転送先が死後の世界→異世界だった件   作:厄介な猫さん

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戦闘員の二次小説、増えないかなぁ……?
てな訳でどうぞ


モグラの貯水袋

トリスとの外交が見事に失敗し、オレと六号、スノウとフレアはティリスに呼び出しをくらって王室にいた。

玉座に座るティリスの前でオレと六号は正座、スノウとフレアの二人は土下座で。

 

「スノウ。フレア。顔を上げなさい」

「「……………………はい」」

 

スノウとフレアは揃って顔から汗を流し、ぶるぶると身体を震わせている。

……めっちゃ気まずい。原因が原因なだけに。

 

「済んだことはしょうがないじゃん?切り替えて行こうぜ」

「お前はもっと反省しろぉおおおおおおっ!?」

「ぷがッ!?」

 

一番やらかした張本人である六号が本当に気楽だった為、オレは六号の頭を掴んで強制的に土下座させる。顔が床にめり込んだが些事だ。

そんなオレ達の前で、ティリスは一枚の手紙を読み始める。

 

「……貴国の使者の無礼極まる行為は最早看過できず、我がトリス王国はグレイス王国に対し、此処に宣戦布告する。ついては輸出の差し止め、及びあらゆる経済制裁を行う。貴国に謝罪の意思あらば、貴国の使者であったスノウとフレア、エンゲル第一王子に無礼を働いたかの使者を引き渡すこと。それが成されぬ場合、武力の行使を辞さず血を持って報復する」

 

ああ、スノウとフレア、六号は完全にロックオンされたな。

 

「まさか友好の使者を送り出して、宣戦布告状を送り返されるとは思いませんでしたよ」

「ちなみに引き渡された者の末路は?」

「言う必要、あります?」

 

つまり奴隷として一生酷使されるか、民の前で大々的に処刑されるんですね。

 

「申し訳ありませんティリス様!此度の外交は想定外のことが多く……まさかエンゲル王子が不能に陥っていたとは夢にも思わず……」

 

だよなー。グリムのどうでもいい呪いが本当に最悪の形で成功するとか、本当に想定外だわ。

 

「そもそも六号!お前はどうしてあんなバカなことをやらかしたのだ!?」

「…………」

 

スノウが厳しい口調で問い詰めるも六号は無言。ちょっと顔を引き上げると……気絶してた。

 

「ふんっ!」

「グホッ!?……はっ!?俺は何を……」

 

それも腹パンで強制的に殴り起こしたが。

 

「六号!お前はエンゲル様に何故あんな無礼な真似をしたのだ!?お前のせいで宣戦布告を受けたのだぞ!」

「あれは俺の国の伝説の宴会芸だぞ!国が違えば文化も違うんだ!」

「何でそんな宴会芸をやったのかを聞いてるんだよ!?」

 

オレの詰問に、六号は悟りを開いたような表情で答えた。

 

「ムシャクシャしてやった。反省はしている」

 

……全然心が籠ってねぇえええええ!!

 

「その顔で言っても説得力は皆無です!」

「もっと心を込めて謝らんか!」

 

二人して六号に殴りかからんとしてるな。そりゃあ、トンでもないことやってくれたから当然だけど。

 

「……六号様達をトリス王国に引き渡すおつもりはありませんが……スノウは近衛騎士団隊長の地位を剥奪。フレアは近衛騎士団から籍を除外します。両者の配属先は六号様たちの部隊です」

 

ティリスから降格と左遷を言い渡され、スノウとフレアはその場で崩れ落ちた。

 

「せっかく元の地位に返り咲いたのに……」

「苦労して近衛騎士団に入ったのに、全部水の泡……」

 

見事に泣き崩れたスノウとフレア。特にフレアは完全なとばっちりだから本当に同情する。

 

「本当に困ったことになりましたね。今回の件に関しては我が国に一方的に非があります。周辺国もトリスに味方するでしょう」

「それに関しては、アリスが『トリスが魔王軍と不可侵条約を結んだことを周りに言いふらすんだ。それを理由に人類の敵扱いして今回のことを言い掛かりだって逆ギレ気味に糾弾してやれ』と言ってました」

 

実際、魔王軍と不可侵条約結んだのは本当だし、それが原因で話がややこしくなった感もあるからな。

 

「……私も人のことを言えた性格ではないですが……アリスさんも大概ですね」

 

