転送先が死後の世界→異世界だった件   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


怨霊滅ぶべし

全裸少女によってアジト建設が一からになった翌日のテントエリアにて。

 

「アジト建設は一時中止だ」

「「「「「「「「「「賛成だ(にゃ)」」」」」」」」」」

 

全員集めてからのアリスの開口一番がこれだった。六号達はアッサリ受け入れたが。

 

「……クロスブレードマンによって粗方の妨害は片付いたが、自分に真正面から喧嘩を売っているオカルトの妨害が続いている。昨日の妨害で建設が一からやり直しになった以上、アジトの建設を安定的に進める為にもオカルトの首謀者を叩いてからの方が無難に進められるからな。お前らは役立たずだしな」

 

まあ、それが妥当だよな。積極的な妨害がまだ続く以上、悪行ポイントの無駄な消費を抑える為にも元凶を叩いてからの方がいいしな。

今朝だって、ゾンビの軍勢がキサラギ領土内を徘徊してたし。それ見た六号達は真っ先に逃げ出したし。

 

「そもそもゾンビの首謀者って誰だよ?」

「一番可能性が高いのはオレが殺った魔王軍四天王のアイツだろ」

 

《地》のナントカなら、条件全部当てはまってるし。

 

「四天王?ハイネとラッセル以外で誰かいたっけ?」

 

案の定、六号は綺麗さっぱり忘れていた。六号は忘れてても問題ないから無視するが。

 

「自分はソイツが幽霊という、科学の結晶たる自分に喧嘩を売る存在になったとは信じてないがな」

「そこは超能力で地面に残留思念を残したとは考えないんだな」

 

アリスは本当にオカルト方面を信じないよな。全裸少女の言葉も信じてなかったし。

後、お約束の如く全裸少女の言葉はアリスはおろか六号にさえ分からなかった。アリスと六号曰く、オレが一人で喋ってるようにしか見えなかったそうだ。

 

「なあアリス。その四天王って誰―――」

「というわけで、現在進行形で役たたずのお前らはソイツを見つけるまで、どっかで適当に悪行ポイントでも稼いでおけ」

「おい!?無視すんなよ相棒!!」

 

アリスにスルーされた六号は詰め寄るが、当の本人は無視して話を続けていく。

 

「なんならアンデッド祭りとかいうふざけた催しの準備の妨害でもいいぞ」

「「「「「「「「「「無理(にゃ)」」」」」」」」」」

 

アリスの言葉に六号とトラ男はもちろん、他の戦闘員達も一斉に口を揃えてそう言った。

 

「あ?何で速攻で無理と言ってるんだ?悪の組織の―――」

「だってその祭りでクロスブレードマンが店を出すんだろ?」

「祭りの妨害はクロスブレードマンの妨害に繋がるだろ」

「最強ダークヒーローに真正面から喧嘩売るとか、本当にごめんだぞ」

「クロスブレードマンに挑むメリットもまったくないしな」

「アリスにゃん。俺様たちにも不可能なことがあるにゃんよ」

「理由もなく絶対に勝てない男に歯向かう気はないからな」

「……ああ、そうだったな。クロスブレードマンはふざけた催しに参加するんだったな……チッ」

 

露骨な表情で舌打ちしたよ、このロボット。どんだけ忌々しく感じてるんだよ。

そんな訳で、アジト建設が中断となって各自解散の流れとなる。

 

「ラッセルにゃん。久々のメイド服にゃんよ」

「嫌だぁああああああああ!!」

 

向こうで家事をしていたラッセルはトラ男に連れて行かれたが。

そしてオレはロゼの案内でグリムがいる兵舎の部屋に来たのだが……

 

「……まだ復活してないのか」

「そうみたいですね。まだ魘されてますし」

 

あれから数日経ってるのに、グリムはまだ魘されていた。

 

「おい起きろ、グリム」

「うう……私は……謙虚な信徒……」

 

オレはグリムの頬をペチペチと叩くが、グリムは魘されまま起きる気配はない。

 

「ちょっ、副隊長!?なんで剣を抜いてるんですか!?」

 

ロゼが驚いているが、オレは構うことなくカラフルセイバーに黄色のカードを差し込む。

 

『セイバーカラーチェンジ!ライトニングカラー!!』

 

