大変お待たせ致しました(別に待っちゃいないという声が聞こえる気が・・・)
いやぁ、この2週間は忙しかった。2週間で報告書16本も提出した上に大阪に宿泊出張という数年ぶりの忙しさ。
忙しくて更新できなくてすみませんと感想欄でお詫びしようとしたんですが、
ここのシステムって自分の作品の感想欄には投稿できないんですね。
お陰で更新もままならず、久々に新作書いてみようと思ったら大問題が発生。
「 設 定 忘 れ て い る 」
しょうがなく1話から読み返して、しばらく忙しいので今回で片つけようとしたんですが・・・・・失敗しました。
すでに最長記録を達成しているというのに、まだ帰国してくれませんカリーニン家御一行様(泣)。
しばらく更新は遅くなるかと思いますが、どうぞ見捨てないでお待ちいただけれ幸いです。
お風呂一つ入るのにも大騒ぎしないと気が済まないのかと呆れつつも、久しぶりに会ったんだから嬉しいのだろうとボクは思った。
問題は、アンナちゃんが超絶ブラコンぶりを発現させてしまった状態で宗介君を大人しくロシアに帰してくれるのだろうかという心配があることだ。アンナパパはアウト・オブ・眼中のようだからどうでもいいとしても、宗介君を文月学園に転校させると言い出しかねない。
スペツナズという学校は入学を認めてくれたかも知れないけど、日本の教育委員会は10歳児を高校に入学させてくれるほど甘くはないだろう。いや、陽向ちゃんが戸籍まで偽造して無理やり転校してきたことは考えると、教育委員会どころか日本の法制は意外と甘いのかも知れない。
ボクは大きな背中を小さくしながら空港の廊下をトボトボと一人で去っていくアンナパパの姿を想像して思わず涙ぐんだ。
「・・・・・何でお前はいきなり涙ぐんでいるのだ?」康太が尋ねた。
「いっ、いや何でもないよ。父親っていろいろと辛いんだなっと思って」ボクは慌ててごまかした。
「愛ちゃんはいきなり何を言い出したんだ?」颯太君が言った。
「よくわからないが、結構失礼なこと考えているような気がするんだけど・・・・・」陽太君までそんなことを言う。
「陽太ちゃんまでそんなことを・・・・・とにかくみんなアンナパパには優しくしてあげようよ」ボクたちができることはそれくらいしか無いのだから。
「(おい、すき焼き喰った感想が「アンナの親父に優しくしよう」ってのは、どういう訳だ?)」
「(・・・・・あいつの発想を常人がトレースするのは不可能)」
「(生卵にでも当たったのかな)」
「(生卵に当たって頭に影響が出るのか?)」
「(・・・・・いや、だから考えるだけ無駄だと言っている。どうせ大したことは考えてはいない)」
「(どれだけ発想が飛躍すれば、あの結論が出てくるんだろうな?)」
「そこ、ゴチャゴチャうるさいよ。ボクが言ったことちゃんと分かったの?」
「いや、分からないから揉めているんだよ、愛ちゃん」陽太君が言った。
「なんでこんな簡単なことが分からないのかなぁ。人情ってものがないんだよね、この兄弟は。大体いつもいつも・・・・」
「(おい、なんか言い始めたぞ)」
「(・・・・・既に最初の発言の趣旨からズレているんだが)」
「(俺たちへの批判に力点を置くことにしたみたいだな)」
「康太なんて彼女のボクにプレゼントの一つもくれないし、これじゃいつまでたっても理想のカップルには・・・・・」
「(どうでもいいが、お前たちの痴話ゲンカに巻き込まれているだけじゃないのか、これは?)」
「(・・・・・俺を責められても困る。というかまだあの設定を諦めてないのかあいつは)」
「(なんですき焼きの感想から痴話ゲンカに話が発展するんだ?)」
三人はしばらくの間、ボクの説教を静かに聞いていた。
「そうは言うがな、愛ちゃん」ボクの気が済んだところで颯太君が言った。
「これだけ説明してあげてもまだ理解できないの?」
「いや、愛ちゃんがクリスマスデートはどこでしたいとか康太のバースデイは手料理でもてなす計画を持っているというのは、よく理解できた。なんで俺や陽太までそれを知る必要があるのかはともかくとして」
「じゃ、何が問題なのさ」
「いや、そもそも最初から何が問題なのかが分からないのは既にもうどうでもいい事なんだが、俺があの親父に優しくしてやらなきゃならんのか?」
「最初からそう言ってるじゃない」
「・・・・・そう言ってのは最初だけだ」
「うん、ほとんど愛ちゃんの「理想のカップル計画」を聞かされていただけだったような気がするな」
「いや、お前たちは少し黙ってろ。愛ちゃん、俺たちは今日1日ずっと一緒にあの連中と行動してたよな」
「そうだね。いろいろと普通じゃ体験できないというか、体験したくもなかったことを体験させてもらったね」
「それじゃ、今日1日で俺があの親父に何回頭に銃を突きつけられたか知ってるよな」
「いや、途中から見慣れちゃって注目もしていなかったけど・・・」
「24回だ、24回。あのロシア人どもは、煙草吸うよりも気軽に人の頭に銃を突きつけてやがるんだ。そんなトンデモ親父に優しくしろと?」
「・・・・・颯太君」ボクは優しく声をかけた。
「何でそんな可哀想な子を見るような目で俺を見てるんだ?」
「想像してみようよ。将来、アンナちゃんとの間に女の子が生まれるんだよ」
「・・・・・そんなとこまで決定事項なのか?」
「康太、うるさい。今いいところなんだから、黙ってて。想像した?」
「いや、想像もしたくないんだが」
「その娘がアンナちゃんにそっくりな美人に育って、異国の地に留学したとしたら父親としてどう思う」
「アンナにそっくりな女の子が娘で、外国に留学?」颯太君がつぶやいた。
「そう、性格もアンナちゃんにそっくりで素直ないい子なの」
「そこまでそっくりなのか。俺の遺伝子が欠片も入ってないような気がするんだが」
「娘っていう設定だからね。美人でスタイルがよくて素直ないい娘が外国に留学しているんだよ。しかも、そこで彼氏見つけたから結婚するって言い出したとしたら、颯太君なら父親としてどうするの?」
「アンナそっくりな娘が、外国留学してそこで結婚すると言い出す・・・・・」颯太君が遠くを見るような目で何かを想像しているようだ。
「そう、もうアンナちゃんがもう一人いるようなそっくりな娘。それが外国人と結婚すると言い出した時の父親としての気持ちを考えてみてよ」
「そうなったら、俺ならその国に乗り込んで・・・・・」
「ウンウン、そうだね。それでどうするの・・・・・?」
「その男の首根っこ押さえつけて・・・・・」
「いいよ、いいよ。本当の父親の気持ちに近づいているよ。それで、それで・・・・・?」
「有無をも言わさず婚姻届にサインさせて、俺が直接役所に提出してくるな」
「帰国させない気満々なんだね」