そりゃ、高性能な悪のロボットだからな。

 

「ですがそれで押し通しましょう。不可侵条約は本当のことですし……おそらくトリスもそこを突かれたくないから、第二の勇者と知れ渡っているクロスブレードマン様に関しては何も書かれなかったのでしょうから」

 

おいこらティリス。しれっと勇者に仕立て上げようとしてんじゃねえよ。

 

「しかし……この状況は困りましたね」

「はい……水精石の輸出が絶たれた以上、我が国は水不足に陥ってしまいます」

 

あー、確かに。元々は水目的でトリスに向かったんだし。それが元通りどころか悪化したんだからな……六号のせいで。

 

「よく考えれば水を降らせるアーティファクトは使用可能です!ティリス様が一肌脱いでいただければ……」

「確かに……!ここはティリス様が立ち上がって……!」

「本当に困りましたね。水をどうやって確保するのか……」

 

スノウとフレアの言葉をティリスは完全スルー。そりゃそうだよな。あんなパスワードを大勢の前で言いたくないからスノウ達を交渉しに行かせたんだし。

 

「おい、スノウ。俺がティリスを捕まえるから人を集めてこい。中庭に民衆を集めて今からティリスが儀式をするって宣伝しちまえば……」

「なるほど……後に引けなくなるか!」

 

外堀埋めてやらせようってか。嫌なことを部下に押し付けようとしたツケが出てきたな。

 

「これは非常事態……ティリス様もきっと分かってくれます……」

「そうと決まれば……」

「良い案が浮かびました!」

 

フレアもノリノリで参加し、いざ実行!というタイミングでティリスが遮るように声を上げた。

……本当に必死だな。部下に美人局やらせようとしてたくせに。

 

「騎士スノウ!騎士フレア!あなた達に任務を与えます!テザン砂漠にある《水の実》を採ってきなさい!」

「「……え?」」

 

スノウとフレア、号令で返さずに疑問の声を洩らした。

 

「……あの、ティリス様?」

「テザン砂漠は“砂の王”の縄張りですよ?魔王でさえ逃げ出す大魔獣の縄張りに行けと、本気で仰っているのですか……?」

「いいから採ってきなさい。これは命令ですよ?」

 

有無を言わせぬティリスの物言い。危険な任務を言い渡された二人には本当に同情する。

 

「それと、此度の任務は六号様たちも同行するように。拒否すれば大幅な減給ですので」

 

……ティリスがブラック上司だった。理由が理由だけに反論できないのが、本当にツラい。

こうしてオレ達は非常に危険な任務を無理矢理やらされる羽目となった。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

―――夜。

 

「嫌です嫌です嫌ですよ!“砂の王”は魔王も逃げ出す大魔獣なんですよ!その縄張りに入るだなんて自殺行為ですよ!」

 

ロゼはそう言って車の外へと出ようと必死にもがく。

 

「諦めてください。こうなった以上は運命共同体、死なば諸ともです」

「それに“砂の王”は昼間しか活動しないらしいからな。夜の内にちょっと行ってすぐ帰れば大丈夫だ!」

「だから嫌ですよ!あたしはまだまだ生きていたいんです!」

 

フレアとスノウはロゼを説得しようとするも、ロゼは当然嫌がって抵抗する。

オレだって嫌だけど、本当に連帯責任だから強く出れなかったし諦めるしかないんだよ。

 

「ほら、ポテチやるから我慢してくれ」

「副隊長はあたしのこと何だと思っているんですか!?もしかして、美味しい物さえ与えておけば言うこと聞くと思ってるんですか!?食べますけど!」

 

ロゼはそう言って必要経費で落ちたポテチ(コンソメ味)が入った紙袋を受け取ると、そのまま開封してポテチを口の中に流し込むように食べていく。

 

「許せない……許せない……婚約者がいたハーメルも……妻帯者だったギルバードも……同性愛者だったアイザックも……」

 

ちなみにグリムは普通に怖いので放置だ。

 

「ま、ソイツが万が一現れてもクロスブレードマンがいるから大丈夫だろ」

「だな。キサラギの巨大怪獣や巨大兵器を一人で潰したクロスブレードマンなら、“砂の王”も撃退できるだろうしな」

「お前ら本当にオレのことをどう思ってんの?」

 

確かにデカイ相手に勝った経験はあるけどさ。六号とアリスはもっと危機感持てよ。

 

