巨大ロボット奪取に失敗したオレ達は、外に向かって走りながらこれからのことを話し合っていた。
「これからどうします!?」
「あれ、絶対硬いですよね?アタシの矢も通りそうにないんですが!」
「外で戦うようなことを言っていたが、アイツはここから出られるのか?」
「痛っ。あの巨人用の出口があるんじゃないかしら?痛っ」
「確実にあるだろ!作って外に出せないとか本末転倒もいいところだからな!」
「なら、ここに立て篭って長期戦を狙うぞ」
「賛成だ!補給も無しに無尽蔵に動けるとは思えないしな!」
そうと決まれば、まずは入口近くまで行かないとな。
後ろから巨大ロボットが追いかけて来る気配もなく、オレ達は入口が見えるところまで辿り着くとそこで足を止めた。
「どうだアリス?」
「……確かに巨大ロボットがすでに待ち構えているな。このまま様子を窺うぞ」
双眼鏡で入口の向こうを確認したアリスの言葉に、オレ達は同意するように一斉に頷く。
「にしても巨大ロボットか……確かにあれなら“砂の王”に対抗できるよな」
「ですねえ。すごく大きいですし」
「アレなら脚を潰せば大抵は終わりだな。二足歩行は関節やられたら致命的だし」
奪取されて強化改造された巨大ロボットはそうやって破壊してたし。
「お前が言うと本当に説得力があるな」
「何せ幾つもの巨大兵器を破壊してきたクロスブレードマンだからな。あって当然だろ」
「だが、このまま立て篭っていたらヤツは諦めて帰るかもしれん。だから一度……」
その瞬間、アリスの言葉を遮るように破砕音と共に入口が潰れた。見れば、例の巨大ロボットの足がある。
『立て篭る気かい猿共?残念だったね。この遺跡はコイツの攻撃には耐えられないのさ!!』
拡声機能もあったのか、ラッセルの言葉がオレ達の耳にはっきり聞こえてくる。それを証明するように、巨大ロボットの足が遺跡の壁や通路を天井ごとどんどん踏み潰していく。
「……完全に戦うしか道がなくなったな。クロスブレードマン、後は頼むぞ」
ひとまず巻き込まれないように後退していると、アリスが親指立ててそう言ってきた。
「オレ一人でやらせようとすんな、高性能ロボット」
とは言ってもこのメンバーでアレと戦えるのはRバッソー持ちの六号以外いないのは事実だが。
「そうだぞクロスブレードマン!このお宝を持ち帰れば、ひと財産なのだからな!」
「そんなガラクタは捨てとけ、守銭奴」
しかも戦闘マシーンの壊れた手足だからな。売っても二束三文だろ。この星の今の文明レベルじゃ鉄屑としか認識されそうにないし。後、いつの間に回収したんだよ?
「第一、問題が一つあるぞ。あれほどの巨体がこれだけ派手に暴れているんだ。トリス軍が絶対に様子を見に来るぞ」
そしたらトリス軍が数で潰すためにこの遺跡に来るだろう。さすがにアレの後で大軍と戦うのは勘弁だ。
「それについては一つ案がある。六号、ポイントがまたマイナスになる覚悟があるか?」
「……一体何を取り寄せる気なの?」
「キサラギの巨大兵器だ。それで連中を脅せばあっさり解決するからな」
……その巨大兵器に巨大ロボット退治も任せていいかな?