カラフルセイバーの刀身が黄色く染まり、電気をバチバチと弾けさせていく。

 

「ふ、副隊長?まさか……」

 

オレが何をするのか察してか表情を引き攣らせたロゼを尻目に、オレは電気を纏ったカラフルセイバーをグリムの頬に当てた。

 

「わきゃあっ!?」

 

バチッ!という音と共にスッ頓狂な声を上げてグリムの体は飛び上がる。

 

「はっ!?ここは一体―――」

「ようやく起きたか」

 

オレの言葉で気づいたのか、グリムは目をぱちくりさせながらオレとロゼの方へと顔を向けた。

 

「えっと……副隊長にロゼ?何で二人が此所にいるの?」

「お前にようがあったからだ。それで?どこまで覚えている?」

「えっと……ゾンビたちを解放してあげたとこまでは覚えてるけど……何が原因で死んだの?」

 

…………。

 

「そのゾンビを解放した際に、お前は自身の不死の加護も解いてしまったから死んだんだよ」

「え?副隊長は何を言ってるの?私がゼナリス様の加護を自分から解くなんていう、そんな間抜けな行いをするわけないでしょ」

 

グリムの表情は冗談でも何でもなく、本気でそう言っている。

……グリムもバカだった。

 

「……今回の復活の際、お前の幼馴染みからのラブレターも供物に捧げられても危なかったんだぞ」

「…………………………………………え?」

 

長い沈黙からのグリムの第一声がこれだった。

そして、呆けた表情からすぐに鬼気迫る表情となり、自分の部屋を隅から隅まで荒らし始めた。

おおう、黒いエロ下着や不気味な人形、ハンカチ等がポンポン飛んでるな。

 

「ないないない!本当にない!?子供のころの幼馴染みから貰った大事なラブレターが!?」

「ちなみに持ち出したのはロゼな」

「ロゼェエエエエエエエエエエッ!?」

 

犯人がロゼだと知ったグリムは、般若のような表情でロゼへと詰め寄った。

般若って悲しみを誤魔化す怒り表情だったけ?まさに今のグリムにピッタリだ。

 

「何で大事なラブレターをゼナリス様の供物に捧げたのよぉ!?」

「だって……死んだのがあまりにもアレだったので、いつもの供物で復活するか怪しかったから……実際、ラブレターを捧げても復活しなかったし……」

「本当に私、ゼナリス様の加護を自分で解いてたの!?そのせいで、そのせいで…………うわぁああああああああっ!!」

 

グリム、完全に泣き崩れたな。これじゃ要件をすぐに伝えられないぞ。

……仕方ない。グリムが泣き止むまで待つか。

―――四時間後。

 

「……落ち着いたか?」

「グスッ……ええ」

 

まさか四時間も泣き続けるとは思わなかった。精々一時間ぐらいと思っていたのに……

 

「それで?副隊長たちは何の用で私を起こしたの?」

 

お、グリムから本題に切り出してくれたか。

 

「そのゾンビ絡みで問題があったんだよ。昨日、またゾンビの群れに襲われてな」

 

オレはそう言って、昨日の出来事をグリムに至極丁寧に説明していく。

 

「……《魔の大森林》そのものを服従させるとか、副隊長は本当におかしいわね」

「ですよねえ。蛮族たちもその力で叩き潰すどころか、働かせましたし」

 

グリムはおろか、ロゼにさえ呆れられているが今は放置だ。

 

「で、その全裸少女が言うには、ゾンビたちはオレに強い怨みを持つ魂に操られていたそうだ。その魂にオレは一つしか心当たりがないんだが?」

 

オレがそう言うと、グリムは露骨にオレから顔を逸らした。

 

「おい、グリム。顔を逸らすな。お前はあの時言ったよな?復活の心配はないとか、自我ももって二、三日程度だって」

 

オレはグリムの頭に手を置いて、強引にこちらへと向かせようとする。しかしグリムは目を逸らして頑なにオレを見ようとしない。

 

「確かに言ったけど……そこまで強い怨念だったとは思わなかったのよ……でも、ゼナリス様の力が強まるアンデッド祭りが終わる頃には神殿にある灰も浄化仕切れるから……そもそも灰だけじゃアンデッドにすらなれないし……」

「本当に断言できるのか?面倒な形で復活とかしないよな?」

「面倒な形……」

 

そこでグリムは何かに気づいたようにハッとした表情となる。

 

「その表情、心当たりがあるんだな?」

「……あくまで推測なんだけど、《地》のガダルカンドが死んだ場所は大地の上に他の魔族や王国の兵士も大勢死んだでしょ?」

 

は?何故急に当たり前のことを聞いてくるんだ?

