつくぞ?」

「……本来はお前の仕事でもあるんだがなあ」

 

六号の報酬要求にアリスが呆れている。正社員としてそれはどうなんだ?

 

「ちなみに仕事内容は?」

「コレの調査だ」

 

アリスはそう言って皿のポイズンスポイラーとスポポッチの肉を指さす。なるほど、今食ってるものの調査か。

 

「それだとオレや六号だけじゃダメだな。この星の人間も同行しなきゃ調査が成立しそうにないし」

 

オレはそう言ってスノウ達に視線を向ける。生態調査なら現地人がいた方が何かと都合がいいし。

 

「ごめんなさい。明日は月に一度あるゼナリス集会なの。私とロゼの二人だけだけど」

「お茶会じゃないの!?話が違うよ!」

「報酬はいくらだ?報酬次第で引き受けよう!」

 

結局、アリスが提示した普段の給料より多い報酬に釣られたスノウが同行することとなった。

 

―――次の日。

 

「見ろ。あれがモケモケとスポポッチだ」

 

スノウがそう言って視線を向ける先には、デカイヘビが同じくデカイ青ザニガリのハサミに捕まって締め上げられている。

 

「どっちがモケモケなんだ?」

「ハサミのほうだ。名前の由来はモケーと鳴くからだ。ちなみに煮て食べると美味しいぞ」

 

なるほど。確かにモケーと鳴いているな。そして美味いのか。

 

「見た目は生でもイケそうなんだが」

「生だと食えないことはないが、固い上に臭みもあるんだ。だが、煮込むと柔らかくなって臭みもなくなるんだ」

 

残念。刺身にはあまり向いてないのか。いや、冷凍保存する技術がないから試してないだけか?

 

「しかしこの星の生物は物理法則を無視しているな。甲殻類がここまで育つとかあり得んだろ」

「そうとも言えないんじゃないのか?生き残る為に進化した結果とも取れるし、地球も昔は恐竜とかドデカイ生物もいたんだし」

 

モケモケ達の生息地である《魔の大森林》はかなり過酷な環境みたいだし。この近くで唯一と言ってもいい森林地帯だから強くないと生き残れないからな。

 

「お前らなんでそんなに冷静なの!?めっちゃ凶暴な生物を目の前にしてんのに!」

 

六号、文句言ってないで仕事しろ。調査なんだからレポートくらいはとれ。

スポポッチは……全長は十メートルくらいか?その辺りはアリスの方が正確に計れそうだな。

あ、尻尾でモケモケの左腕を叩いて引きちぢった。

 

「この星の蛇は獲物を締め上げず尻尾ビンタで攻撃するんだな。興味深い」

「あれはたまに見せる必殺技だな」

「奥の手ということか。確かにあの場合だと締め上げるよりも叩く方が有効だな」

 

実際、スポポッチは首と胴体をモケモケのハサミで掴まれてたし。

 

「ここはもういいだろ!?早く次行くぞ!」

 

めっちゃビビってるな六号。

そんな感じで次の生物を求めて森の中を歩いていると……加工されたような木に突き刺さったスポポッチの死体がぶら下がっていた。

あれは確か、百舌の速贄か?詳しくは知らんけど。

 

「あれはカチワリ族が縄張りを主張する行為だな」

 

カチワリ族?

 

「カチワリ族ってなんだ?」

「カチワリ族は非常に好戦的で縄張り意識が強い。この森で平然と生きていける強さを持つ蛮族だ。名前の由来は獲物の頭を鈍器でかち割りに……」

「解説はいらねーから、早く帰るぞ!マジでヤバいって!さっきから変な視線を感じるし!」

 

確かにあちこちから変な視線……というより獲物を狙う視線を感じるなー。数は……大体二十?