「やだよ!せっかく悪行ポイントがプラスになったのに!それにあの裏技は使えないじゃないの!?」
「緊急時以外は使えない手なんだよ。その裏技をお前が知ってからは自分が申請しないと通らないようにしといたしな。あのままだと底なしに散財するのが目に見えていたからな」
確かに。そんな裏技を知れば、六号は調子に乗ってどんどんポイントを使いまくるだろうな。
そのタイミングで、ロゼがおずおずといった感じで手を上げた。
「あの……あたしが交渉してみましょうか?もしかしたらあたしの素性が分かるかもですし……」
「よし!ダメで元々だ!いいかロゼ……」
六号はロゼの提案にすぐに食らいつくも、肩に手を置いた瞬間に黙りとなった。
……よく見たらロゼのやつ、震えてるじゃん。完全に無理してる。
「……やっぱなしで。アリス、お前の案を採用する」
……本当に非情な悪党に徹しきれないな六号。だからこそ、周りの親しい人間から信用を集められるんだけど。
「本当にお前は悪に徹しきれないヘタレだな……だが、まだ問題があるぞ。何回かに分けて送られる以上、ここで組み立てないといけない。つまり、周囲の被害も可能な限り抑える必要がある」
確かに小型の転送機だと一度で送れる量に限度があるからな。幾つかのパーツに分けないとダメだから、組み立て中に戦闘の余波が及んで壊れたらそれこそ意味がなくなる。
「それなら六号を貸してくれ。注意を逸らす程度で動いてくれれば、何とか周辺の被害を抑えてやる」
「だ、そうだ。六号」
オレとアリスの言葉に、六号は不敵な笑みで返す。
「俺はしぶとさに定評がある古参兵、戦闘員六号さんだ。最強ヒーローが一緒なら、それくらい御安い御用だ」
「ヒーロー言うな。せめてダークヒーローって言え」
オレは六号に呆れながら文句を言う。もうヒーローはやりたくないんだよ。本当に。
けど、これ以上は時間が惜しいからさっさと始めるか。
「それじゃ、頼むぞ。しぶとい戦闘員に高性能ロボット」
「任せろ最強ダークヒーロー。それじゃ、そっちは任せるぞ。賢い相棒」
「任せておけ。強い相棒に最強ダークヒーロー」
オレ達はそう言って互いの拳をぶつけると……オレと六号は外に向かって走り出した。
「六号。先ずは奴の動きと性能を把握したい。とにかくチマチマ攻撃していくぞ!」
「おうよ!」
オレの指示に六号は素直に頷く。
「コンビカラー、
『ダブルカラー!二つの色が重なり力を強める!!』
オレは走りながら《コンビカラー》を起動し、演出機能で青い狼と黄色の虎のホログラムが現れてオレと並走し、そのまま重なりあっていく。
『青と黄色で氷結迅雷!!』
青と黄色の二色になったオレは、冷気と電気を靡かせながら六号と共に走っていく。
『まったく、いい加減そろそろ……』
ラッセルが呆れるように呟くのを無視し、オレは壊れたら壁や巨大ロボットの装甲を足場にして飛んでいき、左腕のブレード部分の付け根辺りにカラフルセイバーとクリアライズエネルギーブレードを交差するように振るい、強引に切り落とした。
『……なっ!?』
ラッセルはブレード部分が切り落とされた左手を見て驚いているが、オレは感触の硬さから内心でうんざりする。
薄いブレードでこれとは……一度で腕や脚を切り落とすのは厳しいかもしれない。
「秘密結社キサラギ社員戦闘員六号だ!壁殴りならラブホでやれ、クソガキが!」
瓦礫を飛び上って上に辿り着いていた六号は、名乗りを上げると同時に巨大ロボットの頭部に飛び蹴りを食らわす。
しかし、頭部に傷はもちろん凹みすらしなかった。
「アーマードライダー、クロスブレードマン!お前をオレの色に染め上げる!!」
オレもヒーロー時代の決めゼリフと同時に再び斬りかかり、巨大ロボットの腹部に軽い引っ掻き傷を作る。
武器は……腕のブレード以外は見当たらないな。
『……フン』
頭部がコクピット席らしく、そこから見えるラッセルは小馬鹿にするような表情で鼻を鳴らすとオレ達を潰さんと攻撃を仕掛けてくる。
オレ達はその攻撃を避けつつ、巨大兵器を組み立てているであろうアリス達に被害が及ばないように立ち回っていく。
たまに避けるのが困難な攻撃も来るが、オレはそれは後ろへと受け流すことで凌いでいく。
『へえ?猿にしては中々やるね!』
ラッセルはそう言ってオレを巨大ロボットの足で踏み潰そうとするが、それを後ろへ飛んで回避。ショットモードのクリアライズエネルギーブレードのレーザーをその足に何発か撃ち込むが、少し溶けた程度で終わる。
……対レーザーはそこまでといった感じか?これなら関節一つは潰せるかもしれない。
そう考えながら巨大ロボットの蹴り上げを転んで回避。六号と共に絶えずヒット&アウェイを繰り返していく。
『クソ!ちょこまかと動いて!猿なら猿らしく潰れろよ!!』
ラッセルは苛立ちを露に叫ぶが、オレは構わずに冷静に分析を続けていく。
このロボットの戦闘法は格闘のみ……動きが直線的だから次の行動が読みやすい。
「うるせえ!どんなエネルギー使ってるのか知らないが、長くは持たねえだろ!」
六号はそう叫んで銃を頭部にめがげて連射する。当然、銃弾は弾かれるだけに終わる。
『長期戦を狙っても無駄さ!コイツの燃料は操縦者の生命力さ!常人ならともかく、キメラのボクなら長時間の稼働も問題ない!』
生命力が燃料?つまりこの巨大ロボットは命を削って動かしてるってこと?
