天才と魔法科 ―相性悪そうな組み合わせほど実はベストマッチが多い件―   作:ジューク

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第17話 『怪我した人の後を背負って戦うってカッコいいよね』

 

 

 ………何が、起こった、ん、だ………?

 

 

 ………………あぁ、そっか………

 

 

 俺、また誰かを…庇お、うとし、て………

 

 

 ………やっぱ…楽じゃ、ねぇ、な………

 

 

 ………………悪ィ、みん、な………―――

 

 

 

―――

―――――

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………う―君」

 

 

 

「り――と君」

 

 

 

「りゅ―兎君」

 

 

 

 

 

 

 

「………………あ、れ………?」

 

 

 目を覚ますと、こちらを覗く少女がいた。

 

 

「!!龍兎君!!!」

 

「………………みゆ、き………?」

 

「お兄様!!龍兎君が目を覚ましました!」

 

「……!!そうだ!試あいでででで!!!??」

 

「!まだ駄目よ龍兎君!!治癒魔法がかかっているけど下手したら傷口が――」

 

「いつつ……ごめん深雪、俺のケースとライズフォンって、今あるか?」

 

「ケース?………これのことかしら?」ガチャ

 

「あそうそう、それそれ。ほい」ピッ ガチャリ

 

 

 深雪がケースを手渡すと、龍兎はライズフォンを嵌め込んでケースを開け、白いボトルを取り出した。龍兎はそれを手に取り、軽く振る。

 

 

カチャカチャカチャカチャ…

 

「………ふぅ~~……多少はマシになった…」

 

「龍兎。入るぞ」

 

「達也か?入ってくれ」

 

 

 龍兎が促すと、達也が入ってきた。

 

 

「………………」

 

「……ごめんな、俺たち棄権になったんだろ?あれさえ避けれていれば………」

 

「…それなんだが、十文字会頭が交渉した結果、俺とレオ、幹比古が代役として出ることになった」

 

「………ほんとか?」

 

「ああ」

 

「………ちょっと待っててくれ」プルルルル…

 

 

 龍兎はライズフォンに番号を打ち込むと、誰かと話し始めた。

 

 

「俺だ……あぁ、今から言う部屋に例のアレを持ってきてくれ。部屋番号は―――番だ。……

あぁ。ありがと。じゃ」ピッ

 

 

 龍兎が電話を切って数分後……

 

 

「入るぞ」ガチャリ

 

「悪いな一海。わざわざ」

 

「ったく。アイツら大慌てだったぞ。ほら」ゴトリ

 

「サンキュ」

 

「じゃあな」スッ

 

 

男――一海はケースを置いてすぐに部屋を出た。

 

 

「……深雪。悪いけど達也と二人にしてくれ」

 

「?………わかったわ」スッ

 

 

 バタン…

 

 

「…コイツは、元々俺たちが決勝戦で使おうと考えて、この日のために特別につくったものだ。でも、生憎その俺たちはこのザマで、試合なんて出れやしない。だからよ……達也。お前らに俺の、俺たちの夢を託す。使ってくれ」

 

「………………」

 

「審査なら通してる。コイツで、三高の奴らの鼻を俺たちの代わりに明かしてくれ」

 

「………わかった。任せろ」

 

「………後は任せた」

 

「ああ」

 

 

 達也は三つあるケースの内一つに目をやり、龍兎の言葉に頷いた。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

 新人戦最終日、達也たち一高と一条率いる三高による決勝戦がいよいよ始まろうとしていた。

 

 

「………ほんとにいいのか?」

 

「ああ。龍兎から頼まれている」

 

「…なら、頑張らないとね」

 

「そうだな………行くぞ」

 

 

 そう言うと、達也たちは目の前に広がる草原へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

 

「………将暉。どう思う?」

 

「アイツらはよくやったが、ここまでだ。俺が気を引き付けるから、ジョージはディフェンスと遊撃を頼む」

 

「わかった。将暉も気をつけてね」

 

「俺は負けないさ………ん?」

 

「将暉?」

 

「アイツら………なんのつもりだ?」

 

「え?」スッ

 

 

 吉祥寺が将暉と同じ方を向くと、そこには何かを腰に巻き付けるレオと幹比古がいた。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「行くぜ幹比古!!」ガチャリ!