 

「てかスノウ!お前は普段、さっさと逃げるだろ!?今日は何でそんなに平然としてるんだよ!?」

「もちろん高額な報酬のためだ。普段の安月給なら迷わず逃げているが、アリスが提示した報酬は高額だからな。私は金の上での約束には誠実なのだ」

 

本当にぶれないな、スノウ。さすが残念守銭奴。

あっ、周りからカンカン音が響いてきたな。

 

「仲間に信号を送ってるな」

「これはカチワリ族が獲物を見つけた際に仲間を呼ぶ音だな」

「この音聞いて獲物は逃げないのか?」

「カチワリ族は何人かでまとまって狩りをするからな。この音が鳴ってる時点で既に包囲されてるぞ」

「普通は連絡役を送ってこっそりと集めるものだが、この連中は自分達の強さに相当自信を持っているみたいだな」

 

つまり、見つけた獲物を逃がすことはないと。

ん?後ろから何か来たな。取り敢えず殴るか。

 

「ゴガッ」

 

そんな声を洩らして近くの木に叩き付けられたソイツは、確かに蛮族と呼ぶに相応しい格好をしたムキムキの男だった。

 

「これがカチワリ族?」

「そ、そうだ。こいつがカチワリ族だ」

 

スノウの顔が若干引いてるが、この殴り飛ばした男がカチワリ族で間違いないようだ。

裏拳一発で吹き飛ばされ、撃沈してピクピク痙攣している男がカチワリ族……意外と打たれ弱いのか?

あ、また同じ格好をした奴が三人現れた。

 

「プギャッ!?」

「グギィッ!?」

「ポゲッ!?」

 

全員顔パンで黙らせたけど。

同じ格好をした連中が次から次へと現れて本当に鬱陶しいな。面倒になってきた。

あ、耐えた。ならタワー○リッジだ。

 

「アギャアッ!?」

 

タワー○リッジ喰らってまだ立てるのか。なら、ラリアットだ。

 

「キョゲェッ!?」

 

凄いな。ラリアット喰らってもまだ立ち上がれるとか。

 

「わ、我はまだ負けていない……」

 

本当にしつこいな。いい加減に負けを認めてほしい。てか、足めっちゃ震えてんじゃん。

 

「ぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

顔パン、タワー○リッジ、ラリアットを受けたそのカチワリ族は両手の石斧を掲げて突撃してきた。

 

「……ブラストストライク」

『ブラストストライク!!』

 

オレは必殺技を発動し、渾身の蹴りをソイツの腹に叩き込んだ。

 

「うぎゃあああああああああああ―――ッ!!」

 

そんな叫び声を残しながら、しつこかったカチワリ族は森の彼方へと消えた。道中の木を何本も粉砕して。

 

「ボ、ボスが負けた……」

「に、逃げろぉおおおおおおおおおっ!!」

「「「うわぁあああああああっ!!」」」

 

他のカチワリ族はそう叫ぶと、泣きながら悲鳴を上げ四方八方へと散って逃げていった。

 

「さすがクロスブレードマンだな。蛮族さえも涙目で逃げ出すとは」

「あの格好のカチワリ族はボスだったんだが……それを一方的に負かすとは……」

「しかし、連中は奇声しか上げなかったな。知性はそこまで高くないようだ」

 

奇声?

 

「いや、普通に喋ってたぞ。最後なんか逃げろと叫んでたし」

オレがそう言うとスノウとアリスは揃ってお前、何言ってんだ?と言いたげな表情となった。解せぬ。

 

「カチワリ族は精霊語しか話さないんだが……」

「そういえばお前はこの惑星の言語が何故か理解できるんだったな。チップの存在は検知されなかったし、本当にお前の頭はどうなっているんだ?」

 

それはオレが知りたいくらいだぞアリス。日本語しか話してないのに、スノウ達は普通にオレの言葉を理解してるし。

 

「私の耳には副隊長の言葉はそのニホンゴとやらには聞こえないんだが……六号とアリスがたまに使うニホンゴは全然理解できないし」

「本当に謎だな。科学で解明できないとか、本当にふざけんなよ。クソが」

 