 

「土属性の魔法使いなら、不浄の大地と繋がれて……ガダルカンドや大勢の魔族、王国の兵士たちの血が染み込んだその大地に、浄化中の例の灰をばら蒔いたら……」

「ばら蒔いたら?」

「トンでもない土塊のゴーレムとして復活するかもしれないわ。下手したらアンデッドより面倒な存在になるわ」

 

……マジで?

 

「……本当にそんな形で復活するの?」

「あくまで可能性としてね。伝聞のみだけど、過去に魂や怨念を利用した外法と呼べる魔法が存在してたみたいだし」

 

ロゼの疑問にグリムが真顔でそう答える。

魂や怨念を利用した魔法が外法……か。

 

「呪いも外法の気がするんだが……」

 

呪いは大抵禁忌や外道の類として扱われるし。

 

「ゼナリス様の呪いはそんな外法と全然違うわよ!」

 

グリムが真っ向から反論するが、違いを説明しないからどう違うのかわかんねぇよ。

ま、そこはどうでもいいけど。

 

「取り敢えず、グリムにはソイツを探し出して欲しいんだよ。このままじゃ妨害が続くからな」

 

早く取り除いてアジト建てて個室でゆっくりしたいしな。

 

「もちろんよ。ソイツのせいで私は大事なラブレターを失ったんだから……!!絶対に帰ってきたことを後悔させてやるわ……!!」

 

おおう、めっちゃ髪が逆立ってるな。しかも目も紅く光ってるし。

 

「取り敢えず、二人にこれを渡しておくわね」

 

グリムはそう言ってオレとロゼに不気味な札を数枚手渡す。

 

「これは?」

「悪霊を封じ込める札よ。これを依り代に貼ればソイツはその依り代から脱出できなくなるわ。もちろん自力で剥がすことも不可能よ」

 

なるほど。幽霊の定番の離脱手段を封じる札か。

 

「念のために神殿の警備体制を強化しておくように伝えておくわ。神殿はアンデッドや幽霊が足を踏み入れた瞬間に警報が鳴るからすぐに気付けるけど、可能性は全部潰しておかないとね」

 

確かに。もし警報が不具合起こして鳴らなかった時に、警備員がいませんでしたじゃアウトだからな。

後は見つかるまでは祭りに開く店の準備でもしとくか。

ちなみに浄化の祈りの時間も倍となった。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

まったく、本当に最悪だ。

俺様の灰が入った壺がある神殿の警備がいきなり厳重になりやがった。アイツら、俺様に感付きやがったな?

奴らへの復讐でゾンビ共を操ってけしかけたのは、完全に失敗だったな。

連中の家を爆破した時は本当にスカッとしたから、それに乗じて更に苦渋を呑ませてやろうと思ったら逆に呑まされる結果になっちまった。

俺様を殺したクロスブレードマンが俺様の存在に気付いて斬りかかった時は焦ったが……依り代のぬいぐるみを捨てて土塊に移って上手く撒くことができた。

しかし、《魔の大森林》があれほど切り倒されるとは……クロスブレードマンの実力は本当に底が知れねぇな。

だが……俺様には秘策もあるし、その為の準備も行っている。

それらが上手くいけば……俺様は死ぬ前より遥かに強くなって復活できる。

その力で、クロスブレードマンをあの雑魚どもと裏切った小僧共々葬ってやる。

その時が今から楽しみだぜ。ゼハハハハハハハハハ!!

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「……………………」

 

……これは一体全体、どういう事なんだ?

