やっぱり同時連載はキツイので、交互に終了させて連載することにしてみました。
いつもの通り出オチです。ノープロットです(威張ることじゃない)。
どんな展開になるのかオチになるのか、自分でも想像がつきません。
あっちにも書いたのですが、なぜかこの土屋家。連載が止まっているのに
読んでくれている人がバカメタより多いんですけど、皆さん一体どうやって
ここにたどり着いているんでしょう?
謎です。新規に辿り着いた方、教えて下さるとありがたいです。
第1話
日曜日の午後いつものまったりとした時間を土屋家ご一同様はケーキと紅茶で過ごしていた。
「刺激なんだよ・・・・・・」突然、少女が立ち上がって拳を握りしめながら叫んだ。
「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」一同があっけに取られた。
「(また愛ちゃんは唐突に何を主張しだしたんだ?)」颯太がケーキを頬張りながら言った。
「(相変わらず言っていることがよく理解できないな)」陽太が紅茶を啜りながら言った。
「(・・・・・俺に振られても困るのだが)」康太が困惑しながら言った。
「・・・・・あれ?反応が薄いね」少女が不本意そうに周囲を見渡しながら言った。
「・・・・・反応が薄いも何も、お前の話はいつもホップ・ステップを省略してジャンプの着地部分だけ話すから誰もついてこれんのだ」
「あのね、康太」少女が憐れむような目で少年を見ながら言った。
「・・・・・その可哀想な子を見るような目はやめろ」
「青春真っ盛りの男女5人と青春が終わった1人のカップル3組が毎週毎週日曜の午後にお茶会をしているなんて、これじゃご町内の老人会の寄り合いだよ」
「青春が終わった一人とはもしかして俺のことか?」颯太が陽太に尋ねた。
「年齢はともかくとして、アンナちゃんに捕まった時点で兄貴の青春は終わっているだろう」陽太が答えた。
「失敬な。俺はまだ青春とやらを1秒たりとも使った覚えはないぞ」颯太が憤慨して言った。
「それはそれで問題がある気がするけど、とりあえずお袋とアンナちゃんを説得してから青春とやらを謳歌してくれ」陽太が面倒くさそうに言った。
「あの二人説得するくらいなら、サルに数学を教える方が早いわ」
「・・・・・その前に兄貴が数学勉強しないと」康太が言った。
「バカ者。数学は俺の得意科目だ。いつも3だったぞ」
「それは得意科目って言っていいレベルなのかなぁ?」陽向が容赦なく突っ込んだ。
「その他の科目は、ほとんど1と2で・・・・・いや、俺の成績の話はどうでもいいんだ」
「あの、みんなボクの話聞いてくれてます?」少女が尋ねた。
「アイコ、刺激が欲しいならワタシの100万Vのスタンガンを貸してあげマス」アンナが言った。
「何でそんな物騒なもの持ってんだ、お前は」颯太が尋ねた。
「日本に来る時に護身用にと貰いまシタ」
「誰がプレゼントしたかが容易にわかるな」
「いや、アンナちゃん。気持ちは嬉しいけどボクが言っている刺激ってのは、そういう熊も倒せるような種類のものじゃないんだよね」
「・・・・・つまり、何が言いたいのだお前は」
「つまりボクが言っているのは、これだけ付き合いが長いとデートもマンネリ化して、カップルの倦怠や奥様のイライラ、ひいては離婚の危機を招くと言うことなの」
「結婚もしてないのに、奥様のイライラの心配までせにゃならんのか?」颯太がツブやいた。
「デートと言えば、ランチでシャイゼリア、映画と言えば大嫌いなホラーばっかり」少女が拳に力を込めてワナワナと震わせた。
「・・・・・いや、それはお前のリサーチ不足というか、余計なことしたからというか不運が重なったせいではないのか?」
「シャラップ、康太。あの映画館はボクにホラーしか観せないと決めているとしか思えないよ」
「・・・・・そこまで嫌なら映画を観なければいいだけの話ではないのか?」
「映画はデートの定番でしょう。外せないよ」
「デートのマンネリ化を訴えているのに定番って」陽太が言った。
「・・・・・どうも、お前のいうことは一々矛盾しているのだが」
「あの愛ちゃん、力説しているところ悪いんだけど私達この間恋愛映画観てきたんだけど」由美子が済まなそうに言った。
「そういう個人の事情はいいんです」
「そうですネ、アイコ。ワタシとソータは毎週、バラエティに富んだデートをしています」アンナも同調した。
「まさかと思うが、お前が言っているデートというのは毎週俺を荷物持ちとして引きずっていく八百屋セールとか肉屋バーゲンとか魚屋売り尽くし祭りのことを言っているのか?」颯太がツッコんだ。
「毎週、楽しみデス」
「お前は生きていて楽しそうだな」颯太がしみじみと言った。
「だ~か~ら、そういう個人的事情は置いておいて、ボクが言っているのは土屋家ファミリーとしてのカップルの危機を訴えているんです」少女が更に力説した。
「(何だか話が広がっているが、要するにお前たちのデートに変化が欲しいと言っているだけじゃないのか、康太?)」
「(どう好意的に解釈しても愛ちゃんと康太の個人的事情だよな)」
「(・・・・・そうはいうが、高校生がそう変わったことできるわけない)」
「そこの三人、ゴチャゴチャ話をしない」
「まあ、愛ちゃんの言うことは、何となく分かったとして俺たちにどうしろと言うのだ?」颯太が尋ねた。
「ふふふ、よく聞いてくれました」
「いや、聞かないとさっぱり理解できないんだけど」
「つまりですね。このマンネリ化した3組のカップルに刺激を与えようということなんです」
「(別にアンナも由美ちゃんも不満を持ってるわけじゃないんだろう?)」
「(結局、俺達を巻き込みたいんじゃないのか。自分たちで何とかしろ康太)」
「(・・・・・あいつが何考えているのか理解できないのに、満足何かさせられるわけがない)」
「だからゴチャゴチャと煩いってば、そこの三兄弟」
「ああ、すまん。で、結局愛ちゃんはどうしたいんだ?」
「それはですね。カップルを取り替えてデートするんです」少女がどうだとばかりに胸を張った。
「「「「「「カップルを取り替える~?」」」」」」
「そう、新しいカップルでデートすることによって他の人がどんなデートをしているのかを学び、自分たちのデートに活かす。マンネリ防止の特効薬です」少女は自信満々に宣言した。