 

「うん!!」ガチャッ!

 

【SHOT RISER!!】

【FORCE RISER…!】

 

 

【POWER!!】

 

【JAPANESE-WOLF!!】

 

 

AUTHORISE(認証完了)

 

【KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…KAMEN:RIDER…】

ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!

 

 レオは腰のショットライザーに、幹比古はフォースライザーにそれぞれパンチングコングプログライズキージャパニーズウルフゼツメライズキーを装填する。そして、自分たちの友人のセリフを思い、叫んだ。

 

 

「「変身!!」」

 

 

【SHOTRISE!!】

 

「おっりゃあぁぁ!!」バキイィン!

 

【パンチングコング!】

 

Enough power to annihilate a mountain. (山を壊滅するのに十分な力)

 

 

 

【FORCE RISE!!】

 

【JAPANESE-WOLF!!!!!】

 

BREAK DOWN(強制認証突破完了)………】

 

 

 レオはゴリラをモチーフとしたライダー、『仮面ライダーバルカン:パンチングコング』に、

 幹比古は両手にそれぞれ大きな四本の長い爪――ニホンオオカミノツメを纏ったライダー、『仮面ライダー亡』に変身した。

 

 

「必ず優勝する。………それが僕たちの望みだ」

 

「前だけを見て、突き進むぜ!!」

 

 

二人は固い意志を宿した目で三高を睨み付けた。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

「あ、Rシステム、だと………!?」

 

「……!…そうか、迂闊だった………一高にRインテリジェンス社長の息子(機丈龍兎)がいた時点で警戒するべきだったんだ……!」

 

「?ジョージ、どういうことだ?」

 

「………九校戦で制限されているのは、CADのレギュレーション(・・・・・・・・・・・・)だ」

 

「………!!まさか!!!?」

 

「ああ。Rシステムに関しては(・・・・・・・・・・)何一つ定義されていない!!軍用は一般的には買えないからと、完全に僕たちはたかをくくっていたんだ!!おそらく、彼らのRシステム搭載の完全独立思考型CADはRシステムに関してはかなり高いレベルだよ!!!」

 

「………つまり、俺たちは今、地の利から来る有利が完全にひっくり返った、ということか?」

 

「うん。草原ステージには一切の隠れ場所がない。たとえ逃げようと必ず捕捉される」

 

「しかも、Rシステムは魔法ではないから、事前使用も許されている………なっ!!?」

 

「?………まさか、彼もか!!」

 

 

 彼らの前では、達也が(・・・)腰にCADを取り付けていた。

 

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

「………龍兎。使わせて貰うぞ」ガチャリ!!

 

 

 達也は腰に赤い回転式レバーが付いた装置……ビルドドライバーを着け、横から缶のようなアイテムを取り出した。

 

 

 

シュワシュワシュワシュワシュワ…!

カシュッ!!

 

 

 達也が缶――ラビットタンクスパークリングを振ると、シュワシュワと心地良い音が響く。そしてプルタブ――シールディングタブを起こすと、缶の下部から突起――RT-SPコネクターが出る。

 

 

RABBITTANKSPARKLING!!

 

【トンカンテンカントンカンテンカン!!】

 

 

達也が缶をドライバーに差し込んで横のボルテックレバーを回転させると、ビルドのマークを象ったスナップライドビルダーが展開され、中に泡――ベストマッチリキッドを含んだトランジェルソリッドがスーツを形成する。

 

【ARE YOU READY!?】

 

 覚悟はいいか、とベルトが問いかける。達也はフッと、軽く笑い、そして二人に続いて叫んだ。

 

 

「変身」

 

 

【シュワっと弾ける!!RABBITTANKSPARKLING!!!!!!イェイイェーーイ!!!!!

 

 達也が叫ぶとスナップライドビルダーが重なり、白い稲妻や炭酸のようなマークが所々についたライダー、『仮面ライダービルド:ラビットタンクスパークリングフォーム』へと変身した。

 

 

「………勝利の法則は、決まった」

 

 

 その言葉を合図にしたかのように、試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

 

「ジョージ!!来るぞ!!!」

 

「わかってるよ!!」

 

 

 将暉は大声で味方を鼓舞する。

 

 

 しかし、それでこの状況が好転するなら、苦労などするはずもないだろう。

 

 

ギュンッ!!!!