 

「……副隊長さんの畑が、ものの見事に荒らされてますね」

 

隣にいるフレアの言葉通り、今まで丹精込めて育ててきた作物たちが見るも無惨な状態になるまで荒らされていた。

トマト等の野菜は全部踏み潰され、畑はそこかしこが掘り起こされてサツマイモも大根もボロボロ。生分解製らしきキサラギビニールも破かれて中の苗もズタズタだ。

 

「だ、誰がこんな命知らずなことを……」

 

野菜欲しさに付いてきたロゼは声を震わせてそう呟くが、犯人が誰かなんて…………状況から考えて奴しかいないじゃないか。

荒れ具合からして、数時間前と見ていいだろうし。

 

「……ちょっとラッセルのところに行ってくる」

「「副隊長(さん)!?」」

 

ロゼとフレアが何故か驚愕の声を上げているが、オレは構うことなくキサラギのテントエリアで家事をしているであろうラッセルの下へと向かっていく。

案の定、ラッセルはメイド服姿で洗った洗濯物を干しているところであった。

 

「ラッセル」

「……ク、クロスブレードマン様?何でそんなに怒っているのでしょうか……?」

 

オレを見て涙目で震え始めたラッセルに構うことなく、オレは要件をそのまま伝える。

 

「話がある。少し顔を貸せ」

「……ハイ」

 

ラッセルは涙目のまま頷いたので、オレはテントエリアから少し離れた場所で仁王立ちの姿勢で話し始める。

 

「オレの畑が徹底的に荒らされていた」

「えっ!?」

 

オレのその言葉にラッセルがめっちゃ驚いているが、オレは構うことなく話を続けていく。

 

「そして現在、怨霊となったガダルカンドが暗躍している可能性が浮上している」

「ガダルカンドが怨霊!?いや、アイツ程の実力なら……」

 

ラッセルは驚き半分、納得半分の顔をしているが、本題はここからだ。

 

「以上の状況から畑を荒らした犯人はガダルカンドの可能性が非常に高い。オレが言いたいことは……分かってるよな?」

 

オレのドスを効かせた声に、ラッセルはガクガク身体を震わせながら頷いた。

 

「も、もちろんです!ガダルカンドに接触されてもアイツには一切協力しません!ボクはこの件に関しては不干渉を貫きます!」

 

ウンウン。オレが言いたいことがちゃんと伝わっていて何よりだ。追い付いたロゼとフレアが何故かドン引きしつつ憐れんだ視線を敬礼を決めているラッセルに送ってるけど。

 

「……本当に色々と捨てているんですね。てっきりそれに乗じて脱走すると思ったんですが」

「そんな事したらボクは間違いなくクロスブレードマン様に殺されるよ!ハイネやロータスなら悩んでいたけど、ガダルカンドならそんな余地はないからね!!」

 

当然だろ。オレの畑を徹底的に荒らした野郎に協力するのは万死に値するからな。

 

「あたしが言うのも変ですけど……仲間を見捨ててません?」

「ガダルカンドは確かにボクたちと同じ四天王だけど……あまり良い奴じゃなかったからね。実力があるからそこそこ慕われていたけど、印象自体はあまり良くなかったからね。ハイネもアイツには距離を取っていたし」

 

どうやらガダルカンドは同じ四天王からあまり良く思われていなかったようだ。

 

「ガダルカンドって人望が無かったんですね。実際、部下を捨てゴマにして副隊長さんから逃げたようですし」

 

「そうなんだよね。仲間をあまり大事にしないから、戦死してすぐに周りがロータスを新たな四天王に推したからね。

 

魔王様もその声に応えてロータスを新たな四天王に任命しようとしたけど、当の本人はそれを辞退しちゃったけどね」

 

ラッセルがそう言った瞬間、ロゼとフレアのジトッ……とした視線がオレに突き刺さった。

あ、そういえば。

 

「そっちの《風》の何とかって奴は今どうなってるんだ?こっちの勇者と同じ、行方不明のままか?」

「…………?……………………。…………すっかり忘れてたけど、ファウストレスは依然として行方不明のままだよ」

 

憐れファウストレス。同じ四天王に忘れられていたとか。しかも思い出すのに時間も掛かってたし。

 

「何で忘れてたんです?《風》のファウストレスもガダルカンドと同じ……」

「違うよ。魔王軍の被害が甚大で、再編するのに大忙しだったから純粋に忘れていたんだよ。王国を落とす為の軍勢が半分以上消えたからね……あの一月の停戦は実は魔王軍としても本当に都合が良かったんだよ。だからハイネとロータスも魔王様からも基本お咎め無しだったし」

