転送先が死後の世界→異世界だった件   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


ブラック企業再び

輸送部隊を殲滅し、奪った物資や()()()、顔が潰れたグリムの遺体?を載せた台車を引っ張りながら帰還する中、改めてグリムについてスノウが説明していた。

 

「グリムは知る人ぞ知るゼナリスの大司教。ゼナリスは不死と災いを司る太古の邪神だ。その祭壇にグリムと供物を置いて放置していれば勝手に生き返るんだ。その辺りも履歴書に書かれていた筈だが?」

「……討伐数と戦果しか見てませんでした」

 

スノウの呆れにオレは顔を背けてそう言葉を返す。

だってその後のインパクトが強すぎて詳しく確認するのは見事に飛んでいたんですから。ああ、穴があったら入りたい。

そこでふと、オレはある可能性に気づく。

 

「……なあ、その蘇生って制限はあるのか?」

「供物と祭壇さえあれば何度でも甦るぞ?」

 

何度でも蘇る……つまり……

 

「グリムの討伐数が多いのは……危険地帯に何度も放り込んだからか?」

「……ああ。ロゼも魔物の血が流れているからグリム共々、常に無茶な扱いばかりを受けているんだ」

 

この国の騎士団は気にくわない隊員を使い潰すブラック企業だった。

 

「ちなみにロゼの扱いは?」

「単騎で敵の部隊に突撃してこいとかだな。言ってみればほとんど使い捨てだ」

 

典型的なブラック企業だった。真の敵は魔王軍ではなく王国の上層部だった。

 

「……この国には、相対的に俺が清く正しく善い奴に思えるくらいのクズがいるんだな」

「そうだ。貴様に匹敵するくらいのクズが、この国には蔓延しているのだ」

 

六号が沁々と呟き、スノウが六号を酷評しながら同意しているが今はどうでもいい。

今は騎士団のブラックをなんとなすることが重要だ。

 

「よし。待遇改善の為に今すぐ上と物理で交渉しよう。ついでにそのクズも始末してやる」

「止めろ!そんなことをされたら私の立場がもっと危うくなる!!」

 

オレが剣を抜いて上の連中と交渉すると告げた瞬間、スノウが全力で止めにかかってくる。

どうして止める?人を家畜のように扱う奴は排除すべき害悪だろ。

キサラギ?確かに悪の組織だがあっちは使い潰しはしないだろ。

 

「あれは本気だな。声に凄みを感じる」

「ずっとブラック企業に酷使されていたから当然だろうが、ここで暴れられるとキサラギにとっても不都合だな……おいクロスブレードマン、物理交渉は止めておけ」

「断る。味方を捨て駒にする奴はすぐに排除するべきだ」

 

アリスの制止の言葉をオレは仁辺もなく却下するも、アリスはバカを見る目で話を続けていく。

 

「まあ、聞け。物理交渉に持ち込んでも周りに抑え込まれるのがオチだ。順調に手柄を立てて相手の立場を崩してここぞで蹴落とせば…………爽快だろ?」

 

……………………。

 

「確かに爽快だな。よし、その提案に乗ろう」

 

オレとアリスはがっちりと握手を交わす。ブラック上層部の撲滅の為にキサラギと手を組むのが最善だ。

 

「クロスブレードマンも腹黒だな……だが、いいぞ。そのまま奴らを蹴落としてくれ」

「副隊長の悪い表情が浮かんで見えます……」

 

そこ、うるさいぞ。お前達にも十分益があるからいいだろ。

オレへの評価が微妙?に下がりつつも城へと帰還すると、既に本隊の騎士団が帰ってきていた。

 

「いくらなんでも早すぎないか?こっちは補給物資パクったり、手柄の証拠品も回収していたから時間が掛かったとはいえ」

「加えて人数も出発前と比べて少ないぞ。それにほとんどの奴が怪我を負ってるし」

「これは完全に負けて帰ってきたな。だが、これは好都合だ」

 

台車に乗っていたアリスはそう言うと、六号へと顔を向ける。

 

「六号、誰か偉いヤツを捕まえて手柄を勝ち誇ってこい。お前らは無様に負けて帰って来たが、我々の作戦の成功により、敵はこの地に留まれず撤退するだろうと報告して、たっぷり恩を着せてやれ」

 

うわぁ、凄い追い討ちだな。だが、これは必要なことだ。ブラックな上層部を潰す為にな!!