 

『!!??』

 

 

 刹那、将暉たちの間を突風が吹いた。魔法攻撃か、そう思って将暉と吉祥寺が振り向く。

 

 

 そこには、割れるモノリスと、器用にも残ったモノリスの上に立っている達也がいた。

 

 

「………………!!?」

 

「……今の一瞬で、スタート地点からここまで移動し、モノリスを割った、のか………!?」

 

「…………ジョージ!残った奴らは任せた!司波は俺が倒す!!」

 

「…わかった!気をつけて!!」

 

 

 そう言い残し、将暉を除いた二人は一高のモノリスに向かって駆け出した。

 

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

「………防御に徹してたらジリ貧だとようやく理解したか。まぁ、遅すぎだけどね」

 

 

 してやったり、といった顔で龍兎は試合中継を見ていた。

 

 

「……いくらスパークリングフォームとはいえ、その身体能力は使用者に依存する。あれ程の速さが出せるのは達也の努力の賜物だ。さぁ、存分にやってくれよ…!」

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

「幹比古!来たぞ!!」

 

「わかってる。レオ、手筈通りに!」

 

「おう!」

 

「どけえぇぇぇ!!」キイイイン!

 

 

 吉祥寺は、恐怖を彼に似合わない怒号で無理矢理押し殺し、二人を倒さんとCADを向ける。

 

 

「ふんっっ!!」バッ!

 

ドスゥン!!!!

 

「なっ!!?」

 

 

 レオはスーツの上から羽織っていたマントを引き抜いた。するとマントに硬化魔法がかかり、盾となって地面に突き刺さる。

 

 

「(まさかそういった使い方だったのか!? これじゃあ『不可視の弾丸(インビジブル・ブレット)』が使えない!)」

 

 

  

不可視の弾丸(インビジブル・ブレット)』とは、基本(カーディナル)コードを用いてつくられた魔法だ。対象の情報体(エイドス)ではなく対象そのものに働く魔法であるため、防ぐのは困難を極める。ただしその性質上、対象を視認しないと使えない。このマントは達也が予め用意していたものだ。

 

 

「幹比古行くぞぉりゃああぁぁ!!!」ブオオッ!

 

「っ!!!??」ドガァァッ!

 

 

 それに気を取られていた吉祥寺はレオのCAD――『小通蓮(しょうつうれん)』に吹き飛ばされる。そしてその先には、アンカーに手をかけた幹比古がいた。

 

 

「(達也。君が『クリムゾン・プリンス』を倒すのなら、僕はせめて『カーディナル・ジョージ』は倒して見せる!!龍兎、使わせて貰うよ!!)」

 

 

ガギンガギン!!!!!

 

 心の中で言い放ち、幹比古はアンカーを戻して再び引く動作を二回繰り返した。そして爪にどんどん灰色のエネルギーが纏わり付いていく。

 

 

 

 

          

 

                

 

          

 

 

 

 

        ゼツメツ          

        ユートピア

 

 

 

「はあああああああ!!!!!!!!!!」

 

「ぐあああああぁ!!!!!???」

 

 

 交差させた幹比古の両腕の爪から放たれた四対のエネルギーは、幹比古がすぐさま発動した(・・・・)『雷童子』を飲み込んで白い雷を含み吹き飛ばされた吉祥寺を正面から捉えてその意識を瞬く間に刈り取った。

 

 

「………え?」

 

 

 一瞬、幹比古は唖然とした。そう、自分の発動した魔法の発動速度が、かつて『神童』と呼ばれていたあの頃をも上回っていたのだから。

 

 

『その術式には無駄が多すぎる』

 

「………こういうことだったんだね、達也。龍兎」

 

 

 幹比古は二人の言葉を噛み締めていたが、今はそんな時間ではないとすぐに悟った。

 

 

「この野郎よくも吉祥寺を!!」ゴゴゴゴゴ!!

