バカとテストとフラグ魔ーズ〜フラグ魔達の奮闘記〜 作:近衛龍一
カラン
「皆‼ 上条君を見つけたわよ‼」
「しまった! もう見つかった!」
私こと上条当麻は不幸である。
Aクラスの面々にバレないように隠密に行動を開始した矢先、何故か廊下に落ちていた缶を蹴って居場所がバレてしまったのだ。
くそっ。
一刀と明久のやつ、やけに別々に行動することを押してやがったがこうなることを予見してたな!?
「アイツがいるのね! 皆退いて!」
数人のAクラスのやつらの中から一人、威勢のいい女が出てくる。
そいつは俺のよく知っているやつで、俺の知っている中で最も俺を殺そうとしているであろうやつだった。
「覚悟しなさい! 逃がさないわよ!」
「くっ……! ビリビリがいるのか!」
「ビリビリ言うなっ! あたしは御坂美琴! いい加減覚えなさい!」
「怒るなよビリビリ。この間のことは謝るからさ」
「だからビリビリ言うなあぁぁぁー!」
御坂の叫びと共に御坂の召喚獣から電気が放電され、俺は召喚獣を下げて距離をとる。
相変わらず沸点低いな。
「大体謝ったところで許すわけないでしょうが!」
「何でだよ。お前が好きかどうか聞いてきたから答えたんじゃないか」
「アンタの認識変えてあげるんだから…! 貧乳には貧乳のよさが……って何言わせんのよ!」
「知らねぇよ!? お前が勝手に言っただけだろ!? つぅか俺にそう認識させてどうするつもりなんだ?」
「そ、それはその……アンタに………」
突然モジモジし始めて顔をほんのり朱に染める御坂。
後の方がゴニョゴニョと口籠って聞こえないが大したことではないだろう。
「まぁそんなことどうでもいいが、どうしたら許してくれるんだ?」
「そうね……。じゃ、じゃあ今度アタシの買い物に付き合いなさいよ」
「買い物? 別にいいが……」
「だ、だったら特別に許してあげる」
「そうか。それじゃあ俺はこの辺で」
「あ、うん。じゃあ……ってそういうわけにはいかないわ!」
ちっ!
今自然な流れで抜けられると思ったのに……!
やっぱり逃げるのは難しいのか……?
「いいだろ!? 見逃してくれよ!」
「そういうわけにはいかないの! 絶対にアンタをAクラスに入れてやるんだから!」
「それは何故でしょうか!? そんなに俺を殺したいのか!? それともお前はドSか!?」
「へぇ〜……。アンタは余程あたしを怒らせたいようね……!」
「なぜ!? 今俺怒らせること言いましたか!?」
「ウルサイわね! もうこの際ゴチャゴチャ言わずあたしに倒されなさい!」
そう言うが早いが御坂の召喚獣がコインを真上に弾く。
こ、これはヤバい!
降りてきたコインを指でこちらに向けて弾いた。
確かローなんとか力でコインを発射してどうかーーとにかく、この御坂がよく使う強力な攻撃である。
って呑気に説明してる場合じゃない!
俺は召喚獣の右手を咄嗟に前にだし、コインを受け止める。
キュィーン!