「生命力が燃料って……欠陥ロボットじゃないか」
「だな。命を削る欠陥品じゃ、キサラギの役に立ちそうにないな」
『負け猿の遠吠えにしか聞こえないよ!』
オレ達の言葉にラッセルはそう叫んでロボットの巨大な拳を叩き込もうとする。オレ達はそれを飛んで回避する。
……隠し武器が仕込まれてる様子もないな。砲台が収納されているわけでもないし……完全に見かけ倒しだな。
「六号。こいつの動きは大体分かった。ド素人だから動きが単調だ……こいつは単に図体がデカイだけで然程脅威じゃない」
「マジか。結構早いな」
「バカな上に装備が乏しいから、把握がめっちゃ容易だった」
これならキサラギの巨大兵器の方が厄介だったくらいだ。向こうはレーザーやら爆撃やら巨大ドリルやらと多彩だったし。
『本当にホラが吹ける猿だね!』
ラッセルがそう叫んでオレにロボットの右拳を叩き込もうとするも、オレは軽く飛んで回避。そのまま腕の上に立つと一直線に駆け上がっていく。
そして、左手のクリアライズエネルギーブレードのトリガーを五回連続で素早く引く。
『クリアライズ―――バスター!!』
ショットモードのクリアライズエネルギーブレードの使う必殺技を発動して切っ先を右腕の肘関節に向ける。切っ先から極太レーザーが近距離で放たれ、肘関節に着弾するとほぼ同時に爆発が起きる。
……だから何で爆発すんの?爆発を利用して腕から離脱できたからいいけど。
『……嘘だろ!?』
巨大ロボットの右腕の肘関節が見事に溶解し、右腕が事実上使いモノにならなくなったことにラッセルがめっちゃ驚いているが、オレは構うことなくエネルギーがすっからかんになったクリアライズエネルギーブレードをカラフルセイバーへとドッキングさせる。
『ドッキングコンプリート。ダブルセイバーモード』
ドッキングが完了したのを確認し、オレはクリアライズエネルギーブレードのトリガーを長押しする。
『エネルギー、フルチャージ!』
エネルギーのチャージが完了したタイミングでオレは地面を滑りながら着地。すぐに巨大ロボットへと振り返る。
『この……ッ!』
「クロスブレードマンばかりに集中してていいのか!?その間に切り刻んじゃうぞー!!」
六号もRバッソーを巨大ロボットの左足に食い込ませて切断しようとし、ラッセルは慌てて蹴って追い払おうとする。
六号はその前に離脱し、ラッセルの注意が逸れたオレはその隙にカラフルセイバーの必殺トリガーを、攻撃の余波を考慮して四回連続で押す。
『ファイナルダブルクリアフィニッシュ!!』
ダブルセイバーモードのカラフルセイバーの刀身から冷気が、クリアライズエネルギーブレードの刀身からは電気が放たれる。
「ハァアアアアアアアアアア―――ッ!!」
オレは気合いの咆哮と共に飛び上がり、巨大ロボットの両膝の関節を狙う。
『落ちろっ!!』
そんな叫びと共に巨大ロボットがオレに向かって左腕を振るうが、オレは迫り来る左腕に足を置いてバク転するように跳躍。攻撃をかわすと同時に回転の勢いを利用して冷気を纏った刃で巨大ロボットの正面の膝関節を円を描くように斬りつけながら通り過ぎていく。
膝関節部分は軽く斬られた痕と共に氷結し、オレは瓦礫と化した壁を蹴って今度は電気を纏った刃で再び円を描くように動きが止まった巨大ロボットの後ろの膝関節を斬りつける。
凍結すると物体が脆くなるのか、電気によって切れ味が増したのか原理はよく分からないが、電気の刃で斬られた膝関節は深々と斬られる。
二回目の斬撃で膝関節を深々と斬られた巨大ロボットは当然、自前の重さと相まって膝関節がバキリと折れる。そして重力に従って地面へと背中から落ちていく。
『うわぁっ!?』
地面に落ちた衝撃からかラッセルが声を上げるが、オレは地面に着地すると役目を終えたダブルセイバーモードのカラフルセイバーを左手に持ち変えると、最後の一撃を決める為に走りながら叫ぶ。
「インパクトクラッシュ!」
『ダブルインパクトクラッシュ!!』
冷気と電気を纏った右腕で手刀を作り、そのまま右腕の付け根へと叩き込む。
必殺の手刀を叩き込まれた付け根はバキバキと音を立て……そのまま崩れ落ちて本体とサヨナラした。
