エタっていた作品ですが、最後まで書いてみようかと思い久しぶりに書いてみました。
「おい、アホ」誠はリビングの惨状を見て言った。
「陽向、呼んでいるぞ」
「颯兄、マコちんが用があるみたいだよ」
「どっちのアホでもいいから、この状況を説明しろ」
「いや、だから楽しいデートの反省会をする・・・・・・・・予定だったんだけど」
「6人のうち3人が瀕死になっているデートって何やったのよ」由香が呆れたように言った。
「俺たちはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のベートベンコンサートという高尚なデートのあと、吉田屋でディナーを楽しんできたぞ」颯太が自慢げに言った。
「いえ、ウィーン・フィルハーモニー交・・・なんでもないです」由美子が言いかけて止めた。
「えっ、颯兄がクラシックコンサートって」陽向が驚いたように言った。
「吉田屋をディナーっていう奴を初めて見たぞ」誠がツッコむ。
「特盛りセットに納豆までつけたんだが」
「フリーターの給料日のご馳走じゃねぇか」
「とてもデートに行くような場所じゃないわね」
「まあ、颯兄だからねぇ」
25歳の青年に容赦なくツッコむ1年生トリオだった。
「ウウウ・・・・あ、陽向ちゃん、おっお帰り」
「あっ、愛ちゃん大丈夫?一体なにが起きたの」
「いやぁ、陽太くんのせいで酷い目にあったよ」
「何を言い出すんだ愛ちゃん」いきなり責任転嫁された陽太はたまらず飛び起きた。
「ボクは金魂観たいって言ったのに、無理やり陽太くんが「3D貞子2」に引きずって行ったんじゃないですか」
「なに、いくら何でもそれはやりすぎじゃないか陽太」颯太が割り込んで来た。
「そこだけ聞くとその通りだが、そうじゃないんだ」
「3✕2で怖さも6倍ですよ」
「・・・?」
「おい、アホ」
「颯兄、マコちんが」
「お前のことだ。俺たちは何を見せられているんだ?」
「何をと言われても、土屋家のほのぼのとした日常風景というか」恥じることなど何もないとばかりに胸を張って答える陽向であった。
「あんた、「ほのぼの」って意味知ってんの?」
「イタリア語で「善良な人」という意味で・・・」
「それは「ウモ・ボーノ(uomo buono)」でしょ」
書いている人の検索力をひけらかす由香であった。
台所の方から「トントントン」という音が聞こえてきた途端、騒いでいた一同が黙り込んだ。
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
「あれはもしかして・・・」恐る恐る陽向が尋ねた。
「アンナかな」
「颯兄、なにやってんのさ」
「いや、俺はマコちんを出迎えようとしてちょっと目を離した隙に・・・」
「だからマコちんって呼ぶなって言ってんだろうが」
「竜崎も律儀にツッコむわね」
「あっ、アンナちゃんが夕食の準備始めたんだね。ボクもお手伝いを・・・」
「何を言ってるんだ愛ちゃん。さっきまで倒れていたじゃないか。まだ動いちゃいかん」
「そうだよ。愛ちゃんは・・・そう、康兄の看病をお願い」
「愛ちゃん、映画の感想を語り合おうじゃないか」
団結がいきなり高まる土屋家一同であった。
「ねぇ、陽向」由香が不思議そうな声で陽向に呼びかけた。
「だから、愛ちゃんは康兄を・・・・ん、なに由香りん、あたし今緊急事態で」
「(いや、それどころじゃないのは分かるけど、問題は工藤先輩のカレーなんでしょう。工藤先輩はここにいるじゃない)」
「(いや、土屋家の双爪と呼ばれているもう一方のアンナちゃんっていう人がいてね)」
「(料理に攻撃力全振りしてんじゃないわよ。その人も致死的な料理を作るの?)」
「(いや、アンナちゃんの場合は殺すというより生かすほうかな)」
「(じゃ、問題ないじゃない)」
「(食道に自我が生まれて飲み込むのを拒否するんだよ)」
「(本当にロクでもないオチしか出てこない一族ね)」