マジでプロットとか書いた方がいいのかな?
(書き方わからないけど)
「結局のところ不味いカレーということなんだろう」誠が尋ねた。
「不味いかって・・・・・ウーン?」陽向が考え込んだ。
「美味いの?」陽向の反応を見て由香が尋ねた。
「美味しいかと言われれば・・・・・ウーン?」陽向が更に考え込んだ。
「一体、どっちなのよ」由香子がイライラしながら尋ねた。
「俺はカレー好きだから大概のカレーは喰える自信はあるぞ」誠がジレったそうに言った。
「いや、正直言うと味なんて覚えてないんだよね」
「味なんて感想であって覚えるもんじゃないでしょうが」
「ユカりんはそう簡単に言うけれどもさ。愛ちゃんカレーって美味いとか不味いとかう次元とは別のところに位置していてね。味にまで感想が回らないんだよ」
「いや、普段にもましてお前が何を言っているのか理解できんのだが」誠が言った。
「えーっと、まあ具体例をあげた方がわかり易いかな」陽向が答えた。
「「フムフム」」
「初めて愛ちゃんカレーを食べた時にはね。最初の一口を口に入れた瞬間に急に周囲が暗くなって・・・・・」
「「・・・・・」」
「気がついたらいつの間にか河原に立ってたんだよね。で、川の向こう岸に初代から十五代目の土屋正蔵がズラっと並んでいて「まだ、こっち来るな」ってあたしに向かって石投げつけたの」
「それって人間として渡っちゃいけない川だったんじゃねぇか?」
「そもそも土屋正蔵って誰よ」由香が尋ねた。
「ああ、うちは伊賀の忍者の頭領の家系だから、頭首は代々土屋正蔵を名乗るんだよ。今はお祖父ちゃんが土屋正蔵を名乗っているの」
「なんで、その人たちが歴代土屋正蔵だってわかったんだ?」
「一番左端にいた人が十五代目土屋正蔵で、写真で見たことがある曾祖父ちゃんだったんだよね。ちなみに祖父ちゃんが十六代目の土屋正蔵だから、マコちんは十七代目の土屋正蔵ってことになるわけ」
「ちょっと待て。何で俺が十七代目の土屋正蔵になるんだ?」誠が尋ねた。
「それはお父さんが後を継ぐのがいやで伊賀を逃げ出したから、マコちんは祖父ちゃんの次だから十七代目になるんだよ」陽向が教え諭すように言った。
「代の数が合わねえっていう話をしてるんじゃねぇんだよ!!」誠が怒鳴った。
「で、仕方ないから川と反対側に歩いていたら、気がついたらリビングに倒れたところで意識が戻ったの」誠の怒声を華麗にスルーして悪びれもなく陽向が言った。
「人様に対してスゴい人生設計してくれているわね、あなたは」由香が呆れた顔で言った。
「大丈夫だよ。ユカりんにはちゃんと十九代目「お華」の座を用意してあるから」
「今度は一体誰の話なのよ?」
「一応、頭領の家系だから血を絶やしちゃいけないっていうことで、歴代土屋正蔵には正式に側室がいたんだよね。その人たちは代々「お華」の名を継いで来たんだよ」
「要するに代々お妾さんがいたってことね。それはともかく土屋正蔵が十六代でお華が十八代じゃ数が合ってないじゃないの」
「うん、祖父ちゃんに側室を置くのを祖母ちゃんが断固として反対したから、十六代目から十八代目の「お華」は、祖父ちゃんの家で飼っている猫が継いでいて・・・・・イタイ」由香のゲンコが炸裂した。
「なんで、あたしがあなたのお祖父さん家の猫の名前を継がなきゃならないのよ」
「とまあ、これくらい恐ろしいカレーなんだよ」
「強引にカレーに話を引き戻したわね。カレーよりもあんたの方が怖いわよ」
「カレーの恐ろしさというかお前の一族のアホさ加減しか伝わってこないのだが」
「おかしいなぁ、じゃこの話の方がいいのかな?」陽向が首をひねりながら言った。
「まだ、あるのか」
「というか、工藤先輩に料理させないという選択肢はないわけ」
「いや、もうできるだけ料理をさせないように、話を逸しつつ兄妹4人でマークディフェンスしているんだけど、湘北の流川並のカットインで台所に入られちゃうんだよ」
「あなたのマークすらかわせるなんて、NBAに入れるんじゃないの?」
「愛ちゃんが台所に入っちゃったら、マークディフェンスから作戦を変えなきゃならないから大変なんだよ」
「阻止するのに作戦まで立てなきゃならん料理なのか」
「今度はどんな作戦に変わるわけ?」
「誰かが逃げ出さないように、それぞれを見張るという作戦の180度変更を・・・・・・」
「前から疑問に思ってたんだが、お前ら兄妹は本当は仲悪いんじゃないのか?」
「仲悪いというか、自分だけ不幸になってたまるかという人間としての当たり前の心理の現れというか」
「そんな極悪心理を一般論にしないでちょうだい」
「一度なんか颯兄が二階の窓から飛び降りようとしたのをみんなで必死に止めて」
「自殺まで考えるのか?」誠が呆れたような顔で尋ねた。
「2階から飛び降りても死ねないでしょう」由香が冷静に言った。
「みんなで颯兄を窓枠からひっぺがして、料理ができるまで逃げられないように簀巻きにして、罰としてカレー特盛りにしてやったけど」
「何の話を聞いてもろくでもない結末しか出てこない兄妹だわね。ご両親は何て言っているわけ?」
「それが二人とも、愛ちゃんが料理を作る日に限っていないんだよ。お父さんは経理部なんだけど急遽接待とかで帰ってこないし、お母さんは「お母様会」の会合とか言って出かけているし」
「軽く家庭崩壊しているじゃねぇか」
「二人とも一応忍術の修行はしていたから、何らかの殺気を感じるんだろうね。あたしは修行が足りないからまだそこまでカンが働かないんだけど」
「なんで、たかが飯を喰うために殺気を感じる能力まで磨かにゃならんのだ」誠が呆れたようにツブやいた。