財布を落として路頭に迷っている彼女を助けたことからなぜか土屋家へ。
そこにはアンナが運命を感じたバンドのボーカルである康太の兄貴がおり、てんやわんやの大騒ぎ。
バンドの練習を見学に行っただけの愛子・由美子・アンナの3人はヨメーズというユニットでなぜかライブに出演するはめに。
アンナの帰国までにいい思い出を作ってあげることができるのか?
えー、ロシア人の名前にあまり詳しくないので名前と設定のいくつかを
僕の大好きなラノベから拝借しました。
第1話
召喚システムは世界中で研究されている。つまり文月学園のような実験校が世界中にあるということだ。
単独で研究していては効率が悪いということもあって、ほとんどの学園が姉妹校として交換留学生だの文化・スポーツ交流だのを行っている。
今日はそのスポーツ交流の日。愛子は水泳の代表として出場し、当然ながら決勝まで残った。
決勝の相手はタイム的にもおそらく右隣りのコースのロシア代表アンナ・カリーニンになるだろう。
視線を向けてみると175cmのスラッとした体形とGカップはあると思われる大きなバスト。
小さな頭に妖精のような顔立ちの美人だ。ほとんど無表情だが、それも神秘的な美しさを際立たせている。
「ふわー、本当にこんなお人形みたいな娘がいるんだね」と思わず呟いてしまった。
観客席に目を向けてみた。Aクラスのみんなが口々に自分を応援してくれているのが見えた。
普段は物静かな翔子まで立ち上がって手を振っている、あいかわらず無表情なのが気になるけど。
「康太は応援してくれているかな?」とFクラスに目を移してみると、予想通りというか少年の姿は見あたらなかった。
会場のどこかに身を潜めて盗撮をしているに違いない。後でカメラを取り上げて自分以外の女の子の写真を削除しなくては。
「それにしても・・・・・」Fクラスの男生徒のほとんどは、アンナを応援している。なんて自分の欲望に忠実な連中なんだろう。
「でも、美波は随分一生懸命にボクを応援してくれてるみたいだけど?」最前列で「打倒G」の鉢巻を締め、
日の丸を振りながら、気がふれたように叫んでいる。
「・・・ボクの応援というより、ピンポイントでアンナちゃんに恨みがあるようだけど、何があったんだろう?」
それが何かはわからないが何やら鬼気迫るものを感じる。
「On your marks」の声がかかる。選手たちが飛び込み台の上にあがる。
「Get set」上体をかがめる。いつもこの瞬間が一番緊張する。集中力が高まり周囲の声が聞こえなくなってくる。
「Go」ピストルの音が響き、選手たちが一斉に水に飛び込んだ。
放課後、人気のない教室で少年と少女は向き合って座っていた。
少女は明らかに不機嫌な様子だった。
「それで?」指で机をトントンと叩きながら少年に言った。
「・・・・・それでとは?」少年は小さくなって答えた。
「盗撮したのはこれで全部かって聞いてるの」
「・・・・・はい、そうです」
「まったく自分の彼女が頑張って優勝したっていうのに、こんなことばっかり」
「・・・・・おめでとうございます」
「えっ?ああ、ありがとう。これを機に康太も少しボクを見直すといいよ・・・ってそうじゃなくて」少女は机をドンと叩いた。
「盗撮はしょうがないとして」
「・・・・・そこはいいのか?」
「200枚以上も盗撮しておきながらボクが5枚しか写ってないってのはどういうことなのさ」
「・・・・・問題はそこなのか」
「それだけならまだしも、アンナちゃんの写真は100枚以上あるし、他の国の子の写真だって10枚以上あるし、
ボクの写真が一番少ないなんて彼女としてのプライドはズタズタだよ」
「・・・・・それはつまり、需要と供給の関係というか・・・」
「ボクの写真は売れないっていうの?」
「・・・・・いや、そうじゃなくて彼女の写真は売りたくないというか」
その言葉を聞くと少女の顔はみるみるうちに真っ赤になった。
「・・・そっ、そっか。そうだよね。大好きで大切な彼女の写真だもん。いくらお金を積まれても売りたくないよね」
「・・・・・いや、誰もそこまでは言ってないが」
「わかった。じゃ帰ろう」
そう言って機嫌良さげに立ちあがると、二人は玄関へと向かった。
靴を履きかえてると、突然少女が言った。
「あれっ?」
「・・・・・どうした?」
「よく考えたらさっきの説明は、アンナちゃんの写真が多いことの説明にはなってるけど、
ボクの写真が少ないことの説明にはなってないじゃん。
ボクの写真が何十枚あっても康太が持っていればいいだけでしょ」
「・・・・・気づかれたか」
バトルの第二弾が始まった。