「……本当に副隊長さんは人間なんですか?」

「失礼な。オレはれっきとした人間だぞ」

 

フレアの疑わしげな質問にオレは不満げに言葉を返すも、何故かスノウ達はオレから顔を背ける。

その直後、不意に正面の地面が盛り上がり、そこからクワガタモドキが飛び出してきた。

 

「なんだ!?」

 

六号が驚いている間に、クワガタモドキはその強靭なハサミで車体を前輪ごと挟み込んだ。

 

「吹かすから掴まってろよ!」

 

アリスはそう言うとアクセルを全開にして吹かし、クワガタモドキのハサミから強引に脱出。しかし、砂の地面が次々と盛り上がり、そこからクワガタモドキが次々と飛び出してくる。

 

「これ、どうすんの!?」

「問題ない!……フレア!!」

 

スノウはそう言ってフレアに弓を持たせる。

……ああ、そういうことね。

 

「……イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」

 

トリガーハッピーモードとなったフレアは車のサンルーフを強引に開けると、地面が盛り上がった瞬間に矢を次々と放ち、クワガタモドキの頭部を射ち抜いていく。

 

「狙い射ち!狙い射ちよぉッ!!フヒャハハハハハハハハッ!!」

 

フレアは完全に狂った表情で矢をどんどん放っていく。

車の上から射っているのに、クワガタモドキの頭部に命中させてるから腕は確かなんだが……

 

「あんなハイペースで射って……矢、足りんの?」

「知らん」

 

知らんじゃないだろ、スノウ。矢筒は三つくらいしかないんだから。

 

「チッ、矢が切れたか……六号隊長ォ!お前の飛び道具を寄越せェエエエエエッ!!」

 

って、早々に矢が切れて銃を持っている六号に襲いかかった!?

 

「寄越すわけないだろ!?お前に使わせたら弾が全部なくなるわ!!」

 

六号は正論を放って本気で抵抗するも、狭い車内のせいで四苦八苦している。

その間にも、クワガタモドキは地面から飛び出している。

 

「本当に忙しいな!」

『ショット、モード!』

 

オレは悪態を付きながら窓から乗り出し、クリアライズエネルギーブレードの射撃モードでクワガタモドキを牽制していく。

撃ち抜けないかって?射撃経験が乏しいから狙いが定まらないんだよ!!しかも激しく揺れてるし!

 

「クロスブレードマン副隊長ォ!その武器寄越せェエエエエエッ!!」

「今度はこっちかよ!?」

 

本当に大迷惑なトリガーハッピーだな!!

そんなこんなで、なんとかクワガタモドキ達から無事に逃れられたが……

 

「行きだけで車がボロボロだな」

「全くだ。大森林といい砂漠といい、危険な生物が多すぎだろ」

 

クワガタモドキによって車のあちこちが凹み放題だが、走行に支障はない。

フレアの方は……スノウ達が何とか弓を取り上げたことで沈下した。今は揃ってグロッキー状態だ。

ついでにクリアライズエネルギーブレードはチャージ分含めてエネルギー全部使ったから、しばらくは唯の剣だ。

 

「そこは生存競争が激しいからだろ。荒れ地が結構多いしな」

 

環境自体が本当に過酷だからな。豊かな土地は危険地帯になってるし。

 

「だが、どんな荒れ地でも土地は土地だ。今のペースで人口が増えれば地球は十年以内にいっぱいなんだからな」

 

確かに。医療技術も一昔前と比べて高くなってるし、紛争自体は減っているからこのまま行けばキサラギ関係なく争いが起こるのは間違いなしだ。地球の資源だって当然限りがあるし。

 

「危険生物は駆除、荒れた土地は改良すればいい。キサラギの技術に不可能はない」

「その危険生物は食料になるから簡単にいかないけどな」

 

モケモケやスポポッチの肉は本当に美味しかったし。

 

「むしろ養殖でもしたらいい気がするんだが……」

「いや、あのデカさで養殖とか無理だろ!逆に食われるわ!」

「養殖か……確かに一考する価値はあるな。課題は多そうだがな」

「お前も同意すんな!」

 

六号は養殖に大反対しているが、この星の生物は巨大なものが多いからなー。後、野生を狩るだけじゃ地球の生物の二の舞だぞー。

そうこう話していると、目的の木が見えてきたな。

あれが《水の実》を実らせている木のようだが……何かおかしくないか?