右腕は肘関節がやられ、両足は膝から先を失い、左腕は付け根から壊れた。これでこの巨大ロボットは役割を果たせないガラクタへと成り下がった。
『う、嘘だろ……?猿相手にこの巨大兵器が負けるなんて……』
見事に敗北を叩き込まれたラッセルは信じられないといったように呟いているが、オレは武器のドッキングを解除して腰のホルスターにしまうと、構うことなくコクピットの頭部へと歩いていく。
そして頭部のガラス部分を一発で蹴破り、唖然とした表情をしているラッセルの胸ぐらを掴み上げ、そのまま外へと引きずり出す。
「にしてもこの兵器、本当にお前と同じザコだったな。あの“砂の王”という怪獣巨大モグラの方がずっと手強かったぞ」
「ざ、ザコ!?」
専用武器もなしで動きも単調だったから、ある意味肩透かしを食らった気分だ。
巨大ロボットだってバカデカイ剣や銃、ハンマーやモーニングスター、槍や盾を持っていたし。腕のブレードもほとんど飾りに近かったし、完全に戦う相手を舐めてるとしか言い様がない。
加えて足場もあったから高低差を活かせてなかったし、本当にコイツがバカで助かった。頭が回れば真っ先に足場を潰しに来る筈だからな。キサラギの巨大兵器のように。
あの怪獣巨大モグラも砂を巻き上げて津波を起こしたり、爪で岩場を削ってこちらの足場を崩してたりと、地の理を活かした戦い方をしていたしな。
「いや、巨大な時点で普通は強敵なんだぞ」
うるさいぞ六号。こっちはやらなきゃ罰金だったんだ。必死こいて頑張れば何とかなるだろ…………きっと。
「まあ、取り敢えず……」
「ひっ!?」
めっちゃビビってるラッセルに構わず、オレは拳を握りしめ……
「余計な仕事増やしてんじゃねぇぞ!このバカザコキメラが!!」
「ぶべぇッ!?」
おもいっきり顔面殴り飛ばして、盛大にぶっ飛ばした。
殴られたラッセルはきりもみ回転して飛んでいき……壁にめり込むほど激突してそのまま沈黙した。
「……また心肺停止したんじゃね?」
「もうどっちでもいいだろ」
もう最悪放置してても問題ないし。
そのタイミングで……遺跡から蜘蛛のような姿をした黒色のデカイ兵器が姿を現した。
『おう、もう終わってたか』
黒色のデカイ兵器―――キサラギの多脚型の巨大戦闘車両“デストロイヤー”から感心したような、どこか呆れたようなアリスの声が聞こえてくる。
……これ、どれだけ悪行ポイント使うの?車で三百だから……四桁台か?
『じゃ、後は自分に任せとけ。デストロイヤーでトリスの連中を脅してくる』
「おう。任せたぞ」
「アリス、やっちまえ!」
オレと六号はそう言って親指を立てると、アリスはデストロイヤーの右腕のドリルを上に向けて任せとけの意を伝えてくる。
そして、アリスが操縦するデストロイヤーはそのまま前へと進んでいった。
その後、本当に近づいてきていたトリス軍をデストロイヤーで脅して撤退に追い込み、トラ男達も魔王軍の追っ払いに成功。さらにどさくさに紛れて両国の土地の一部を奪取。
ラッセルは全身を叩き付けられたおかげか、辛うじて息があったのでそのまま捕縛。ついでにガラクタとなった巨大ロボットはデストロイヤーの背中に括り付けて持ち帰るのであった。
―――二日後。グレイス王国の外にて。
「この巨大ロボット、出力やスペックそのものはデストロイヤーより上だな」
「マジで?」
持ち帰ったガラクタと化した巨大ロボットを調べていたアリスの言葉に、荷物運び等で手伝っていたオレは信じられない気分で聞くと、アリスは無言でコクリと頷く。
「マジかよ。オレの所感ではデストロイヤーよりザコだと思ったんだが」
「それは装備の乏しさと搭乗者の操縦が下手くそだったからだな。同じ巨体同士で戦えば、間違いなくダメージを負っていたな」
「本当に猫に小判だったんだな」
まさに宝の持ち腐れだな。乗り手次第で巨大兵器は強くも弱くもなるんだなぁと改めて実感する。
ちなみにデストロイヤーは隣で鎮座している。この星じゃ燃料である電力の確保が困難だから、運用はここぞという時にしかしないそうだ。
……怪獣巨大モグラはコイツに任そうかな?