 

「任せろ!思いっきり恩に着せて、ついでに四天王の一人を足止めし、もう一人には手傷を負わせたのに、お前らはなんてザマだと罵ってやるぜ」

「証拠の品も持って帰ったから、今から悔しがる顔を見るのが楽しみだ」

「……ず、随分とゲスな所業だが……そういうのは嫌いじゃないぞ。むしろ大好きだ。失態を犯したエリートをネチネチ追及するのは最高に楽しいからなあ」

 

……スノウもだいぶ歪んでるなあ。絶対周りに敵を多く作ってるな。

 

「ええい!なんと言う体たらくだ!!貴様らが使えんせいで私まで無能扱いされるではないか!!」

 

お、お偉いさんであるハゲのおっさん発見。早速報告するか。

 

「よお、おっさん。随分と威張り散らしてるな?」

「貴様らは……見ての通り私は忙しいのだ。報告なら手短にしろ。もっとも、野良犬二人と下賎な騎士、ロクでもない女子供ばかりの小隊の報告など、高が知れてるがな」

 

めっちゃ見下してるなこのおっさん。スノウもこめかみをピクピクさせてるし、仕返しに盛大に罵ってやろう。

 

「そのロクでもない小隊が魔王軍の輸送部隊を壊滅させたんですー」

「本隊が真正面から魔王軍にぶつかり、無様に敗北している間にな」

「輸送部隊?そんな部隊を壊滅させて一体何になると言うのだ?」

 

このおっさん、確か参謀の地位にいたよな?輸送部隊が潰された意味を理解できないのか?

 

「おっさん本当に参謀なのか?参謀なら輸送部隊の重要性は理解してるんじゃないのか?いや、理解してないから正面突破しかやってこなかったんだろ?」

「な……!?貴様、我らを愚弄する気か!?」

 

六号の煽りにおっさんは怒りを露にするが、本当に理解できていないようだ。こんな頭で本当によく参謀が務まるな。

それともアレか?手柄の横取りでその地位に上り詰めたのか?

そんなおっさんに六号が本当に嫌らしい表情で丁寧に説明を始めていく。

 

「物資を断たれれば、魔王軍の連中は飲まず食わずで戦闘を続けなければならなくなる。食料はどこの戦場でも生命線だからな。無理に本陣へと攻めこむのもリスクが高いくらいは、バカなおっさんでも理解できるだろ?」

「ぐぐぐ……し、しかし!我らは魔王軍四天王の一人に深手を負わせたのだ!お前達が卑怯な真似をしている間にな!!」

 

六号のその言葉におっさんは唸りはしたが、すぐに笑みを浮かべて自分達の戦果を突きつけてくる。

四天王の一人に深手を負わせた?へー、凄いデスネー。

 

「その魔王軍四天王って、《地》のガダルなんとかってやつか?」

 

胡散臭そうに六号がそう聞くと、ハゲのおっさんは我が意を得たといった感じの得意げな表情となった。

……このおっさん、平然と嘘をついてきたよ。ソイツはオレが深手を負わせたやつなのに。いや、この手柄はオレ達の隊としての手柄にしてるからそこまで重要じゃないけど。

 

「ふっ、その通りだ!我々の奮闘で―――」

「ソイツの片腕を斬り落とした、とか言わないよな?手柄の横取りってマジないわー」

 

鼻くそほじりながらの六号の言葉が図星だったのか、ハゲのおっさんは言葉を詰まらせる。そんなハゲのおっさんに六号は更なる言葉の追い打ちをかける。

 

「そのガダルなんとかってやつは既に片腕喪った状態だっただろ。ソイツも俺達の部隊が深手を負わせたんだからな。ちなみに証拠はこれな」

 

六号はそう言って台車に積まれていたガダルカンドの腕を掴むと、ハゲのおっさんの前でこれ見よがしに掲げた。

 

「な、な、な……!」

「ちなみに腕だけじゃなく、ソイツの折れた角と真っ二つになった金棒もあるぞ?俺の報告とおっさんの報告……どっちを信用するだろうな?」

「ぬぐぐ……!」

 

六号の嫌ったらしい台詞におっさんは悔しげに唸る。

ちなみに持ち帰りはアリスのアイディアだ。証拠があればより恩を着せれるからとわざわざ回収させられたのだが……見事に役立ってくれた。

アリス、グッジョブ。

 