 

「見た限り、サボテンのような棘がないな。加えて周りに生物もいないし……不自然な点が多くないか?」

 

さっきのクワガタモドキのようなヤツもいたし、希少と言える水が手に入る木なら近くに住処を作りそうなんだが。

 

「さあな。もしかしたらこの辺りが“砂の王”とやらの生息圏かもしれんな」

 

どっちにしろ早く要件を済ませた方が良さそうだ。

オレは車から降りると、復活したスノウ達と共に《水の実》を摘んでいく。

 

「本当にこんな小さな実に大量の水が詰まってるのか?」

「実が魔力で覆われて圧縮されているので、魔力除去の魔法をかけて搾れば大量の水が得られるんですよ」

「ああ。見える限りの実を摘んでいければ大手柄だ!これで私の降格も取り消しになるに違いない!」

 

本当にぶれないなスノウは。

 

「それにしても、何で隊長さんと副隊長さんは飛び道具を貸してくれなかったんですか?あんなにお願いしたのに」

 

あれはお願いじゃなく強奪だろ。都合の良いように記憶を改竄してんじゃねぇよ、トリガーハッピーが。

しかし、何か変だな。妙に落ち着かないと言うか……この感じ、前もどこかで……

 

「あ」

「?副隊長?」

 

オレの思い出したような呟きに《水の実》を摘んでいたロゼは首を傾げているが、思い出した。

 

「この感じ、地面から巨大な掘削機が飛び出てくる前に感じたものと同じだ」

 

オランダに救援に行かされてキサラギの戦闘員や怪人たち相手に荒野で戦っていた際、落ち着かないと思っていたら地面から巨大なドリルが飛び出てきたからなー。咄嗟に下がってなかったら穿たれていたのは想像に難くなかったし。

その巨大掘削機は戦闘員と怪人諸とも倒したけど。

 

「……ちょっと待て。それってこの地面の下に何かいるってことにならないか?」

「「「「「…………」」」」」

 

いつの間にかグリムを羽交い締めにしていた六号のその指摘に全員が黙りとなる。

そのタイミングで地面が激しく揺れた。

 

「おわっ!?」

「マジでこの下に何かいやがったのか!?」

「全員車に乗れ。静かにな」

 

何かしらの機械で地面を調べたアリスの指示に従い、オレ達は静かに車に乗り込む。

 

「この下に何がいるんだよ!?」

「サーチしたらこの辺り一面が生体反応だった。つまり……」

 

アリスが何かを告げようとしたタイミングで、今度は地面が傾く。

思わず窓越しに後ろを振り返ると……

 

「自分たちは、“砂の王”の背中にいたというわけだ」

 

……デッカイモグラじゃねぇか!!

そりゃ落ち着かない筈だよな!こんなデカイ生物の上にいたんだからな!

しかも背中にはあの木がくっついてるし!あれは木じゃなくて、怪獣巨大モグラの身体の一部だったんかい!

その怪獣巨大モグラは地面から完全に上半身を出し、辺りをクンカクンカすると……

 

キュウウウウウウウウッ(水返せやゴラァッ)!!」

 

そんな鳴き声を上げながら、離脱していたオレ達の車めがげて砂を掻き分けながら追いかけてきた。

 

「あの怪獣巨大モグラ、水返せと叫んでるぞ!」

「完全にヤバいヤツじゃねぇか!この実、取っちゃダメなヤツだった!」

「まさか《水の実》の魔力を察知して追いかけているのか!?」

 

しかもあの巨体のわりにめちゃくちゃ速いし!!このままじゃ追いつかれちまう!

チクショウ!こうなったら……

 

「怪獣退治じゃゴラァアアアアアアアアアアッ!!」

 

オレは車のサンルーフから外に飛び出て、カラフルセイバーを長剣モードにして怪獣巨大モグラに突撃していく。

お前が溜め込んだ水袋、《水の実》を持ち帰らないと今度はどんな無茶ぶりさせられるか分からんし!

 

「チェンジカラー、IV(フォー)!」

『ウィンドカラー!』

 

オレはカラーIV(フォー)になるとそのまますれ違い様にカラフルセイバーで斬りつける。

 

キュウウウウウウウッ(イッテェエエエエエエエッ)!?」

 

怪獣巨大モグラは痛そうに叫んでいるが、あれでは引っ掻き傷程度だ。

ていうかコイツの肉、まるで硬質な粘土みたいだな!斬りにくいったらありゃしない!

