戸山香澄は轟く鬼   作:のうち

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第4話

ライブハウスcircleに久しぶりに顔を出した翌日の朝、香澄は父がかつて家でギターを弾く際に使っていた広めの地下室にて、アンプを繋いで有咲より譲りうけ、というよりは格安で手に入れたランダムスターを弾いていた。

 久しぶりに弾いた筈なのにそれはもう、流れるように私は指を動かしていた。

 そして曲を弾き終わるといつのまにか入ってきていたのか妹のあっちゃんが扉の前にたって、私に拍手を送っていた。

 

「……あっちゃん」

「お姉ちゃん、今のすごく良かったよ」

「はは、恥ずかしいな」

「じゃあさ、また蘭さん達とトリックスター、やるの?」

「はは、そ、……それは」

「まあ、いいや。でもなんかお姉ちゃんここ最近、なんか吹っ切れたみたいだよね」

「そうかな?」

「そうだよ。これなら、預かってるあれは返せる日は近そうだね」

「……そうだね。そのうち必ず」

 

 妹の言うあれに心当たりのある香澄は少し、未だに自分の中にある後悔の念を恨めしく思う。

 それから何気なく時間は過ぎていく。林間学校の前日の夜、香澄は明日の準備をしているとコン、コン、コンと部屋の扉をノックする音

 

「お姉ちゃん、ちょっといい?」

「どうしたの? 、あっちゃん」

「ちょっと、早いけどこれ、渡しておこうと思って」

 

 と明日香が渡してきたのは香澄のランダムスターの入ったギターケースと同じ形のギターケースだ。

 

「これって……」

「うん、前の古くなってたでしょ。だから入れ直したの」

 

 そして明日香のギターケースを開けるとそこには香澄の予想通りのもの、香澄が父、戸山戸巳蔵、先代轟鬼から受け継いだ音撃弦烈雷と鬼弦、さらにディスクアニマルが入っていた。

 

「あっちゃん、ありがと」

「ううん、大丈夫、お姉ちゃんならまた」

「ありがとうね」

 

 そんなことがありつつもその翌日

 

「…………んぅ〜、あれ、もうこんな時間! 、どうしよう、もうバス出ちゃってるんじゃない! 、一旦先生に電話しなきゃ」

 

 と現地まで、そう遠くはない為、自力で向かうことになってしまった。

 そこでどうするかを考えた。そう、私は高校に入り、16歳になった同時に普通二輪の免許をとっていた。そもそもの羽丘の特別クラス、通称は鬼学科と呼ばれているクラスに入学した際、バイクや自動車などの教習がカリキュラムとして組み込まれており、一年生でその過程をこなせば、在籍云々は無しに16歳になったと同時に普通二輪の免許を取得出来るようになっているのだ。香澄自体、バイクは父が生きている時代にかなり乗っており、教習での運転や父の背中につかまり、タンデムなんてのも楽しかった為バイクは好きなのだ。そして香澄の父のバイクがガレージには眠っている。

 香澄は着替えて、旅行鞄とギターケースを持ってガレージに行く。バイクに荷物を積んでギターケース、ライダースジャケットの上から背負って準備完了

 

「よし、行きますか!」と香澄はヘルメットのバイザーを下ろして、ガレージのシャッターを妹に頼み、明けてもらったのを確認して、バイクを発進させるのだった。

 一方、その頃、林間学校の会場ではプログラムは進み、森林浴の中で生徒達は森を散策していた。

 

「ふうー、まさか香澄のやつ、普通学校行事に遅刻するか?」と有咲は1人、呟く。

 

(ねえねえ、そっちいた?)

「ん?」

(全然、…………、どこ行っちゃったんだろう?)

 

 と、かくれんぼでもしているのだろうか、そんな会話が聞こえてくる。

 そして有咲の前に一組の男女が現れた。

 

「あ、すみません」とその男女にぶつかってしまい、有咲は頭を下げ、有咲が頭をあげようとしたその時、有咲の意識は途切れた。

 そしてその数時間後、香澄が会場に到着した。だが香澄を迎えたのは、先生や到着を待っていた友人でもなく、見慣れない女性が香澄を待っていたかのように立っていた。

 

「ずいぶんと遅い到着だね?」

「えっと、…………、貴女は?」

「あ、ごめん聞いてなかった私のこと」

「もしかして、今回の林間学校に孟司から派遣された、西鬼さん!」なんと西鬼さんはなんとcircleにてライブを行っていたグリグリのギターボーカル、牛込百合さんだった。

