これが土屋家の日常   作:らじさ

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第2話

土屋3兄弟+美少女1名は、リビングで緊急会議を開催していた。

 

「家族旅行するにしたって10万ってのは中途半端だな」

「・・・・・というか親父は今、会社の決算前で目が血走っている。家族旅行しようなんて言ったら殺されかねん」

「ババアにこの話したら「あら、ちょうどいいわ。お母様会の親善旅行に使うからちょうだいね」とか言われて旅行券没収されちまうな」

「ソータ、私にいい考えがありマス」

「ふむ、異なる文化で育った人間の視点からの意見を聞いてみるのもいいだろう、言ってみろ」

「いや、どう考えてもそこまで大仰な問題じゃないだろう、兄貴」

 

「みんなでロシアに行きまショウ。私が案内しマス」

「一人分にも足らんわ。お前が帰って二度と戻ってこないというなら、これ全部お前が使っていいぞ」

「デモ、私はソータに嫁ぐために家を出た身ですカラ、ロシアには帰れまセン」

「ホンの数秒前に「みんなでロシアに行こう」と言ったのはお前だろうが。あと交換留学することを「嫁ぐ」とは言わん、我が国では」

「女三界に家なしと言いマス」

「一体、どこで日本語教わりゃ、そんな言葉覚えてくるんだ。そんな言葉よりもっと基本的な単語の意味を理解しろ。「妻」とか」

一応、颯太は女性が苦手なミュージシャンで通っているはずなのだが、不思議なことにアンナとだけは普通に接することができるようだ。

まあ、上のようなやり取りを普通の範疇に入れることができるとすればの話だが。

 

「兄貴、夫婦漫才はそれくらいにして真面目に考えようよ」

「夫婦じゃねえし漫才でもねぇ」

「・・・・・・メンバーから決めた方がいいのではないか?」

「ああ、そうだな。親父お袋がダメとなるとこの4人か」

「それじゃ、アンナちゃんが女一人でかわいそうだろ」

「そんなこと気にするタマとも思えんが・・・・・・よし、それじゃ由美ちゃんと愛ちゃんも誘ってみんなで温泉でも行こう」

「「えっ?」」

「このままじゃ、俺一人カップルと思われるじゃねえか。お前らもカップルになれ」

「「いや、泊りはどうかなあ」」

「心配するな。こう見えても我々、土屋兄弟の安全性は折り紙つきだ。いかなる事故も起こらん」

「・・・・・年頃の男性として、それは胸を張れることなのか?」

「いいんだよ。とりあえず来週の土日で温泉旅行。場所は適当に探しておくから、お前たちは由美ちゃんと愛ちゃんを何としても誘ってこい」

颯太はにこやかに宣言した。

 

「そうスルと、私は愛子に来週土日に温泉旅行に行かないかと誘えばいいのデスね」

「・・・・・そうだ。よろしく頼む」

「愛子は恋人なんだからコータが直接聞けばいいノニ」

「・・・・・理由があって、学校ではあいつに声をかけられないのだ。お前も学校で俺を見かけても無視してくれ」

「わかりまシタ。でもひとつ聞きたいことがありマス」

「・・・・・何だ?」

「私たちなんでワザワザこんなことをしてるんデスか?」

と言ってロシアン少女は携帯を耳にあてたまま振り返った。10m後方に同じように携帯を耳にあてて歩いている少年がいた。

 

「なんで同じ家から同じ学校に通っているノニ、並ばずに離れて歩クノ?そして話をスル時には携帯を使わないといけないんデスか?」

「・・・・・この学校には恐ろしい秘密組織があってな。女子と一緒に登校したり話をしたりしたら命が危なくなるのだ」

「オゥ、ジャパニーズ・ヤクザ?」

「・・・・・ある意味、ヤクザの方がまだ話が通じる。連中を支配してるのは嫉妬だけだから、言い訳や理屈など全く通じん」

「わかりまシタ。愛子には私から話しておきマス」

「・・・・・すまんが頼む」

学校に着き二人はそれぞれのクラスであるAクラスとFクラスへと向かった。

 

「あ、おはようアンナちゃん。今日もキレイだね」少女は今日も元気すぎるほど元気だった。

「おはようございマス、愛子。あの来週の土日空いてマスか?」

「今のところ予定はないけどどうしたの?」

「じゃ、私と颯太と陽太と康太と由美ちゃんと愛子の6人で1泊で温泉にいきまセンか?」

「どうしたの急に」

「実は私が福引きで旅行券を当てたの・・・」

ロシアン少女がここまで言った時には、既に少女は教室の入り口から飛び出していた。

 

少年が教室に着いた時には、聞きなれた金槌の音がしていた。

「・・・・・またか。今日の犠牲者は誰だ?」といいながらドアを開けて教室に入った。

 

「やあ、おはようムッツリーニ。爽やかな朝だね」明久がいった。

「お主、これから処刑が始まるというのに、よくそんな晴れ晴れとした顔ができるのう」と秀吉が呆れた顔で言う。

「いやぁ、基本的に僕は関係ないし」

「そういう問題ではなかろうに」

「・・・・・ターゲットは誰だ?」

「どうも須川君らしいよ」

「・・・・・誰になにがあっても須川にだけは何も起こらないと思っていたが」

「どうやら駅で女生徒が落としたハンカチを拾ってやろうとして手がふれたらしいぞ」

「それだけかの」

「なんか連中どんどん過激化しているな。偶然手が触れたくらいでリンチじゃ、彼女とお泊り旅行なんていったらどうなるんだろうなハハハ」

少年の背中を冷たい汗が流れて行き、顔がこわばるのがハッキリわかった。

 

その時、ドアが「ガラっ」と大きな音を立てて開かれ、少女が飛び込んでくるなり

 

「康太!来週のお泊り温泉旅行。ボク絶対参加するから!じゃあ」

 

と大声で叫んで、次の瞬間には消えていた

 

「(・・・・・あのバカ娘。よりによって最悪のタイミングで最悪の発言を)」

「今のは、工藤かの」

「よく見えなかったけど、たぶんそうじゃないかな?」

「なんかお泊り温泉旅行がどうこうと」

「・・・・・お前たちの聞き間違いじゃないのか」

雄二が言った。「俺たちはどうでもいいが。後ろの連中説得した方がいいんじゃねぇか?」

 

後ろを振り返るとFFF団の全メンバーが手に手に武器を持って取り囲んでいた。

須川が言った「5秒やろう。言い訳でもお祈りでも好きに使え・・・・」

 

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