 

ああ、そういえば当時の向こうの認識では最大の障害が勇者の王子さんだったな。

そいつがファウストレスの奮闘によっていなくなっていざ総力戦!と意気込んで攻めたら、大打撃を受けて撤退だったからな。

 

「あのー、何故他人事の雰囲気を発してるんですか?」

「それ、間違いなく副隊長が原因ですよ。一人で魔王軍を半壊させたんですから」

「ボクは最初、王国の連中が汚い手段で追い詰めたと思ってたんだけど……今は大間違いだと断言できるよ」

 

あーあー、知らない。オレは知らないぞ。

 

「ひとまず店の準備だ。メニューは野菜炒めに串焼、ステーキにソーセージだからな」

 

ソーセージの中身の肉はモケモケ、袋は……ムピョコピョコの腸で代用した。

そんな現地ソーセージの試作を六号は旨そうに食べた。出所聞かれて黙秘したら吐きそうにしていたが。

ちなみにロゼ達にも現地ソーセージは好評だった。

……そういえば。

 

「ロゼ的にゴロゴロは大丈夫だったのか?見た目は虫だったんだが」

「?副隊長は何を言ってるです?ゴロゴロは昆虫じゃないですよ?」

「そうですよ副隊長さん。ゴロゴロは虫ではないです」

 

ああ、ゴロゴロの内側は肉がたっぷりだったな。つまり、ゴロゴロはダンゴムシじゃなくてアルマジロのようなものなのか。

見た目は本当にダンゴムシだけど。

 

「これで卵もあれば文句なしなんだが……」

 

この惑星の鶏の卵に相当するものは見つかってないからなぁ……

 

「卵?食べれる卵ならササッキーの卵ですね。希少なので高級品ですけど」

 

あるんかい。あるならもっと早く言えよ、フレア。

 

「ササッキーですか……アレの肉って焼いても不味いんですよね」

「加えて気性も荒いしね。魔王軍も一度飼育したけど飼育小屋を何度も破壊した上に、飼育していたオーク達を何度も攻撃したから二月で飼育を諦めた経緯があるんだよね。卵は毎日産んでたけど」

 

荒い気性と肉は食用に向いてないのを除けばまんま鶏だな。

 

「ラッセル。一度飼育してたと言ったな。ササッキーは何を食べるんだ?」

「ササッキーは雑食です。野菜だろうが肉だろうが虫だろうが何でも食べます。食い溜めする性質なので満足いくまで食べさせれば、一月は飲まず食わずでも生きていけます」

 

雑食なら餌代も何とかなるかもしれないな。

 

「生息圏は?」

「この時期であればテザン砂漠を滑空しています」

 

怪獣巨大モグラの縄張りを飛んでいるのか……よし。

 

「今からそのササッキーを捕まえに行こう」

 

その瞬間、三人はやっぱりと言いたげな表情となった。

 

「……分かってました。副隊長さんなら絶対に捕まえに行くと」

「ササッキーの嘴は本当に鋭いですし、場所も場所なので行きたくないんですけど……」

「連れて行くのはラッセルと運転役のアリスだけだ。二人は店の組み立てでもしといてくれ」

「「ええー……」」

 

何で露骨に嫌そうな顔するんだよ。特にフレア、お前はバイトで雇ってるだろ。

……仕方ないか。

 

「金貨十枚のボーナスに白ゴロゴロの肉」

「任せてください副隊長さん!」

「屋台の組み立ては任せてください!」

 

ホント現金だな、お前達二人も。スノウに負けず劣らずだぞ。

後、白ゴロゴロの肉は普通のゴロゴロの肉よりも美味かった。甘く蕩ける肉汁が本当に絶妙だったからな。

そんなわけで、ササッキーに興味を抱いたアリスと案内役のラッセルと共にテザン砂漠へと向かうのであった。

 

 

 




プロフィール

============
ラッセル

Ver.2

キサラギ捕虜。
トラ男によってメイド服姿で仕事をする羽目となった女装キメラ。
現在は本能に従い、聞かれたら何でも話すレベルでクロスブレードマンには素直に従うようになった。
現在は魔王軍への帰還か、捕虜の立場に甘んじるかの二択で揺れ動いている状態である。
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