コインが手に当たった瞬間、電気を纏ったコインが消える。
これは俺の右手に宿る能力『
ビリビリの
ただし俺の場合召喚獣だけだなく自分にも宿っていて、この能力があるせいで自分の幸福ですら打ち消されているとか。
不幸だ……。
「相変わらず反則のような能力持ってるわね……!」
「ったく……いきなり打つなよ…」
結構ギリギリで危なかった。
とはいえ、状況が変わったわけではない。
早くこの場を切り抜ける術を見つけないと……。
「いたか当麻! ちょいと協力してくれ!」
「今こそ皆で頑張ろうよ!」
いかにビリビリを怒らせず、かつ俺に被害がないようにこの場を逃れるか考えているところで聞こえたのは一刀と明久の声。
「一刀! 明久! 今俺もちょうど困ってーー」
一緒に強力しようぜ! と言おうと思ってたのに。
なのにーーあいつらが青龍刀やら蛇矛やらを振り回してるAクラスのやつらを後ろに連れてきてるからーー
「こっちに来るな一刀! 明久! 俺を巻き込むんじゃない!」
ーー協力したくなくなったじゃないか。
「うっせぇ! さっき皆で協力してくれるって言ったよな!」
「そうだよ! 皆で不幸を分かち合おう!」
「不幸だ! 何で上条さんばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないんだ!?」
「そんなもんお前の右手のせいに決まってるだろうが! 今更そんなこと言うな!」
前方にはビリビリ。
後ろからは愛紗達。
まさに前門の虎、後門の狼とも言うべきであろうか。
これで完全に逃げ道を失ってしまった。
「今更どうこう言っても仕方ないだろうが。ここは力を合わせようぜ」
「分かった。頑張ろう」
「そうだね。とりあえず勝たないといけないし」
「よし、だったらまずは愛紗達から倒すぞ。御坂の攻撃は当麻で対応できる。やっかいなやつから倒すのが妥当だ」
「「了解‼」」
一刀の作戦に、俺と明久はグッと親指を立ててサムアップ。
「ご主人様‼ やっかいとはどういう意味ですか!?」
「酷いよご主人様‼」
後ろから聞こえる一刀への避難。
へぇ〜。ご主人様……か。
「一刀、いいご身分じゃないか。幸せ者だな」
「ご主人様だなんて羨ましい限りだよ。だからさ一刀ーー」
「「さっさと向こうに逝ってこいや」」
先ほどのサムアップをそのまま下に向け言い放つ。
この野郎。俺たちは生死を賭けてるっていうのに自分はモテモテかよ。
「違う! 誤解だ! あれは愛紗達が勝手に言っているだけで俺が言わせているんじゃない! だからその俺に向けた手をやめろ!」
む、この期に及んでまだ言い訳するのか。
もういい。こうなれば明久とだけでも同志を組んで闘うしかーー
「お兄ちゃんもいい加減覚悟するのだっ!」
「お兄ちゃん、ね。明久、お前そんな趣味があったのか。可愛い子にお兄ちゃんなんて羨ましいな。死ね」
「待って!? そんな自然に死ねって言わないでよ!?」
くそおぉぉぉーー!
俺には何も味方してくれないっていうのかよ!?
2人とも羨ましいすぎるっての‼
「へぇ……。あんたって鈴々みたいな子が可愛いんだ……。だったらさっさと死になさいこのロリコン野郎っ‼」
「ほら見ろ‼ 俺にはこのビリビリの攻撃しかないんだぞ!?」
「「いや、今のは全面的に当麻が悪いから」」
「どこがですか!?」
今の会話の中に御坂をおこらせるような発言はひとつも無かったはずだ。
なのに何で俺が悪いのだろうか。
さっぱり分からん。
「だあぁぁーー! まぁいい! もうすぐ俺たちに勝機が見えるんだからな!」
「何か他に策があるのか一刀!?」
「おう! たぶんもう来るはずーー」
「ご、御主人様大丈夫ですか!?」
「「死ね明久ーーもといロリコン野郎」」
「朱里!? というか今二人とも死ねって言ったよね!?」
当たり前だ。
鈴々のみならず朱里にまで、しかも今度は御主人様だと?
どこまで明久は羨ましいんだ。
「朱里! 代表であるあなたがどうしてここに来ているのですか!」
「はわわ! そ、それはご主人様が怪我をして大変だって…」
「くっ……! 朱里らしくない…! そんな情報に騙されるなんて……!」
「へっ! さっきムッツリーニにたまたま会ったときに俺の秘蔵の聖書3冊でガセを流してくれって頼んだんだ。あいつの流す情報はヤケにリアルっぽくなるからな」
「流石だよ一刀! エロ本3冊で手を打つなんて!」
「そうだよな! 自分のエロ本の中から3冊犠牲にするなんてよ!」
「へぇ…? ご主人様、そういう春書を処分するのはいいことだけど、裏を返すと3冊も持ってたってことだよね……?」
「それも当麻殿の発言から他にもまだ持っているようですね……?」
「明久、当麻! お前ら絶対わざとだろ!? 俺がせっかくオブラートに包んで聖書って言ったのに! しかも他に持ってることまでバラさなくていいだろ!? 何か恨みがあるのかよ!?」
いや、あるだろ。
ご主人様って呼ばれてるとかご主人様って呼ばれてるとかご主人様って呼ばれてるとか。
「一刀の犠牲は気にするな明久! 大将はそこにいる! 後は倒すだけだ!」
「了解!」
「気にしろよ!? つか俺の犠牲って完全に無駄じゃん!?」
さらばだ一刀。
安らかに眠れよ。