これが土屋家の日常   作:らじさ

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デートから1ヵ月後。なぜか工藤さんからアプローチが激しくなる。
休み時間ごとにFクラスにやってきては仲のいいところを見せ付ける。
黙っていないのがFFF団。ランチを二人きりで食べると聞いて、
阻止するために動き出す。

深紅のユウキさんのご指摘により」5話と6話が同じ話だったのを訂正しました。
ユウキさんご指摘ありがとうございました。


2.彼と彼女と屋上ランチ
第1話


人気のなくなった放課後の中庭のベンチにその少年と少女は並んで腰をかけていた。

 

「ふふふ、賭けはボクの勝ちだね」

「・・・・・不覚。まさか保体のテストでお前に負けるとは」

「じゃ、約束を守ってもらうよ、ムッツリーニ君。ボクの命令を一つだけ何でもきくこと」

「・・・・・そのことだが、冷静に考えてみれば賭けに勝っても俺には何のメリットもない」

「今さらそんなこと言うなんて男らしくないなあ。ムッツリーニ君が勝った時には、ボクに好きなだけスカートチラッを命令できたんだよ」

「・・・・・そんな命令はしない。というより俺が命令しなくてもお前は勝手にやっているではないか」

「スパッツ無しだよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スカートの中なんぞに興味はない」

「回答までに随分と間があったけど・・・」

「・・・・・気のせいだ工藤愛子」

「ああ、ボクの命令はそれ。工藤愛子じゃなくて、あっ愛子って呼ぶこと。

わかった?これからはボクのことは愛子って呼んでお昼を一緒に食べるんだよ」

「・・・・・命令は一つのはず」

「一つだよ。「愛子って呼んでお昼を一緒に食べる」。ねっ、文章一つでしょ」

「・・・・・そうなのか?????」

「そうなのっ!国語だってボクの方が上なんだから。わかったら呼んでみて」

「・・・・・」

「や・く・そ・く・!」

「・・・・・(愛子)」

「(真っ赤)そっそれでいいよ・・・・・こっ康太」

「・・・・・その名で呼ぶな」

「だってボクだけ呼び捨てじゃ変じゃない」

「・・・・・いや、それは命令には」

「あ、ボクそろそろ部活に行かなきゃ。じゃ明日ね。こっ康太」

 

少女はベンチから立ち上がると赤く染まった顔を見られないように勢いよく駆け出して行った。

後に取り残された少年は首をかしげてつぶやいた。

 

「・・・・・何か騙されているような気がする」


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