「俺達のおかげで、無能なお前達が負けても連中は撤退せざるを得なくなったんだから、目一杯感謝しろよ?おっさん」

「ぐぅううううう……ッ!!」

「ついでに手柄の横取りしようとした件は、姫さんに報告させてもらうおうか?何せ、人の戦果を恰も自分達がやったようにしようとしたんだからな?無能なおっさんに任せていたら有ること無いこと言いそうだからなあ?無能で姑息だと本当に苦労するよ」

「……むぐぁああああああああああああッ!!!」

 

おっさんは涙目となりながら茹でタコのように顔を真っ赤に染めて唸り声を上げると、苛立ちを発するようにがに股のような足取りでその場を後にしていった。

 

「いやぁ、あのおっさんの悔しがる顔、マジで爽快だったな!」

「ああ全くだ。見ていてスカッとしたぞ六号!」

 

そう言っている六号とスノウはゲスい表情をしている。本当にこういうのが好きなんだな……オレもだけど。

 

「あれだけ言われたら嘘の報告は出来ないだろうな。此方は証拠もあるし、裏付けを取られたら不利になるのはあのおっさんだからな。ククク……」

 

せっかくだからその場で土下座させたら良かったかな?いや、それは次の機会でいいか。

 

「にしてもあのおっさん、自分の保身しか考えない姑息な卑怯者の匂いがするな」

「加えて、使い潰しを嬉々としてやるタイプと見た。自分の手は直接汚さずに相手を蹴落とす……そんな小物だな」

 

あのおっさんは国への忠誠心とか皆無だろ。単に贅沢な暮らしがしたいだけで、いざとなればあっさり魔王軍に降る筈だ。

ああいうのがブラック企業を生み出す元凶になるんだ。

 

「六号お前……自分を客観的に見たことがないのか?」

 

スノウ。それ、お前もだからな?自身の保身の為にオレ達をスパイ呼ばわりしたことは忘れてないぞ?

そんな感じで報告を終え、グリムを復活させるべくスノウとロゼの案内で件の祭壇へと向かっていく。

怪しげな祠。内部には石造りの祭壇と不気味な調度品の数々。うん、見事なまでの禍々しさを感じる場所だ。

その中央の祭壇にグリムの遺体を安置すると、ロゼがボロボロのぬいぐるみや割れた手鏡や皿、挙げ句の果てには穴が空いた靴下を祭壇の上へと並べていく。

 

「よし……祭壇にグリムと供物を置いたし、夜には勝手に蘇るだろう」

「え?」

「……これが供物?」

 

明らかにガラクタとしか見えない供物の数々に、オレは信じられない思いで呟く。

供物って普通、もっとちゃんとした物じゃないのか?丁寧に拵えた布とか精巧に作られた人形とか。

六号も信じられないように靴下を掴んでいる辺り、オレの認識は間違っていないだろう。

 

「これらは人の大事な想いや執着の篭った品々だ」

「あたしの大事な靴下ですー」

 

完全に捨てるものだよな?ロゼが供物として置いた自身の靴下は消耗品の筈だし。

ガラクタと同価値の命って……本当に雑な上に酷すぎないか?いや、先っちょに穴が空いただけならまだ使えるからまだマシか?

 

「さて私は部屋に戻る……前に新しい剣を新調しに行かないと」

「あたしも補給物資を食べちゃいます!」

「自分もコイツの手入れをしてくるかな。お前らは?」

 

それぞれが祭壇を後にしようとするが、オレと六号は互いに顔を見合わせてからこの場に残ることを決める。

そうして一時的に分かれる際―――

 

「そうだクロスブレードマン。例の保護の結果が来たから、この報告書に目を通しておけ」

 

アリスはそう言って、例の偽装工作の結果の書類を渡してからスノウとロゼに付いていった。

報告書には……

 

「……何本当のことを明かしてるんだよ」

 

今回の偽装工作の裏の理由を両親にバラしてやがった。

いや、理由も色々と感付かれたから仕方なくとあるけど、悪の組織なら最後まですっとぼけろよ。

 

「ん?手紙?」

 

報告書に挟まれていた一枚の封筒の存在に気づいたオレは、封を切ってその中身を確認する。

最初は両親の手紙かと思ったが……

 

「何で果たし状を混ぜてんだよコラァ!?」

 

あの軍服コスプレ女からの物騒な手紙と分かり、速攻でその手紙を地面に叩きつけた。

 

「ん?べリアル様からの手紙か?何々……」

 

六号がその手紙を拾って内容を確認していく。

確認を終えた六号はあらかさまに不機嫌な顔となっていた。

 

「なにこの熱烈なラブコール。マジで羨ましいぞコラ」

「これのどこがラブコールだ!?バトルコールの間違いだろ!?」

 

だって『勝ち逃げは許さない』とか、『必ず決着をつける』とかあるんだぞ!?普通に恐いわ!!