 

「そう、私が西鬼、よろしくね」

「えっと、でも、何で貴女が……」

「実はね、この前、circleに来た時にここのこと聞いてたでしょう。その魔化魍が出たのよ。そのおかげで、生徒が何人か行方不明になってしまったの」

「え、でも貴女がここにいるってことは、魔化魍は」

「ええ、倒したわ。一体はね」

「一体? 、でも夏のシーズンには」

「ええ、それには少しだけ早いわ、シーズンに入るのは8月だもの」

「それで魔化魍は」

「ええ、私が倒したのは土蜘蛛だったわ。その時に巣に捕らえられてた生徒の何人かは助け出したんだけどね。そしたらさ、なんかもう一匹、デカいのがいるみたい何個か痕跡を見つけたんだけどさ、どうも見つからなくてね。今はアニマル達に探させてる。見つかった生徒も私のサポーター、まあ、私の妹なんだけど、その子が見てくれてるから」

「それで私に何を頼みたいんですか?」

「うん、それでなんだけどね。探すの手伝って欲しいの」

「ええ、でも私、何も道具は」

「私の貸すからさぁ、お願い! 、サポーターは手が離せないし、私だけでも力不足なの」

「……、わかりました。本当にサポートだけですよ」

「うん、ありがとう」

「とりあえず、先生達に到着の挨拶と荷物置いてきます」

「それなんだけど、先生達、今、森に生徒探しに出かけてるみたいでさ。残ってる先生も警察とおはなししてるからそれにもうすぐ、林間学校、中止になると思うよ」とその時、香澄の携帯にメールが二件、林間学校の中止となったことが記載されていた。

 

「まあ、とりあえずついた事は言っておいでそれまで準備しておくからさ」

「わかりました」

 

 生徒達が集まっている場所に行くと、見知った顔、沙綾がいた。

 

「沙綾!」

「あっ、香澄、ずいぶん遅かったね。でも残念な事に林間学校、中止になっちゃったよ」

「うん、ついた時にメールが来てたから、挨拶だけでもしておこうって」

「そっか、でも……先生、今、森の中に行ってるからさ」

「ええ、もしかして行方不明になった生徒の捜索?」

「うん、実はね。何人かの生徒は帰ってきたの。でもあと半分はまだ、帰ってきた生徒には今、牛込さんがついてるけど、中々、具合が良くならなくてもうじき救急車が来るって、それで香澄よく聞いてね。そのまだ帰ってきてない生徒の中にね、あの……、じつは、市ヶ谷さんがいるの」

「有咲が!」

 

 香澄は、持っていたギターケースを落としてしまった。

 ケースの中身が開かれるとそこには、有咲から譲り受けたランダムスターは入っていなかった、そこに入っていたのは

 香澄はその中身を掴み、もと来た道を引き返して行った。

 

「あっ! 、香澄どこいくの! 、今、森に行くのは危ないよ!」

「ごめん、でも有咲が!」

 

 と香澄はあっという間に見えなくなった。

 そして森の入り口では百合が装備を整えて立っていた。

 

「香澄ちゃん、その格好!」

「百合さん、行きましょう!」

「う、うん、なんだかわからないけど一緒に行こう」

 

 と香澄と百合は森の中へと入っていく。

 百合と香澄もディスクアニマルを放ち再び、探索を開始、道中教師に遭遇することもなく、ディスクアニマル達がとうとう当たりを引いたのだ。

 

「香澄ちゃん!」

「はい!」

 

 そして、香澄達は急ぎ、現場へ向かう。

 現場に到着する。

 

「おおー、でっかいね! 、でも土蜘蛛とは違くない?」

「すごい、これ土蜘蛛っていうよりは鎧蜘蛛なのかな?」

「もう、香澄ちゃん! 、今はボォーッとしてる暇はないよ!」と百合は赤い音角を取り出す。

 

「は、はい!」

 

 香澄は鬼弦の蓋をスライドさせる。

 そしてお互い、鬼の姿へと体を変化させる。

 

「いくよ!」

「はい!」

 

 香澄と百合、いや轟鬼と西鬼は魔化魍、鎧蜘蛛? へと向かっていくのだった。

 そしてその戦いを掲げて見ているものがいた。

 

「え、香澄が変身した⁉︎、あれって一体?」

 




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