アリス、めっちゃ不機嫌だな。魔法やオカルトを全然信じてないから当然とも言えるが。

 

「……あれ?何でチップの存在は検知されなかったと言ったんだ?オレ、そんな調査された記憶がないんだけど?」

 

オレは疑問を露にそう聞くと、アリスは顔を明後日の方向に向けた。

 

「何で顔を明後日の方向に向けたんだ!?本当に一体何をしたんだ!?」

「別にやましいことはしていない。お前が寝ている間に調査用の機械を頭に被せただけだ」

 

オレが寝ていた間に人体実験!?

 

「アリスが嘘で言った、言語の自動翻訳の魔法というのが実は本当ではないかと疑うくらいだが……」

「地球に魔法なんてものは実在しねぇよ。あっても超能力だ。脳ミソを弄ったにしては明らかな矛盾があるし、本当に不本意だがクロスブレードマンのそれは科学で一切表明できない現象だな」

「魔法と超能力の違いが全然分からんけどな」

 

フィクションでは陣とか触媒、詠唱を使うのが魔法で、念じるだけで使えるのが超能力みたいだけど。その意味では超能力の方が便利だな。

 

「……今の自分の言葉に疑問を感じないのか?」

「?普通に喋ってただろ?」

「……念のためにロシア語で話したんだが、その様子じゃ日本語として聞こえていたみたいだな」

「ロシア語?マジで?」

 

オレの言葉にアリスは普通に頷く。マジか。異世界語だけでなくロシア語まで日本語として聞こえるとか。

ヒーロー時代は現地の人の言葉が分からないから別の意味で苦労したのに!

 

「ちなみに何ヵ国語話せるんだ?」

「全部に決まっているだろ」

 

全部かー。さすが高性能ロボットのアリスさんだ。通訳の仕事が全部なくなるな。

 

「そういえば……六号はどこだ?」

「「あ」」

 

スノウに言われて初めて気がついたが、六号がいつの間にかいなくなっている。

 

「逃げたな」

「間違いなく逃げたな。一番の安全地帯から逃げるなんて」

 

一番の安全地帯ってオレのことか?

 

「確かにな。副隊長ほど一番安全な場所は他にないからな」

 

おいスノウ、同意すんな。

 

「ま、六号の居場所は脳内のチップで大体把握できるから問題ないがな」

「本当に恐ろしいな、おい」

 

常に居場所を把握できるとか、恐怖でしかないんだが。

 

「勘違いするな。これは非常時に使うようなもので常時使ってるわけじゃない。一々確認してたら面倒だからな」

 

つまり、今は非常時だと。

取り敢えずアリスの案内で六号がいるらしい方角へ進むと……本当にいた。さっきのモケモケと握手しようとしているが。

 

「これでも食らえぇえええええ!!」

 

そのモケモケはスノウが背後から一刀両断したが。

 

「モケモケェーー!」

モ……ケ……(最後に……食べたかった……)

 

ん?

 

「今、モケモケの声が聞こえたんだが……最後に食べたかったとか」

「お前の頭は本当におかしくなってるな」

 

今回の調査はモケモケの肉を回収して終わるのであった。

ちなみに半分はスノウが店に持っていって金に換えた。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「聞いてくださいよ!グリムが怪しげな儀式でアンデッドを……」

「ほーらロゼ。美味しい串焼があるわよ!」

 

ゼナリス集会から帰ったロゼがその時の出来事を話そうとして、グリムがモケモケの串焼を放り込んで強引に口を塞ぐ。

ちなみに今は全員で食事中だ。六号はカウンター席で泣いて突っ伏しているが。

 

「俺の友人を目の前で殺した上に、半分は売り捌くなんて……」

「向こうはお前のことを捕食対象としか見てなかったみたいだがな」

「嘘だ!!」

 