しかも挙げ句の果てには『この《業火》のべリアルと雌雄を決する為に戻ってこい』だぞ!?何の為にブラック企業のある地球から逃げたと思ってるんだ!?

 

「ていうか、何でこんなにオレに執着するんだよ!?」

「そりゃお前が強いからだろ。べリアル様もお前との戦いは本当に楽しみにしていたようだし」

「強い相手なら他にも―――」

「お前より強いヒーローはいないだろ。デストロイヤーすら単騎で仕留めたんだからな」

 

それも減給と罰金でやる以外の選択がなかったんだよクソッタレ!!減給と罰金がなけりゃ真っ先に逃げてるわ!!

 

「それもその剣一つでだからお前も色々とおかしい」

「正規のレーザー銃のエネルギーカートリッジやミサイルの弾頭は全部自腹と言われたんだぞ?激しい消耗品は金食い虫にしかならないだろ。タダだったのは試作品の武器本体とこの戦闘服だけだし」

「正義のヒーローの正規の武器が自腹……給料が子供の小遣い程度なのに自腹……本当に酷すぎるだろ……」

 

そんな感じで時間を潰しつつ過ごしていると、夕日が沈んで夜になっていく。

 

「……綺麗だな」

「そうだな……」

 

大量の星が煌めく夜空を眺めながらのオレの感想に、同じく夜空を眺めていた六号はあっさりと同意する。

ヒーロー時代は夜空を眺める暇なんてないほど働かされていたからな。

と、その時、グリムが置かれていた祭壇が光を放ち始めた。

 

「……光ってるな」

「ああ……しかも浮いてる」

 

目の前の超常現象に目を奪われていると、吹き抜けの部分から空に向かって眩い光が突き抜ける。

そして光が収まると……祭壇の供物が無くなっており、グリムは潰れていたのが嘘のような元の顔で起き上がっていた。

 

「……隊長に副隊長?そんなところで何やってるの?」

「……お前が蘇生するのを待ってたんだよ」

「本当に生き返るのか半信半疑だったし……起きて一人だけって言うのも何か寂しいからな。供物の一つが靴下だったし」

「供物が靴下……私の蘇生って本当に雑なのね……」

 

……これ、言ったらダメなやつだった?何度も生き返っているようだからてっきり使われている供物の種類くらいは把握しているものかと。

 

「今度から復活の供物はカップルの思い出の品限定にするように言っておこうかしら……?そのラブパワーで彼氏を……!」

「あ、これ大丈夫なやつだ」

「俺の同情を返せよ」

 

意外と強かなグリムにオレと六号は揃って呆れてしまう。そんなんだから男が寄ってこないんじゃないですかね?

そんなグリムに揃ってオレ達は呆れていると、急にグリムが真面目な顔となった。

 

「それにしても二人は変わってるわね。今まで私の復活を待ってくれるとか、そんな優しい人はいなかったわよ?」

「なんか、この国に来て初めて人として褒められてるみたいだな」

 

それ、お前自身の行動が原因だからな?例の『おちん○ん祭り』とか、守銭奴の胸揉みとか。

 

「ええ、褒めてるわよ?普通の人はゼナリス様を崇めているだけで嫌な顔をするのに、その上で何度も蘇る私に対してこうやって普通に会話してくれるし。ロゼの時も気にしてなかったわね」

 

インパクトで言えばキサラギの怪人や戦闘員が上だからなー。

性別問わずのロリコン虎怪人とか、女性の部屋で裸で大きい方を出そうとしていた変態戦闘員とか。それと比べればロゼやグリムはまだ優しい方だ。

ちなみにその怪人と戦闘員二人は黒いアンチクショウ並みのしぶとさで生き残っています。

 

「二人に忠告しといてあげるわ。私やロゼはそうそう死なないからいいけど、厄介者が集められたこの隊は、危ないところにばかり送られるの」

 

やっぱり騎士団はブラック企業か。バイト先のヒーローも何度も入れ変わっていたような気もするし、黒さで言えばクソ上司と同等か?いや、マトモな居住を与えているからまだマシか?