「トリスの方も、まだ交渉で揉めてるみたいだし」
「向こうは水精石という外交カードが残ってるんだ。謎の実があるからしばらく水問題は大丈夫だろうが、長引けばまた水不足になるからな。その点は六号が何か考えがあるみたいだけどな」
マジか。一応六号からその考えを聞いておくか。
「でも欠陥ロボットだよな。操縦者の命で動くとか」
「自分としてはそれがどんな原理で成立してるか気になるな。魔力といいアンデッドといい、この星は科学の結晶である自分に正面から喧嘩を売っているからな」
「本当にそういった方面を無条件で毛嫌いするよな」
前も言ったが、ここ星の魔法は実際は遺伝子操作といった科学技術の恩恵じゃないかと思うんだが。
一応、メインエンジンらしき機関は無傷だから関節さえ修理できれば動かせるようだが……
「ついでに外付けで武器を取り付けられるように、改造も試みるつもりだ」
「燃料的に無理じゃないか?」
「取り付けるのはミサイルやランチャーといった火薬式の武器だ。後はデカイ剣や盾だな。後、キサラギに相応しい外見へと変えるつもりだ」
それなら大丈夫か。乗り手は同じキメラのロゼにやらせればいいし。
お、噂をすれば何とやら。六号が帰ってきたな。
「帰ったか六号。姫さんへの報告はどうなった?」
「一応、今回のお前への報酬代わりとしてこの巨大ロボットの管理を押し付けられたな。手足がぶっ壊れてるから報酬かどうか微妙だけどな」
ちなみに土地に関してはあっさり了承された。奪った場所が《魔の大森林》のすぐ近くだから、取り上げてももて余すから今回の報酬として黙認するそうだ。
「よくやった六号。バカなお前にしては上出来だぞ」
「……褒められてるのに、褒められてる気がしねえ」
「気にすんな六号。それより、お前が水問題を解決する案があるとアリスから聞いたぞ?」
オレが本題に切り出すと、六号は得意げな表情となった。
「おう。あの捕らえたガキンチョに毎日水を作って貰うんだよ」
……ラッセルを酷使する気か。
「いくら捕虜でもいきなりブラックな扱いはダメだろ。というかオレが認めんぞ」
「え?あのバカに気遣うの?商売敵だし、その辺りは適当で良くね?」
「良くない」
オレがドスを効かせてそう呟くと、六号は両手を上げて降参の意を示した。
「……本当にどうしよ?あのバカを使う以外に解決する手立てはないんだけど」
「勘違いするな六号。使う事自体は賛成だが、待遇に反対してるんだよ」
「雇うつもりか?」
アリスのその質問に、オレはコクリと頷く。
「ああ。各方面と話をし、オレが監視すれば大抵は通るだろ」
「なるほど、確かに」
「もしあのバカが提案を蹴ったらどうするんだ?」
「トラ男に待遇含めて全部任せる」
ラッセルならトラ男の好みにドストライクだろうし、監視としてもきっちり働くだろう。
待遇は……ブラックになるだろうが元々は捕虜なんだ。給金は出すようには交渉はするけど。
「……まさに天国と地獄だな」
「あのバカが利口な判断をするか、非常に怪しいところだがな」
こうして、ラッセル雇用に向けてオレは動いていくのであった。
プロフィール
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ラッセル
魔王軍四天王。通称“《水》のラッセル”。
ロゼと同じ戦闘キメラだが、ロゼと違って過去の記憶を持っている模様。
その為、人類を嫌悪しており滅ぼしたいと考えている。
その考えが原因でクロスブレードマンを舐めてかかった挙げ句、キメラの本能による警鐘も間違いと決めつけた結果、最終的に暴走列車並みに地獄へと突っ込んだ。
同時に全員からどうしようもないバカと認定された。
クロスブレードマンの評価:六号以上のバカ。