六号はオレの言葉を否定するようにテーブルを叩くが、あの言葉からして食べる気満々だったと思うんだが。

 

「モケモケは生でも全然イケたな。冷やして刺身にして食ったら、海老みたいだったぞ」

「あれは確かに美味かったな。醤油とやらに付けて食べると中々に美味だったぞ」

「ズルいです!わたしも食べたいですよ!」

「ちなみに切り分けて冷たく保存し、調味料に漬け込んだモケモケの肉があるんだが」

「わーい!副隊長ステキ!!」

 

あっさり持ち帰り分を貰ったロゼは、尻尾を嬉しそうに振りながら冷えた生のモケモケの肉(醤油漬け)を食べていく。

モケモケの肉をたくさん食べるとロゼの身体はどう変化するんだ?手がハサミになるのか、口から泡をブレスのように吐けるようになるのか?

……うん、分からん!

 

「それよりグリム。またアンデッドを呼び寄せたのか!?」

「私は不死と災いを呼ぶゼナリス様の信徒よ!その教祖が僕を呼んで何が悪いの!?」

 

グリムは開き直って反論してるけど、スノウが首を絞め始めたから問題があるんだろうな。

 

「……今、アンデッドと言ったか?それは俗に言うゴーストか?」

「そうよゴーストよ。アリスも興味あるのかしら?」

 

グリムはそう聞いてくるが、アリスの目は興味というより敵を見る目なんだが。

 

「科学の結晶たる自分に真っ向から喧嘩売る存在が現れやがった。何がゴーストだ。科学の力でバスターしてやる」

「めっちゃ攻撃的だな。摩訶不思議現象なんて今更な気がするが」

「お前のそれは不本意ながら諦めている。だが、胡散臭いオカルトは認めないぞ」

 

オレの言語の謎は諦めてるんだ。

 

「死者蘇生ついてはどう説明するんだ?頭が原型なくすレベルで潰れていても復活したんだが」

「トカゲだって尻尾は生えてくるだろ」

「尻尾は肉の塊だろ。トカゲだって頭潰されたらそこで終わりなんだし」

「議論はそこじゃねえよ。要はグリムは普通の人間じゃなく、人の皮を被った未確認生物の可能性もあるって話だ」

 

憐れグリム。人間として認知されてないとは。

 

「ちなみに呪いに関しては?」

「あれは催眠術だ」

「本当に言いたい放題ね!偉大なるゼナリス様!この少女に災いを!盛大にスッ転ぶがいい!!」

 

不気味な人形片手にアリスを指さしてグリムがそう叫ぶと、車いすにも関わらずグリムが盛大にスッ転んだ。

 

「おお。車いすが横から百八十度回転したな。これはどう説明するんだ?」

「単に自分から転んだだけだ」

 

本当に手厳しいなアリスさん。

 

「そんな訳ないでしょ!いいわ、そこまで言うなら、明日私の降霊術を見せてあげる!」

「ペテン師の常套手段だな。今日じゃ仕込みができないから明日にすると言う、な」

「違うわよ!今日は魔力を使い果たしたから新しく呼び出すことが出来ないだけよ!」

 

結局、明日はグリムとアリスの魔法検証。見届け人は六号という事になってこの話は一先ず終わるのであった。

 

「……ブホッ」

「ロゼ!?しっかりしろロゼ!ヴッ!?」

 

ちなみに次の日は例の缶詰めを開け、怖いもの見たさで参加した二人がその激臭にダウンしたのであった。

 

 

 




プロフィール

============
六号

Ver.2

キサラギ社員であり、グレイス支部支部長。
本当は転送機の移送空間が安定したら日本に帰るつもりだったが、悪行ポイントがマイナスだった為アリスの入れ知恵で留まることとなった。
手負いのモケモケと友情を感じたが、今作では獲物としか見られていなかった事実を知り、それを受け入れないでいる。数日したらその事実すら忘れるだろうが。

クロスブレードマンの評価:看板支部長。
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