 

「そんなわけで。ここの隊は危ないからとっとと辞めて、この国を出た方がいいわよ?」

 

グリムはそう言ってオレ達を気遣うが、オレはまだ辞めるつもりはないぞ?

なんたってブラック企業だからな!こんな害悪を放置する方がよっぽど危ないだろ!!

 

「はあ?何言ってんのお前。コイツ以外は女だらけの隊員のハーレム部隊から離れるわけがないだろ?」

 

六号は下心満載でグリムの忠告を却下した。

 

「それに危ないのはこの隊じゃなくてブラックな上層部だろ。なら、その諸悪の根源を潰さないとな」

「ほ、本当になに言ってるの?この隊は、危険な最前線とか、捨て駒みたいな任務ばかり―――」

「こちとら敵が百単位で大勢いる拠点を一人で潰したり、城のような巨大な相手とこれも一人で倒したり、挙げ句の果てには超巨大グリフォンのような奴を何十体も同時に相手するような激戦を潜り抜けてきたんだぞ?」

 

しかもほぼ毎日だからな。稀に外国への応援にも行かされたしな……ミサイルのような乗り物で!直接!激戦区に飛ばされたけどな!!ご丁寧に不法入国で捕まらないように根回しまでして!!

帰りはさすがにジェット機だったけど。

 

「それに今日だって、お前を殺した魔王軍の幹部の腕を斬り落としてやったしな」

「そいつは味方を捨て駒にして戦場へと逃げたからな。それがなければ間違いなくコイツに殺られていたな」

 

オレと六号のその言葉に、グリムは驚いたように目を見開く。

 

「ふ、副隊長は本当に強いのね……普通は四天王クラスと対峙したら無事でいられることが奇跡なのよ……?」

「俺でもあの程度なら、万全状態での完全装備してれば五人は相手にできるぞ」

 

戦隊ヒーローは五人一組だからなー。オレは一人で怪人三ダースを相手にしたけど。

……中国で連日連夜でな!!

 

「……本当に二人は何者なの?」

「ブラックな職場を潰すことを掲げるヒ……剣士です」

 

思わずクセでヒーローと言いそうになったよ。もうホント、ヒーローとか二度とやりたくない。

そんなオレの即答にグリムは苦笑いしたが、すぐににこやかな笑みへと表情を変える。

 

「では今後ともよろしくお願いしますね」

「おう」

「ああ」

 

グリムの言葉にオレと六号は揃って頷く。

 

「ねぇ、この後よかったら……デートしない?」

「早く寝たいのでお断りします」

 

再び即答した瞬間、グリムがずっこけた。

 

「何でこんな良い女の誘いを間髪入れずに断るの!?何でなのよ!?ねえ!?ねえ!?」

「だって早く寝ないと朝早くから戦わされるだろ?睡眠は一番大事だからな」

 

深夜に寝て朝の五時に無理矢理起こされていたからなー。貴重な睡眠時間はなるべく確保したい。

 

「今日戦ったから明日は私達の部隊はお休みなのよ!!」

「マジで?」

「マジよ!!」

 

どうやら騎士団は正義の組織よりホワイトだったようだ。

 

「前のとこなんて、朝早くから夜遅くまで戦わされて……寝ていても夜中に叩き起こされてまた戦わされるし……休みなんて寝る時間くらいだったし……」

「俺は三日間徹夜でゲリラ戦やらされた後に、上司にパシらされたが……お前より本当に恵まれてたんだな……」

「ふ、二人も随分苦労してるのね。ひょっとして私やロゼより酷かったんじゃ……」

 

だって腐った飯を偽って支給していたんだからな。給料も子供の小遣い程度だし、超絶ブラック企業で間違いないだろ。

 

「それなら早く寝て惰眠を貪らないとな。一日中寝れるなんて至福の幸せだからな」

「……どっちにしろ寝るんだな」

「そうね……でも、今は同情の方が勝ってるわ……」

 

その後は地球の車椅子を取り寄せた六号とその車椅子に乗って猛烈なスピードで立ち去るグリムを見送り、星が煌めく夜空を見上げながら宿舎へ帰るのであった。

 

 

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追伸

身体には気をつけるんだよ。母より

別の惑星でも元気でな。父より

 

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プロフィール

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グリム

不死と災いを司る邪神ゼナリスの大司教。
その加護?により顔を潰されたくらいなら祭壇と供物があれば夜には生き返る。
ちなみに供物は人の思い出の品なら種類は問わない。

クロスブレードマンの評価:行き遅れの地雷女。
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