 

 

 本来ならディフェンス担当だった選手が『陸津波』を撃ってきた。幹比古は、回避しようとしたが、その瞬間、別の声がした。

 

 

「幹比古ォォ!!跳べぇぇぇ!」

「!!!」バッ!!

 

 

 幹比古がジャンプすると、ショットライザーのスイッチを押そうとするレオと陸津波、そして三高の選手が一直線になっていた。

 

 

【POWER!!】

 

「いっけえええええぇぇぇぇ!!!!!」

   

   

   

   パンチングブラスト

 

 

「ぐはああああぁぁぁぁっ!!!!!???」

 

 

 レオが硬化魔法をかけて飛ばしたガントレットは、選手の腹を正面に捉え、そのまま数十メートル先まで吹き飛ばした。選手は最後まで起きようとしたが、やがて力尽きたように倒れた。

 

 

「うっしゃぁ!やったぜ幹比古!!」

 

「ああ。後は達也が―――!!」

 

「幹比古?」

 

「達也が………」

 

「へ?」

 

 

 幹比古の指した先をレオが見上げると、空高く跳躍する達也がいた。

 

 

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

 

 

「こうなればヤケだ!!これを喰らって、立ってみろ!!!」キイイイイイ!!

 

 将輝は達也にそうさけんでレギュレーション違反のオーバーアタックを達也に向けて放つ。それも一発では無く一瞬で二十発もの『空気弾(エア・ブリット)』を、だ。これは吉祥寺が倒された怒りと、Rシステムを使用している今の達也なら問題はない、という思い込みからきていた。そして、二十の魔法式が達也を囲むように展開される。

 

 

 

   そして、二十の弾丸が達也を襲った。

 

 

 

「……………な!!?」

 

 

 土煙が晴れると、将暉は狼狽した。

 

 

 達也の姿は、どこにもなかったのだから。

 

 

「どこだ!どこへ隠れた!!?」バッ

 

 

 周りを見渡すが、達也はいない。そもそも、この草原ステージに隠れ場所などないのだ。

 

 

 その時、将暉の顔に影がかかった。

 

 

「…………!!!」

 

 

 手で太陽を隠しながら将暉が見上げると、空中で錐揉み回転をしながら跳ぶ達也がいた。

 

 

 

【トンカンテンカントンカンテンカン!!】

 

 

 達也がボルテックレバーを再び高速回転させると、白い数式と共に赤と青のワームホールが現れ、エネルギーを吸収していく。

 

 

「はあああああ………………!!」

 

 

【READY・GO!!!】

 

「ハァァーーーッ!!!」

 

SPARKLINGFINISH!!!!!!

 

ドッパアアァァァン!!!!

 

 

 達也のキックがワームホールの中央に入ると、反対側から大量の泡――ディメンションバブルが将暉に雨のように吹き荒れる。それが弾けると、中から更に大量の圧縮された泡――インパクトバブルが将暉に襲いかかる。

 

 

 一つ一つの威力は精々成人男性のパンチ程に抑えられているが、それでもそれを何百、何千と喰らえばただでは済まない。

 

 

「うわああぁぁ!!?くっ!この!!ぐっ………

ぐああぁぁぁぁ!!!??」

 

 

 インパクトバブルの濁流に押され、将暉は地面を転がる。数発が頭部に当たり、意識は既に朦朧となっていた。

 

 

「(………今回は、完敗だな…………だが、次は、次こそは必ず勝つぞ………司波達也…!)」ドサッ…

 

 

 将暉が倒れてから数秒後、大音量のブザーが鳴り響き、スクリーンには『WINNER 第一高校』の文字が大きく映し出されていた。

 

 

 

 

 

 




さてさて、いかがでしたか?
達也→ビルド
レオ→バルカン
幹比古→亡
という構成になりました!!
もしかしたら女子たちも変身する………かも?
さて、九校戦編は次々回ぐらいで終わりですかね。
さすがに他作品書かんといかんので、一旦お休みです。
横浜騒乱もいつかやるつもりですが、他が落ち着いたらですね。
ではでは、CHAO~♪

11月1日で一周年を迎えるのですが、どれがいいですか?

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