バカとテストとフラグ魔ーズ〜フラグ魔達の奮闘記〜 作:近衛龍一
あれから二日後。
昨日はA、Fクラスが順調に勝ったという報告を受けて、どちらが先にくるのだろうかと思っていた矢先、AクラスがFクラスを撃破したという報告も入ってきた。
現在宣戦布告が可能なのはAクラス…と一応僕たちFMクラスのみ。
ビクビクしていた僕たちに、ついにその時がやってきた。
バンッ!
大きく開かれたドア。
立っていたのは愛紗と鈴々、そして流琉。
「我々AクラスはFMクラスに試験召喚戦争を申し込みますっ!」
「覚悟するのだっ!」
「負けませんからね!」
バタンっ!
嵐のように訪れていなくなり、僕らに沈黙が訪れる。
や、ヤバイ……!
あの目は本気だった……!?
「お、おい明久、当麻……」
「わ、分かってるよ……」
「これはいよいよ……」
「「「負けられない……!」」」
これは人生で最初の生死をかけた闘いなのだと、僕たちは身を持って味わったのであった。
☆★☆★☆★
「いいかっ! 敵は三人だっ! 慌てずに1人ずつ見つけ出して囲んで倒せ!」
宣戦布告から1時間後。
いよいよ開戦した試召戦争。
とりあえず僕たちは時間稼ぎと戦況把握を兼ねてバラバラに逃走することにした。
どうせ真っ向から勝負しても勝てない。
ならば時間を掛けて戦おう、ということだ。
だけど思った以上に戦況は厳しく、フィールドが展開されている場所にいるAクラスの生徒の点数は僕の何倍も高かった。
まぁ自分で言うのもなんだが、僕は召喚獣の扱いに長けている方なので1人ぐらいは相手出来そうだけど、どこも複数名で行動しているので見つかると即死は必須だ。
「ここからどうしよ……。当麻や一刀とは連絡取れないしなぁ……」
携帯の使用が厳禁されている文月学園で戦争中の使用は最悪の場合退学ということも考えられる。
流石に一発レッドの行為をするわけにはいかない為、どうしようかと考えていたその時ーー
「おにぃーちゃん♪」
耳元で囁かれた甘ったるい声。
聞き覚えはないが、何故か寒気を感じた僕は、ゾクゾクっと身体を震わせた。
バッと後ろを振り向くと、そこに立っていたのは、緑髪のボーイッシュな女の子。
見覚えもなく、名前も分からない子だ。
「はろー♪ ボクの名前は工藤愛子って言うんだ。Aクラスに所属してま〜す♪」
突然の自己紹介。
まさかのボクっ子に驚きを隠せないが、そのノリのよさに流されそうになる。
「ど、どうも…FMクラスの吉井明久です……。…………って! Aクラス!?」
僕は更に彼女から距離を取り、壁に背を付ける。
まさかの敵クラスだと!?
たった今命を狙われているというクラスの人に会ってしまった……!
いや、待てよ…?
見た感じこの子は一人なんだし、もしかすると何とかなるか……?
「あ、心配しなくてもいいよ? ボクは吉井君を攻撃するつもりはないから♪」
「ということはこのまま僕を連れていって直接死刑を執行するつもり!?」
「あははっ! 鈴々が言ってた通り吉井君って面白いね♪ 普通は最初にそんなこと思わないよ?」
「で、では僕をどうするつもりで……?」
「どうもするつもりはないよ。ただ、皆が躍起になってAクラスに入れようとする人ってどんな人なのかなって思ったから一度会ってみようと♪」
「じゃあ見逃してくれるってこと……? それって助けてもらう僕が言うことじゃないけど後で怒られない……?」
「大丈夫だよ。寧ろボクが吉井君を倒すのは他の人にとって不都合だし」
「へ? どういうこと?」
「ん〜、あまり敵に教えたくないんだけど、まぁいっか。端的に言うと吉井君達を誰が倒したかによって君たちの内誰をAクラスに入れるのかを決めるつもりなんだ」
「………?」
「ありゃ、理解出来なかったかな? 要は吉井君をAクラスに入れたい人達がFMクラスの内2人を倒すことでボク達が勝ったときに吉井君をAクラスに入れるってことだよ」
「なんだって!?」
そんな勝負が裏で行われていたとは……‼
「だから皆にとっては獲物である吉井君をボクが倒すのは不都合ってわけ」
「ん? つまり工藤さんは僕らがAクラスに入ることにはたいした興味がないってこと?」
「そういうことになるのかな」
「ってことは工藤さんは僕ら三人に恨みがないってことだね」
「う、恨み……?………………あぁ、そういうことか。うん、そうだよ♪」
そっかそっか‼
じゃあ工藤さんは安全な人ってことになるのか。
「でも、折角だしタダで逃すってのもね」
「……と、言いますと……?」
「吉井君、ムッツリーニ君と仲いいよね?」
「ま、まぁ……」
「だったらさ、今度の土曜日ムッツリーニ君を駅前の噴水に呼んでもらえないカナ?」
「ムッツリーニを? 別にいいけど……」
「ありがと♪ これで取引成立だね♪」
「う、うん。じゃあ僕はこれで……」
「おっけー! それじゃ、よろしくね吉井君」
な、何だか不思議な人だな……。
工藤さんにそんな印象を抱きながら、僕はその場を離れ、戦場を移動するのであった。
「ふふっ♪ 噂通り鈍感だなぁ〜。まさか皆の好意を恨みを買ってるなんて思ってるなんてさ♪」