その後バカテス10.5が発売になり、それまで分からなかった名前が判明したので
その名前を使いました。
私の大ボケで土屋家は男兄弟ということにしたのですが、途中で妹がいることがわかり
妹はいない子扱いにしていましたが、出てきた以上はしかたありません出しましょうと、
書いた(書く予定の)作品です。
なんでいない子扱いされていたかの理由づけのためオリジナルとはかなり性格が
変わっていますが、これはパラレルワールドでの話とご自身を騙して下さい。
第1話
うららかな日曜日の午後、土屋三兄弟とそれぞれの彼女たちはリビングでのんびりとお茶を飲んでいた。最近はこれが習慣になっておりダラダラとした午後を過ごすのが楽しみだった。
「へえ~、凄い子がいるんだね」新聞を読んでいた愛子がつぶやいた。
「・・・・・どうした愛子」
「昨日、代々木でやった全日本中学陸上競技大会で、100m、200m、400m、走り幅跳び、走り高飛びで日本記録を出して優勝した女の子がいるんだって」
「へえ、スーパーガールだね。将来が楽しみだ。愛ちゃん何て子?」
「え~っと、土屋陽向(ひなた)っていう子らしいんだけど、康太たちの親戚だったりして」
「「「ぷ~っ」」」三兄弟が飲んでいた紅茶を一斉に吹き出した。
「汚いなあもう、一体どうしたのさ」
「そっ、その子の学校はどこだい、愛ちゃん」
「学校?えーっと伊賀中学って書いてあるね」
「ちなみにその大会はいつまでだ?」
「えーっと、昨日で終わったみたいですよ」
三人は一斉に立ち上がり同時に出口目掛けて走り出した・・・ものだから三人が出口で詰まった。
「ええい、どかんか陽太、康太。お兄様を先に通せ」
「その腹を引込めろ兄貴。長男としてちゃんと迎えてやれ」
「・・・・・どっちにしろ俺は無関係だ。早く通してくれ」
「なんでいきなり見苦しい兄弟の争いが始まっているのさ」
「ドコ行きますかソータ」
「俺は1週間ほど旅にでる。誰か来てもどこ行ったか分からないと伝えろ」
「あの~陽太君、どうしたの」
「由美ちゃん、誰か来たら僕は1週間ほど前に死んだと伝えてくれ」
「聞きたくもないけど、康太はどうして欲しいのカナ?」
「・・・・・俺は・・・・・KGBに拉致されたと・・・・・」
三兄弟がリビングから駆け出そうとしたその時、玄関のチャイムがなった。
「ピンポ~ン・・・・・ピンポ〜ン・・・ピンポ〜ン・・ピンポンピンポンピンポンピンポ・・・」
「しまった。もう手が回った」颯太が怒鳴った。
「兄貴、裏口から逃げよう」
「・・・・・駄目だあいつの事だ。裏口には既にトラップを仕掛けてあるに違いない」
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピン・・・・・」
「あの~何の話か全然分からないけど、早く玄関開けてあげた方がいいんじゃないカナ?」
「ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピン・・・・・」
「そうは言うがな、愛ちゃん。俺たちに取ってはこの玄関は地獄の釜の蓋ようなもので・・・」
「よく理解できないけど、じゃボクが開けますね」そう言って愛子が玄関の鍵を開けてドアを開くと同時に
「可愛い妹をどんだけ待たすのよ、このバカ兄貴共」という声と共に飛んできたバッグが愛子の顔面を直撃した。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。てっきり兄さん達だと思って」女の子が必死に謝っていた。
「いや、もういいんだけど・・・・・どちら様?」愛子が尋ねた。
「あたしは土屋陽向、この3馬鹿兄弟の可愛い妹です」女の子がニカっと笑って言った。
「こっこっこっこ康太。妹がいたなんて今まで聞いてないよ」
「・・・・・落ち着け。特別言う機会もなかっただけだ」
「陽太君、妹さんってどちらにいらっしゃったの」
「ああ、あいつは事情があって田舎の祖父母のところで暮らしているんだ」
「ソータ、つまり私の義妹ということでスネ」
「最初から間違っている上に、とりあえず妹がいたことに驚かんか、お前は」
「ふーん、思ってた通りだね」と陽向がつぶやいた。
「・・・・・思った通りとは?」康太が尋ねた。
「ん?お母さんからお兄ちゃんたちに彼女とお嫁さんが出来たって聞いてたの」
「ちょっと待て陽向、嫁ってのはなんだ」颯太が猛然と抗議した。
「颯兄、いくら高校中退でも日本人として「嫁」って言葉くらいは知っておくべきだと思うな」
「嫁という言葉の意味ぐらい知ってるわ。誰が誰の嫁だと聞いてるんだ」
「え、アンナちゃんが颯兄のお嫁さんになるために、はるばるロシアから嫁いで来たってお母さんが」
「あのババア・・・。いいか陽向、お前には小さな頃から言い聞かせてきただろう。まっとうな人生を送りたかったら、あのババアの言うことは無視しろと」
「お母さんからは、まっとうな人生を送りたかったら颯兄を反面教師にしろってずっと言われてるんだけど」
「ぐっ、でお前はどっちの言うとおりにしているんだ?」
「こっちの方が陽兄の彼女の由美ちゃんだね。はじめまして土屋陽向です」
「堂々と無視しやがったこいつ。尊敬するお兄様が尋ねているんだ、ちゃんと答えろ陽向」
「うるさいなあ。答えずに無視してあげたことが優しさだってことぐらい気づきなよ」
「よけいに傷つくわ」