「ねぇ」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
「ねぇってば」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」」
「食べてすぐ寝たら牛になりますネ」
「アンナちゃん、それって」
「もちろん志ん朝ですネ」
「まあ、いいけど。この連中どうしようか?」
この連中は腹八分という言葉を知らないのだろうか。小学生だって動けなくなるまで食べないというのに。
「なにも倒れるほどお腹いっぱいに食べなくてもいいのにね」
「私たちの料理の腕があがったんですネ」
「まあ、ボクたちも研鑽しているからね」
「(・・・なんか凄いこと言っているぞ)」
「(・・・倒れている場合じゃないよ。二人がブーストしちゃう)」
「(・・・ゆ、由美ちゃん大丈夫)」
「(・・・なっ、なんとか)」
「(・・・・・・・・・)」
どうやら少し元気が出てきたようだ。
「みんな復活したようだから、デートの反省会を始めようか」
「・・・まだ、それを諦めていなかったのか」
「なにを言うのさ、康太。復習は大事だよ。それだから康太はFクラスなんだよ」
「・・・さりげなく俺をDisるな」
「そもそも康太がもっと真面目に勉強していたら一緒にAクラスで楽しい青春が送れたのに」
「・・・無茶言うな」
「おい、段々変な方向に話が進んでいるぞ」
「愛ちゃん、デートの反省会をしようよ」
「そう言えばユカりんとマコちんの姿が見えないね」
「ババアが連れて逃げていきやがった」
「なんか用事があったのかな?二人には改めてボクの手料理をご馳走してあげなくちゃ」
「(何がなんでも逃さないつもりなんだね)」
「(陽向と関わったばかりに、あの二人も災難だな)」
「まあ、それはともかく順番的にそれぞれのデートの結果を発表しようよ。颯太くんたちのデートはどうだったの?」
「聞いて驚くなよ。俺たちはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のモーツアルトコンサートに行った」
「いえ、それは・・・えっ、ちゃんと覚えていたんですね」なぜか由美ちゃんが驚いていた。
「ウィーンフィルなんて、よく颯兄が我慢できたね」
「うむ、すばらしいアンサンブルだったぞ」
「・・・・」由美ちゃんは黙り込んだ。
「その後、吉田屋で豪勢なディナーを食して帰ってきた訳だ。どうだ完璧なデートだろう」
「よく由美ちゃんを吉田屋なんて連れて行こうと思いましたね」
「あっ、それは私の希望で・・・」由美ちゃんが少し顔を赤らめた。どうでもいいが由美ちゃんが挙動不審になるようなデートって、颯太くんはなにをしたんだろう?
「ユミは、ソータの財布事情に配慮したのですネ」アンナちゃんが由美ちゃんを労るように声をかけてくれた。
「なぜ、お前が俺の経済状態を知っている」
「夫の財布の管理は妻の役目デス」
「勝手に人の財布を確認しているんじゃねぇ」
「それはそうと変な会員カードを見つけたのですが、後でお話がありマス」
「よし、今度は愛ちゃんたちのデートの話を聞こうじゃないか」颯太くんが露骨に話を切り替えた。。
「そりゃもうボクと陽太くんは精神力と根性を極限まで振り絞ったデートを楽しんできたよ」
「よく知らんが、デートというのは精神力と根性を総動員せにゃならんもんなのか?」
「ねぇ、愛ちゃん。そもそもどこに行ったのさ」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。デートの定番の映画です」
「・・・だいたいオチが読めるが何を観てきたんだ」
「ボクたちは弱点を克服するために、あえてホラー映画を見るという暴挙に出たのです」
「・・・自分で暴挙と言うな。で、成果はあったのか」
「うん、躍動感のある波だったよ」
「波?貞子の映画にそんな場面あったか?」
「なんか袋被った男が浜辺にいた気がするけど・・・」
「・・・そこまで観れたというのは、お前にしては大健闘だな」
「愛ちゃんはオープニングでギブしたんだよ」
「ほとんどオープニングじゃないか」
「だから、精神力と根性がそこで尽きたんですよ」
「・・・逆ギレするな、バカモノ。それじゃいつもと変わらないではないか」
「そんなことはないよ。いつもはピザのCMあたりで・・・」
「・・・1mmも変わらん」