 

「オレのブラック生活回避の為……お前はここで消えろぉおおおおおおおおお―――ッ!!!」

 

オレは砂地に着地するとクリアライズエネルギーブレードも抜き、亜流の二刀流で怪獣巨大モグラに再度突撃していく。

砂津波が何度も起こり、巨大な爪で岩が抉られると同時に大量の砂が飛び、体当たりで岩が弾け飛び、地面が激しく揺れていく。

同時に鎌鼬で岩が斬られ、巨体が打ち付けられたような地響きが響き、砂の地面が何度も割れ、炎や電気も弾け飛んでいく。

―――そんなダークヒーローVS大怪獣の大激戦開始から一時間後。

 

「……逃げやがった……」

 

カラフルセイバーを地面に突き立て、肩で息をしているオレは忌々しげに少し凹んだ砂の地面を睨み付ける。

怪獣巨大モグラと激戦を繰り広げた結果、幾つもの傷を負った怪獣巨大モグラは巨大な穴へと飛び込み、周りの砂で道を塞ぎながら逃げていった。

まさか事前に逃げ道を用意をしていたとか……意外と用意周到だな。次戦う羽目になったら逃げ道塞いでから狩ってやる。二度とやりたくないが。

後、『キュウウウウウウウッ(覚えてろよぉおおおッ)!』という鳴き声が妙な不安を駆り立ててくるが、気のせいとしておこう。うん。

しかし、巨大怪獣は本当に久々だったから疲れた。しかも逃亡を許したから下手したらまた戦う羽目になるかもしれない。その時はバッくれよう。

 

「まさか“砂の王”を一人であそこまで追い詰めるなんて……」

「副隊長は本当に強いですね……」

「マジで色々とおかしいだろ。知ってたけど」

「その代償で車は攻撃の余波でお陀仏。砂の中に消えていったがな」

「だが、《水の実》は大量に手に入った!これは大手柄だぞ!」

「半分は吹き飛びましたけどね」

 

周りが呆れ混じりに褒めているみたいだが、お前らも怪獣退治に参加しろよと言いたい。

 

「とにかく早く帰ろう……六号。さっさと新しい車を申請しろ」

「……ポイントが全然足りないので無理です」

 

チッ!本当に使えないな!

 

「なら、早く悪行行ってポイント稼げよ。地雷、守銭奴、食いしん坊、トリガーハッピーにセクハラでもして」

「誰が地雷よ!?自慰できなくなる呪いをかけるわよ!!」

「クロスブレードマン!ふざけたことを抜かすな!!」

「あんまり酷いとかじりますよ!!」

「副隊長さんでもそれは許せませんよ!!」

 

女性陣が一斉にオレを非難してるが、オレが戦っている間なにもしなかっただろ。

 

「六号。残りのポイントは?」

「……テントと携帯保存食三日分送ってもらったらスッカラカンだ。あの車は三百五十くらいはポイント使うからな」

「なら、ポイントはそれらに使って徒歩で横断するしかないな」

 

……この砂漠を歩いて横断するだって?

 

「そんな事せずに早く悪行やれよ。服剥ぎ取って燃やせば簡単に貯まるだろ」

「元ヒーローとしてどうなんだよ、それは」

 

何故ドン引きするんだ六号。お前は悪の組織の戦闘員だろ。そこは嬉々として同意しろよ。

結局、女性陣の大反対により砂漠を横断する羽目となった。

 

「この“砂の王”の爪は持って帰るぞ!売れば高値になる筈だ!」

「本当にたくましいな」

 

ちなみに激戦でぶった斬った怪獣巨大モグラの巨大な爪は、欲を出したスノウが持ち帰ることとなった。

 

 

 




「ちょっ!?攻撃がこっちにまた飛んで来てるぞ!」
「早く岩場の陰に隠れましょうよ!下手したら巻き添えで死んじゃいますって!」
「グベッ!?」
「ああ!?飛んできた岩の破片がグリムの頭に!」
「ふ、副隊長の攻撃で死ぬ!」
「あのモグラはかなりの腕力だな。岩を粉々に吹き飛ばしてるぞ」
「お前は冷静に分析すんな!あれのせいで車がお陀仏になったんだからな!?」

―――外野は余波の被害を見事に受けていた。
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